とある死後の風紀委員   作:エヌミ観測手

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第11話不信感そして決別

この日黒子は1人で歩いていた。

普段は戦線から呼び出しが無い限りは音無か日向といる事が多いのだが、ここ1週間戦線は活動していなかった、先ほどまで音無たちと雑談していたがこれまで自由に過ごすことをしていなかった

ため、せっかくの機会なのでこの学園をあちこち歩き回ってみようと思い今に至る。

黒子{改めて思いますけど大きな学校ですわ・・・。}

黒子{全生徒数が2000人近くいるって話でしたわね。}

今は昼休みの最中であちこちで見かけるNPCたちもそれぞれ思い思いの時間を過ごしてる。

黒子{しかし、仕草といい外見にもそれぞれ差異があってどう見ても人間にしか思えませんわ。}

黒子はNPCとすれ違うたびに感心する、しばらく歩いてゆくと1人のNPC女子が黒子に向かって

歩いてきてたのだが。

NPC女子?「!!!。」

黒子「?。」

黒子を見るなりいきなり逃げ出した。

黒子「あ、行ってしまいましたわ、なんだったのでしょう?」

NPC女子の行動に首を傾げるしかなかった。

黒子{他の場所へ行くとしましょう。}

歩き回るのも飽きてきたので、黒子は別の場所へ向かう。

 

 

武器庫の前に黒子はいた、ここは戦線メンバーが普段携行できないアサルトライフルや狙撃銃や軽機関銃などの重火器や各種弾薬が保管されている。

黒子はここに来るのはこれで3回目だ、近くの壁に取り付けられてる校内の内線電話が武器庫の扉

を開ける装置となっている、パスワードを入力すると隠し扉が開く仕組みとなっている。

黒子{この設備は高校生が作ったものにしてはレベルが高いですわね、この戦線下手をすると

小国家並みの力を有しているのでは・・・。}

ちなみにこの設備もさることながら、地下にあるギルドは黒子の想像を超える規模を有している。

黒子「失礼しますの。」

日下部「あれ、お前は確か新入りの超能力少女だよな?」

黒子「黒子ですわ、何ですのそのあだ名は。」

日下部「すまんなみんな噂してるからさ、ついね。」

日下部「それで何のようだ黒子、渡した武器に不具合でもあったか?」

黒子「いえなんとなく足を延ばしただけですの。」

日下部「そうか、まあゆっくりしてけよ、今は俺1人だけどな。」

黒子「あれ、他の5人の方は?」

日下部「最近は表立った活動をしてないから、みんなこの機会に気分転換で出払ってるんだ。」

黒子「なるほど。」

日下部「・・・。」

黒子「・・・。」

黒子「あの、1つ聞いても?」

日下部「何だ?」

黒子「日下部さんの過去って・・・。」

日下部「・・・、俺の過去ね、聞きたい?」

黒子「無理にとは言いませんが・・・。」

日下部「俺は好きな女を守れなかったんだ。」

日下部は自身の過去を語り始める。

生前の日下部は工業高校に通っていたが、親の転勤の都合で普通科の高校へ転校した。

転校先の高校は男女共学で男子校だった前の学校とはまったく違う世界だった。

日下部「ずっと男としか授業受けてなかったから、女子と一緒なのは新鮮だったよ。」

日下部「転校したときの自己紹介もマジで緊張したさ、そして俺はそこで・・・。」

転入したクラスでの自己紹介も終わり、席につく日下部は隣の席の女子を見た。

身長は170と女子としては背が高くスタイルも抜群,

眼鏡をかけているものの顔立ちも整っていた。

しかしいつも俯いていて前髪で顔の上半分が隠れており、本人の雰囲気も近づきがたい暗い雰囲気

のためかいつも1人でいる大人しい少女だった。

日下部「あれを一目惚れって言うんだろうな、見た瞬間もう虜になった。」

黒子「日下部さんの容姿ならさぞ多くの女子に言い寄られたでしょうね、そしてその方とお付き合いが始まりましたの?」と日下部に黒子が問いかけると、日下部は首を横に振った。

日下部「いいや、その女は美山沙織って言うんだが付き合ってはいなかった、確かに俺の事はすぐ噂になって休み時間にクラスの女子だけじゃなく他のクラスや違う学年の女子も集まってきたが俺は隣の美山に夢中だった、他の女は眼中に無かったんだ。」

イケメンの転校生が来たことはすぐ話題になった、日下部はラブレターをもらったり、帰り道に複数の女子に待ち伏せもされた、しかしその中でも一際目立つ存在がいた。

日下部「その学校には女王と呼ばれる女がいてさ,

ルックスはいい方だとおもうが高慢で厚かましい

女が居てさそいつ俺を見るなり「あんたをあたしの彼氏にしてあげる、悪い話じゃないでしょ?」

って告白してきたんだよ、俺は断ったんだけどさ、そいつしつこかったんだ。」

女王と呼ばれる榊麗華は国会議員を父親にもつわがままお嬢様だった

いつも取り巻きを従えており

ブランド品を身につけていて気に入らない事があるとすぐわがままを言って周囲を困らせていた。

自分より成績がいい女子はカンニングしたと教師に言いつけたり、自分より男子受けのいい女子も呼び出していじめたりした。

黒子「最悪な女ですわね・・・。」

日下部「あいつは最低だよ、外見があれでも中身が残念だった。」

しつこく日下部に言い寄ってくる榊を最初はやんわりと断っていた日下部だったが、あまりにも執拗に迫ってくるので、好きな女がいるから付き合えないときっぱり断った。

黒子「まさか、美山さんの事を話しましたの!?」

日下部「そんなことしたら、美山が危険に晒されるだろ。」

黒子「そのことを伏せていたものの、結局気づかれてしまったんですの?」

日下部「そんなところだ、女の勘というよりもバレバレだったからな俺の美山への好意が。」

それからしばらくすると、美山の様子がおかしくなったのだ、言うまでもない榊の仕業だ。

しかし日下部がそのことで榊に言い寄れば美山へのいじめは余計にひどくなるだろう。

日下部「俺は美山が気に入らない女子をいじめてる事を国会議員の父親に話したが、取り合ってくれなかった、逆にありもしないことで議員を脅迫しようとしてるのかと疑われた。」

黒子「子が子なら親もですわね・・・。」

美山へのいじめはエスカレートし、数日後日下部は信じられないことを知らされる。

日下部「美山はいじめを受けててもちゃんと学校へ来ていたが、そのことで業を煮やした榊が取り巻きの女子の彼氏や金で雇った男を使い美山に集団暴行をしようとしてると

取り巻きの彼氏でもある俺の友達が教えてくれたんだ。」

黒子「それで・・・。」

日下部「未遂に終わらせたよ、そんな事絶対にさせないそいつと一緒に現場へ殴りこんだんだ。」

美山は服を脱がされそうになったが、間に合って助けられた、その後彼女を家まで送り届けた。

家の前で美山は日下部に微笑んで「ありがとう」とお礼をいってくれた、

以前から日下部と友達は榊の悪事の証拠を掴んでおり、警察に動いてもらうよう準備していた。

美山への暴行未遂事件が公になれば間違いなく榊は破滅するだろう。

大変な1日が終わり、日下部は眠りについた・・・、しばらくして深夜の時間帯に消防車のサイレンが聞こえ始めたので目を覚まし窓の外を見ると・・・。

黒子「彼女の家が燃えていた?」

日下部「ああ榊がやったんだ、慌てて駆けつけると救急車で美山が搬送されるところだった。」

日下部「全身大やけどで重症だったが生きていたよ、けど彼女の両親は亡くなってしまった。」

黒子「・・・。」

日下部「しかも協力してくれた友達の家も火事になったんだ、そして俺の家も・・・。」

日下部「友達は一家4人全員が犠牲になり、俺も両親を亡くした・・・。」

黒子「・・・。」

日下部「その後は半狂乱になって榊の家まで行って、そこからは覚えていない・・・。」

日下部「きっと口封じに殺されたんだと思う、それしか思いつかない。」

黒子「そうでしたの・・・。」

日下部「俺は好きな女を最後まで守れず、また俺のせいで友人を死なせた。」

黒子「胸中お察ししますの、申し訳ありませんつらい事をお聞きして。」

日下部「お前は記憶喪失なんだってな、それだってつらいだろ。」

黒子「つらくないといえば、嘘になりますが日下部さんに比べれば遥かにましですわ。」

日下部「お前はなぜ死んだんだろうな、絶対その能力が関係してそうだな。」

黒子「能力?テレポートの事ですの?」

日下部「普通にありえないだろ、瞬間移動できるなんて。」

黒子「この能力の事を思い出すまでは、無意識に力が働いたときは疑問に思いましたが

能力に関する記憶を取り戻した後は自分が能力を使える事に異常を感じませんでしたね・・・。」

日下部「自分が特殊能力を持った常識では考えられない存在なのに?」

黒子「この世界で常識を語るのはどうかと・・・。」

日下部「能力に関する生前の記憶があるってことは、この世界で発現したわけじゃないだろ

だったら生前のお前が能力を開花させたんだよ、話を聞く限りでは。」

ズキッと頭痛がした、記憶が戻る兆候のようだ

黒子「痛っ!?」

日下部「おい、平気か?」

黒子「・・・、ちょっと思い出せましたわね。」

日下部「そ、そうかすまないがそろそろみんな戻ってくるだろうから用がないなら・・・。」

黒子「長い間お邪魔しましたわ、失礼しますの。」

シュンとテレポートで黒子は去っていく。

 

 

日下部の言葉を待たずテレポートした黒子は戦線本部に現れる。

一同「「「「うわっ!!!」」」」

黒子「よっと、あら失礼いたしましたわ。」

日向「黒子かびっくりさせるなよ・・・。」

音無「お前どこいってたんだ?」

黒子「ちょっと用事がありましたの、今はブリーフィング中ですの?」

ゆり「ちょうどよかったわ、この作戦は黒子ちゃんが鍵なのよ。」

黒子「わたくしが?」

音無「もうすぐテスト期間だから、天使の答案をお前の力ですりかえるんだと。」

ゆり「ええ全教科0点にして、天使の評判を失墜させるのよ、これで教師や一般生徒の天使を

見る目が変わるはずよ、名誉の失墜に彼女は・・・。」

とゆりが続きを言おうとしたが。

黒子「ふざけないでくださいまし、この力を悪用して人を陥れるなんてお断りしますわ!!!」

ゆり「ちょっとどうしたのよ!?」

音無「黒子?」

黒子「申し訳ありませんわ、わたくしはこんな事に賛同できません!!!」

ゆり「この作戦は黒子ちゃんが参加しないと困るのよ。」

黒子「そんな事は知りませんわ、とにかくわたくしは協力致しません、失礼いたしますわ!!!」

日向「おい黒子待てよ!?」

シュンと黒子は去ってゆく。

音無「ゆり、探しに行くか?」

ゆり「仕方ないわ、強制できそうにないからあきらめるわ。」

ゆり「この作戦は黒子ちゃん抜きで行います。」

 

 

テレポートした黒子は焼却炉に来ていた。

黒子「思い出しましたわ、わたくしはこの力を努力の末に開花させたのを・・・。」

黒子「その力で天使を陥れるなんて、プライドを傷つけられるようなものですわ。」

黒子「・・・、これからどうしましょう。」

???{あの女利用できそうだ、僕の計画のため駒にしておくか・・・。}

黒子「はぁ。」

???「そこの女子生徒ため息をついてどうしたんだ?」

黒子「はい、確かあなたは副会長の直井さん?」

直井「悩みがあるなら、僕が相談に乗るが。」

黒子「はい、実は・・・。」

 

 

その夜武器庫

シュンと音と共に現れた少女が保管されている武器を触ってゆく

夜間のため武器庫内は無人だった。

 

 

その後生徒会長立華奏は戦線メンバーの妨害により失脚させられた。

生徒会副会長の直井文人が会長代理として活動する・・・。

 

 

トルネード作戦が終わった後、学食で戦線メンバーが食事を取っている。

日向「お前、それ誰も頼まない激辛麻婆豆腐だぞ。」

音無「そうなのか、うわ一口で激辛!!!」

音無「あ、でも美味いなこれ、日向も食ってみろよ。」

日向「嘘だろっじゃあ、っ辛いけど美味いな。」

ゆり「それ天使の食券よ。」

音日「「そうなのか!?」」

音無{これあいつの大好物なんだ、そんなささやかな幸せを奪っちまったんだ・・・俺。}

ゆり{天使は人だ、生徒会長を辞任させられた事で自分を慰めるために好物を買う天使はいるはずがない、彼女はあたしたちがギルドで武器を作り出すのに対抗するために能力を開発していた。}

日向「黒子は戻ってこねぇな。」

音無「そうだな・・・。」

音無「なぁもしかしたら今の天使なら俺たちの仲間になってくれるんじゃないか?」

藤巻「はぁ、何言ってんだ!!!」

戦線男子1「今まで俺たちはあいつに痛めつけられてたんだぞ!!!」

戦線男子2「確かに今日は大人しかったが、また襲ってくるかもしれないんだぞ!!!」

日向「愚問だったな、音無君。」

音無「・・・、ああ。」

 

バタンッと大きな音を立てて開く食堂の扉

生徒会の腕章を付けたNPCたちが入ってくる。

藤巻「何だ、手前ら!!!」

ゆり「一般生徒たちよ。」

NPCに周りを囲まれてしまい、咄嗟に戦線男子がHK33を構えるが

シュンッと音と共に手にしていたHK33が消えてしまう。

戦線男子1「えっ!!!」

ゆり「なっ!!!」と手でHK33の銃口を下げようとしたゆりも驚く。

シュンシュンシュンとテーブルに立てかけていた銃が消えてゆく。

音無「これって。」

日向「いや、まさか。」

と2人が怪しんでると、NPCたちをかきわけ生徒会会長代理の直井が現れる。

直井「そこまでだ、色々と容疑があるがとりあえずは時間外活動の現行犯で全員反省室行きだ。」

直井「僕が生徒会長になったからには貴様らに甘い選択肢はない。」

黒子「・・・、武器は預からせていただきましたわ。」

戦線一同「「「「「「!!!」」」」」」

と驚く戦線メンバーたちの前に黒子が食堂入り口から現れる。

黒子{申し訳ありませんみなさん、わたくしは自分が正しいと思う事をします・・・。}

直井「黒子君ありがとう、万が一抵抗されたらけが人が出てしまうから・・・。」

黒子「・・・、いえ大したことではありませんわ。」

音無「黒子・・・。」

日向「一般生徒の制服を着てやがる・・・。」

直井「よし、連れて行け。」

戦線メンバーたちは反省室に連行される。




オリキャラの日下部の過去を書いてみました。
最初タグにオリジナル展開と書きましたが、実際はほぼ原作どおりなので
修正しました。

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