とある死後の風紀委員   作:エヌミ観測手

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第7話屋上にて

ゆり「自己紹介も終わった事だし、早速黒子ちゃんの超能力を見せて。」

黒子「え、テレポートの事ですの?」

不意にゆりに話しかけられ、慌てて答える。

ゆり「ええ、日向君たちは見たっていうんだけど、どんな力なのか見せてちょうだい!?」

黒子「・・・。」シュンと黒子が消える。

一同「「「「消えた」」」」全員が辺りを見回すがいない、すると廊下から

黒子「神も仏も天使もなし、確かに罠は作動しなかったですわね。」ガチャと扉を開け、黒子が入ってくる、一同「「「「・・・。」」」」、眼前で見せられた瞬間移動に一同は絶句する。

日向「な、言ったとおりだったろ、それにこいつ頭がいいんだ。」

ゆり「ホントにすごいわ、半信半疑だったけど信じるしかないわね・・・。」

音無「こいつ何者だよ、順応性を高めるってこういうことかよ、天使に刺されるわ

もう死んでるから誰も死なないとか痛くても死ねないとか信じられない事の連続だよ・・・。」

興奮するゆりに得意げに話す日向をよそに黒子は音無に尋ねる。

黒子「音無さんは天使に刺されたと仰ってましたが、そのせいで制服が破れてますの?」

音無「ああ、見た目は女の子なんだが腕から剣みたいなものを生やして刺されたんだ。」

改めて黒子は音無を見る、制服には切り刻まれた跡があり、ほとんど制服として機能してない。

どうやったらあんな状態になるのか、不思議でたまらなかった。

黒子「痛くても死ねないというのどういうことですの?」

音無「1回目は天使に胸をぶっ刺されて、2回目はさっきの野田ってやつに斬られたんだよ・・・、

無茶苦茶痛かったぜ、これは死んだなと思って意識が無くなってしばらくしたら血で床一面真っ赤な上で目が覚めた。」と痛みを思い出したのか、体を震わせて音無が言う。

黒子「順応性を高めなさいというのは?」

ゆり「そういえば、黒子ちゃんにも説明しないとね、音無君にも詳しい事を話さないと・・・。」

音無「そういや何で俺達だけ制服が違うんだ?」

黒子が次の質問をして、ゆりが説明しようとしたのを音無が遮った。

ゆり「あなたたちじゃなくて、あたしたちが違うのよ、クラススリーエスの制服を渡すわ。」

 

 

場所は変わってここは屋上、制服を着替えた黒子と音無にゆりが話す。

ゆり「じゃあ質問があったらどうぞ、説明するから。」

音無「最初言っていた消されるって言うのは?」

ゆり「この世界で普通に授業を受けたり、学校生活を送ると消えちゃうのよ。」

黒子「消えるというのは死ぬ事ですの?」

ゆり「いいえ、あたしたちはもう死んでるわ、この世界に居るってことはもう死んでるってことよ、

かつてあたしたちが居た世界では人の死は無差別に無作為で訪れていたわ、でもここでは違う、

天使にさえ抵抗しつづれば、存在し続けられる、抗えるのよ。」

音無「真面目に学校生活を送ると消されるってのが納得できないな。」

黒子「ええ、むしろ真面目にしてないから天使に襲われるのではないのでしょうか?」

と2人はゆりに言う、するとゆりはポケットから缶コーヒーを取り出し、一口飲み、話を続ける。

ゆり「そうね、天使の言いなりになって学校生活を送ればいいと思うのは自然だわ。」

ゆり「だけどね、あたしたちは死んだ後も神の定めたルールに従うなんて、ごめんだしそのせいで消えたくなんて無いのよ・・・。」

明るく受け答えしていたゆりの表情が一瞬曇り、驚いた2人は違う質問をする。

黒子「天使に抵抗すると仰いましたが、天使はどういう風にこちらに対し行動しますの?」

ゆり「まずは口頭注意から始まり、次に生徒指導室か職員室に連れて行こうとするわ。」

音無「実力行使に至るのは?」

ゆり「こちらが銃や武器を出して攻撃しようとすると、向こうも応戦を試みるわ。」

音無「俺、話しかけただけで刺されたんだけど・・・。」

ゆり「それはあなたが死んでる事を証明しろと言ったからよ、天使にとっては職員室の場所を聞かれて答えるのと同じよ。」とある程度天使や死後の世界についてわかったので音無は別の質問をする。

音無「ここから見えるあいつらは?」

ゆり「NPCね部活やら帰宅の真っ最中ね。」

黒子「NPC?わたくしたちとは違いますの?」

ゆり「ノンプレイヤーキャラクター、この世界の模範とするべき存在ね。」

音無「ゲームかよ、じゃああいつらとは会話しても成り立たないのか?

同じ答えしか返ってこないとか?」

ゆり「会話は成立するわよ、試しにキスしてみなさいよ、悲鳴をあげるか逃げると思うわよ。」

ゆりは缶コーヒーを揺らしながら答える。

黒子「わたくしの方はとりあえず、もう疑問はありませんわ、今後またお聞きするかもしれませんのでそのときはよろしくお願いいたしますわ。」

音無「もう俺もいいかな、またわからないことがあったら聞くから。」

と2人はゆりに告げる。

ゆり「じゃあ、本部に戻りましょう、あなたたちに渡すものがあるのよ。」

3人は校舎に戻った。


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