IS-突き進め!変態紳士-   作:「旗戦士」

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まな板戦士鈴ちゃん
変態紳士、恋のキューピッド


<翌日、昼休み>

 

 

 

翌日の昼休み、俺は鈴ちゃんに昨日何があったのかを聞こうと昼飯がてら彼女を誘い、食堂の席にて待ち合わせている。

 

確か2組の4時間目の授業は体育で、1組は現代文であったので必然的に俺が鈴ちゃんを待つ形となった。

 

 

まあ待つのは慣れているので全然問題ないが、気になるのは一夏の方である。

 

彼の昼食の誘いを断って鈴ちゃんとのスケジュールを入れたので、何か一夏が誤解しないか正直変態紳士は不安であった。

 

 

 

「ごめんごめん、体育が長引いちゃってさ。待ったでしょ? 」

「ふっ、この草薙彰久待つ事には慣れているぜ。お詫びとして今日の下着の色を教えてくれ」

 

「調子乗ってっと黒歴史バラ撒くぞコラ」

「すいません勘弁して下さい」

 

 

 

ちっ、前みたいに水色の桃源郷を目にすることは叶わないか。

だが黒歴史をバラ撒かれると本気で俺の学校生活がデッドエンドになるので、今は彼女にひたすら土下座するのみである。

 

 

半沢〇樹だったら第一話で出向だよコレ。

 

 

 

「んで、鈴ちゃん。聞きたい事があるんだが……」

「……だいたい察しはついてる。昨日のことでしょ? それにわざわざ昼に誘ったのもこれを聞く為ってわけね」

 

「理解が早いねぇ。そうだよ鈴ちゃん。俺としては鈴ちゃんと一夏が仲悪い様子なんて見たくないからな、早めに解決しときたいのさ」

 

「アンタ中1の時からそんな感じよねぇ。ほんと変わってないわ」

 

「鈴ちゃんもだろうに」

 

 

気を取り直してそれぞれの昼食をテーブルに置くと今度は俺の方から話を切り出すことに。

聞く内容は既に鈴ちゃんの方も分かっていたらしく、彼女は易々と言い当ててみせた。

 

 

 

「実は昨日、箒たちと一緒に夕ごはん食べた帰りに一夏と二人きりになってさ。昔話とかして、結構いい雰囲気になってたのよ。んでさ、ある話を持ち掛けてみたわけ」

 

「ほうほう、その話とは? 」

 

「あたしが中国に帰る時に、あいつと約束したの。"もしあたしがまた会う時までに酢豚を作るのが上手になってたら、アンタに毎日酢豚を作る"ってね。そういう感じで約束のことを覚えてるか聞いてみたらさ、あいつなんて答えたと思う? "毎日酢豚を奢ってくれる"、よ? もう怒りを通り越して呆れちゃったわ」

 

「なるほど、それで俺と箒ちゃんが居合わせたわけか」

 

 

 

確かに鈴ちゃんのプロポーズにも近い発言を普通に間違えられたのだから彼女がこうして怒るのも当然ではあるが、あのスーパー唐変木が昔の約束を覚えているとも限らない。

 

些か一概にどちらかが悪いとは言えないのであるが……。

 

 

 

「むむぅ。話だけ聞くと確かに一夏が悪い。けど、約束って言っても年月が結構経ってると思うだよなぁ。なにせ中3で高校受験もあったし、IS学園にいきなり入学する手続きとかであいつも色々と忙しかったんだと思うぜ」

 

「うーん……やっぱりそうだよね。はぁ、どうしたらいいだろ。あたし」

 

 

 

一日明けてから自分なりに考えていたのだろう、徐々に彼女も自分の非を認めつつあるようだ。

だが少し気まずい部分もあるのか、珍しく鈴ちゃんは困り果てた表情を見せる。

 

 

何か打開策はないか二人で悩んでいた、その時であった。

 

 

 

 

 

「話は聞かせて貰いましたわッ!! 」

「ウチの地獄耳が食堂に轟くで~!! 」

 

「だ、誰だお前は!? 」

 

 

 

「情け無用の男、スパイダーマッ! ……って何やらしとんねん! 」

「そうですわ彰久さん! 恥ずかしい思いをしてしまったではないですの! 」

 

 

「段々と彰久に毒されていってるわね」

「俺のせいかよ」

 

 

 

 

座席の隣に飾ってある大きなプランターから某蜘蛛ヒーローのマスクを被ったセシリアと真琴ちゃんが俺たちの前に姿を現した。

 

二人がノリノリなのに俺が怒られているのが不思議でしょうがないが、彼女たちの可愛さに免じてここは不問としよう。

 

 

 

「んで、話は聞かせて貰ったって言ってたけど……。何か良いアイデアでもあるの? 」

「ふっふっふ……。このセシリア・オルコット! 伊達に少女漫画を読み続けていませんわっ! そのような状況を打開するには一夏さんにある"賭け"を持ち掛けるのです! 」

 

「"賭け"? 」

「せやで。"今度のクラス対抗戦で負けた方が勝った方の命令をなんでも聞く"っていうような感じのやつや。そんで次にこれを見てみい」

 

 

 

以前俺とセシリアが訓練した時、同じような"賭け"を一夏と鈴ちゃんにも適用させようという。

そう上手くいくかは分からないが、なかなか良いアイデアなのは確かだ。

 

 

真琴ちゃんは制服のポケットから折りたたまれたプリントを取り出し、俺たちの座る席のテーブルにその紙を置く。

 

 

プリントにはクラス対抗戦の割り当て表が事細かに記されており、ある部分を彼女は指差した。

 

 

「クラス対抗戦の初戦、織斑くんとキミが戦うことになってるんや。このチャンス、逃したらアカン。応援しとるで」

「あ、ありがとう……」

 

 

「よっし、じゃあ決まりだな。一夏にはどうやって伝える? 」

「あたしから言うわ。昨日の謝罪も含めてね」

 

 

 

話がまとまったところで鈴ちゃんは立ち上がり、俺も彼女につられて食べ終わった昼食のプレートを片づける。

 

 

果たしてセシリアたちの作戦は上手くいくのだろうか……。

正直俺も不安なところである。

 

 

 

「ところで彰久、さっきの関西弁の女の子って誰? 」

「知らなかったのかよ」

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<同刻、太平洋上空>

 

 

 

「壊れ合うから動けないー♪寂しい羽重ねてー♪」

 

その頃、太平洋上空で佇む黒い輸送機の中でISの整備に励む女性の姿が。

まるでメイドのような格好に大きなウサギ耳を付けた紫髪が目を惹く。

 

 

 

 

彼女の名前は"篠ノ之 束(しののの たばね)"。

 

ISの基礎理論をたった一人で考案し、現存する全てのISコアを作成した天才科学者。

ISを開発したことから政府の監視下にあったが、行方をくらまして約3年、今に至る。

 

 

 

「これをこうして……んしょ、ほい完成! はっはっは、やっぱり束さんは天才だね! 」

 

 

 

慣れた手つきでISの整備を行うと、仰向けに寝かされた"それ"は起動を開始した。

ピンク色のモノアイが独特な音と共に映し出される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その名は"ヅダ"。

 

 

世界初の、無人型IS。

 





というわけで敵参戦機体はヅダさんでした。
可変機VS可変機も見たいっていう意見が多々ありましたが、それは有人の敵ISにしようかと。

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