IS-突き進め!変態紳士-   作:「旗戦士」

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突然ですが新キャラ登場です。
完全に作者の好み。


変態紳士、整備する

<放課後、アリーナ内>

 

 

 

 

 

青い閃光をくぐり抜けながら、俺はシールドビームライフルを駆使して反撃のオレンジのビームをセシリア目掛けて放つ。

 

 

だが苦し紛れの反撃、彼女がそれを避けることは容易く、再び「ブルー・ティアーズ」のビットの銃口を俺に向けた。

 

 

 

このままでは埒があかない、そう考えたおれは即座に自分のIS「ギャプラン」を戦闘機状態へと変形させ、最高速度でセシリアとの距離を詰める。

 

 

 

無論近づかせまいとした彼女はビットと手にした狙撃銃「スターライトmkⅢ」で弾幕を形成し、俺へのプレッシャーの意味を込めて続けざまに青い閃光を吐き出した。

 

 

 

 

いくら第三世代でトップクラスの速さを誇る「ギャプラン」と言えど、正確無二な射撃には為す術もなく自身のシールドエネルギーを減らされてしまっている。

 

 

 

しかし、多少の被弾はどうしようもない。

ならば行うべきなのは一つ。

 

 

 

 

 

俺はギャプランの速度を保ち、近距離戦へと持ち込もうと一気に距離を詰めた。

セシリアが苦手なのは近距離、そこに持ち込めば少なくからず勝機はあるはず……。

 

 

 

 

ビームサーベルの届く範囲まで戦闘機状態で近づくと俺は空中変形させ、その勢いでビームサーベルを左右の手に展開させる。

 

 

そのまま二本のビームサーベルで斬りかかろうとした、その時。

 

 

 

 

 

 

 

腹部に強い衝撃が加えられ、肺の空気が大量に吐き出されると、眼前には既に近接ブレード「インターセプター」を構えるセシリアの姿が見える。

 

 

 

素早く首元に「インターセプター」を突き付けられ、俺は両手を挙げて降参の素振りを見せると、セシリアも展開していたビットや武器を量子化させた。

 

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<IS学園、廊下>

 

 

 

 

時は進み、一夏の就任パーティーの翌日。

今日の放課後にセシリアと二人で「お互いに苦手な部分を訓練しよう」と昼休みに約束し、見事に彼女に完敗して今に至る。

 

 

あれ? 俺って主人公だよね、なんでこんな連敗続きなの?

スランプが続いているってレベルじゃねーぞこれ。

 

 

 

 

「お疲れさまです、彰久さん」

「おう、お疲れさん。やっぱセシリアは強いなぁ、今度は近接戦闘でも一本取られるとは……」

 

 

「ふふ、これでも一応代表候補生ですし。けど彰久さんも空中変形をものにしてたり、"エマさん"という方の支援なしでも十分に空間を把握してじゃありませんか」

 

「あ、やっぱそう? じゃあご褒美に俺に熱い抱擁をお願いするぜセシリア様」

 

「エマさん、10万ボルト」

『誰がピカチュウよ』

 

「そんなこと言って結局やるんじゃ……あばばばばばばばばばbbb」

 

 

 

腰の部分から強い電気が俺の体内に流れ、瞬く間に俺を黒焦げにしてみせるエマさん。

そうそう、実を言うとエマさんはISの待機状態でも意識を持っていて、このように他人と会話することも可能であるという。

 

くそっ……!! 更に俺の行動が抑制されるじゃねぇか……ッ!!!

 

 

 

 

「……もう、彰久さんはそういうとこを直してください。わたくしだってこういうことをしたくはありませんの」

 

『そうよ彰久、彼女だって嫌々やってるんだから。私はノリノリだけどね』

 

「セシリアはまだしもエマさん公言してんだけど。俺の人工AIがこんなにSな訳がない」

 

『ラノベみたく言わないで頂戴』

 

 

 

そういえば、訓練する前にセシリアと「模擬戦で勝った方が負けた方になんでも命令できる」という約束をしていたはずだ。

 

無論勝てば彼女の黒タイツを被ったりセシリアをペロペロすることも可能であるという天才的な発想を閃いた俺はこの賭けに乗った。

 

今回は負けてしまったが、次回はなんとしても勝つ。

この俺のマイサンにかけて。

 

 

 

「そういやセシリア、模擬戦やる前にした約束はどうすんだ? 」

 

「へ? あ、あぁ……そういえばそんな話をしてましたわね! ど、どうしましょうか……」

 

「靴を舐めろでも蝋燭で責めたいでも鞭で叩きたいでもなんでもいいぜ! 」

 

「ど、どうしてそうチョイスが偏っていますの貴方は! わたくしは普通ですっ! 」

 

『彰久に電撃100連発でもいいわよ』

 

「エマさんまで何を仰っていますのっ!? 」

 

 

 

だってSっ気がありそうなんだもの、という言葉を飲み込んで俺は彼女の答えを待つ。

まあセシリアがそんなことしないとは分かり切っていることなので、軽いジョークのつもりである。

 

 

 

「そ、その……今夜二人で夕食をしたいんです……。いつもは一夏さんや箒さんとかいらっしゃいましたから」

 

「全然いいぜ、女の子と二人きりで食事なんて滅多にないことだからな」

 

「ほ、本当ですの!? いいんですの!? 」

 

「はっはっは、大歓迎ですの」

 

 

 

彼女は少し照れくさそうに「命令」の内容を告げ、それを快諾すると驚きと喜びの混じった表情で俺に詰め寄ってきた。

 

うーむかわいい。

俺としては食事など二の次にしてそのまま結婚したい感じである。

 

 

 

「あ、でも今すぐには行けないかも。これから"ギャプラン"をIS整備庫へ持って行かなきゃならないからさ。それにセシリアもまだお腹減ってないだろ? 」

 

「ええ。それに少し汗をかいてしまいましたから、シャワーも浴びておきたいところですわ。夜の19時半に食堂の前で待ち合わせてはどうでしょうか? 」

 

「おっけ、それでいこうか。そんじゃ、また後でな。楽しみにしてるぜ、セシリア」

 

「はい! 」

 

 

 

 

放課後アリーナへ向かう際、千冬さんから「お前のISは使用してからまだ一度も整備されてないので、今日中に整備庫へ行っておけ」との指示を言い渡されていたことを俺は思い出した。

 

俺としては今すぐ食堂へ向かいたいところなのだが、千冬さんの指示でもあるし何より「ギャプラン」が傷付くことは俺自身も避けたいのである。

 

おそらく千冬さんもその事を見越して俺に伝えてくれたのだろう。

 

 

 

 

ちょうど整備庫へ向かう廊下が続いていたので、セシリアと別れを告げてから俺はその廊下を駆けていった。

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<夕方、IS整備庫>

 

 

 

夕方の5時半頃、学園内に設置されているマップを頼りにこの整備庫へたどり着いた俺は、入り口のドアを開けて中に入る。

 

そこにはまだ多くの生徒が整備の実習や実際に訓練機を整備していたりと、もう夕方だというのにまだまだ活気に溢れていた。

 

 

あぁ……何かに一生懸命な女の子っていいよな……。

 

 

 

 

「んん? キミ、ウチんとこの制服着とるようやけど……? 噂の男性IS操縦者? 」

「お、そうそう。織斑先生に専用機見て貰えって言われてここに来たのよ」

 

「ああ! なら、キミが草薙彰久っちゅう子か! ウチは八神真琴(やがみ まこと)って言うんや。よろしくなー! 」

「よろしくな、真琴ちゃん」

 

「いきなりちゃん付け~? 見かけによらず大胆なんねぇ、彰久は」

「はっはっは、それが俺のいいところだからな」

 

 

 

 

整備庫で一生懸命に作業を行う女の子たちを眺めていると、褐色肌の元気そうな関西弁の女の子が俺に話しかけてきた。

 

名前は真琴ちゃんというらしい。

 

なんとも作業服姿が似合っており、思わず俺の股関も整備してくださいと言いそうになってしまう。

危ない危ない。

 

 

 

 

「んで、状況を見るに真琴ちゃんが俺の"ギャプラン"を整備してくれるのか? 」

 

「そういうことやね。いやぁ、まさかあの"ギャプラン"を実物で見ることが出来るなんて夢にも見なかったわ。もう即答やったんよ」

 

「ほほう、"ギャプラン"の良さが分かるとは真琴ちゃん流石だな」

 

「あったりまえや! Zの中じゃ一番好きな機体やで! 」

 

 

 

 

なんだか彼女とは話しているだけで丸一日潰れそうなほど話題が合いそうである。

だが今はそんなことはどうでもいい、歩く度に揺れるあのダブルマウンテンを直視してはならない。

 

あれセシリア並に大きいぞ。

こんなに早くマイサンが瞬時加速したのは始めてだぜ……。

 

 

 

「ほえ? どうしたんや彰久? 急に立ち止まったりして」

「い、いやっ! なんでもない! 早くギャプランを整備しに行こうぜ! 」

 

「いや、もう着いたで。ほな、ここに待機状態のギャプランを置いてくれる? 」

「あ、あぁ。分かった」

 

 

 

案の定不審がった真琴ちゃんが俺の顔を覗き込むが、余計に胸が強調されてもう本末転倒だ。

今なら死んでもいい気がする。

 

言われるがままに俺はベルトのバックルを外し、指定された場所に置くと、無人状態で「ギャプラン」が展開された。

 

 

 

 

「おぉ~! これが夢にまで見たギャプランちゃんやな~! くぅ~、たまらんわ~! 」

「それで、俺はどうしたらいい? 何か手伝えることがあったらやるけど……」

 

「そんな気ぃ使わんといて。整備って言うても、パーツ自体を組み替えたりとかはせずに点検するだけやから。30分ぐらいで終わるで」

「そっか、なら俺はここで真琴ちゃんの手際でも見てるとしようかな」

 

「やめて、なんか恥ずかしいわ」

 

 

 

そうは言いつつも、彼女は嬉々とした表情でギャプランの各部分を点検していく。

途中エマさんが起動してその姿を目の当たりにした時はさぞかし驚いていたが、数分したら既に打ち解けていた。

 

 

きっと、真琴ちゃんは誰とでも仲良く出来る子なんだろう。

事実、既に俺の事を名前で呼んでるしな。

 

 

 

 

「よっし、こんなもんやろ! 各部分に異常はほとんど見られないし、駆動系にも問題はない。試験機なのによう整備されとるなぁ、羨ましいわ」

 

『最新鋭のパーツを使っているからでしょうね。うちのメカニックは一流揃いよ』

 

「なぁなぁ彰久、今度その"ラーク・メカニクス"の片桐さんに話聞きに行ってもええか? ウチが今後"ギャプラン"の整備を担当するよう織斑先生に言われたから、システムやらの説明は頭に入れておきたいんや」

 

 

「オーケー、今度電話して聞いてみる。今日はありがとな、わざわざ見てくれて助かったよ」

 

「ウチもええもん見せて貰ったし、ギブアンドテイクや。これからよろしくな、彰久! 」

 

「おう、よろしく。真琴ちゃん」

 

 

 

 

ちょうど30分経った頃、電子パネルをいじっていた真琴ちゃんがこちらへと歩み寄り、目を輝かせながら待機状態の"ギャプラン"を渡してきた。

 

どうやら片桐さんに色々な話を聞いてみたいらしく、真っ当な理由をこじつけた裏には彼女の欲望が蠢いているのであろう。

 

可愛いは正義、俺はその言葉に従って真琴ちゃんの要求を快諾した。

 

 

 

 

 

既に夜の19時、女性より先に待っているというものが紳士の務めである。

俺は真琴ちゃんに別れを告げ、食堂へ向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






というわけで新キャラ登場回。
褐色肌の子ってかわいい子多いよね。

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