『川神聖杯戦争』   作:勿忘草

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コレはコラボ企画で始まったものです。
その為たくさんのマジこい2次創作の作者様が協力してくださり実現しました。
私が含まれ7人ですのでこの場を借りて私を除いた6人の執筆者の方々にお礼を言いたいと思います。

順不同となっております。

『真剣で王に恋しなさい』 兵隊さん
『真剣で私に恋しなさい!S ~西方恋愛記~』youkeyさん
『真剣で武神の姉に恋しなさい!』 炎狼さん
『真剣で強者に恋しなさい!』 うなぎパイさん
『真剣で清楚に恋しなさい!』 ユニバースさん
『真剣で私に恋しなさい! ~Junk Student~』 りせっとさん

このたびは参加、本当に有難うございます。


『プロローグ』

『聖杯の胎動 開かれる戦いの宴』

 

夏特有の熱っぽい空気を伴いながら太陽が沈む。

綺麗な満月が出てこの辺り一帯の風景が真っ暗闇に染まる。

その時……ある場所で光っているものがあった。

それは太陽のように燦然と輝いていて夕焼けのように儚げでも有った。

 

この物質の名を人は『聖杯』と呼ぶ。

 

『聖杯』とはかつて『アーサー王伝説』において『円卓の騎士』たちが求めて旅立ち、その内の一人『ガラハッド』が見つけたとされるもの。

それは人々の願いを叶える『万能の願望機』とまで言われた神秘の集大成のような存在なのである。

 

……そしてその『聖杯』というものは『アーサー王伝説』以外の伝承でも多くありまだこの世に現存する物もある。

 

またこの『川神』にもその『聖杯』は存在していた。

 

どこか分からぬ所で光り続け、手に入れた者の願いを待ち焦がれているのだ。

六の魂を捧げた者に頭を垂れるのだ。

 

当然コレを奪うには正当な闘争が必要となる。

 

その闘争の名は『聖杯戦争』。

 

『サーヴァント』と呼ばれる一騎当千のつわものや英雄の霊である『英霊』を召喚し、それを従える『マスター』とペアとなって戦うシステムだ。

 

『サーヴァント』には七つのクラスが有って、それぞれが適性によって聖杯の座から呼び寄せられるのだ。

 

七つのクラスと言うのは……

 

『剣士』

『弓兵』

『槍兵』

『狂戦士』

『騎乗兵』

『暗殺者』

『魔術師』

 

となっている。

 

これ以外にもイレギュラーとしてのクラスは有る。

それは『復讐者』だ

 

剣を携えるサーヴァントは『セイバー』。

弓を番|<つが>えるもしくは銃弾を放つサーヴァントは『アーチャー』。

槍を振るうサーヴァントは『ランサー』と呼ばれる。

 

この三つのクラスは『三騎士』と呼ばれている。

七つの中でもトップクラスの戦闘力を誇る。

 

特にセイバーは『最優』と呼ばれていて仮に意図的に召喚できるのであれば、全員がそのクラスを狙う事だろう。

 

ただデメリットを度外視するのであれば『最強』と名高い狂戦士……『バーサーカー』という選択肢が存在する。

 

暗殺者のサーヴァントである『アサシン』はその四つのクラスとは違い『スキル』で押すタイプである。

 

そして騎乗兵のサーヴァントである『ライダー』はその四つのクラスとは違い『宝具』で押すタイプである。

 

魔術師のクラスである『キャスター』はとてつもない魔力を用いることで、『道具作成』や『陣地作成』によって己の土俵に持ち込むことができる。

魔力のブーストによる強力な魔術を放ったり、その魔力でマスターを強化するなどの後方支援型のクラスである。

 

 

『スキル』はそのサーヴァントが持ちえる技術であり、『宝具』はそのサーヴァントの生き方や武功による伝説を具現化した『武装』の事を指す。

 

例としてスキルを説明するならば、アサシンは『気配遮断』というスキルで隠密行動や不意打ちに優れている。

アーチャーが『単独行動』のスキルを持ちマスター不在でも動く事ができる。

 

……とこう言ったように戦い方において方針を考える指針となるのだ。

 

 

これがこの『聖杯戦争』におけるクラスの説明である。

そしてサーヴァントの概要だ。

 

次は『マスター』についての説明となる。

 

『マスター』に求められる者はさまざまだ。

 

戦略を組み立てる頭。

共に戦える腕っ節。

逃げを決めることのできる決断力。

令呪を使うことをためらわない勇気。

 

コレは聖杯をめぐる七つの主従の物語である。

 

一人は白と黒を基調とした服を着た少女。

肩口や足の付け根にふわふわの毛皮をつけたかわいらしい物だ。

髪の毛は濃いピンク色でツインテールにしていて膝まで伸びている。

彼女は八重歯を見せた少し凶暴性が見え隠れする笑みで目的地へと向かっていた。

 

一人は黒色の髪を短く切った女性。

美しい顔立ちだが彼女の目には謀略が渦巻いていた。

彼女は笑みを浮かべながら目的地へと向かっていく。

彼女のその微笑みや雰囲気が逆に警戒心をを与えていた。

そのせいだろうか、野鳥や犬や猫はその女性にたいして若干距離を取っていた。

 

一人は黒を基調とした服を着た女性。

おなかや太ももを大きく露出した格好だ。

女性特有の膨らみが服の基調の色である黒に対して、白い服で覆われているためよりいっそう強調されている。

髪の毛は紫色で片目を隠すようにしている。

彼女はサディスティックな笑みをうかべて目的地へと向かっていた。

 

一人は羽織と袴を着て額にバッテンの傷がある白髪の小柄な女の子。

諸葛孔明を思わせる団扇をもち特徴的な笑い声を上げて目的地に一直線へ歩いていく。

その姿はまるで王の行軍を思わせるものであった。

 

一人は赤いバンダナを頭に巻き、茶色の髪を持った少年のような顔つきをした男性。

世間一般で言われる『イケメン』といわれる部類の顔つきをしているであろう。

彼は地面を歩かず軽業師のように木から木へと飛び移って召喚の為の場所へと向かっていた。

 

一人は長い髪を束にまとめて馬の尻尾を模したような髪型をした女の子。

その女の子は薙刀を持ちこれからの戦いに期待を馳せていて、それを言葉なしに表現できるほど清清しい笑顔で軽やかに歩いて目的へと向かっていた。

 

一人は燃えるような赤い髪を腰まで伸ばした女性。

右目には眼帯、そして衣服は軍服とこの日本には似つかわしくない風貌をしている。

腰にはトンファーを携えており、ぴりぴりとした殺気を纏っている。

目的地へと向かうその姿は凜としているが恐ろしいものがあった。

 

それから暫くして各々が目的の場所へと到着する。

 

召喚陣を書き、その中心に向かって触媒を置いて手をかざし召喚の呪文を唱え始める。

 

「閉じながらに満たされてそれを繰り返すこと実に伍度、時は満たされてその時は瞬く間に破却されゆく」

 

そしてはじめの言葉を言った後は全員が呼ぶための言葉を紡ぎ始める。

当然決まった言葉なんてなく全員が思い思いに言い放ってゆく。

 

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ピンク髪のツインテールの少女の場合。

 

彼女は刀の柄を触媒にしていた。

当然彼女はコレがどういったものかは知らない。

第三者が言わなければ絶対に分かる事もないだろう。

しかし自分が決めたのだからきっとこれは大丈夫なものだ。

そんな根拠のない自信を持って彼女は詠唱を始めた。

 

『最優の称号の証を持つ剣士よ、呼ばれるは同調する者の姿なり』

『汝は主と共に暴れるために有り、主もまた楽しみて暴れつくす者』

『主の言葉に心鳴動し、此処に現れろ!!』

 

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黒髪のショートの女性の場合。

 

彼女は銀の首飾りを触媒にしていた。

首飾りには擦れているが何かしらの文字が書かれていた。

彼女の謀略の目が渦巻く。

そして一気に吐き出すように詠唱を始めた。

 

『雨の如く乱れ撃て、汝は射手の者、ここに現れるは任務を成し遂げし者』

『汝は私に聖杯を運ぶ者、ここで願いをかなえるとき傍らに付き従う者』

『主は眼前で汝を待つ、いでよ、四神操るつわものよ!!』

 

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サディスティックな笑みを浮かべる紫髪の女性の場合。

 

彼女はある指輪を触媒にしていた。

その指輪が何処で出てきたのかは分からない。

ただ分かるのは大事にされているという事実だけだ。

ダイヤの入ったその指輪は少しなんだか哀しい光を放っていた。

 

『汝は最速の者、汝は確実に堅実に戦いて勝利をもたらす者』

『汝が心に抱くは夢、叶えたき思いは愛』

『汝は純なる一つの思いで主を勝利に導く者、現れよ、強き者よ』

 

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バンダナの男性の場合。

 

彼は何も触媒も持っては居なかった。

本来ならばやるべきではない、なぜならその召喚の場合は波長が有ったものが呼び出されることになる。

つまりクラス適性さえも無視したとんでもない『サーヴァント』の可能性がある。

しかし彼はその様な事なんて意に介さず嬉々として詠唱を始めた。

 

『汝は『木行』、『火行』、『土行』、『金行』、『水行』の『五行』を扱う者なり』

『汝は隠れ蓑に潜みて首を狩り、汝は森の中で木を装うように、汝は隠蔽と殺しを成し遂げる存在なり』

『汝は気づかれぬように姿を暗闇に隠す者、しかし今宵月光の元に訪れる!!、いでよ、闇にまぎれし殺意を持った禍々しき者よ!!』

 

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羽織袴の白い髪の毛をした女の子の場合。

 

彼女は髪留めを用意していた。

川神一子達とはまた違った大人な雰囲気の髪留めである。

それには何かしら意味があったのだろう。

堅い紐であったため普通では結んだり解いたりするのが難しい代物だった、まるで封印を思わせるものだった。

 

『汝はその眼を戦いの熱に曇らせて戦闘に狂う者、しかし汝は強者ゆえに虚しき檻に囚われる』

『しかし我は汝を囚わせはしない、我は汝の檻を壊す者、汝が我を重んじるのならば我がお前に戦いを与えよう』

『我は汝の主であり理解者、故に我の眼前へ現れよ『最強』の英霊よ!!』

 

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馬の尻尾のような髪形をした女の子の場合。

 

彼女は川神水のひょうたんと摘みを乗せるような皿を触媒にしていた。

川神水に縁があるものが本当に居るのかと疑いたくもなる。

しかしそれは純粋な心を持つ彼女には野暮な考えだった。

彼女は笑みを浮かべて好奇心旺盛な顔で詠唱を始めた。

 

『汝は騎乗の技能を持つ(つわもの)、汝は拳により敵を打破する者』

『私と汝が思い描く戦いの道、それは一致してると願う、信頼の上に積み重なるものがあると信じている』

『共に夢を見て進んで行く為に……来て!、共に有るべき人!!』

 

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軍服を着た赤い髪の毛の女性の場合。

 

彼女はドイツ軍の服の切れ端を触媒にしている、紅色に染まったそれは血の色だと感じ取れていた。

そして集中をして息を吸い込む。

そこから一拍置いてよく通るような声で詠唱を始めた。

 

『汝は『最弱』の称号を持つ者、故に汝は魔たる術を用いる者、汝の術の為に私は動き、私の武の為に汝の術は唱えられる』

『戦場で私は汝の矛となり汝はその矛を苛烈とする、私は汝の盾となり汝はその盾を強固とする』

『私の武と汝の術にて願いを捧げる為に互いに支えて道を行く、来なさい、私の心に答えしものよ!!』

 

 

全員が召喚の詠唱を終える。

すると目も眩むような光が召喚陣から放たれる。

 

その光がなくなった後、手に焼けるような強烈な痛みがはしる。

その原因を確かめる為に手を見ると、手には聖痕(スティグマ)のような紋様(もんよう)が現れる。

発光に続き強烈なつむじ風によって辺りの砂や木の葉が大きく舞い上がり砂煙が起こる。

召喚に関する詠唱の速度としては全員が全くの同時であった。

その為、『マスター』によるクラス適正などの優劣によってどのクラスの『サーヴァント』が出てくるのか決まるであろう。

 

ちなみに手に現れた紋様は『令呪』と呼ばれるもので『サーヴァント』に対する絶対命令権である。

それは三画有り、一画につき一度。

つまり三度までならばどのような命令も聞かせることができるのだ。

 

そしてつむじ風が晴れたとき召喚陣の中心には一人の男、または女性が立っていた。

 

全員がその姿を見て息を呑む。

『サーヴァント』とは一騎当千の存在である。

その為存在感も威圧感も普通の人間たちに比べ圧倒的にあるのだ。

だからこの反応は何も不思議なことではなくむしろ当たり前のものであった。

 

それから一拍置いて『サーヴァント』が口を開くのだった。

 

あるサーヴァントは笑みを浮かべながら。

あるサーヴァントは凛とした顔で。

あるサーヴァントは頬をかいたりしながら。

あるサーヴァントは胸を張り不敵な笑みで。

あるサーヴァントは傲岸不遜に。

あるサーヴァントは肩をすくめながら。

あるサーヴァントは睨みつけながら。

 

それぞれ行動や態度は別では有るがひとつの言葉を言い放つ。

 

「確認だけど、お前がオレのマスターで間違いないんだよな?」

「問わせてもらうが貴方が俺のマスターか?」

「一応状況的に考えてみたが俺のマスターはあんたか?」

「貴方が私のマスターね、宜しく頼むわ」

「問おう、貴様が(オレ)のマスターか?」

「質問だけど君が俺のマスターで合っているのか?」

「問うぜ、あんたが俺のご主人様なんだな?」

 

それは目の前の存在が己の主か確かめるものだった。

 

そして召喚の場所から遠く離れた『親不孝通り』での『宇佐美代行センター』である反応があった。

それは全てのサーヴァントが筒なく召喚されたという合図だった。

この反応があるということはつまり川神聖杯戦争が始まるという事なのだ。

 

今回監督役となった『宇佐美巨人』は目を押さえながらこの現状にため息をつく。

自分の胃に穴が開かないだろうか、白髪が生えないだろうか、年齢のこともあってそんな事を考えてしまう。

 

しかしそんな考えなど露知らず。

今此処に聖杯を求める闘争が始まる。

川神を舞台にしたとてつもない闘争が。

待ち受ける結末は幸せなのか不幸なのか。

……その結末は全員を照らす月と輝き続ける聖杯だけが知っている。




プロローグはこのようになりました。
次回からはまたいろいろなキャラや真名明かしなどしていきたいと思います。
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