IS-突き進め!変態紳士-   作:「旗戦士」

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今回は彰久視点中心。
そろそろネタ切れ予兆かも。


変態紳士、目撃する

<夜、食堂>

 

 

 

 

整備庫を後にした俺はセシリアとの約束を果たす為、早めに夜の食堂へと向かっていた。

というか女の子と二人きりで食事をするなど俺にとっては人生初のイベントである為、現在なかなかに緊張している。

 

 

もしかしてこの後鞭でシバかれたり三角木馬であんなことやこんなことをするのだろうか……。

個人的には大歓迎である。

 

 

 

 

「時間は19時15分……。ふっ、この草薙彰久、既に準備は整っておるわ」

「……何をぶつぶつおっしゃっていますの? 」

 

「あ、先に来てたのかセシリア」

「いえいえ、ちょうど今来たところですわ」

 

 

 

 

食堂の入り口でイケメンフェイスを作りながら独り言を呟いていると、後ろからセシリアに声をかけられた。

どうやら俺より先に来ていたらしく、彼女を待たせてしまったようである。

 

 

 

 

「よっし、ならば座席を確保だ。セシリアはここで待っててくれ」

「はい、よろしくお願いします」

 

 

 

 

待たせてしまったお詫びに座席を探す旨を彼女に伝えると、笑顔で応えてから俺を見送ってくれた。

その笑顔に応えるのが変態紳士、そして笑顔にするのも変態紳士の役目である。

 

なぜか俺の場合はひきつった笑顔を浮かばれるが。

 

 

 

そうして席を探すこと数分、夕食時なので見つかりにくいとは思っていたが、案外簡単に座席を見つけた俺はセシリアを呼んで二人で座ることに。

 

 

 

 

「ふふふ、窓際の席なんてまた素敵なところを見つけてくださいましたのね」

「俺に掛かれば席を見つけるなんてサイバイマンを倒すぐらいに簡単だぜ! 」

 

「今ヤムチャをディスったように聞こえたんですが」

「気のせいだろ」

 

 

 

 

まさかあそこでヤムチャ死ぬとは思わなかった人もいるはずだ。

あれはジャンプ史上で一番あっけなかった仲間の死亡シーンになると思う。

 

見た当時は笑ったけど。

 

 

 

「んで、セシリアは飯どうすんだ? 俺が持ってくるけど」

 

「いえ、わたくしも一緒に行きますわ。ここに二人で来た意味もありませんし」

 

「そっか、んじゃ行こう」

 

 

 

 

席から立ち上がって飯を何にするか彼女に尋ねると、一緒について来てくれるらしい。

間違いなく鈴ちゃんとかなら行かせただろうが、セシリアの場合は違っていた。

 

 

 

そうしてセシリアと一緒に注文を頼む列に並ぶと、途中で箒ちゃんと鈴ちゃんの二人に挟まれて苦い顔をしている一夏を見かける。

 

どうやらなかなか悪い雰囲気になっているようで、いわゆる「修羅場」というやつに彼は直面しているようだ。

 

 

 

「うわぁ、ありゃ胃が痛くなるな」

「どうしましたの? 」

 

「いやあれ、一夏が鈴ちゃんと箒ちゃんに挟まれながら飯食ってんのさ」

「……なんとなく察してきましたわ」

 

 

 

たぶんどっちも一夏の幼馴染だけあって、どっちが彼と付き合いが長いかを競ってあんな雰囲気になってしまったのだろう。

 

 

いつもはざまぁと思うところだが、今回ばかりはあいつに同情する。

胃がストレスでマッハとはこの事だ。

 

 

 

 

「しかしまぁ、あいつもなんで二人の気持ちに気づいてやらんかねぇ。俺だったら真っ先に気づいてハーレムを築こうと全てを注ぐのにな」

 

「確かにあれだけのアタックをされて気が付かない方がおかしいですわ。ハーレムには同意しかねますが」

 

「なんでよ、いいじゃんハーレム。一夫多妻制を導入して欲しいって去年の七夕の短冊に書いたら真っ先に怒られたけど」

 

「当たり前ですわそれ……」

 

 

 

 

むむぅ、いつになったら俺のハーレムは女の子に肯定されるんだろう。

未だに肯定してくれたの弾ぐらいしかいないぞ。

 

 

「あ、一夏が二人に詰め寄られていますわ。究極の選択ですわね……」

「なんだかんだでノリノリなんだなセシリア」

 

「これぞジャパニーズ修羅場ですわ!! ああ、なんて昼ドラ的なんでしょうか」

「そんなドロドロしてねえよ。まさに雲泥の差だよ」

 

 

 

一夏の様子を見て少女マンガチックな素振りを見せるセシリアを、注文を聞く食堂のおばちゃんが迎える。

 

 

絶妙なタイミングでおばちゃんと鉢合わせになった為、顔を赤くしながら彼女は今日の夕食を注文し、そそくさと座席へ戻っていった。

 

おばちゃん、セシリアもまだ15歳なんです、そんな残念な目をしないでやってください。

 

 

 

気を取り直して俺も注文したプレートを座席へ運ぶと、まだ気にしているのかセシリアは碇ゲン〇ウみたいに手を組んで俯いていた。

 

 

 

 

「こ、このセシリア・オルコット……。こんなに恥ずかしいのは始めてですわ……」

「まだ気にしてんのか。可愛いかったから全然大丈夫だと思うぞ」

 

「か、かわっ……!? ほ、本当ですか? 」

「ほんとほんと。肩に芋けんぴくっつけちゃうぐらい可愛いかった」

 

「あの漫画の黒歴史は忘れてあげて下さい」

 

 

 

 

だって肩に芋けんぴだよ?

相当なインパクトだよ、悪い意味で。

 

分からない人は「少女漫画 芋けんぴ」でググってみることをお勧めする。

 

 

 

それはさておき、早速俺たちは注文した料理を食べることに。

俺は「マーボーカレー」、セシリアは「チキンステーキ」をそれぞれ口に含んだ。

 

適度な辛味と旨味が口の中に広がり、俺の空腹感を満たしていく。

一くち目を飲み込むと、今度は彼女が話を切り出してきた。

 

 

 

 

 

「それで彰久さん、お話があるんですが……」

「ああ、さっき言ってたことか。どうしたの? なんか悩みでも? 」

 

「い、いえ……。悩みではないんですが……」

「……? 」

 

 

 

 

先程訓練を終えた時に言っていた"話"の内容を尋ねると、セシリアはもじもじと顔を赤くする。

バレないように無音カメラで数枚写真を撮ったが、どうやら気づいていないようだ。

 

後で部屋に帰ったら現像しておこう。

 

 

 

 

 

「今度の休日、偶然"世界IS博覧会"というものがございまして……。そこで偶然入場チケットを二枚手に入れたので誰かを誘おうと思っていましたの」

 

「なるほど。それで俺に、っつーことね」

 

「はい。それで、どうなさりますか……? 」

 

 

 

 

よほど不安なんだろう、心配そうな目を俺からずっと離さないでいる。

 

だが俺は変態紳士、女の子の誘いを断るなぞ言語道断。

ここで断ったら末代まで弾に呪われそうだ。

 

 

 

 

 

「もちろん行くぜ。セシリアの誘いを断るわけにはいかないからな」

 

「ほ、本当ですの!? 」

 

「はっはっは、大マジですの」

 

 

 

 

緊張が解け、さっきと同じように驚きと嬉しさが混じった満面の笑みを俺に見せるセシリア。

一夏のところとは違ってこっちはなんとも良い雰囲気なんだろうか。

 

 

デートに誘うことが成功したおかげか、食事は良い雰囲気のまま終わりを告げた。

 

 

 

 

こうして俺は、セシリアとのおデートが今度の休日に決まったのである。

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<夜、学生寮の廊下>

 

 

 

 

セシリアとの食事を終えた俺は、彼女に別れを告げた後に自分の寮部屋へと戻ろうとしていた。

 

まさかこんなにも早く女の子とデートなんて出来るとは思いもしなかったので、柄にもなくスキップしながら歌を口ずさむ。

 

 

 

 

「情熱の赤いバラ~♪ そしてジェラシーィ~♪」

「……何を口ずさんでいるんだお前は。あたしンちのお母さんか」

 

「お、そのポニーテールは箒ちゃんじゃないか。さっきの修羅場はばっちり目撃したぜい」

「はぁ、やっぱり見ていたか。今更言い訳するつもりもないが、もう凰とは和解したよ」

 

 

 

 

ノリノリでスキップしていると後ろから箒ちゃんに声をかけられた。

まさかあの修羅場にいた本人と会うとは思ってなかったので、少し驚きである。

 

 

 

 

「へぇ、箒ちゃんも大人になったんだね」

「もう以前のような私ではないからな。これからは社交的に生きていこうと思う」

 

「いいことじゃない。もう俺に相談する必要もなさそうだね……って、ん? 」

「どうした? 後ろに何か……あれは」

 

 

 

 

ちょっと得意げに豊満な胸を張る箒ちゃんに悶えつつも、その後ろに一夏と鈴ちゃんを見つけた。

彼女もすぐに察したようで、俺と一緒に壁に隠れて二人を見守ることに。

 

 

まさか鈴ちゃん……。

もうアタックするのか?

 

 

 

「……何しているんだ、あの二人は。いや、聞くのも野暮だな。分かり切っていることだ」

「そう焦るなって、二人でモンハンやる約束でもしてるかもしれないぞ」

 

「なんでよりによってモンハンなんだ……。くそっ、私も3DS買っておけば良かった。なぜ私はWiiUなんて買ってしまったんだ……」

「箒ちゃん諦めるな! まだスマブラの最新作が出るだろ! 」

 

 

 

 

論点がズレているなんてことは百も承知、一人でVita買った俺はどうしたらいい。

教えてくれエマさん……ギャプランは俺に何も教えてくれない……。

 

 

『多分PS〇2をやればいいと思うわ』

「エマさんそれピー音仕事しない」

 

 

 

 

そうして二人を見守っていること約5分、鈴ちゃんが呆れ顔で口を半開きにしながら一夏に別れを告げ、俺達の方向へ歩いてきた。

 

このままでは覗いていたことがバレてしまう、そう思った俺達は急いでその場を後にしようとするが思いのほか鈴ちゃんの歩くスピードが早く、立ち去る前に彼女に見つかってしまう。

 

 

 

「……はぁーっ……」

「り、鈴ちゃん? おーい」

 

「ああ、彰久に箒じゃない。覗いてたの分かってたわよ」

「……すまん鈴、不本意なんだ」

 

「いいっていいって。もうあたし疲れたしそろそろ部屋に帰るわ。そんじゃ」

「お、おう、また明日な」

 

 

 

だが鈴ちゃんは怒りもせずに大きなため息を吐きながら俺達に話しかけてきたのだ。

 

何か様子がおかしいが、今すぐに尋ねるのも気が退ける。

 

一応詫びを入れておくと、鈴ちゃんは肩を落としながらトボトボと去っていった。

 

 

 

 

「な、何があったんだろうか……。鈴の奴」

「分からない。まあ明日聞いてみるよ。高確率で一夏関連だろうけどな」

 

「あの唐変木……今度は何をやらかしたんだ……」

「いい奴なんだけどねぇ」

 

 

 

普段は活発な鈴ちゃんがあそこまで落ち込むということは相当なことだ。

一夏を同じように好きなライバルと言えど、箒ちゃんも心配しているようである。

 

 

「とりあえず明日の昼休み辺りに聞いてみる。聞いたら箒ちゃんに真っ先に知らせるよ」

「頼む、そうして欲しい。先程険悪な雰囲気になったと言えどもう和解したんだ、私も力になりたいのでな」

 

「分かった、任せてくれ。じゃ、おやすみ」

「ああ、おやすみ」

 

 

 

 

 

 

あれから箒ちゃんはかなり変わったようだ。

 

以前は自分の殻に閉じこもっていたが、今ではクラスの女の子と楽しげに学校生活を送っている。

こういう風に誰かの力になりたいと面と向かって言えることが彼女の成長した証なのであろう。

 

 

 

 

 

また一波乱ありそうだと思いつつも、俺は箒ちゃんに別れを告げ、自分の部屋へと戻っていった。

 

さてと、もう一度恋のキューピッドを演じるとしようか。

 

 




セシリアフラグ建設回。
あとのヒロインはどうしようか迷い中。




ここでアンケートを実施したいと思います。

敵キャラのISを決めたいのですが、考えている案として


①ヅダ

②ジム・ストライカー

③その他の機体(読者様の意見)



が挙げられます。

アンケートは活動報告にて随時受け付けておりますので、書き込んでいただければ幸いです。


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