とある死後の風紀委員   作:エヌミ観測手

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第15話天使奪還

ゆりの時間稼ぎの為、授業を受ける振りをする戦線メンバーたち

その中で音無と黒子は同じ教室で授業を受けていた。

 

 

 

教室棟

教師「この公式を使って次のXとYの・・・。」と今は数学の授業中だ、窓際の2列に黒子と

音無は隣同士で座っていた、そんな2人の様子を見ると

 

音無「・・・。」シャカシャカと音無はイヤホンで音楽を聞きながら授業に参加していた。

 

黒子「・・・。」カキカキと一見すると真面目に授業を受けてる黒子だったが

 

黒子{問7臍を噛む、この意味は後悔するですわね・・・。}と今は数学なのだが

国語の問題集を解いていた。

 

教師「・・・というわけで次の問題はさっきの公式を使い・・・。」と教師NPCが

言いかけたところで、キ~ンコ~ンカ~ンコ~ンと授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。

 

教師「じゃあ4時限目はここまでだ。」と言った後、日直により号令が掛けられて

授業が終了する、次は昼食を取るための昼休みだ。

 

黒子「終わりましたわね、もうお昼ですわ。」

 

音無「だな、一緒に食堂へ行こうぜ。」

 

黒子「今のところは問題なく分身の目を誤魔化せてますわね・・・。」

 

音無「折り返し地点は過ぎた、あとは午後を乗り切るだけだ。」

 

と2人は大食堂へ向かった。

 

 

 

学園大食堂に到着し、カウンターで料理を受け取りテーブルを確保した2人だったが。

 

音無「まさか大食堂の自販機で売り切れなんて・・・。」

 

黒子「KEYコーヒーは意外と人気があるようですわね、代わりにお冷を用意しましょうか?」

と2人の好きなKEYコーヒーが売り切れてしまったのだ、利用者が多い食堂の自販機は毎日

ほとんどの商品に売り切れのランプがついているが

この日は珍しくKEYコーヒーも売り切れだった。

 

音無「そういや学習棟の自販機、今朝通ったときは売り切れてなかったな・・・。」

 

黒子「まだ売ってるかもしれませんわね、わたくしが買ってきますわ。」

 

音無「じゃあ俺は無糖な、お前の分も俺が金出すよ。」

 

黒子「では、行って参りますわ。」

500円玉を受け取り、シュンと黒子はテレポートで移動する。

 

テレポートで学習棟の自販機前に現れた黒子、お目当てのものは・・・。

黒子「ええと、まだ売り切れてなくて良かったですわ。」

 

500円玉を自販機に入れ、音無に頼まれた無糖のKEYコーヒーを買って

自分は何を買おうか迷っているとズズンと突然地面が揺れた。

 

黒子「地震ですの!?」と驚く黒子、しかし周りの木やゴミ箱などはほとんど揺れなかった。

 

黒子「・・・一体何だったんでしょう?」

首をひねるしかない黒子だったが自分の分のコーヒーを買って食堂へ戻り、昼食を済ませた後

午後の授業を終えて、時間稼ぎの1日を終えた。

 

 

しかし翌日事態は悪化してしまう、音無と黒子が2人で保健室へ向かっていたが

 

音無「・・・。」

 

黒子「・・・で昨日地震のような揺れを感じましたの・・・。」

 

黒子は前日の自販機近くの地面の揺れを話してたのだが、音無は心ここにあらずといった

様子でボーとしていた。

 

黒子「音無さん、わたくしの話をお聞きでしたの!?」

と見かねた黒子は音無に言った。

 

音無「えっすまん、聞いてなかった。」

 

黒子「立華さんが心配なのはわかりますが、だからこそしっかりしませんと。」

 

音無「そうだな、お前の言うとおりだ・・・。」

 

黒子「それで先ほどから話してる地面の揺れの事ですが・・・。」

と音無を鼓舞した黒子は地面の揺れの話をしながら保健室へ向かった。

やがて保健室が見えたが何やら中が騒がしい様子だ、黒子と音無が部屋へ入ると

 

ゆり「しくじった。」

 

音無「おい、一体何の騒・・・。」

と悪態をつくゆりを見て何事かと思い近づく音無だったが、保健室の中は荒らされていて

ベッドで寝ていたはずの立華が姿を消していた。

 

黒子「立華さんがいない、窓も割れてますわね・・・。」

 

大山「どこかに出かけたのかな?」

 

音無「いや、かなでは俺たちといると約束したからそれはない。」

 

ゆり「あなた、そんな約束したの?」

 

音無「え、ああ。」

とゆりの質問に音無は後ろめたい事がある様に答える。

 

黒子「この様子じゃ拉致されたとしか思えません、昨日わたくしたちが

   時間稼ぎしてる間、ゆりさんは1人で何をされてましたの?」

 

ゆり「実はあの子がもう一度同じ能力を使ったら本体に戻るようにプログラムを

   書き換えたんだけど、分身の行動が予想以上に早かったのよ、

   あの子を拉致して隠されたんじゃ手が出せないわ。」

 

現場の状況から推理を行った黒子の質問にゆりは天使エリアで行ったエンジェルプレイヤー

のプログラミングの事を説明する、そして考える素振をしていたゆりは決心した様子で

ゆり「とりあえずあの子を探すしかないわ、総員に通達、天使の目撃情報を集めて!!!」

 

 

数日後夕方の体育館にクラスSSSメンバーたちは集まっていた。

体育館のステージ下のパイプ椅子を収納する台車を引き出すとそこにギルドへの入り口

が隠されている、その前でゆりが戦線メンバーに説明を行っている。

 

ゆり「さて、集めた情報から天使はギルドに潜伏してる可能性が高い事がわかったわ。」

 

音無「地下の武器製造拠点にか?」

 

黒子「わたくしと音無さんは初めて行きますわね。」

 

藤巻「ゆりっぺ、場所の見当がついてるならさっさといこうぜ。」

 

ゆり「そう行きたいところなんだけど、1つ問題があるのよ・・・。」

とギルドをまだ知らない新人2人をよそにゆりは先を急ごうとする藤巻に待ったをかけた。

 

日向「ゆりっぺ、もったいぶらないで何が問題なのか教えてくれよ。」

 

遊佐「私が説明します、実はギルドと連絡が取れないんです。」

とはっきりしないゆりに日向が詰め寄ろうとしたが遊佐がそれを遮る。

 

黒子「なぜ、連絡しないといけませんの?」

 

ゆり「ギルドへの道のりには対天使用トラップが仕掛けられてるのよ。」

 

音無「戦線本部入り口に仕掛けられてるやつが?」

 

高松「ええ、それもかなりの数が仕掛けられてます、

   しかもギルドは地下最深部にありますので長い道のりになります。」

 

日向「それで俺たちがギルドに行くときは、あらかじめ連絡してトラップを

   解除してもらわないといけないんだ。」

 

新人2人の疑問に古参メンバーたちが答える。

 

大山「ねぇ黒子さんのテレポートで行けないかな?」

 

藤巻「そうだぜ、こいつは自分だけじゃなく人も運べるぜ。」

 

ゆり「黒子ちゃんできるの?」

 

黒子「期待させて申し訳ありませんがそれはできませんわ、行った事の無い場所

   で更に地下となると演算が難しいので・・・。」

 

と大山が黒子の力を使う提案をするが黒子ができないので断った。

 

ゆり「そうね難しいならしないほうが賢明ね、テレポート先が安全とは限らないし。」

 

高松「万が一分身と遭遇した場合は孤立する事になりますからね。」

 

日向「地道に一歩ずつ進むしかないみたいだな。」

 

黒子「長く険しい道のりになりますわね・・・。」

 

戦線メンバーは全員一緒で進んでいく事にした。

 

ゆり「ともかくいつまでもここに居るわけにはいかないわ、これより作戦開始

   作戦目的はギルドに降下し速やかに天使オリジナルを捜索して保護する事よ。」

 

ゆり「オペレーションスタート!!!」

 

そしてゆりの掛け声と共に戦線メンバーたちは体育館ステージ下ギルドへ続く梯子を降りていく。

しばらくトラップを警戒しながら進む一同だったが。

 

日向「トラップが作動しちまってる、たぶん分身が通ったんだな。」

戦線メンバーの行く先々ハンマーや鉄球が作動し放置された状態が続いていた。

 

ゆり「これなら天使オリジナルの場所へ早くつけるかもしれないわね。」

 

黒子「確かに戦闘も回避できるかもしれませんわね、こんな重装備で来なくても良かったかも

   しれませんわ・・・。」

 

戦闘に備え戦線メンバーは重火器を用意してきたが今のところは順調に進んでいる。

 

黒子「っ、靴の中に小石が入ったようですわ、ちょっと待って下さいまし。」

と黒子は足に違和感を感じ、手にしたMP5Kを地面に置き靴を脱いだ。

 

高松「MP5Kは泥や砂に弱いサブマシンガンですよ、気を付けたほうがよろしいかと。」

 

黒子「ええ、すぐ済ませますわ。」

 

靴を脱ぎ中に入ってしまった小石を取っている黒子に高松が注意する。

 

ユイ「あの~、先輩本当にガルデモが必要なんですか、そうだとしたら

   あたし1人だけ呼ばれるのはおかしいと思うんですけど・・・。」

 

日向「あれ話してなかったっけ、お前は頭数揃えるために連れて来たんだよ。」

 

ユイ「はっ、だましたなこの野郎!?」

 

日向「普通気づくだろうwwwお前がアホなだけだ。」

 

ユイ「んだと~、アホっていうやつがアホなんじゃボケェ!!!」

 

いきなり日向となぜか同行してきたユイが言い争いを始めた。

 

ゆり「あんたたち、バカやってないで・・・って天使!!!」

 

とケンカしてる2人を一瞥して前方に視線を戻すゆりだったがその先に天使の分身がいた。

 

ゆり「全員撃ち方用意!!!」

とメンバーに指示し戦闘態勢に入ろうとしたが

 

天使「!!!」ギューーーーーーンと天使が瞬く間に戦線メンバーに肉簿し間をすり抜けた。

 

全員「「「「あ!?」」」」その直後全員が手にしていたアサルトライフルや軽機関銃

が真っ二つに切断されてしまった。

 

ゆり「まだハンドガンがあるわ、それで応戦して!!!」

とゆりがフラググレネードを天使に向かって投擲する。

 

天使「ガードスキルディストーション。」

爆発音共に天使は砂煙で姿が見えなくなり、全員でパンパンパンと猛烈な制圧射撃を行う。

 

音無「何でお前の銃は無事なんだ?」

 

黒子「地面に置いていたので難を逃れましたの、それよりも目の前の敵に集中しなくては!」

と音無は黒子がMP5で応戦しているのを見てそう尋ねた。

 

ゆり「これならいけるかもしれな・・・。」

 

野田「ぐはっ・・・。」

 

とゆりは分身を圧倒してるのでこのままけりがつくかと思っていたが背後の野田の呻き声を

聞き何事かと振り返った、そこには

 

天使「ふふふ。」と野田を串刺しにしてあざ笑う天使がいた。

 

日向「な、どうなってんだこいつオリジナルか!?」

 

音無「違う、こいつも分身だ!?」

 

ゆり「う・撃てっ!!!」

パンパンと後ろに現れた天使にターゲットを切り替え射撃を加えるメンバーたち

 

黒子「後ろの天使は倒せたんでしょうか?」

 

日向「わからない、とにかくあいつを倒すぞ!!!」

 

不安そうに後ろを気にする黒子に日向が前に集中するよう注意する。

 

天使1「忙しそうね・・・。」と最初の天使が起き上がってきた。

 

ゆり「このままじゃ・・・!?」

と状況打破のため周囲に目をやるゆりの視線の先、通路の壁に扉があるのが見えた。

 

ゆり「入り口を塞ぐわ、間に合わなかった者は置いていく!!!」

とゆりが再びフラググレネードを投擲し、天使の視界を奪いその横を全員がすり抜けていく。

 

黒子「わたくしが殿になりますわ、みなさんは早く中に!!!」

と黒子がMP5Kで天使2体を牽制してる間、松下が扉を開けメンバーたちが中に飛び込むように

入っていく、最後に走ってきたゆりと音無が黒子に叫ぶ。

 

音無「黒子お前も早く中に!!!」

 

黒子「わたくしに構わず扉を閉めてくださいまし!!!」

 

音無「お前何言ってるんだ、おい松下お前なに閉めようとしてるんだ、やめろ!!!」

 

必死に黒子を呼ぶ音無に構わず松下が扉を閉め始める、止めようとする音無だったが無常にも

扉はギギィーと閉じられてしまった。

 

音無「おい!!!黒子を見捨・・・。」

 

松下に詰め寄る音無だったが、シュンとそこへテレポートで黒子が現れた。

 

黒子「一体どうされましたの、音無さん?」

 

音無「・・・、何でもない・・・。」

と無傷で現れた黒子を前に音無は恥ずかしそうに顔を背けた。

 

 

しばらく通路を進む戦線だったが安全が確認できたので休憩することにした。

 

日向「一体どうなってるんだ、天使が2体も居るなんて・・・。」

 

ゆり「分身はハンドソニックもディストーションも使えるのよ、ハーモ二クスを

   使えても不思議じゃないわ。」

 

直井「まったく貴様らは低脳だな、もちろん音無さんは違いますよ

   僕が現在の問題点をまとめよう、まず1つ天使が分身を何体作ったかだ

   分身が分身を作れるならその数に限界は無い。」

 

日向「となると10体、20体いるかもしれないってことかよ・・・。」

 

音無「待てよプログラムを書き換えたんだろう、それが発動すれば分身が本体に戻るんだろう

   それを待っていれば・・・。」

 

直井「それと2つ目、能力を追加する前に分身を大量生産していたとしたら・・・。」

 

高松「先ほどの天使の様子からすると戦闘中1体が危機的状況に陥りましたが

   あの天使、ハーモニクスは使いませんでしたね・・・。」

 

黒子「となるとすでに相当数の分身を確保できたのでもう増やす必要が

   無かったということになりますわ、もしそうだとしたら・・・。」

 

直井「それともし、僕たちが来ることが予想できていて、相当数の分身を作り出しギルドに

   配置していたとすれば・・・。」

 

TK「TRAP」

 

直井「そう罠だ。」

 

日向「閉じ込められた上に天使はウヨウヨいるなんてどうすりゃいいんだ。」

 

大山「一体何が目的なんだろう?」

 

ゆり「あたしたちを完全に服従させるんでしょう。」

 

日向「俺たちを一掃するには最高の作戦だな。」

 

ゆり「皆先に進みましょう。」

 

と休憩中に様々な議論が交わされたが目的を果たすためにクラスSSSはまた進み始める。

 

日向「3体目の出現か・・・。」と進んだ先で新たな天使に遭遇する。

 

ゆり「やるしかな・・・。」

 

松下「弾がもったいなかろう・・・。」

とM9を構えたゆりの銃を手で下ろす。

松下「うぉぉぉぉぉぉ!!!」と次の瞬間松下は天使に向かって走り出す。

 

日向「松下五段何をする気だ!!!」

 

天使「!?」迎え撃つためハンドソニックを出す天使を松下が飛び掛り押さえ込む

ハンドソニックが自分の体に刺さるのも構わずに天使を押さえ込んだ。

 

松下「早く行けぇ、俺の意識があるうちに・・・。」

 

日向「何だよ、その死に際だけいいやつみたいな台詞は!?」

 

ゆり「みんな行くわよ。」

と松下の横をすり抜けていくクラスSSSたち。

 

松下「みんな、あとは頼んだぞ・・・。」

と皆が去った後松下は息絶えた。

 

 

 

そして数時間後、ギルド連絡通路B-12では

直井「さあ、気づくんだお前はピエロだ、あそこに居る女の子を笑わせるんだ・・・。」

 

大山「あっいけない女の子を笑わせなくちゃ、あはははははは。」

と催眠術を掛けられた大山は天使に向かっていき天使を押さえ込み刺された・・・。

 

日向「大山ぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

黒子「こんな理不尽な事ってあんまりですわぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

音無「お前最低だな・・・。」

 

直井「音無さん、次は僕が行きますから。」

と松下の命がけの押さえ込みを見てゆりは天使を無力化し先に進むのはこの方法が

一番だと気づいたので、天使に遭遇するたびにこのような光景が繰り広げられていた。

余りにも残酷だがこの方法により仲間を失いながらもこうして先に進む事ができた。

しかし犠牲になるメンバーたちを見る度に残されたメンバーたちは悲痛な叫びを上げる。

 

直井「」グサッ

 

日向「誰か何か言ってやれよ・・・。」

 

ユイ「あたし名前知らないですし・・・。」

 

黒子「これじゃ処刑を待つ死刑囚ですの、もう嫌ですわぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

直井が犠牲になるが誰一人心配することはなかった、黒子はこれまで立て続けに起きた

目の前の惨状に錯乱し完全にパニック状態に陥っていた、普段の凛々しく

気品あふれるお嬢様の黒子は影も形も無かった。

 

 

 

ギルド連絡通路B15で天使と対峙するメンバーたち

音無「今度こそ、俺が行く。」

 

日向「待て、お前は最後まで残れ。」

 

音無「日向?」

 

日向「あの子はお前を待っている、そんな気がするからお前は行け、それから・・・。」

 

ユイ「ごちゃごちゃ言ってないで、とっとと行けやゴラァ!!!」

 

日向「ええええええちょっと待・・・。」

ゲシッとユイに蹴られた勢いで日向はそのまま天使にさされてしまった。

 

ユイ「待っててね、先輩。」

 

音無「お前あいつの事、好きなのか、嫌いなのかどっちなんだ?」

 

ゆり「黒子ちゃん、正気に戻りなさい!!!」パシンッ

 

黒子「あら、わたくしは今まで一体何を???」

 

とユイの行動がわからず訝しげな表情をする音無の横でゆりに頬を叩かれ黒子はようやく

正気に戻った。

しばらくしてギルドを目指し音無と黒子とゆりとユイの4人は進んでいたが。

 

ゆり「この先がギルドだけど・・・。」

 

黒子「何か焦げ臭くありません?」

 

音無「おい何か崩れてるみたいだぞ!!!」

 

とギルドに近づくにつれて異変を感じる4人、先頭の音無が何かを見つけ全員が駆けつけると

 

ゆり「な、ここがギルドのはずなんだけど・・・。」

 

黒子「ここがギルドですの、何か爆発したような大きな穴があるだけですわ。」

 

ユイ「あたし、ビビッてきたんですけど・・・。」

 

音無「もしかして分身がここを破壊したんじゃないのか?」

 

4人の視線の先には人工物がほとんど見当たらない巨大なクレーターがあるだけだった。

 

ゆり「とりあえず、ギルドの詮索は後回しにして、音無君と黒子ちゃんとユイは

   オリジナル天使を探してハーモニクスを使うように促して。」

 

黒子「ゆりさんだけで分身と闘いますの、無茶ですわ。」

 

音無「俺が闘ったほうがいいんじゃないか?」

 

ゆり「あの子は音無君を待っているはずよ、黒子ちゃんとユイで音無君を守ってあげて。」

 

ゆり「じゃあ全員行くわよ!!!」

 

黒子「わたくしが先にテレポートで下に移動し安全を確保しますわ!!!」

シュンとテレポートで黒子が消え、ゆりたちは崖を駆け下りる。

 

ユイ「フギャッ!!!」と途中でユイが地面から突き出ていた鉄骨に当たり悲鳴を上げる。

 

ゆり「よっと、あれユイは?」

 

音無「何か短い悲鳴が聞こえたけど・・・。」

 

黒子「天使にやられたようですわね、これで3人になってしまいましたわ・・・。」

 

ゆり「みんなの為にも早く天使を探しましょう。」

駆け下りた音無とゆりは下で待っていた黒子と共に天使オリジナルを探すため進む。

 

天使「・・・。」

 

ゆり「あれで最後かしら。」

 

音無「そうだといいが・・・。」

 

ゆり「ほら、あんたたちはさっさとオリジナルを探しなさい。」

 

音無「わかった、こっちは任せろ。」

 

黒子「音無さんはわたくしが全力で守りますわ。」

とゆりたちが進んだ先に分身が待ち構えていたので手筈どおりここで2手に分かれた。

しばらくすると戦闘が始まりパンパンと辺りに銃声が鳴り響くなか突如ゆりが叫ぶ。

 

ゆり「2人とも耳を塞いで!!!」

 

音黒「「!!!」」2人は慌てて両手で耳を塞ぐ。

 

天使「ガードスキルハウリング。」キィィィィィィンと耳を劈く音が鳴り響いた。

 

音無「ぐわっ、耳が・・・。」

 

黒子「・・・まるでキャパシティダウンみたいですわ・・・。」

 

とその音に2人は思わず動きを止める。

 

天使「ふふふ・・・。」と天使は周囲を圧倒してるので勝ち誇ったようにほくそ笑むが・・・。

 

ゆり「・・・。」ゆりはハウリングも意に介さずナイフを突き出しこちらに突進してくる。

 

天使「な・!!!」グサッと天使の体にナイフが刺さり、そのままゆりに押し倒されてしまう。

 

天使「なんで気絶しない・・・。」刺されたことによりハウリングは止まってしまい、

なぜゆりがハウリングに影響されずに突進できたか天使にはわからなかった。

 

ゆり「何か言った?耳栓してるから良く聞こえないのよ。」

天使を倒し余裕の表情を見せるゆり、一方ハウリングが無力化されたので

音無たちはオリジナルを引き続き探していた。

 

音無「あ、あそこにいた!!!」

 

黒子「音無さん、早く行きましょう!!!」

 

音無「かなでぇぇぇ!!!」と立華を発見した音無と黒子は傍に駆け寄る。

 

音無「かなで、かなで大丈夫か!?」

 

立華「う・う~ん。」

 

音無「かなで、戦線の皆が命張ってお前を助けに来たんだ。」

 

立華「そう・・・。」

 

毛布に包まれギルドの残骸に凭れ掛かっていた立華は弱弱しい声で音無の呼びかけに答えた。

 

黒子「音無さん、早くハーモニクスを・・・。」

 

音無「かなで、無理させて悪いがハーモニクスを使ってくれ。」

 

黒子「立華さん、戦線の方たちを助ける為にハーモニクスを使う必要がありますの。」

 

立華「そうわかったわ、ガードスキルハーモニクス・・・。」

と2人に促され能力を使う立華、その直後分身が現れ黒子がMP5Kを構える。

 

天使「プログラムを書き換えたようね・・・。」

 

音無「ああ、これでお前らは本体に戻る。」

 

天使「そう、あれだけの数の冷酷な意思を持ったあたしたちが・・・。」

 

黒子「え、どういうことですの?」

 

天使「分身にだって意識はあるのよ、本体に戻るといってもそれは消えないわ

   それだけの冷酷な意識を持ったあたしたちがこの子の中に一斉に戻って

   それらを一度に吸収するのよ、この子はただでは済まないわ・・・。」

 

音無「え、そんな・・・。」

 

黒子「確か10秒後に発動するはずですわ!!!」

 

天使「時間ね・・・。」と分身が呟く。

 

音無「ま・待ってくれ!!!」

 

能力発動に伴い一斉に分身が本体に戻り始め、立華が苦しみ始める。

 

立華「うぅぅぅううう!!!」

 

音無「くそ、無事で居てくれかなでぇぇぇぇぇぇ!!!」

苦しみだしたかなでを音無は強く抱きしめることしか出来なかった。




今回は行間を空けてみました、しばらく仕事が忙しくなるので更新が遅れます。

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