とある死後の風紀委員   作:エヌミ観測手

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第14話少しの平穏と新たな脅威

焼却炉前で泣いていた黒子だったが

落ち着いてきたので空き教室に一旦戻る事にする。

黒子{わたくしは酷い人生を送りましたのね・・・、あまりにも自分勝手で

親友との約束を守れなかった、そういえばこの約束は一度破ってましたわね。}

と歩きながら黒子は記憶の中で初春の忠告を聞かずに

車上荒らしを捕まえようとした時のことを思い出す。

黒子{あの時は自分だけじゃなくて、初春も危ない目に遭わせてしまいましたわ、

しかもわたくしはその約束をすっかり忘れてしまってましたし・・・。}

と考えながら歩く黒子の先にNPC女子がいた、そのNPC女子は黒子を見るなり

NPC女子?「!!!」慌ててその場から逃げ出した。

黒子{!?、あの方は操られていたときに人質にしようとした女子生徒・・・。}

NPC女子が逃げ出してから、その存在に気づく黒子。

黒子{そうですわよね、あんな事をしたら誰だって・・・。}

と自己嫌悪感に苛まれる黒子、空き教室へ戻る足取りも重くなる。

空き教室に近づいてきた黒子の視線の先でガラッと空き教室の扉が開いた。

音無「・・・。」中から音無が暗い表情で出てきて黒子の方へ向かってくる。

音無「ああ、黒子か・・・。」

黒子「音無さん・・・。」

黒子に気づいた音無は黒子の傍まで近づいてきた。

音無「えっと、思い出せたか過去の事?」

黒子「はい、思い出せましたわ・・・。」

音無「そうか・・・。」

黒子「・・・。」

短いやり取りをした後無言になる2人、やがて音無がこう切り出す。

音無「なぁ、外に出ねぇ?」

黒子「賛成ですわ、屋上なら人があまり来ないでしょうから、そこに参りましょう。」

と2人は屋上へ向かい歩き始めた、その道中に2人はお互いの過去を話す。

黒子は学園都市や自分の能力やジャッジメントの事、そして美琴や親友たちの事を

音無は夢を与えてくれた妹の事、医者を目指して頑張っていた事を

黒子「妹さんのために医者を目指していたのは立派ですわね、わたくしは1人っ子

でしたので、もし音無さんの様な兄がいたら心強かったでしょうね。」

音無「超能力を開発する町とは驚きだ、やっぱりお前は特別な存在なんだな。」

黒子「学園都市にはわたくしよりもっとすごい能力者もいましたのよ、技術だって

外の世界より数十年進んでましたから。」

音無「そこだったら、妹の病気も治せたかもな・・・。」

黒子「・・・、そうですわね、名医もいましたから可能性は高いでしょうね。」

音無「悪い、気を使わせちまったな・・・。」

黒子「こちらこそ申し訳ないですの、辛い事を・・・。」

音無「湿っぽい空気はここまでにしよう、ほら着いたぞ。」

2人は屋上の扉を開け、屋上に出たがそこには。

音黒{{あれは。}}

ゆり「・・・。」

ゆりが手すりに凭れ掛かっていた、2人に気づき体の向きを校庭へ向ける、2人も近づく。

ゆり「2人とも落ち着いた?」

音無「ああ。」

黒子「はいですの。」

ゆり「記憶が戻ってしばらくは心は不安定なものよ、あなたたちだけじゃないわ。」

そういいながらゆりは2人にKEYコーヒーを渡す。

音無「俺は弱いな、お前の強さが改めてわかった・・・。」

黒子「わたくしも弱くて、愚かでしたわ・・・。」

ゆり「強くなんかないわ。」

ゆり「それで、変わった?」

音黒「「?」」

ゆり「気持ちよ、これからも戦線に居続けるの?」

音無「居続けるよ、このままじゃ死にきれねぇし。」

ゆり「そう、黒子ちゃんは?」

黒子「わたくしもそうしますの、この世界で自分自身を見つめ直そうと思いますわ。」

ゆり「なら、あなたたちにも目的が生まれたのね。」

音無「ああ、改めてよろしく。」

黒子「わたくしもよろしくお願いしますわ、それと戦線を裏切ってしまい

申し訳ありませんでした・・・。」

ゆり「気にしなくていいわ、もう過ぎたことだし。」

黒子「ゆりさん、黒子は戦線のためにこの身をささげる覚悟ですわ!!!」

ゆり「ありがとう、とても心強いわ。」

2人は改めて戦線に居続けることを決意した。

 

 

翌日黒子は朝食をとるため大食堂に居た。

券売機で食券を買いカウンターで朝食を受け取り、テーブルに向かう。

黒子{クロワッサンと生ハムサラダ、やはり朝ごはんはこの組み合わせが一番ですわね、

さすがに朝からビーフカレーやラーメンは食べたくありませんし・・・。}

テーブルに着いた黒子は椅子に腰掛ける、するとそこへ。

日向「お、黒子も朝飯か俺たちも座っていいか?」

日向と音無が声を掛けてきた、黒子は同席を許可して2人は座る。

黒子「お2人ともご飯の量が凄いですの、さすが殿方ですわね。」

音無「黒子、お前それっぽちで足りんのか?」

黒子「十分足りますの、やはり殿方は体が大きい分食事量は多くなるんですわね。」

日向「そういう質問が出るって事は、お前は女子校の出身か?」

黒子「ええその通りですの、全寮制のお嬢様学校に在籍してましたわ。」

音無「そっか、日向は黒子の過去を知らないんだっけ?」

日向「音無は知ってるのか、そういや昨日2人ともゆりっぺに呼び出されてな。」

黒子「その時に直井副会長の催眠術で記憶を取り戻しましたの。」

音無「あいつの催眠術はすごかったよな、あの力はこの世界で手に入れたそうだし。」

日向「ゆりっぺの話によるとNPCの振りをしてる間、直井は自分の存在を保つために

影でNPCたちに暴力を振るってたらしいぜ。」

黒子「確かに模範的な行動を取り続けてたならとっくに消えてるはずですわ。」

音無「あいつ、そんなことしてたのか・・・。」

日向「もうあいつの話はやめとくか、壁に耳あり障子に目ありだ。」

黒子「聞かれたら、酷い目に遭いますものね。」

音無「変なフラグ建てんなよ・・・。」

幸いな事にこのフラグは回収されず、それぞれ食事を続けていたが

黒子がふと気になってた事を思い出す。

黒子「NPCの中には直井さんみたいにNPCの振りをしてる人間がまだいるかもしれませんわ。」

音日「「なんだって?」」

2人の問いかけに黒子は操られていた際に人質にしようとしたNPC女子の事を話した。

日向「そいつ、人間の可能性が高いな・・・。」

音無「どういうことだよ?」

日向「NPCたちは自分が殺されかけたり、傷つけられたりしても俺たちと同じで

時間の経過と共に傷は治るんだが俺たちと違いその時の記憶はなくなるんだ。」

日向はそのNPCが黒子のことを知っていることは不自然ではないが

NPCが自分が危機的状況に晒されて時間が経過した後も

クラスSSSのメンバーを恐れるというのはありえないと断言する。

日向「黒子、もしかしたらそのNPCにどこかで一度会ってるんじゃないか?」

黒子「操られる前にということですの?」

音無「人質にされたときに、黒子が生徒会にいるのを疑問に思っていたからか?」

日向「いきなり羽交い絞めにされたとしても、まず最初になぜこいつが

生徒会にいるんだとは普通思わないだろ。」

黒子「・・・、ああ思い出しましたわ、テスト妨害に参加させられそうになった時に

見かけましたの。」

音無「その時そいつと話でもしたのか?」

黒子「いいえ、わたくしを見るなり逃げ出しましたので・・・。」

音無「日向この事はゆりに報告するか?」

日向「いや、はっきりしてから報告しよう、とりあえず本部へ行くとするか。」

黒子の話を聞いた日向はそう判断し、音無と黒子の話を遮って終わらせ、本部へ向かうよう

2人に促し歩き出す、黒子と音無も後に続く。

 

 

戦線本部への道すがら、音無と黒子は自分の過去を日向に話していた。

日向「音無の人生は夢半ばで終わったのか・・・。」

音無「ああ・・・。」

日向「黒子は中学生だったのか、高校生にしてはやけに身長が低いと思ったが・・・。」

黒子「ええ、生きてればもっと成長できたはずですわ・・・。」

日向「2人とも話してくれて、ありがとな。」

記憶喪失だった2人にも悲惨な過去がある、この世界に来る者は皆一様に

ひどい人生を歩んできたんだと改めて実感する日向、その表情は真剣そのものだった。

やがて3人は戦線本部に到着したので、気持ちを切り替え中に入る。

ゆり「あなたたち、遅いわよ。」

日向「悪い、ちょっと話に夢中で飯が進まなくて・・・。」

ブリーフィング中だったらしく、ゆりに注意されてしまった。

遅刻してきた3人は慌てて部屋の隅に整列しモニターに注目する。

ゆり「それじゃ報告をお願い。」

高松「はい、本日の食券が不足していますので・・・。」

藤巻「それなら、トルネードいっとくか?」

ゆり「いいえ、今回はモンスターストリームを行うわ。」

高松の報告を受けて、そうゆりが告げると。

松下「ついに来おったかー!!!」

大山「ああああああ。」

とメンバーが騒ぎ出し、不安になった音無が日向に尋ねる。

音無「モンスターなんてのがいるのかよ!?」

黒子「そのモンスターと食券不足に何の関係がありますの

まさかモンスターを倒してそれを食べますの!?」

音無「!?」

日向「いや、ちょっと行った所に川があるだろ、そこで食料調達だ。」

音黒「「・・・。」」

音無「それって川釣り?」

日向「ああそうだけど、それがどうした?」

モンスターの名を聞き慌てた新人2人だったが心配して損してしまった。

音無「こいつらはそういうやつだった、つい釣られて変な想像を・・・。」

黒子「釣りだけにですの、なかなか面白いですわね、けれどもトルネードと違い、

このオペレーションは誰にも迷惑を掛けずに済みそうですわ。」

音無「ギャグのつもりじゃないんだが、確かにそうだな

みんな行っちまったし、俺たちも行こう。」

音無と黒子を残しみんな部屋を出て行っていたので、2人も後を追う。

連絡橋下の川へ向かう途中、突然音無が足を止めたので黒子も立ち止まる。

音無の視線の先には植物園の花壇で麦藁帽子をかぶって作業してる天使がいた。

音無「そこで何してんだ?」

音無が声を掛けると、天使は両手で何かを包んでこちらに向かってきた。

黒子{ずいぶん親しいですわね、そういえばあの時彼女は音無さんと駆けつけてましたわね。}

音無と天使の様子に首を傾げ、2人のやりとりを見る黒子、やがて天使が両手を開くと

ちょうちょが飛び立つのが見えた、黒子はマネーカード探しをしていた女の子たちを思い出す。

黒子「懐かしいですわね・・・。」

天使「あら、そっちの女の子は?」

音無「え、黒子のことか、そうだお~い黒子。」

と音無が黒子を呼んだので傍によると音無が天使も仲間に入れて釣りをしようと提案してきた。

黒子「わたくしは構わないですわ、でも戦線の皆さんはどうでしょう・・・?」

天使「それにあそこは校則で近づいちゃいけないわ。」

音無「校則なんて破ってやろうぜ、ほらいくぞ。」

と音無は黒子と天使の手を引き戦線メンバーたちのもとへ走り出す。

音無が天使を連れてきて、警戒する戦線メンバーだったがゆりが許可したので嫌々ながら

一緒に釣りをすることにし、そして一同は川に到着した。

音無「そういや、何の道具も持ってきてないが。」

日向「ギルドに連絡しといたから大丈夫だ。」

川にはすでに釣竿やクーラーボックスが準備してあり、1人の少年が釣りをしていた。

黒子「あの殿方は?」

日向「ギルドの斉藤だ、俺たちはフィッシュ斉藤って呼んでる。」

と一通り説明が終わった後、松下の号令と共にそれぞれ釣りを行う。

とりあえず黒子は音無と釣りをすることにして、釣竿を手にし川に目を向けると

黒子「あ、音無さん見てくださいまし、あそこにカワセミがいますわ。」

と岩場にいたカワセミを指差し音無に言うが、当の本人は

音無「立華、俺たちは消えない、だから一緒にいても大丈夫だ。」

音無「ホラッみんなと一緒に・・・。」

と黒子に気づかず天使との会話に夢中だ。

黒子{わたくしに気づかないとは、天使いや立華さんしか目に入ってませんのね。}

日向「おい、黒子。」

黒子「日向さん、何ですの?」

日向「お前、浮きと釣り針の餌がついてないぞ。」

黒子「ええと釣りって初めてですのでやり方がわかりませんの・・・。」

日向「そっかやり方ね、まずは・・・。」

と釣りの準備をしていた日向に呼び止められ、黒子は日向に近づく。

日向「音無のやつ天使と仲良くなってるけど、どういうことだろうな?」

黒子「あの2人って直井副会長の事件の時に姿が見えませんでしたが・・・。」

日向「直井が独房がとか言ってたから一緒に閉じ込められたんだろう。」

黒子「その独房の中で一体何があったんでしょう?」

日向「さあな聞いてみたらどうだって、痛たたた。」

と会話の途中で日向の口に釣り針が引っかかってしまう、どうやら

立華「ここからどうするの?」

音無「違う、違う・・・。」

天使が振った釣竿の針が運悪く日向に引っかかったようだ、針をはずした後

日向は天使から離れた場所で釣る事にする、去り際に黒子にそっと

日向「天使と音無の事、疑問に思ってるなら聞いたらどうだ。」

黒子「はい、もしかしたらこの世界の事を聞いたのかもしれませんし、聞いてみますわ。」

と日向のアドバイスを受け黒子は音無と天使に近づく。

音無「じゃあ2人とも、まずはルアーか釣り針に餌をつけるんだ。」

黒子「わたくしはルアーにしますわ・・・。」

天使「・・・。」

音無「お前ムシ平気なんだな・・・。」

と無難にルアーを選んだ黒子と違い天使はえさのミミズを選んだ。

天使「次は?」

音無「川にむかって竿を思いっきり振ってみろ!?」

黒子「えいっ!?」

天使「!?」ブンッと弱めの黒子と違い思いっきり振った天使、その直後

竹山「うわああああああ・・・。」

日向「あ、竹山ぁぁぁぁぁぁ!?」

と竹山が天使の釣り針に引っかかり、竿を振った勢いで空のかなたへ消えていく。

音無「お前、凄い怪力だな・・・。」

天使「オーバードライブはパッシブだから。」

黒子「パッシブ?」

斉藤「もしかしたら、あんたならいけるかもしれないな。」

音無「何が?」

斉藤「主を釣り上げることを・・・。」

とフィッシュ斉藤が言った直後、音無の肩を天使がたたく。

天使「何か引いてる。」

黒子「あら、水面が・・・。」

次の瞬間天使の釣竿が凄い勢いで軋み、川面に渦が現れ始めた。

音無「このままじゃまずい、みんな加勢してくれ!!!」

ゆり以外の戦線メンバーが天使と音無の後ろにしがみついた。

斉藤「今だ!!!」とフィッシュ斉藤が叫ぶと同時に天使は高く飛び上がり

ザバァと巨大魚も一緒に飛び上がる。

日向「釣り上げやがった!?」

藤巻「俺たちごとかよ!?」

野田「どっちがモンスターだよ!?」

大山「でも、この状況!?」

高松「まずいですね・・・。」

と巨大魚が大きな口を開け戦線メンバーを飲み込もうとしている。

松下「このまま落ちると食われるぞ!?」

黒子{みなさんをテレポートして!?}

天使「助けなきゃ・・・。」

と天使が呟くともう1人天使が現れて、ハンドソニックで巨大魚を切り刻んだ。

バラバラと巨大魚が分割した状態で地面に落下した。

その巨大魚を前に戦線メンバーたちは

藤巻「これなら,しばらくトルネードしなくて済むんじゃねぇ。」

大山「毎日これ食べるの!?」

日向「それ以前にどうやって保存すんだよ。」

黒子「どうしますの?」

音無「う~ん捨てるのもなんだし、しょうがない一気に調理して一般生徒にも

振舞うか。」

日向「ああ、そうすっか。」

黒子「それしかないですわね。」

 

 

その後校庭にて巨大魚が調理され、それを目当てに一般生徒が集まり列を作っていた。

日向「まるで慈善事業だな。」

野田「戦線どころか、何かの奉仕団体になってるな。」

大山「でも、戦う相手もいなくなったから戦線じゃなくなるんじゃないかな?」

藤巻「じゃあ、俺たちは何になるんだ?」

大山「う~ん、消えないようぐうたらしてますチームとか?」

とそれぞれが思い思いに料理をしている中、音無と黒子はこんなことを考えていた。

音無{まさか、こんな時間を過ごせるなんて思わなかったな・・・。}

黒子{穏やかな時間ですわ、これがずっと続けば・・・、生前は女子校だったから

こういう風に殿方と同じ時間を過ごすのも刺激があっていいものですわね。}

音無「なぁ、立華下の名前で呼んでいいか?」

天使「どうして?」

音無「親しくなったからだよ、一緒に釣りして一緒に料理して、

それに試験の時名前を聞いて思ったんだ、綺麗な名前だなって・・・。」

音無「好きだよ、お前の名前。」

音無「かなでって音を奏でるって意味だろ?」

立華「あなたがそうしたければ、どうぞお好きに。」

音無「ああ、俺の名前は結弦、弦を結ぶって書くんだ、そう呼んでくれ。」

立華「うん。」

黒子「ちなみにわたくしは白井黒子、色の白に井戸の井、また色の黒に子供の子ですの。」

音無「く・黒子いきなりどうしたんだよ・・・。」

黒子「お2人がわたくしのそばでいちゃいちゃとされてるので。」

音無と立華は黒子と同じテーブルにいたので、そばでいい雰囲気になってる音無と立華に

イラッときて、つい水を差してしまったのだ。

黒子「お2人はどうしてそんなに親しくなりましたの?」

音無「ええとだな・・・。」

音無は黒子に独房で聞いた立華と親しくなったが消えてしまった人の話をした。

黒子「・・・、そんなことがありましたの。」

立華「ええ、皆いなくなってしまったわ・・・。」

音無「かなで、それを踏まえて頼みがある。」

立華「何?」

音無「これからもみんなと一緒にいてくれないか?」

立華「どうして?」

音無「もう誰とも戦って欲しくないから、皆と一緒に楽しく過ごして欲しい

それに俺もお前と一緒に居たいから。」

立華「そう、あなたがそう思うならそうする。」

音無「約束だからな。」

立華「うん。」

黒子{もう2人だけの世界に入っててしまいましたわ・・・。}

幸せそうな2人を見て寂しくなる黒子だった、そこへ

大山「黒子さ~ん、ちょっと頼みがあるんだけど。」

黒子「はい、大山さんすぐ参りますわ。」

と大山が黒子を呼んでいた。

大山「悪いんだけど、一般生徒への配膳ちょっと代わってもらってもいいかな。」

黒子「ええ、構いませんわ。」

大山「ごめんね、すぐ容器を持ってくるから。」

どうやら渡す容器がなくなってきたのでそれの予備を取ってくるようだ。

NPC男子1「おい、まだかかるのか?」

黒子「あ、お待たせしてすみませんの。」

と最前列の男子が声を掛けてきたので、慌てて容器に料理を盛って渡した。

そうやって容器に料理を盛って渡していく黒子、まだまだ行列は途切れそうにない。

NPC男子?「ふ~財布落っことして、飯抜きになるかと思ったが助かったぜ・・・。」

黒子「?はいどうぞ・・・。」

しばらくするとネガティブな発言をする男子生徒が現れ、黒子から料理を受け取った。

NPC男子?「いや~ありがとうございます。」

黒子「どういたしまして?次の方どうぞお待たせしましたわ。」

黒子は何か引っかかっている気がしたが料理の配膳に戻る、その直後ズルッと音がした直後

NPC男子?「うわ、ふ・不幸だーーー。」と男子生徒の叫び声が聞こえる。

どうやら、転んで容器をひっくり返してしまったようだ。

黒子「何か、見覚えがあるような・・・?」

大山「黒子さん、待たせてごめんね。」

とその光景を見て何か感じる黒子だったが大山が戻ってきた、黒子が再び男子生徒の方へ

目を向けたがすでにそこにはいなかった。

黒子「あら、さっきの殿方はどこに行ったのでしょう?」

戦線女子1「さっき転んだ男の人?その人なら新しいのを渡したらすぐに校舎に戻ったけど。」

と男子生徒を探していた黒子に戦線メンバーの女子が教えてくれた。

黒子「あらそうでしたの、教えていただいてありがとうございます。」

戦線女子1「大したことないよ、それよりあの巨大魚もうなくなるみたいよ。」

そして戦線メンバーは料理がなくなったため後片付けに入った。

 

 

野田「そういや、ゆりっぺは?」

日向「言われてみれば、見てないな。」

藤巻「どうせどっかで高みの見物だろう。」

なべやまな板を洗う日向たちは料理を振舞ってた時に見かけなかったゆりの事を話していた。

黒子「先ほどの洗い終わった鍋8個とボウルとお玉22個食堂へ返してきましたわ。」

シュンッとそこへテレポートで現れる黒子、能力を使い借りてきた道具を戻していた。

そこへ音無と立華がグラウンドに残っていた調理道具を運んできたが、その時ドサッと

何かが倒れる音がして、音の方向へ目を向けると。

ゆり「・・・。」

全員「「「ゆりっぺ!!!」」」

ゆりが傷だらけで倒れていた、駆け寄った音無がゆりの体を起こす。

野田「ゆりっぺ、誰にやられた!?」と野田が尋ねるとゆりは

ゆり「天使・・・。」と小さな声で答える。

音無「天使!?」そう言われて立華の方を見る音無。

立華「・・・。」

黒子「え、立華さんが!?」

と黒子の隣の立華を一瞥した音無は

音無「待てよ、かなでは俺とずっと一緒だったぞ!?」

とゆりの言葉を否定する、ゆりは音無を睨んでいたが突如ある一点を見つめ始めた。

黒子「音無さん、校舎の上を見てくださいまし!!!」

音無「あ、あれは天使!?」

と黒子に言われ音無がその方向へ視線をむけると

校舎の上に月を背に赤い目の天使がこちらを見下ろしていたが次の瞬間

校舎から飛び降り地面にドンッと着地した。

天使?「みんなで夜遊び?ならお仕置きね!!!」

と言葉を発した直後、天使がハンドソニックを起動させこちらに向かって突進してくる。

ゆり「!?」音無に支えられていたゆりが音無から離れナイフを取り出し天使を迎え撃つ。

カキィン、キィンと白兵戦を繰り広げる両者、周囲の戦線メンバーは唖然としていたが。

音無「みんな半円に取り囲んで制圧射撃、ディストーションで曲げられようがいくらかは

当たる!?」と音無が指示を出し、それぞれが180度の範囲に散らばった。

黒子「音無さん準備完了ですわ!!!」

音無「ゆり、離れろ!!!」

と音無が叫び一瞬の隙を突いてゆりが天使から離れたのを合図に

音無「撃てっ!!!」

パパパパパパと銃弾が天使に放たれるがキィンキィンとはじかれてしまう。

黒子「リロードですの。」

日向「弾切れだ、装填する。」

同時に撃ってしまったため全員が弾切れになり、射撃が中断されてしまった。

絶好のチャンスを天使が逃すわけはなく、天使が高速で突っ込んでくる。

音無「くそっ!!!」

黒子「30発じゃ少なすぎますわ!!!」

と悪態をつく音無とMP5Kのマガジンを差込みコッキングハンドルを戻す黒子だったが

その横を立華が超高速ですり抜けていって、天使と対峙しそして天使と立華は相打ちに

なってしまった。

 

 

その翌日閉鎖されてる医局の保健室前でTKと椎名が入り口の警備を行っていた。

その中でベッドに横たわった天使を前に戦線メンバーが話し合っていた。

音無「かなでは大丈夫なのか?」

ゆり「あたしたちと同じだから、致命傷でも直に治るわ。」

日向「同じやつが2人現れるなんて・・・。」

高松「一体どういうことでしょう?」

ゆり「理由はあるわ、天使エリア侵入の時に彼女のパソコンにはスキルを

開発するソフトがあったのよ、その1つが発動していたわ。」

黒子「どんな能力ですの?」

ゆり「黒子ちゃんはパソコン見てなかったの?、一体が二体に分かれてたのよ・」

黒子「つまり分身というわけですのね。」

高松「天使自らが自分と姿かたちが同じ分身を作り出したんですね。」

藤巻「まったく同じってわけじゃなさそうだぜ。」

日向「ああ、かなり好戦的だった。」

音無「かなでは自分を守る能力しか使わない、ハンドソニックだって跳弾させるためだ。」

直井「まったく無能な連中ばかりだな貴様らは・・・、

もちろん音無さんは違いますよ!?」と直井が戦線の批判と音無のフォローをし話し始める。

直井「可能性があるとしたら、あの分身は強い攻撃意識を持ってるときに発生した。」

黒子「なるほど、巨大魚の時の事ですわね。」

日向「その時の本体の指示に従い続けてるわけか。」

音無「しかし、かなでが強い攻撃意識を持つ事はない。」

ゆり「・・・、どうでもいいけどあなたずいぶん彼女を庇うのね。」

とこれまでのやり取りの中でかなでへの批判などを反対した音無にゆりは疑問を持った。

音無「いや、それは可哀想だろ・・・。」

ゆり「ふ~んまあいいわ。」

大山「これからどうすればいいんだっけ?」

黒子「分身を消す方法を探るのですわ、しかし。」

高松「意図的に出す事が出来るのなら、意図的に消せると思ってましたが・・・。」

日向「それができたらこんな風に相打ちになってないはずだ。」

ゆり「恐らく無意識のうちの出現ね、彼女も予想してなかった、結局相打ちでしか

止められなかった・・・。」

高松「しかも、分身は好戦的で昨夜の言動から察するに我々に模範的に

学校生活を送らせるよう強制するはずです。」

大山「でも、もう生徒会長じゃないよ。」

日向「強い攻撃意識が残ったようにルールを守らせようとする意思も残ったってことだ。」

黒子「今は見逃されて安全でしょうが、これから先は・・・。」

ゆり「みんなにお願いがあるわ、時間を稼いで頂戴。」

音無「どうやって時間を稼ぐ?」

ゆり「授業に出て受ける振りをすること、先生の話に耳を傾けちゃ駄目

天使に見つからないように別の作業をすること。」

ゆり「1日持ちこたえてくれればいいわ、メンバーが1人も欠けることなく

再び会えるよう祈っているわ。」

そして戦線メンバーはその場で解散した。




今回はここまでです、こんな自己満足の作品を見てくださる方がいるかわからないですが
もし読んでくださったのなら感想をいただけると嬉しい限りです。

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