やっとアニメの3話辺りに合流。
展開が遅いもんでこんなに話数が増えてました。
<翌日、一年一組教室>
五反田食堂で休日を過ごし、日曜日を経てまた週始めの月曜日へと臨んだ俺達は、休日ボケした身体を叩き起こして教室に辿り着く。
中にはセシリアや箒ちゃんも既に自分の席に着いており、俺と一夏が入った途端素敵な笑顔をこちらに向け、俺達へと近づいてきた。
「おはよう、一夏、彰久」
「おはようございます。彰久さん、一夏さん」
「おっす、二人とも」
「おっはようごっざいまーすセシリア様ぁぁぁぁぁッ!! 」
二日間ぐらい彼女たちと会っていないせいか、俺の中のほとばしる熱いパトスが抑えきれずについ手をワキワキさせながら飛びかかってしまう。
だが相手はイギリスの代表候補生と剣道全国大会優勝者、二人のユニゾンアタックによってすぐに張り倒されてしまった。
最近時が経つにつれて段々クラスに馴染めてきた気がするが、扱いが雑になっていくのは忍びない。
変態紳士はデリケートなのである。
「そういやなんで朝からこんなに教室がざわついてるんだ? なんかあったのか? 」
「あぁ、鷹月から聞いたのだが"2組のクラス代表が急遽交代して専用機持ちが代表になった"らしくてな。一昨日付けで転校して昨日のうちに代表の座を奪ったそうだ」
「僅か二日間で代表の座を奪うとは相当な実力者ですわね……」
はり倒された俺をスルーして一夏が教室の騒ぎの件について彼女たちに尋ねると、どうやら2組の専用機持ちが急遽代表となったらしい。
それもおととい転校してきてすぐさま代表の座を奪った、というのだ。
一応正式な発表はないものの、一組の代表者として最も有力なセシリアが注意を払うのも頷ける。
と、その時であった。
「その情報、古いよ。2組の専用機持ちが"代表になったらしい"じゃなくて"なった"のよ。このあたしがね」
「お、お前は……! ごひ! 」
「誰がごひよ! ちゃんとウーフェイって呼びなさいよアンタ! 」
「じゃあサイサイシー? 」
「腕も伸びないし旗も置かないし流星胡蝶剣も撃たないわよ! "凰 鈴音(ファン リンイン)"ってちゃんとした名前があるっつーの! 」
茶髪の長いツインテールの女の子が音を立てながら自慢げに教室へと入り、その調子を崩すように俺が鈴ちゃんの名前を敢えて尋ねる。
彼女は凰 鈴音(ファン リンイン)、中学時代で一夏と知り合ったと同時に仲良くなった女の子であった。
鈴ちゃんも一夏の幼馴染であり、また彼を想う女の子の一人。
散々恋愛相談をされたがそれも実らず、中二の頃に両親の離婚によって中国へと再び戻ってしまっていた。
「鈴!? 鈴じゃないか! 」
「ふっ、久しぶりね一夏。中国からはるばる舞い戻って来たわよ! 」
「という事は……貴女が2組のクラス代表ですの? 」
「そう! 今日はこの1組に宣戦布告しに来たってわけ! 」
ビシィッと俺達を指差した後、ドヤ顔で腰に手を当ててクラスを見回す鈴ちゃん。
なんとも空回りしてる様子が可愛らしいが、初体面である他のクラスメート達は余計にざわついて仕方がない。
第一印象をカッコ良くしたかったのだろうか。
「……なぁ、鈴? 」
「何よ一夏? 」
「お前……なにカッコつけてるんだ? 似合わないぞ? 」
「なっ……ぁ……。あんですってー!? 」
あーあ、言っちゃったよ一夏。
見る見るうちに顔を真っ赤にして怒っている鈴ちゃんを見て、どうやらクラスメートのみんなも彼女が悪い子じゃない事は理解できたらしく、事実セシリアはその様子を見て笑っていた。
昔からの鈴ちゃんを知っている彼からしたら、今の彼女の姿は変に写っていたのだろう。
「おい、そこで何をしている」
「はぁい!? 」
だがその直後、黒いキャリアスーツの女性の姿が見えた途端にクラスメートの会話が止まるが、変わらず怒鳴っていた鈴ちゃんはその異変に気付かず背後を振り向いた。
そして。
軽快な音が教室に響き渡り、つられて俺達も顔をしかめる羽目に。
何より痛そうに頭を押さえる鈴ちゃんがかわいそうである。
「もう始業を告げるベルは鳴っている。早く教室に戻れ、邪魔だ」
「ち、千冬さん……」
「織斑先生、だ。……全く、何度言わせれば気が済む」
「す、すみません……。お、覚えておきなさいよアホ二人ぃー! 」
まるでやられ役の台詞の如く鈴ちゃんはそう言い捨てて走り去り、千冬さんも席へ着くことを他のみんなに促した。
先程の彼女の有様を見ていたせいか千冬さんの言葉の威力は絶大で、僅か数秒で全員が着席するという異例の事態に。
「起立、気を付け、礼」
「おはようございます」
気を取り直して朝の挨拶を済ませ、ホームルームは始まりを告げた。
いつの間にか真耶先生も既に教卓に立っており、その惜しげないダイナマイトボディを今日も俺に見せつけている。(※彰久の妄想です)
「まずは先週行なったクラス代表決定戦の旨を伝える。土日を挟んで議論を重ねた結果、1組のクラス代表者は"織斑一夏"となった」
「なっ……!? どうしてですか!? 納得がいきませんよ! 」
「私語は認めていない。静かにしろ。それに話は最後まで聞いておくものだ」
「うっ……。す、すみません……」
全員が気にしていたクラス代表者は一夏ということで決定が下されたようだが、案の定彼はその意見に反発する意思を見せていた。
一夏が反対するということを見透かしていたのか、すかさず千冬さんは冷静に対処する。
教師と生徒という立場である以上、彼も引き下がる他ないだろう。
「理由はオルコットがクラス代表者を辞退し、先の代表者決定戦でオルコットを除いて一番良い結果であったのが織斑であったため選出された」
「セシリア、どうして……? 」
「後で聞いておけ。他に異論ある者はいるか? 」
そう千冬さんが尋ねると誰も意見を述べる者はおらず、こうして1組のクラス代表は一夏となることが決まった。
実を言うとセシリアは俺にクラス代表を辞退することを話しており、クラス代表が一夏になったと聞いてもさしずめ驚くことはなかった。
だがセシリアの辞退を支持した以上、納得できる説明を一夏にしなければならない。
「では次。今日の3・4時間目にIS実習が行われる。その際ISスーツを着用するが、もし忘れた者がいれば水泳の水着を着用して授業に出ろ。それもないなら……まあ下着でも構わん」
「なんですとぉッ!? 」
「なぜお前が過剰に反応するんだ草薙」
「いや、エロイベントが起こりそうだったので」
「雪片弐型で貫かれろ」
下着で授業に出るとかなんて羞恥プレイ、エロゲや薄い本で見かけた展開だが現実ではみたことがないので是非目の当たりにしてみたかったのだが、無論猛反撃を食らった俺である。
「……コホン、今朝の連絡事項は以上だ。号令を」
「起立、気を付け、礼」
どうやらホームルームでの連絡事項はこれで終わりらしく、千冬さんは咳払いをしてから号令の合図をとらせた。
その後教室を出ると、今度は一夏の話題で教室が持ち切りになる。
さて、問題はこれからだ。
というわけで意味不明な区切りで終わりです。
次回は一夏きゅんを説得したのちに実習シーンへ移行かと。