そろそろまた日常回を書こうと思います。
オレは苦笑いをしたままバーサーカーを見ている。
威圧感か殺気といったものがこの空間をぴりぴりさせている。
「しかし、これはちょっと危ないかもな、小細工させて貰うか」
そう言ってロケット花火をバーサーカーに向かって飛ばす。
バーサーカーはそれを手を伸ばして掴んでいた。
握り潰しているがその一瞬だけで今のオレには十分だった。
「ハアッ!!」
その一瞬を活かしてオレは一気に接近する、そしてその勢いのまま頭へ刀を振り下ろした。
「フン!!」
しかしその一閃に対して冷静に真剣白刃取りをするバーサーカー。
だが、両手がお留守だぜ?
最初からこれが狙いなんだよ!!
「食らっとけ!!」
すぐにオレは片手を離し、刀からロケット花火に持ち替えてバーサーカーの口に放り込む。
火花が口の中で弾けていく、バーサーカーは刀を取り落として後退をしていた。
「さて、主導権を取れ……!?」
その言葉を最後まで言う事はできなかった、
バーサーカーが異様な速度でこちらへ向かってきていた、逃がさないというように狩りをする者の目つきだった。
「はああああ!!!」
後退はできたものの拳が突き刺さる。
刀を盾にすればいいのだが間に合わなかった。
その一撃は尋常ではなくオレを一回転させるほどの威力だった。
「がっ……」
息を吐き出すが汗が止まらない。
肋骨が折れているのが分かる。
「頭を踏んでおしまいにしてあげるわ」
不敵な笑みを浮かべて少しずつオレに向かってくるバーサーカー、これは絶体絶命だろう、そう思ったときにバーサーカーへ飛び掛るように挑む影があった。
「させるものかよ!!!」
無茶な事をする影の正体はキャスターだった。
結界を爆発させてバーサーカーを吹き飛ばし、オレの方向から遠ざけていく。
煙を上げてけたたましい爆発音が何度も響き渡る、それだけで連続で放っているというのが伺えた。
「無駄なのよ!!」
しかしその行動も虚しくバーサーカーが駆け出していく。
煙が晴れた瞬間、キャスターが力いっぱい地面に叩きつけられる。
多分どこかの骨はいっただろう、それだけは間違いない。
そして首根っこを持ち上げられて息をできないように結界へ押さえつけられていた。
「いいからそいつらから離れろっての!!」
ライダーが憤怒の顔でバーサーカーへ迫る。
速度も完全に乗っていたし不意打ちとしては最高のタイミングだ、しかしバーサーカーはそれを見て微笑んでいた。
「それは厄介ね、壊れなさい!!!」
バーサーカーがキャスターを離して飛び上がる、そして次の瞬間ライダーのバイクに向かって飛び後ろ回し蹴りを繰り出していた。
バイクと足の激突。
とてつもない轟音を響かせて煙が上がる。
「ぐああっ!!」
ぶつかり合いは残念な事にバーサーカーに軍配が上がったようだった、その損害はとてつもないものでバイクとライダーをまとめて吹き飛ばしていた。
よく見るとバイクは少しへこんでいてヒビも入っている、宝具を壊すなんてやばすぎるんじゃないのか。
「いつつ……こりゃもういくしかねぇな」
そう言ってライダーが距離をとる、キャスターも手を合わせて詠唱を始めた。
二人とも宝具の開放か、そりゃあれだけ痛い目に合わせられたらこっちも切り札を切るよな。
まあ、オレの場合は真名開放がそれほど必要ないからいいんだけど。
「『我は奏でられた戦いの唄に合わせて踊る者
重き外装と裏腹に心軽く、軽き心の中に情熱の炎を灯す
今ここで始まるは狂いし舞踏、『
「『汝らは今宵籠の中の鳥となる
この籠の中では我が耳には汝らの鼓動を我が目には汝らの所作を
我は汝らの全ての把握する籠の主、『吾戦場ヲ知ル者』!!』」
二人の詠唱が終わると景色が変わる、これはキャスターの奴だろう。
対象は多分さっきまであの結界に入っていた奴らだ。
きっとあの結界を媒介にして自分の気力を上乗せした大結界を作ったのだろう。
そしてライダーは何か武骨な篭手と具足を装着していた。
その重さが尋常ではないと分かっているがバーサーカーのような奴には最適なのかもしれない。
頑丈なだけの宝具ではないのだろう、何かしらの仕掛けが有るはずだ。
「お前はもはや逃がさない」
「女王様の仇を取りたいからな、ガラにも無く燃えちまっているんだよ」
キャスターが首を鳴らして真っ直ぐにバーサーカーを見ながら言ってのける、ライダーも構えてバーサーカーに言葉を発していた。
「何をやっても無駄なのよ!!」
そう言ってバーサーカーは駆け出す、さっきの俺達を捕まえたりした時とほとんど変わらない速度だ、速すぎるぜ。
「ライダー、左だ!!」
「オッケー!!」
バーサーカーがライダーに向かって左フックを繰り出す、キャスターの奴読んだのだろうか?
いや、そうじゃないな、きっと宝具だろう。
これは先読みをするための結界で、この結界の中に居る奴ら全員が対象となっているはずだ。
「残念でしたー!!」
避けたライダーは拳を握りこむ、そこをサポートする為に俺は動き出す、逆の方向からアサシンの奴も来ていた。
「喰らえ!!」
ロケット花火をバーサーカーの頭上に向けて放つ、計算通りの方向へと向かっていっている、アサシンもその方向を見て笑っていた。
「何処に向かって撃っているのかしら!!」
バーサーカーが笑って俺たちの方へ向かってこようとする、上の気配にも気づけないなんてどれだけ余裕ぶっているんだ?
「無論今笑っている愚かな塵芥の方向だ
受け取れ、
衝撃波によって強引に軌道を変えるロケット花火がバーサーカーに当たって炸裂する。
火花と衝撃波で目が碌に見えていないはずだ、ここでやらないと次の機会を作るのは難しいぞ。
「いくぜ、
想像以上の速度にバーサーカーの表情が変わる、驚きか怯んでいるのかは分か
らない。
ライダーの一撃がバーサーカーのわき腹へと当たる、オレたちのように折れはしていないだろうがそのままライダーが振りぬいて殴り飛ばした。
「決まったァ!!、お前の耐久は今の攻撃でこれが発動してる間『最低』になるぜ!!」
その言葉を聞いた瞬間、オレの背筋に怖いものがはしりぬけた。
強制的にキャスターたちと同じぐらいって事は俺の刀でもかなりの痛手になる、そんな仕掛けだったなんて恐れ入ったぜ。
「ハアッ!!」
その言葉を耳ざとく聞いていたのかキャスターが一撃をぶち込む。
その一撃にバーサーカーが吹っ飛ぶ、よろめく程度だった筈なのにこれとは効果覿面だな。
「まだまだ続くぞ!!」
衝撃波の追撃が入る、キャスターの次にアサシンは叩き込んでバーサーカーにペースを掴ませないようにする。
しかし、次の瞬間キャスターが大きな声でアサシンに呼びかけていた。
「アサシン、足を気をつけろ!!」
「ハッ、それを見抜けぬ
キャスターの呼びかけに軽口で返すアサシン、足を畳んで対策をしてたようだ。
不敵な笑みを浮かべている。
「はああああ!!!!!」
そして衝撃波で地に着く前にバーサーカーは手を伸ばしていた。
アサシンの足に拳を叩き込む、畳んでいたおかげで握り潰されることは無かったがあれでは折れているかよくてヒビだろう。
アサシンは痛みからか汗を噴出すが不敵な笑みを変えずに衝撃波をコントロールして着地をした。
「防御してこれとはな……この痴れ者が!!
キャスター、こいつを浮かせろ!!」
アサシンが怒りのままキャスターに命令をする。
キャスターも笑いながら結界を爆発させてバーサーカーを浮かせる。
「受け取るがいい、ライダー
アサシンがライダーの方向へバーサーカーを吹き飛ばす、その行動に対してライダーは親指を立てて応えていた。
「任せろ!!」
そこからはとてつもないラッシュが始まる、筋肉がビキビキと音を立てて唸っていた、耐久が最低の状態であんな筋力で殴られたら只じゃすまないだろう。
瞬き一つも許されないほどの速度で叩き込んでいく、そしてこれで終わりというように腰を捻った。
しかしキャスターがそれを遮るかのように大きな声で警告をしていた。
「ライダー、顔に来るぞ!!」
その言葉を信じて篭手で防御をするライダー、確かによく見てみるとバーサーカーは頭を振って勢いをつけているのが分かる、そして次の瞬間攻撃を繰り出していた。
速さが尋常じゃない、あれを見てからとなるとかなりきついものがあるだろう、キャスターの奴が止めさせてでも防御を促すわけだ。
「フンッ!!!」
連撃の合間に篭手に向かって頭突きをするバーサーカー、篭手で防御をして難を逃れる。
しかし篭手自身に僅かなヒビが入ってしまい、ライダーはこの展開に顔をゆがめていた。
「おいおい、こいつも少しイカレたのかよ……でもこれで終わりだ
華は譲るぜ、セイバー!!」
拳の一撃を叩きこまれてバーサーカーは吹っ飛ぶ、何とか着地を成功させようと踏ん張り地面を足につけるがその瞬間キャスターの悪い笑みが見えていた。
指を鳴らして爆発を起こし、一瞬ではあるが立ったままの姿勢を保たせた、最後の場面でいい補助だ。
「トゥラトゥラトゥラー!!!」
最後にオレが後ろからバーサーカーの霊核を突き刺す、深々と貫かれた胸から大量の血が流れている。
「距離を取れ、セイバー!!」
キャスターの言葉にオレは反応する、一瞬見えたのは勢いをつけようと腰を捻るバーサーカーの姿だった。
「あああああ!!!!」
離れた瞬間に肘打ちが放たれていた。
キャスターが言葉をかけてくれなかったら洒落になってなかった、全部の肋骨が圧し折られてたかもしれないな。
「この……」
俺はもう一度霊核を狙いにいく、突き刺した後に捻って粉々にしてしまえば流石にこれ以上は戦えないはずだ。
「次で本当に終らせてやる!!」
オレの突き刺すのに合わせて全員が動いていた、バーサーカーの抵抗をキャスターが読んだんだろう。
頭突きでオレを狙う瞬間にアサシンが衝撃波で頭を下げさせて、ライダーがそこで顔面にとび蹴りを入れる、そしてキャスターが一撃を腹に叩き込む。
三人の攻撃がバーサーカーの動きを一瞬止めたその時にオレは突き刺した。
「これで終わりだ、この……化け物め!!」
刀をそのまま捻ってバーサーカーの抵抗をあとの三人が止めていく。
数秒か数分かは知らなかったが何度も捻っていく、するとバーサーカーの力は抜けていき片膝をついた。
それを見て俺は刀を引き抜く、少しずつバーサーカーが光の粒子へと変わっていく、ようやくこの戦いが終わった、そう考えると安心したのか自然と息が漏れる。
「さて……それじゃあこいつを解除しますかね」
ライダーがガチャガチャと音を立てながら篭手や具足を消していく、それにしても凄い能力だったよな。
「俺も解除……!?」
キャスターがそう言って掌を合わせる、すると少しずつ景色が元の場所へと戻っていく。
こうして見ると結界って凄いものだよな、そして完全に戻る前の一瞬の間にいきなりキャスターの顔が青ざめる、一体何が見えたのだろうか?
「全員身を守れ…攻撃が来る!!」
手を振ってオレ達に呼びかけるキャスター、その顔の色から全員がただ事ではないと感じていた、その言葉通りマスターを庇うように刀を構える。
ライダーも庇うように前に立ち、アサシンも手をかざしていた。
「『四神』が一つ、『白虎 虎砲閃』!!」
エネルギーのレーザーが主従に対して降り注ぐ、この映像が見えたからこそキャスターは青ざめたのだろう、無理も無い。
「くっ!!」
刀で防ぎこの一撃をやり過ごす、キャスターはすぐに抱えて安全な場所へと移動していた、アサシンは衝撃波でレーザーを相殺していてライダーはその耐久力を活かし掌で受け止めていた。
「とりあえず全員無事みたいだ……」
全員が肩で息をする中、煙が徐々に晴れていく。
全員マスターと自分の身は守れたがどうやら大団円とはいかないみたいだな、そんな事を考えていたら人影が見える。
完全に煙が晴れた時にそこから現れたのはボディスーツを着た男性と、学生服を着た女性だった。
次回もまだすこし続きます。
何かご指摘などがありましたらメッセなどでお願いします。
そして今回で遂に初めての脱落者が出ました、バーサーカーです。
このような形の脱落で申し訳ありません。
今回コラボに協力してくださった炎狼さんにはこの場で感謝申し上げたいと思います
炎狼さん、本当に有難うございました!!