IS-突き進め!変態紳士-   作:「旗戦士」

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前回とは違ってネタ全開でいけたらいいなぁ。


変態紳士、グラ〇ムスペシャル

<休み時間、一年一組>

 

 

 

既にホームルームと1限目の授業の間は一夏と話す余裕が無かった為、俺達は授業を終えてから事情を話しに行こうと密かに決めていた。

 

 

そうして1限目の授業が終わるとすぐにセシリアが動き出し、アイコンタクトをとってから一夏の元へと近づいていく。

 

 

どうやら一夏も話しかけられるのを待っていたようで、セシリアの表情からだいたい話の内容は察しているようであった。

 

 

 

 

「……その顔だと、だいたいお話の内容は分かっているようですね、一夏さん」

「まあ、そりゃあな。けど勘違いしないでくれ、別に怒ってる訳じゃないんだ。ただ本当に、理由が分からなくて」

 

「わたくし、実を言いますと元々彰久さんと試合をした後から辞退をすると決めていましたの。彼と戦って、わたくしは代表の器に等しい存在ではないと思った結果が今に至りますわ」

 

「……なるほどな、それで俺を推してくれたってわけか」

 

 

 

 

一夏の問いに彼女は頷くことによって肯定し、しばらくの間彼は考える素振りを見せる。

次にセシリアに見せたのは、屈託のない笑顔だった。

 

 

 

「分かった。俺も出来るだけの事はやってみるよ。うだうだ文句言っても仕方ないし、それに彰久やセシリアも期待してくれてるしな。その代わり、放課後には彰久と俺の訓練に付き合って欲しい」

 

「無論、引き受けさせて頂きます。箒さんもご一緒に、ですわね」

 

「ああ、もちろんだ! 」

 

 

 

 

セシリアが俺の方へ笑顔を向け、彼女への相槌として親指を立てると、今度は満面を笑みを浮かべている。

 

写真を100枚ほど撮りたい気分ではあるが、そんな雰囲気をイマジンブレイクするような真似をしたら迷わず男女平等パンチが飛んでくるだろう。

 

 

ここは敢えて去るのが変態紳士というものよ……。

 

 

 

「草薙彰久は、クールに去るぜ……」

 

 

 

 

キメ顔でそう言いながら教室を出ると、俺はそのまま宛てもなく何処かへと歩きだす。

きっと教室の中では俺の名前を叫ぶ声でいっぱいになっているはずである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ、そういえば彰久は? 」

 

「さっきまではいらっしゃっていましたのに……どうしたのでしょうか? 」

 

「アホだなあ、次千冬姉の授業で遅刻は厳禁なのに。何やってんだかなぁ」

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<3・4時間目、グラウンド>

 

 

 

 

時は進みIS実習、2時間目の授業を遅刻して頭にタンコブを作った俺は一夏と共にISスーツに着替え、学園内の広いグラウンドに並んでいた。

 

 

クールに去っていく変態紳士を演じようとして始業時間ギリギリまでトイレでボーっとしていると千冬さんに出席簿ゴルディオンハンマーでぶっ叩かれたのが今までのハイライトである。

 

おのれ一夏め、教えてくれれば良かったものを……。

 

 

 

「よし、全員いるな。これより、実際にISに乗り込んで基本動作を諸君らに行なって貰う。まずは歩行だ、専用機持ちに搭乗を手伝ってもらってからグラウンドを一周してみろ」

 

「サー、イエッサー! 」

 

「女性の場合にはイエスマムだ、覚えておくといい」

 

「織斑先生ノリノリじゃないですか」

「まあな」

 

 

フッと微笑を浮かべると、千冬さんは各専用機持ちの立っている場所に一年一組の生徒達を並ばせるが、案の定一夏と俺の所へ生徒が集中してしまう。

 

 

個人的には手とり足とり腰とり綿密に教えてあげたいものだが、今度こそマイサンを二枚卸し斬りさせられそうなので遠慮しておく。

 

 

あ、セシリアちょっと落ち込んでる。

 

 

 

 

 

「全員均等に並べ! 口でクソ垂れる前と後に"マム"と付けろ!! 」

「い、イエスマム! 」

 

 

すかさずドスの利いた声で生徒たちを一喝すると、驚くべき速さで均等に列を整えていった。

なんだろう、すごく似合う。

 

 

「織斑先生、後ろに"源氏バンザイ"でもいいですか」

「誰が那須与一だ」

 

 

 

 

千冬さんに一蹴された後、素早く一番前にいた女の子を展開状態にある訓練機"打鉄"の元まで連れていく。

無意識に手を握っていたせいか、その女の子の顔が赤くなっていた。

 

 

 

「ちょっとごめん、君をお持ち帰りしt」

「いけッ! フィン・出席簿ッ! 」

 

 

 

 

閑話休題。

 

 

 

 

 

 

気を取り直して次々に基本動作の訓練を終えていった俺達は、小休止を挟んだ後再び千冬さんの元へと集合させられる。

 

まさか出席簿からビームが出ると思わなかったよ、最近の出席簿って発達してるんだね。

 

 

 

「次は最も基本的である飛行操縦の手本を見せて貰うとしよう。織斑、オルコット、草薙。ISを展開して飛んでみせてくれ」

 

「任せて下さい源氏バンザイ」

「わ、わかりました源氏バンザイ」

「わかりましたわ源氏バンザイ」

 

 

「だから誰が那須与一だ」

 

 

 

 

既に定着してきているこのネタを一瞥しつつ、俺とセシリアが素早く専用機を展開させる。

だが一夏の方は今一つコツが掴めていないようで、最終的には白式の名前を声に出して展開させていた。

 

 

「草薙、オルコット。なかなか素早い展開だが、油断は禁物だ。いつ、どこでも展開させられるように訓練を怠るな。織斑、武装展開の同じようにしては相手に戦法を教えているのと同等だと教えていたはずだが? 」

 

「うっ……。精進します……」

 

 

「よろしい。では、飛行を開始しろ」

 

 

 

 

言われるがままに俺達は上空へと飛び上がり、少し遅めのスピードで空を巡航する。

俺の"ギャプラン"の場合は変形しなくても巡航は可能だが、癖のせいかいつの間にか変形形態へと"ギャプラン"を移行させていた。

 

 

セシリアは流石代表候補生を言わんばかりの優雅な飛び方をしており、きっと下にいるクラスメートの何人か見とれているはず。

 

一方一夏はまだまだ直線的な動きが見え隠れしており、改善が必要だと素人の俺の目でも分かる様子であった。

 

 

「うーん、やっぱり飛ぶ時のイメージが湧きにくいなぁ。"頭上に角錐を立ててるイメージで飛ぶ"んだったっけ」

 

「授業や習った内容ではそう教わりましたが、所詮イメージはイメージ。自分の一番やりやすく、尚且つ最善な方法を探すのがいいと思いますわ」

 

「んだな。けど俺も変形してるのにセシリアには速度で劣っているし、まだ焦ることは――」

 

 

 

『その通りだ、草薙、織斑。スペック上ではお前達の機体の方が勝っているのに対して、実際にはオルコットに劣っている。所謂"ISの性能差が勝敗を分かつ絶対条件ではない"という事だ。飛行はそこまでにして、急降下を完全停止をやってみせてくれ』

 

 

"それを言いたかっただけだろ"、というツッコミを飲み込んで俺達はオープンチャンネルで千冬さんの指示に従って急降下を始める。

 

 

 

特別授業で習った「背中からジェット噴射をしているイメージ」を連想しつつ、俺は変形形態のまま一気に地上との差を詰めた。

 

 

 

既にセシリアは完全停止も完璧にこなしており、クラスメートから拍手を浴びているところである。

だが想像以上にスピードが増し、急降下と言うよりはむしろ落下に近い。

 

 

「へ、変態紳士はうろたえないッ! 」

 

 

そう、地面に落ちようとも女の子の注目を集めるのが変態紳士。

ましてや成功したら拍手ももらえるなんてこれ程にないご褒美である。

 

やってみせる、"アレ"を。

あの上級大尉の、"アレ"を。

 

 

 

「人呼んで、アキヒサスペシャルッ&リバースッ!! 」

 

 

 

咄嗟に人型形態に変形してから地面すれすれの所で急停止し、見事に完全停止も行なってみせる。

身体に掛かる負荷が半端じゃないが、こんなことでへこたれてたら変態紳士などやってはいけない。

 

 

「あ、有り得ませんわ……。なんて無茶を……」

 

「見たかハ〇ード! あいつ隊長の空中変形をパクリやがった! 」

「落ち着けダ〇ル! 隊長の方が何倍も美しいぞ! 」

 

 

 

拍手が飛んでくると思ったら逆に凄すぎてドン引きされる始末。

 

こんなの絶対おかしいよ。

それとオーバーフラッグスの皆さんはなんでここにいるの。

 

 

 

「急降下と完全停止に関してはオルコットは言うことがない。だが草薙。今のはなんだ、無茶苦茶すぎるぞ。咄嗟の判断というのも大切だが、時と場合によるものだ。今後ああいった無茶はするな、己の身を傷つけることになる」

 

「ありがとうございます、織斑先生」

「すんません、一度でいいからグラ〇ムスペシャルやってみたかったんです」

 

 

可変機に憧れる者は誰しもがやりたくなるというグラ〇ムスペシャル。

俺もその内の一人なのは言わずもがなだ。

 

 

 

だがその直後、俺とセシリアの背後で地響きを轟音が鳴り響き、グラウンドにいた全員の視線を一気に集める。

 

しかも地面に大きなクレーターを作ってしまっており、これは直すのが面倒そうだ。

 

 

 

「い、いててて……。失敗した……」

 

 

 

「……織斑、何をしている。早く立て」

「は、はい! すいません! 」

 

 

「いい返事だ。もうそろそろ授業も終わる、このクレーターを直しておくんだ、いいな? 」

「……はい……」

 

 

 

 

落ちた本人は一夏らしく、なんとも彼らしいというかなんというか。

千冬さんは大きく溜め息を吐いた後、クレーターの処理を一夏に任せた。

 

 

うわぁ、あいつの目が死んでる。

 

 

 

「よし、今日のIS実習はこれまでとする。まだ何か分からないことや放課後訓練機を動かしたいなどの要望があるなら出来るだけ答えるぞ。では、解散! 」

 

 

 

 

各々友達とかと更衣室へ戻るなか、一人だけ一夏のみがグラウンドに取り残された。

彼は現在地面に膝を着いて落ち込んでいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちきしょーッ! 不幸だーッ!! 」

 

 

 

 

グラウンドにどこかで聞いたことがある台詞が響いたのは、また別のお話。






というわけでグラハムスペシャル回。
普通無理な空中変形したら確実に怪我するので良い子のみんなは絶対にしちゃダメだぞ!


フリじゃないぞ!

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