IS-突き進め!変態紳士-   作:「旗戦士」

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珍しく原作キャラが登場しない回。
あんまり多くはしたくないです。


真琴、整備キチ

<日曜日、IS学園校門前>

 

 

そうして迎えた日曜日。

俺は小木曽さんに言われた通りに真琴ちゃんとラーク・メカニクスへ向かう為、学園の校門で彼女と朝早くから待ち合わせていた。

 

無論制服ではなく私服なので、正直真琴ちゃんの服装がどんなものか期待している。

スタイルがいいから普通の服でもエロエロなんだろうきっと。

 

 

「あっきひさーっ!! おはよーっ! 」

「おう真琴ちゃん、おはよう」

 

 

学園の敷地内から走ってくるのは、デニム生地のホットパンツに洒落た黒のジャケットを羽織った私服姿の真琴ちゃんであった。

ボーイッシュな私服がまたなんとも似合っており、今すぐに告白したいレベルの可愛さである。

相変わらず胸でかいな。

 

「張り切ってるな真琴ちゃん。そんなラーク・メカニクスに行くのが楽しみだったのか? 」

「そりゃもう! ギャプランちゃんの構造とかその他諸々聞けるなんて最っ高やで! 楽しみにし過ぎて昨日の夜も全然眠れへんかったもん」

 

「遠足の前日の小学生かよ……」

「それに、その……あ、彰久とも出かけられるし」

 

「たまんねえデレボイス頂きだぜ! 今回はエマさんに消されないようにアナログレコーダーで録音しておこう。そして今日の夜のお供決定だ! 」

「シャオッ!! 」

 

どこぞの南斗水鳥拳よろしく彼女のデレボイスを録音したレコーダーを瞬時に破壊された。

毎回思うがレコーダーって結構高いんだぞコレ。

 

「どうしてそう毎回下ネタに持っていくんや彰久は! 紳士じゃないんか!? 」

「常に己の欲望を求めて生きる……そういうのも素敵だと思わないかい? 」

 

「なんかカッコ良く言ってるけどそれただのクズやで」

「ですよね」

 

閑話休題。

そうして集まることができた俺達は、さっそくラーク・メカニクスへと向かうことにした。

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<ラーク・メカニクス社内、研究室>

 

 

ここ最近ラーク・メカニクス社を尋ねすぎてるので受付係の人にも顔を覚えられ、ほぼ顔パスで研究室へと行くことが出来た。

受付の人のリクルートスーツ姿がエロかったなぁ……。

 

そんなことを思い出して鼻の下を伸ばしていると無言の真琴ちゃんからのツッコミが俺の頭を直撃し、ムッとした表情で俺を睨み付ける。

きっとやきもちを焼いているのだ、そうに違いない。

 

「やあ君たち、よく来たね。そちらのお嬢さんの方は始めまして、かな? 」

「お、片桐さん」

 

「はい! 始めまして片桐さん、ウチは八神真琴っちゅう名前です! 」

「話は聞いてるよ。僕は片桐恭弥、よろしくね」

 

にこやかに握手を交わす片桐さんと真琴ちゃん。

技術者同士気が合うのか、どうやらすぐに打ち解けているみたいである。

 

「さて、さっそくだがギャプランを渡して貰えるかい? 追加武装の準備は出来てるから、あとはギャプランに装備させるだけなんだ」

「あ、はい。わかりました、ちょっと待っててください」

 

言われるがまま腰に付けてあったギャプランのバックルを外し、俺は彼に手渡すとそのまま片桐さんは研究室の奥へと走っていった。

彼の後を追うと既にギャプランは専用のハッチに展開されている。

 

「よし、これから"ロング・ブレード・ライフル"をギャプランに装備させるよ。二人とも、よく見ていてくれ」

 

手元にあるケーブルをギャプランの首元に繋ぐと、独特な音と共にギャプランが起動した。

 

その後片桐さんは素早い動作でキーボード入力をしていく。

数分経つと、彼はキーボードの手を留めてギャプランに繋いであったケーブルを抜いた。

ずいぶん処理が早いものである。

 

 

「彰久君、一度待機状態にするから再び身につけて展開してくれるかい? おそらく"ロング・ブレード・ライフル"と念じれば自然と君の手に握られているはずだ」

「もう終わったんですか? 早いですねぇ」

 

「ほとんどの最適化は終わってたからね。あとはギャプランに装備させる為にちょっとした処理だけが必要だったから、さほど時間はかからないよ」

「うへぇ……やっぱプロは違うんやなぁ……」

 

 

二人が会話している最中に俺はギャプランのバックルを腰に装置し、広い場所でギャプランを展開させた。

片桐さんに言われた通り、右手に例の"ロング・ブレード・ライフル"を発現させる。

 

「おお……こりゃすげえな! 」

 

長く白い銃身を見つめながら、俺はこの銃を片手で構えた。

ちょうどギャプランの腕の長さに合うように設定されており、まさしくこいつの専用武装と言えるだろう。

だが、驚くのはここからであった。

 

 

「彰久君、"ロング・ブレード・ライフル"のグリップにあるスイッチを押してみてくれないか? 」

「こうですか……ってうおっ!? 」

「銃身が移動して、剣みたいになっとる! 」

 

 

真琴ちゃんが声を上げるほど驚くのも無理はない。

俺は言われた通りにスイッチを押すと銃床が量子化し、横に伸びていた銃身が接続音と共に今度は縦に伸びたのである。

そうか、だから銃身の下に実体剣が付いていたのか。

 

「これこそが"ロング・ブレード・ライフル"の真髄さ。一応ガンダムの原作からオマージュしたんだけど、そこにさらに改良を加えて近接武器としても使用できるようにしたんだ」

「これ……かなり戦略の幅が広がるんじゃ……」

 

「あぁ。ビームサーベルよりも遥かにエネルギー効率もいいからね」

「すごい! すごいですよ片桐さん! 」

 

 

"ロング・ブレード・ライフル"を振ると空を斬る音が鳴り、再び銃形態に戻した。

 

どうやらスイッチを押すとすぐに形態を変えることが可能らしく、近接戦に持ち込んできた相手を迎撃するのに役立ちそうである。

一通りの動作を終えてからギャプランを待機状態に戻すと、新しくギャプランのバックルに白いラインが入り込んでいるのが見えた。

 

 

「とりあえず今日の件はこの"ロング・ブレード・ライフル"を彰久君に見て欲しかったんだ。あとは……確か君から社長に話があるみたいだね? 」

「そうなんです。少し時間を頂けませんか? 」

 

「大丈夫だよ、社長にも話は通ってるからね。二人で話してる間、僕は真琴君にギャプランの整備とかを説明しようかと思ってたし」

「ほんまですか!? いやったー!! 彰久、もう何時間でも話してきてええで! 」

 

実を言うとこの"ロング・ブレード・ライフル"の件は二の次で、本題は小木曽さんとの話にある。

片桐さんが気を使ってくれたのか、真琴ちゃんは大喜びしながら研究室を今にも歩き回ろうとしていた。

 

「はは、現金だなぁ。まあ、なるべく長く話すようにするよ」

「頼むでー! 」

 

二人に別れを告げると、一人俺は社長室へと向かう。

 

 

シャルとの約束を守るために。

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<ラーク・メカニクス社内、社長室>

 

 

相変わらず豪華な装飾を一瞥し、俺が目指すのは社長室の扉のみ。

ノックすると優しそうな男性の返答が聞こえ、俺は扉を開けた。

 

「すいません小木曽さん。時間をとらせてしまって」

「気にしないで。連絡したのは僕の方だからね。まあ、そこに掛けてくれよ」

 

言われるがまま黒いソファーに座ると、彼は淹れたての紅茶をテーブルに置いて俺に差し出す。

同時に小木曽さんも向かい側に座り、俺達は向かい合わせで話すことになった。

 

 

「本題に入る前に、彰久君に聞きたいことがある」

「聞きたいこと? 」

 

「あぁ。――――君はニーソと黒タイツ、どっちが好みだい? 」

「ッ! 」

 

 

こッ……この男……! とんでもない究極の選択を強いてきやがった……!

優しそうな顔してなかなかのやり手みたいだな……。

 

ニーソはスカートから生み出される"絶対領域"という最大の武器があるが、黒タイツはホットパンツにもスカートにも合うという応用性も持ち合わせている……。

 

そして何よりも重要なのが着用する本人の脚に合っているかということ。

"スレンダーには黒タイツ"、"ダイナマイトボディにはニーソ"と変態紳士界では有名なことわざだ。

 

 

「……小木曽さん、俺は敢えて黒タイツを推します」

「ほう、その理由とは? 」

 

「確かにニーソはスカートとの相乗効果で"絶対領域"が生まれ、パンツが見えるか見えないかの瀬戸際で俺達を焦らし悶えさせる。現に俺はIS学園で何度も悶えています。――――しかしっ! 黒タイツはその後の光景も楽しむことが出来ます!! 」

「……」

 

「かつて俺達は、ニーソの絶対領域を覗こうと必死でいた。ですが気付いたんです。黒タイツ越しの、あの桃源郷を」

「……ふっ、そこに気づくとは流石彰久君だ」

 

 

中学時代、鈴ちゃんが制服にニーソという王道かつ最高の組み合わせをしてきた時には何度も弾と熊吉と共に彼女のスカートをめくったのを思い出す。

 

顔を赤くしながら俺達を蹴り飛ばし、そしてまたパンツが見える……。

それこそが俺達の生きがいであったのだ。

 

だが最近IS学園に転入して数週間した放課後のこと、俺は偶然セシリアが転んで彼女のスカートの中が露わになる光景を目の当たりにしたことがある。

あの黒いタイツ越しに見えた白い桃源郷……あの時のマイサンに走った衝撃は言葉に言い表せないほどであった。

 

 

 

「それでこそ、腹を割って話せるというもの。さあ彰久君、本題に入ろうか」

「はい! 」

 

 

どうやら小木曽さんは俺を試していたようで、期待通りの返答を受けた彼は満足げに紅茶を啜る。

社長室に入って数分、もはや真面目な話をする雰囲気ではないのに無理やりそういう感じにしたのは変態紳士との秘密にしてほしい。

 

 

「それで、昨日君が言っていた"お願い"とはなんだい? 」

「――――デュノア社と、何らかの形で友好的な関係を築いてほしいんです」

 

「……それは本気で言ってるのか? 」

「はい。それが俺からのお願いです」

 

 

彼一人で決められることではないのは百も承知。

だが俺はなんとしても方法を見つけださねばならないのだ。

しばらく考え込んでいる様子を見せた小木曽さんは、俯いていた顔を上げる。

 

 

「悪いが、今ここで"私一人の独断で"決めるわけにはいかない。そのお願いは我が社の今後に関わることだからね。――――しかし、面白い考えだ」

「と、いうと……? 」

 

「今までのIS開発企業は同業他社との提携は取ったことはないんだ。誰もが同じ競争相手だとしか見ていない……。その常識を打ち壊すきっかけになるかもしれない。例えば――――"共同開発したIS"とかね」

「"共同開発"……? 」

 

 

"鬼才"と評される小木曽さんは今のIS企業情勢には不満を抱いているらしく、彼はそれをぶち壊すきっかけを欲しているようだった。

今まで見たことがない意地悪そうな表情を俺に見せる。

 

 

「考えてみよう、その"お願い"をね。すぐには答えは出せないが、いずれは行動を起こすよ。その時には、彰久君には同席してもらうかもしれない」

「あ、ありがとうございます! 同席でも全然大丈夫ですから! 」

 

「うん、そうか。早いうちには1週間、遅くても2週間以内には答えを出す。また連絡させて貰うね」

「はい、では失礼します」

 

 

 

流れるように本題が終わり、俺は紅茶を飲み干してソファーを立ち上がった。

またいつものような優しい笑顔に戻った彼は、俺を出口まで送る。

 

 

 

 

 

その後真琴ちゃんと合流すると早すぎると怒られ、結果的に夜までラーク・メカニクス社に留まることに。

門限ギリギリで帰ってきた俺達は、千冬さんにこっぴどく叱られた。





ロング・ブレード・ライフルは独自設定でお送りします。
追加武装の割には結構なチートだと思うの。

それと次回に向けて、鈴のパートナーである「ティナ」の機体を活動報告にてアンケートを実習しています。
ご協力していただけたら幸いです。

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