とある死後の風紀委員   作:エヌミ観測手

8 / 22
第8話オペレーショントルネード

ゆりから渡すものがあると言われ、本部へ戻る帰り道の途中、前方で小柄な少女と白衣を着た中年の男性が話しながらこちらに歩いてくる、???「立華、先日の生徒会でまとめてくれた部活動の予算に関する報告書よくできてたよ、さすが生徒会長だな。」 ???「それはどうも・・・。」途切れ途切れに聞こえてくる会話の内容からすると、生徒会の会長と教師のようだ。

黒子はその2人とすれ違う際、反射的に会釈をしてしまう、ゆり「!!!」音無「?」その光景にゆりは唖然とし、音無はそんなゆりを不思議そうに見ていた。

やがて2人が離れたのを確認してから、ゆりは黒子に詰め寄る。

ゆり「黒子ちゃんだめじゃない、あなた消えるところだったのよ!!!」

黒子「え!?なぜですの。」

ゆり「この世界で模範的に学校生活を送ると消えるってさっき説明したはずよ、ああいうなんでもないような習慣だって消えるファクターになりかねないわ、模範的な振りをしただけでも消えた仲間はたくさん居るんだから、気をつけて頂戴。」

音無「挨拶するのも危ないのかよ・・・。」

黒子「あの、申し訳ありません・・・。」

ゆりの警告に2人は驚き、黒子は俯いてしまう、それを見たゆりは

ゆり「さっきはあなたたちからの質問に答える形で説明したけど、あたしからこの世界に関する注意事項を話すわ、

じゃないとせっかく仲間になってくれたのにすぐ消えてしまうのは意味が無いわ。」

音無「あ・ああ、お前の様子に気をとられてたけど、さっき普通に天使いたからな。」

黒子「天使って先ほどの2人が!?」

ゆり「そうね、あの女の子が死んだ世界戦線の敵、天使よ。」

音無「俺あいつに刺されたんだよ、こっちが変な事しなきゃ襲ってこないのはほんとみたいだ。」

黒子「あの女子生徒が天使、下手をすると襲われる可能性があるということは、もしさっき屋上で話しているのを見られたら危なかったという事ですの!?」

ゆり「心配ないわ、作戦に関することだったらアウトだったけど、

授業に参加せずに出歩いていてもおしゃべりしていても平気よ、

もし見つかっても教室に戻る振りをすれば追求してこないわ。」

音無「戦線本部だけが安全ってわけじゃないのかよ、だまされた気分だ・・・。」

黒子「一緒に居た教師風の男性はもしかしてNPCですの?」

ゆり「その通りよ、この世界に最初から居る模範ね、あたしたち人と違って授業を受けたり

学校生活を送っても消えないわ。」

黒子「わたくしたちと違い、NPCはこの世界に疑問を持ったりしませんの?」

ゆり「ええ、決められたルールに従って生活してるの、授業を受けたり部活をしたりしてね。」

ゆり「ちなみにNPCたちは年をとらないわよ、進級もしないわ、それはあたしたちも一緒。」

黒子「死後の世界だから老化しない、いや成長しないというわけですのね・・・。」

音無「やつらにこの世界の事を聞くのは?」

ゆり「天使やNPCはこの世界の根幹に関しての質問はノーコメントよ。」

黒子「では最後に聞かせてくださいませんか、戦線の最終目的は何ですの?」

音無「そういえばもし天使を倒せたとして、その先にあるのは・・・。」

ゆり「あたしたちは天使を倒し、神のもとへとたどり着いて、理不尽な人生を強いた神に

復讐してこの世界を手に入れるのよ!!!」

と音無たちに対し力強くゆりは言った。

 

 

場所は対天使用作戦本部

パァン、パァンとゆりが窓の外に向かって拳銃を撃っている、音無は耳をふさぎ、

黒子はため息をついている、ゆりが2人に渡すものがあるといっていたが、それは武器だった

ゆり「はい音無君、初めてでも撃てるわ。」とゆりは音無に拳銃を手渡した、グロック17だ。

ゆり「黒子ちゃんはこっちね、はいどうぞ。」と黒子にはベレッタPX4が渡された。

音無「効くのか?」

ゆり「足を狙いなさい、追ってこれなくなるわ。」

黒子「すらっとしたデザインですわね、グリップもちょうどいい感じですわ。」

威力に関して疑問を持ってる音無とは対照的に黒子は最初と違い銃を気に入ってる、そんな黒子に対し音無はこっそり話しかける。

音無「お前、使うのが怖くないのかこれって人を傷つける道具なんだぜ・・・。」

黒子「ええそうですわね、しかし音無さんは刺されたのでしょう、自衛目的で使うのは間違いでは

無いと思いますの、こちらから仕掛けるのなら気が引けますが・・・。」

そんなやり取りをしてると、ゆりがベレー帽をかぶり窓のカーテンを閉め天井からスクリーンを

引きおろし、ノートPCの電源を入れる。

ゆり「みんな、新人2人も入った事だし早速今夜ミッションを行うわ。」

全員がスクリーンに注目し、音無と黒子も慌てて注目する。

ゆり「あなたたちにもこの世界に慣れてもらうためにミッションに参加してもらうといっても

簡単な作戦だから安心して、今回はオペレーショントルネードを実施するわ。」

大山「ええ!?」

松下「こいつはでかいのが来たな。」とメンバーが騒ぐ

音無{トルネード!?}黒子{簡単そうに思えない作戦名ですわね・・・。}

ゆり「生徒たちから食券を巻き上げるわよ。」

音黒「「その巻き上げるかよ!!!」」

音無「やることがしょぼいよ、武器や頭数揃えてやることじゃねぇよ!!!」

黒子「同感ですわ、これには失望いたしますわこの武器でNPCたちを脅すなんて・・・。」

松下「大丈夫だ、我が戦線は武器を使ってNPCを脅したり、傷つけたりしない。」

音黒「「・・・。」」ホントかよという視線で松下を見る2人をよそにゆりは説明し始める。

ゆり「文字通り巻き上げるわ、作戦を説明するわよ、作戦地点である学園大食堂を取り囲むように

武装待機して、各自作戦開始から作戦終了までそこを維持する、音無君たちは妨害班に入ってもらうわ、天使と遭遇した時点で発砲すること、これが増援要請の合図になるわ、銃声を聞いたら

2人ともそこへ駆けつけること、作戦開始は18:30、それではオペレーションスタート!!!」

 

 

学園大食堂の近く第二連絡橋に音無と黒子はいた。

音無「簡単な場所を任せると聞いてたが、この作戦上手くいくのか。」

黒子「NPCを傷つけずにどうやって食券を手に入れるのでしょう?」

2人は納得のいかないまま配置についていた、

しばらくすると食堂のほうから音楽が聞こえてくる。

黒子「作戦が始まったようですわね。」

音無「ゲリラライブって聞いてたが、歓声も聞こえるな。」

2人は食堂のほうを眺めていた、雲に隠れていた月が現れ辺りが月明かりで包まれた、ふと2人が視線を戻すと第二連絡橋の先に天使が立っている。

音黒「「!!!」」驚く2人に構わず、天使が近づいてくる、最初に動いたのは黒子だった。

黒子「止まりなさい、それ以上近づくと撃ちますわよ!!!」拳銃を構え黒子が警告する。

天使「・・・。」しかし天使は止まらない。

音無「ほんとに撃つぞ、止まれ、そこを動くな!!!」黒子に続き音無も構える

天使「・・・。」止まるどころかどんどん近づいてきた、次の瞬間パァン、

パァンと銃声が鳴り響く黒子は上空に向け、音無は天使に向かって狙いを定めていた。

黒子「音無さん、いきなり撃つなんて・・・。」

音無「当たっちまった、やらなければやられると思ってさ、まさか当たるなんて・・・。」

威嚇射撃と目標へ向けての射撃と2人は違う行動をとってしまった、ふと天使を見ると痛そうに腹部を押さえていた、血がにじんでいる。音無「やりすぎちまった・・・。」

落ち込む音無だったが。

天使「ガードスキルハンドソニック。」天使は腕から剣を生やし、こちらに向かってくる。

黒子「音無さん、こっちに向かってきますわ、後退しましょう!!!」と黒子は音無に告げる。

音無「え・ええ!?何でだよ、止まらないのかよ!!!」2人は走り出す。

黒子「止まりなさい、この!!!」パァンパァンと黒子が天使に撃つ、キィンキィンと天使が銃弾を弾いて、走ってこちらを追いかけてくる。

音無「どうして、止まらないんだ、くそ。」と音無もパァンパァンパァンと撃ち続ける。

その直後天使目掛けて斧のようなものが飛んでくるがカキィンと難なく弾かれた。

日向「悪い待たせちまったな、2人ともこっちへ来い!!!」

日向と戦線メンバーが駆けつけてきた、音無たちが合流したのを確認した日向は命令する。

日向「後退しながら制圧射撃、狙撃部隊のところまで下がる。」

天使「ガードスキルディストーション。」

一同は後ろに下がり、横一列に並んだ後、再び日向が

日向「各自、撃て!!!」パパパパパパパパパパ、ドドドドドドドドドドと猛烈な制圧射撃で

天使を圧倒するが、カキィンカキィンとバリアのようなものでまったく効果が無い。

このまま膠着状態かと思われたが、ふと黒子と音無が上を見上げると何かキラキラと雪のようなものが降っている、2人はそれを手に取る、音無は肉うどん、黒子はオムライスとそれぞれに書かれている、どうやら食券のようだ、日向「それでいいのか、よしいくぞ。」と2人は日向に連れられその場を後にする、音無と黒子は後ろを振り返りながら続く、ただ天使はその場に佇んでいた。

 

 

 

食堂で戦線メンバーたちは食事を取っていた。

音無「こんなところでのんきに飯食って大丈夫なのか?」

ゆり「ただご飯食べてるだけじゃない。」

黒子「そういうものですの?」

ゆりたちのいる席に2人も座る。

音無は改めて戦線について思う、これだけの規模と人員を有してるのにやってる活動が飯食うために食券を集める、何だってできるはずだ、敵は1人だけだし、その天使と戦うだけだがその行為を正当化していいものなのか?、いや結論は早い、そもそも俺には記憶が無いんだ。

考え事をしている音無に黒子がこっそり話しかける。

黒子「音無さん、もう少し様子を伺いましょう、結論に至るのは早すぎますの。」

音無「どうして俺の考えてる事がわかるんだ、それも超能力か?」

黒子「そうじゃないですわ、そう顔に書いてありますわよ。」

音無「鋭いな、お前はしばらく様子をみるのか?」

黒子「他に頼れる相手がいない現状で、軽率な行動は慎むべきですわ、慎重にいかないと。」

黒子「それと、わたくしもあなたと同じ事を考えてましたの、だからわかったんですのよ。」

音無「そっか、これからもろしくな黒子。」

黒子「ええ、音無さん。」

そして2人は食事に戻る。

 

 

 

 

 




1話を長くしないと先に進みにくいので、場合によってはアニメと違って
省略する部分もあるかもです・・・。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。