IS-突き進め!変態紳士-   作:「旗戦士」

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もう大晦日ですね。
変態紳士も年越しです。


セシリア、ポイズンクッキング

<昼休み、IS学園屋上庭園>

 

 

ここの屋上庭園では床に芝生が敷き詰められており、自分でパンを買ったり弁当を作ったりして好きなように昼食を取りつつ暖かい日差しや涼風に当たることのできるという事から、生徒達に人気のリラックスゾーンであった。

 

 

人気スポットであるため毎回この庭園は予約でいっぱいなのであるが、どうにかして予約を勝ち取ることが出来て今に至るわけだ。

 

 

 

「いただきまーす!! 」

 

 

 

各々用意した弁当を広げ、俺は今朝作ってきたナポリタンをすする。

やっぱ昼の弁当にはナポリタンにご飯が一番合うな、中学時代によく母ちゃんに作ってもらってたっけ。

別にその気になればいつでも食いに行けるが。

 

 

「隙ありだぜ一夏! 」

「あっ、てめえ楽しみにしてた玉子焼き取りやがったな! 返せよ! 」

 

「かかったなアホが! 隙を見せるお前の方が悪いんだよー! 」

「お、彰久のナポリタンもーらいっ! 」

 

「あぁぁぁぁ!! 俺のナポリタンッ!! 」

「へへ、隙を見せるから悪いんやでー♪」

 

 

流れるような手つきで一夏の弁当から玉子焼きをかっさらう俺に対して今度は真琴ちゃんがナポリタンを奪い去っていく。

悪戯に笑う表情が可愛いすぎてナポリタンよりも食べたい(性的な意味で)。

 

 

「あーもう、アンタら少しは静かにしなさいよ。ご飯食べてるんだから」

「そうだ。下品だぞお前たち」

 

「そんな鈴ちゃんのまな板をパイタッチ! 」

「おいてめえ今まな板っつったかコラ」

 

「謝るからその拳は降ろしてほしいかなって」

「誰の胸が釘宮キャラみたいだってェ~ッ!? 」

 

「言ってない、誰もそんなこと言ってないぞ鈴」

 

 

箒ちゃんの制止も虚しく鈴ちゃんは俺の胸倉を掴み、力の限り俺の身体を揺らした。

食べたものがほとんどリバースしそうだが俺は必死に堪える。

変態紳士は耐えることも必要なのだ。

 

 

鈴ちゃんのラッシュを受けて吹っ飛ばされるも、中学時代に嫌と言うほど女の子からの攻撃を受けているのでもはや彼女のは快感としか感じない。

攻めるのもいいが攻められるのもアリだと気付いた高1の春、俺は変態紳士としてレベルアップしていた。

 

 

 

「相変わらずの凄まじい蹴りのラッシュだな鈴ちゃんよ。この調子なら流派変態紳士をも会得できそうだな。それと今日は縞パンか、いいセンスだ」

「な、何見てんのよアンタ!? 忘れなさいよ! 」

 

「あ、彰久はいつもあんな感じなの? 」

「ええ、むしろ今日の方がまだマシですわね」

 

「いつもは更衣室とか覗きに行ったりウチの胸とかも揉んできたりするねぇ。ま、揉まれる前に反撃するんやけどな」

「あいつ……大人になったらセクハラとかで訴えられなきゃいいけど……」

 

 

何か一夏が俺の将来について心配しているようだが、余計なお世話である。

俺の行動は決してセクハラなどではない、紳士としての立派なスキンシップなのだ。

 

訴えられたり捕まったりするというのは三流のやることよ。

あ、鈴ちゃんのパンツまた見えた。

 

 

「心配は無用だ一夏。俺はそこまで落ちぶれちゃいない」

「いやもう中学から落ちぶれ過ぎて底辺いってるぞ、俺の中じゃ」

 

「そんな平然としてるけど彰久顔がボッコボコだぞ!? おい大丈夫か彰久!? 」

「いつも中学の時はこんなもんだったぞ箒」

「お前達一体どんな中学時代を過ごしてきたんだ……」

 

 

鈴ちゃんに蹴られながら再び話の話へ入っていくと一夏以外の子たちがギョッとした目で俺の方を見つめてくる。

そんな見られると興奮するのでもっとやってほしい。

ちなみに中学時代は理想郷(ハーレム)を目指そうとした結果、学校の女子ほぼ全員に"ただの変態認定"されたのはきつかった。

 

 

「もう、大丈夫ですか彰久さん。わ、わたくしの作ってきたサンドイッチでもお食べになって元気になって下さいな」

「おお、セシリアは優しいなぁ。ありがとう! 」

 

「ふふ、どういたしまして。さあ、召し上がって下さいまし」

「いっただっきまーす!! 」

 

 

顔がボッコボコにされたのを見かねたのかセシリアが顔を赤くしながら俺にサンドイッチを差し出す。

本当はサンドイッチそっちのけでセシリアに飛びつきたいが俺は変態紳士である、全国の同士諸君を裏切るような真似はしない。

 

 

だが俺を襲ったのはセシリアの笑顔でもなく、鈴ちゃんの蹴りでもなく、圧倒的な、不味さ。

確かにサンドイッチの風貌は普通のものだった……。

しかしなんだこの威力は!?

バニシュデスの強さに匹敵するぞコレ……。

 

 

 

(ね、ねぇ? 見るからに彰久の顔が青くなってるんやけど……)

(見栄えは普通だったのに……あの彰久が青くなるくらいなんだ、きっとレベル5デスに匹敵するほど不味いんだろうな)

 

(その無理やりFF5に例える風潮は何なのだ)

(あたし4派よ)

 

 

俺が悶え苦しんでいるのにも関わらずこいつらはなんかヒソヒソと話をしている。

FFのどれがいいかなんて談義は後にして早く助けてくれ。

ちなみに俺は9派である。

 

 

「それで、彰久さん……? その、お味の方はどうですか? 」

「う、うん……。殺人的な、味が……ごっぱぁッ!? 」

 

「彰久さん!? 殺人的な味って!? 」

「あ、彰久が血を吐いて倒れちゃった!? 」

 

 

 

ついに胃が耐えられなくなったのか吐血しながら俺は倒れた。

まさかサンドイッチを食べて血を吐くとは普通思わないよね。

美少女のメシマズが耐えられないとは……変態紳士も墜ちたものである。

 

 

「ぐふっ……俺もついにヤキが回ってきたか……」

「なんで無駄にカッコつけてんのよアンタ!? ちょっとほんとに大丈夫!? 」

 

「さ、最後に……女の子のおっぱい……触りたかった……」

「うわぁ、最低の遺言やな」

 

 

まあ本当に死ぬことなど変態紳士にとってはありえないのだが、ガイアが俺にこうしろと囁いてきたので仕方がない。

慌ててるセシリアとシャルルくんと鈴ちゃんが見られただけで十分なものである。

 

 

「彰久さんが死んでしまいましたわ! この人でなし! 」

「やったのお前だろ!? 」

 

流石にこの発言については俺も起き上がって突っ込んだ。

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<放課後、職員室>

 

 

 

セシリアのポイズンクッキングを食して地に伏すこと30分、千冬さんに叩き起こされた俺は午後の授業を乗り越えて職員室に呼び出しを食らっていた。

 

帰りのホームルームで呼び出しが掛かった為に一夏や真琴ちゃんに煽られたので仕返しとして一夏には金的、真琴ちゃんにはおっぱい鷲掴みの刑を処すことに。

 

その後真琴ちゃんは顔を真っ赤にしながらスパナを片手に追いかけられる羽目となったが、変態紳士特有の逃げ足でなんとか危機を脱することに成功する。

 

「失礼します、織斑先生はいらっしゃいますか? 」

「来たか、草薙」

 

いつものように職員室に入ると千冬さんが机に座ってパソコンをいじりつつ手を挙げて俺を呼んだ。

今日は真耶先生はいないようだ、変態紳士がっかり。

 

 

「先生、今日の呼び出しは何についてですか? 覗き? セクハラ? それとも……まさか一緒に駆け落ちしようとかって話ですか!? 」

「違うわアホンダラ。というか心辺りありすぎだろうお前」

 

「てへぺろ☆」

「心底殺意が湧く」

 

 

一番有力説だった駆け落ちをも否定されちょっとテンションが下がるが、変態紳士はめげない。

とりあえず話の本題に進むことにした。

 

「突然で悪いが、寮部屋の部屋割が変わった。以前は布仏と一緒だったが、今日からデュノアと一緒になる。

既に彼には部屋割を告げてあるから先に戻っているだろうな」

「えっ!? シャルルきゅんと一緒ですか!? やった!!! これで彼に変な事たくさんできるぞ!! 」

 

「お前……そっち系だったのか……。一夏はやらんぞ」

「あんな筋肉だるまいらないです」

 

 

どうやら呼び出した理由は寮の部屋割が変わることらしく、シャルルくんと同じ部屋で過ごすという。

今日はツイてるな、まさかシャルルきゅんと寮が一緒になるとは。

 

「まあ今日呼び出したのはその事についてだ。くれぐれも変な事はするなよ」

「了解でっす! 失礼しましたー! 」

 

上機嫌な声で退出する挨拶を述べると、俺は急いで職員室を出た。

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<IS学園内、第一アリーナ付近廊下>

 

 

 

愛しのラブリーマイエンジェルシャルルきゅんの待つ部屋に一刻も早く着く為に廊下をダッシュしていると、アリーナで訓練している一夏達の姿が見える。

そんな彼らの姿を見つめ、握り拳を作るラウラちゃんの姿も視界に入った。

 

 

「よっ、ラウラちゃん。今朝は悪かったね、いきなり手なんて掴んじゃって」

「貴様は……あぁ、草薙彰久か。何の用だ? 」

 

「いーや別に。ただ君がそこにいたから声を掛けただけさ」

「……貴様は本当に節操がないな。まるで猿か豚のようだ」

「すごいゾクゾクするから今の台詞もっかい言ってくれ」

 

やはり銀髪美少女に見下されるのはたまらない。

ラウラちゃんはボンテージが似合いそうである。

暗い雰囲気を払拭しようと思ったがどうやら逆効果らしく、返って彼女を怒らせてしまったようだ。

 

 

「まあ冗談はさておき、一体こんなとこで立ち往生してどうしたの? しかも今朝殴りかかった一夏達の方なんて見ちゃってさ」

「貴様には関係ない。さっさと行け」

 

「……この場で復讐でもしてやろうってか? やめとけ、転校して早々退学か停学食らうぞ」

「関係ないと言っているだろう。これ以上詮索するな」

 

「関係あるよ。もしここで行くなら俺も君の前に立ちはだかるからな。……まぁ、まだIS使用禁止されてるけどね」

「……フン、貴様のような奴に私が負けるはずなかろう」

 

 

この返答から見て彼女はどうやら訓練中の一夏達に何か攻撃を仕掛けようとしたらしい。

今朝の言動から見てかなり一夏のことを憎んでいるようだが、過去に彼が何かしたのだろうか。

 

 

「けどいいのかねぇ? 軍人が民間人に手を出してさ」

「……なぜその事を知っている? 」

 

「おっ、ビンゴだったみたいね。ま、千冬さんを"教官"と呼び間違えるぐらいだから確信はしてたけど」

「カマをかけたな。つくづく食えん男だ」

 

「そりゃどーも。一夏に復讐と題して攻撃でもしてみなよ、千冬さん悲しむ上に完膚なきまでに叩きのめされるかもよ? 」

「……」

 

 

変態紳士は女の子をよく観察している。

今朝の自己紹介の時に千冬さんに見せた言動もしっかりとチェックしていた。

もっと褒めてくれてもいいのよ?

 

「……今日は勘弁してやる」

「おっ、デレたっぽい? 俺の攻略技術も上がったもんだね! 」

 

そんな俺を一瞥して、ラウラちゃんは去っていく。

うーむ、どうやら彼女は一夏を擁護する人間を嫌っているみたいだな。

しかしIS実習の時に見せた表情は普通の女の子みたいだったのだが……。

 

 

 

 

 

多くの不安と謎を残したまま、ラウラちゃんは奥の角へと消えていく。

俺もシャルルくんに会うため、再び走ることにした。






というわけで多分シャルルートかな?
ひとまずはここまで。

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