タイトルから察してついにメインキャラが出そろいました。
あとは敵キャラとかですかね。
男の娘、襲来
<月曜日、1年1組教室>
昨日の倍返し(笑)のせいで意外に疲れが溜まっていたせいか、いつもより遅く俺は起床する。
急いで制服に着替え、朝食を駆け込んでから教室へとダッシュした。
寝癖がとんでもないことになっているが今はどうでもいい、ホームルームに遅刻でもしたら千冬さんに徹底的に出席簿でシバかれる羽目になる。
そんな皆の目の前で辱められるなんていうエロ同人的な展開はなんとしても避けたいのだ。
「ぬおおおおお!! 変態神拳奥義、飛鳥文化アタックうううううう!! 」
「げぶぁっ!! 」
やむを得ずに変態神拳を使い、俺は教室にダイナミック入室する。
もし遅刻しそうになったらコレを使ってみるといいぞ!
漫画のように大きな音を立てて回転しながら教室へと入った俺は、何か手に違和感を覚えて視線を下に向けた。
その先には一夏が倒れており、教室に入る拍子に彼を巻き込んで押し倒してしまったようである。
「はっ!? すまん一夏! 大丈夫か!? 」
「い、いてて……。いきなり何すんだよお前は! 」
「あ、あの体制はっ!? 」
「知っているのかモブ子A! 」
「あれは草斑CP体制……! 本来攻めに見える織斑くんを受けにすることによってギャップを引き出し、逆に草薙くんを攻めとする幻のカップリング……!! まさかここでお目にかかれるとはね……! 」
「な、なんですってー!? 」
「いや、単なるアクシデントだと思うが」
「カップリングってなんですの? 」
「知らん方がええ。セシリアにはまだ早すぎるで」
そんな俺達の姿を見て歓喜狂乱する女子が数人、というか多数。
彼女たちに箒ちゃんが正論を述べるが盛り上がっているせいか聞き入れていないようだ。
何度も言っているが俺は男の娘はいける、しかし断じてホモではない。
というか勝手にカップリングとか作るなよ。
怖いよIS学園。
「な、なぁ彰久……? そろそろ降りてくれないか? ちょっと重いんだけど」
「おお、すまんすまん」
「あの織斑くんの上目遣い……!! これは久々に名作の予感よ!! 」
「言い値で買おう!! 」
「ごめん私もうつっこまない」
「その方がええな箒」
ツッコミを無視されてちょっと落ち込んでいる箒ちゃんを慰める真琴ちゃん。
個人的には真琴×箒もありかもしれん、後でネタをまとめておこう。
巨乳と巨乳の百合は絵になるので今年のコ〇ケはいけるかもしれんな。
「騒がしいぞ、静かにしろ。貴様ら二人も早く立て。もうホームルームの時間だ」
「す、すいません! 」
そうして騒ぐこと数分後、昨日の雰囲気とは打って変わった千冬さんと真耶先生が教室に入ってきた。
一瞬にして教室が静まり返り、生徒達は自分の席を座る。
やっぱり昨日の千冬さんはどこかおかしかったのだ、あんな無闇やたらに"倍返し"などとアホなことを口走るわけがない。
「みんな、おはよう」
「おはようございます! 」
「いい返事だ。さっそく今日もホームルームを始めたいところだが、その前に重要な報せがある。山田先生、いいですか? 」
「はい。今日は転校生がなんと2人も来ています! 」
凛々しくクラス全員に挨拶をすると、出席簿から連絡事項が並べられている紙を取り出す。
山田先生が転校生の存在を告げると、クラスは瞬く間に驚きと喜びの声に包まれた。
転校生が一気に二人も来るとは、この変態紳士にとって攻略のし甲斐が更に増えるというもの。
一体どんな美少女がくるのだろうか。
個人的にはデレデレの中二病系美少女とかがいい。
「では、入ってきて下さーい! 」
真耶先生が入室を促すと、教室の扉が開いて二人の転校生が入ってくる。
一人は金髪を腰の辺りで結び、中性的な顔立ちの"男子"であった。
この顔は……!
忘れもしない、彼はIS博覧会で会ったシャルルきゅんだ!!
そして二人目はズボンを身に纏っているものの、銀髪のロングヘアーが目を惹き、一瞬で女の子だと判断できる。
何より左目に付けている眼帯が特徴的だ。
「フランスから転入してきたシャルル・デュノアです。ここに僕と同じ境遇の方がいると聞いてやって来ました。よろしくお願いします」
「お、男……? しかも3人目……?」
彼が自己紹介を終えてお辞儀をすると、すかさず一夏と俺は耳を塞ぐ。
きっとこの後はクラス中の女子の歓声が響くはずである。
「きゃあああああああっ!! 」
「うわぁっ!? 」
「3人目よ!3人目! 」
「あぁ……奪われた……! 奪われてしまった……!! 」
「この瞬間を待っていたんだー!! 」
まさか自分にここまで歓声がくるとは思っていなかったらしく、シャルルくんは驚いた表情を見せた。
ああもう可愛い、出来ることなら部屋に連れ込んで行きたい気分。
だがここで一緒に騒いでしまっては変態紳士の名が廃る。
あともう一人の転校生を忘れてしまってはいけないのだ。
「諸君! 男の娘に阿鼻叫喚するのも良いが、あともう一人の転校生の存在を忘れてはいないかね? そんなことをしてしまっては変態淑女の名が廃るぞ!! 」
「出しゃばるな草薙」
「まるふぉいっ!! 」
某独裁国家のザビ家長男のようにみんなに呼びかけるが、後ろから千冬さんの出席簿を食らって変な声をあげてしまう。
想像以上に痛みと衝撃が俺を襲うが、これで転校生の好感度は上がったはずだ。
「ラウラ、次はお前の番だ」
「はい、教官」
「……教官は止せ。私はもうお前の教官ではない、お前の担任だ。"織斑先生"と呼べ」
「了解です」
ひれ伏す俺を差し置いて千冬さんがもう一人の転校生に自己紹介をするよう促す。
彼女のことを"教官"と呼んでいるが、以前千冬さんと関わりがあったのだろうか。
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」
眼帯の女の子、ラウラちゃんは騒がしかった空気を一蹴するように自分の名前をクラス全員に告げる。
だがシャルルくんの時とは違って顔色一つ変えておらず、どことなく冷徹な雰囲気がした。
おいおいおい、眼帯付けて冷徹な性格なんて燃えるじゃないの……。
変態紳士興奮しちゃうよ……。
「え、えーと……以上、ですか? 」
「はい」
「じ、じゃあ皆さん! お二人と仲良くして下さいね! 」
「は、はーい! 」
少しの間沈黙が続くと、真耶先生が焦ったように話を進める。
そんな中、当の本人は一夏の席へと歩みを進めていた。
再び沈黙がクラスを包み、視線が一気にラウラちゃんに集中する。
そして彼の元に辿り着くと、彼女は手を振り上げた。
「おいおい、やめとけって。転校初日に何してんのよラウラちゃん? 」
「……なんだ、貴様? 手を離せ」
「離したらどうなる? 一夏をひっぱたくだろ? 」
「ああ。こいつだけは許せないのでな」
「ちょ、二人ともやめろって! 」
すんでのところで俺がラウラちゃんの腕を掴み、一夏を殴ろうとしていた拳を阻止する。
まさかとは思ったが、本当に殴りかかるとはね。
しかし出会ってから早々殴りかかるというのは本人を相当嫌っているはずだ。
もしや一夏、何かやったのか……?
「……ちっ。覚えておけ、織斑一夏。私は貴様の存在を否定する。貴様が教官の弟なぞ、断じて認めん」
「なんだよ、それ」
俺の手を振り切ってそう一夏に吐き捨てると、彼女は指定された席へと向かっていく。
険悪なムードになってしまったが、何か打開する策はないだろうか。
「コホン。というわけで本日からIS実習が本格化する。各自準備は怠らないように。それと今日のIS実習は2組と合同で行うので、理解しておけ。以上だ」
「気を付け、礼。ありがとうございました」
そんな雰囲気を壊すように千冬さんが今日の連絡事項を告げ、俺に視線で席に戻るように告げる。
彼女に感謝しつつも、俺は自分の席に戻り一礼を済ませた。
これはまたまた波乱の予感がするぜ……。
というわけでちょっと短めですがここまで。
あと2,3話でシャルかラウラを攻略するか決めようと思います。