『――――見つけたよ』
サーチャーによってスバルと敵狙撃手を索敵していたなのはからの念話越しの報告。
届けられた情報に従い、ティアナは幻術魔法によって編み上げた不可視のベールを纏いつつクロスミラージュを両手で構えながら目標地点へと向かう。2丁拳銃(ツーハンドモード)ではなく1丁だけの形態にしているのは、手数ではなく正確かつ素早い射撃を求めている為。
「ハッ、ハッ、ハッ、ハァッ…」
実の所、クロスミラージュの助けも借りてオプティックハイドを展開し続けているティアナは心身ともに限界に近づきつつあった。
元より彼女は周囲の魔導師勢よりも頭1つ分低い魔力量しか持ち合わせておらず、無駄を省いた術式構築と魔力運用にカートリッジとクロスミラージュの助けを借りても長時間展開しながらの戦闘は過酷なものがある。特に集中力が酷く消耗させられているのが問題だ。
一旦オプティックハイドを解き、ごく短時間でもいいから心身の緊張を緩めたい。しかし状況が許してくれない。
不用意に姿を晒したら最後、間髪入れずに敵狙撃手の弾丸に撃ち抜かれかねない。
最も恐ろしいのは次の遮蔽物めざして移動するその瞬間だ。飛行魔法が使えない彼女では、姿形は消せても足音までは消せない以上、僅かでも響いた足音のせいで位置を悟られ射ち抜かれやしないかと考えると心臓が痛いぐらい縮こまってしまう。もしかしてこの荒い息遣いのせいでバレてしまうかも、いっその事呼吸も止めてしまおうかと、そんな考えすら過ぎる。
何時撃たれるのか、あの柱まで滑り込もうとした途端に撃たれやしないか――――恐怖心がティアナの肩にのしかかる。
特にわざわざ囮として堂々姿を晒してくれているなのはに対し、1発も弾丸が飛んでこない事がより一層ティアナの恐怖心を煽った。つまり相手はなのはには目もくれず、敵狙撃手に対するカウンタースナイプを任されたティアナこそを標的に据えているという証左なのだから。
勿論スバルの安否もなのはの身の安全も心配だ。それでも、敵に一方的に狙われる恐怖は生半可な重圧ではない。
目標地点に辿り着く。
場所は吹き抜けフロアの最上階。フロア1つが丸々休憩所として設けられている部分で、天井まではかなり高くなのはが飛び回ってもあまり支障は無さそうだ。そこかしこに自動販売機やプランター、歓談用のベンチと固定式の丸テーブルが各所に配置され一見遮蔽物が多い。
囚われの身となっていたスバルの姿は、休憩所の客用スペースの中心に在った。大きな瓦礫にもたれ掛るような態勢でバインドらしき赤い紐で後ろ手に拘束されている。そこだけ各テーブル間が距離を置いて配置されている為見晴らしがよく、スバルに近づく者は間違いなく分かる位置だ。
意識の無い様子のスバルを発見したなのはとティアナはまず安堵の溜息を別々に漏らし、それからこう思ってしまう。
「(でも何でわざわざあんな妙に卑猥な縛り方なのよ!)」
「(分かってたけどやっぱりスバルも胸おっきいなぁ)」
――――人それを専門用語で亀甲縛りと呼ぶ。胸の部分を縦横の縄で絞り出すようにして強調するのがポイントだ。
ティアナは歯ぎしりした。なのはは視線を自分の胸元とスバルの胸元とを往復させた。
あと顔が幸せな夢でも見てる感じに口の端から涎を零して蕩けてたり、ホットパンツの内股部分がペットボトル1本分の水でもぶちまけられたみたいに湿ってる点については……そっとしておこう。主にスバルの名誉の為に。
とにかく、この状況はどこからどう見ても罠だった。スバルに近づこうと試みる者が居ればスコープに捉え次第引き金を引こうと敵狙撃手が待ち構えている事は、想像に難くない。
なのはとティアナの現在地は、ティアナはエスカレーター乗り場近くの自動販売機の陰に張り付き、なのはは吹き抜け空間を挟んで反対側の通路に降り立った所だ。
未だ相手は撃ってこない。態々吹き抜けを急上昇して突っ切りながら姿を現したというのに、やはり見え見えの撒き餌に引っかかるつもりは無いという事か。
『なのはさん、今反対側の通路に居ます』
『ティアナ、相手が潜んでいそうな場所、分かる?』
『何箇所かは予想がついています。スバルに近づこうとすればすぐ分かるような場所に潜んでいるに違いありません』
『私もティアナと同じ考え。今サーチャーで潜んでいそうな場所を探してるけど……』
ガンナーそしてフォワード勢の指揮官として培った視力と観察眼が、向こう側の通路のなのはが眉根を寄せて若干顔色を険しくするのを捉える。目星はつけれてもやはり簡単に発見するのは非常に困難なようだ。
『なのはさん、敵は間違いなく私達と同じこのフロアに居るのは間違いないと思います』
『その根拠は?』
『角度の問題です。向こうはきっと直射弾による攻撃しか出来ないんだと思います。スバルを助けに近づく私達を狙うには、下の階からじゃ殆ど狙えません』
『――――正解だよティアナ。私やフェイトちゃんを狙った狙撃も、スバルを倒した狙撃も全部直射弾によるものだった。誘導制御型だとしたら弾速が速すぎるもんね』
誘導制御型魔力弾は、標的を追尾するという特性上えてして直射型魔力弾よりも弾速が遅いのが一般的だ。速すぎると誘導が追い付かず、標的の機動に付いていけなくなるからである。魔力弾の飛翔速度を実銃で表すならば誘導制御型は拳銃弾で直射型はライフル弾、という表現がしっくりくるかもしれない。
一般的な対処法としては飛翔速度の遅さと弾速に起因する威力の低下を補うべく、魔力の集束度を上げたまたは単につぎ込む魔力量を増やした魔力弾を複数同時射撃と共に時間差誘導で標的を別の魔力弾、もしくは仲間の元へ誘い込む追い込み猟的運用法で成果を上げている。なのはやティアナなどがこれに当て嵌まる。
どちらを多用するかで魔導師のタイプも大まかに大別される。誘導型魔力弾を多用する魔導師はなのはやフェイトを筆頭とした前線で暴れ回る高ランク魔導師が多く、直射型を多用する魔導師は魔法のバリエーションや魔力量の少なさを射撃の腕前や直射型の弾速で補い前線から1歩引いた後方から援護に当たる低ランク魔導師が多い。
後者はかつて武装隊の名スナイパーと謳われたヴァイス・グランセニックが該当する。ティアナはその中間といった所か。
直射型狙撃の使い手が求めるのはより良好な射界だ。簡単に敵の姿を発見でき、確実に敵の姿をスコープに捕捉でき、出来る限り敵の姿を障害物に遮られないポイント。
それらの要素が合致する位置に敵狙撃手は潜んでいる。だがその姿を未だ捉える事は出来ていない。
『頼んだよ、ティアナ』
『…分かりました!』
なのはが動く。レイジングハートを両手で握り締め、徒歩でベンチやテーブルを回り込みながらスバルの元へと向かっていった。
テーブル間は戦闘の余波から生き残った透明のパーティションで区切られており、最短距離を飛んでスバルに辿り着くのは不可能だった。
なのはが1歩1歩スバルへと近づいている間にティアナも場所を移る。敵狙撃手が潜んでいるであろうポジション、それを逆に狙うのに最も最適なポジションを求め、ティアナも小走りに休憩所へと接近していく。
自分だったら、どこから狙うか。
敵の思考を読み取れ。仕掛けた餌を求めてやってくる獲物はどんなルートでやって来る?どんな手段で接近を試みる?どのタイミングで撃つのが最も最適なのか?
あの場所だと角度が悪い。あの地点では気づかれやすい。あの位置では遮蔽物が多過ぎる。このポイントでは逃げ道が無い。
マルチタスクをフル活用して取捨選択。考え悩み推理し思考し思い煩い何回も何十回も考え抜いた揚句、やがて休憩所の一画へと辿り着いたそこは喫煙者用スペースのすぐ近く、横倒しになったタバコの自販機の裏側に屈み込んだ。ここからならば、敵狙撃手が潜んでいる可能性が特に高い数ヶ所のポイント全てを射界に捉える事が出来る。
そっと膝立ちの姿勢を取り、授業中に机に突っ伏して眠り込んだ学生宜しくクロスミラージュのグリップを握る両手ごと上半身をタバコの自販機に預けた。こうして接地面を増やす事で単に両手で構える以上に銃型デバイスの安定感が増し、照準のブレが抑え込まれる形となるのだ。精密射撃を行いたければこうして身の回りの物を活用して安定感を増す工夫も必要なのである。
射撃姿勢を維持したまま深呼吸。販売機の裏側に長年溜まっていた埃と販売機の表面に被った粉塵を危うく吸い込みかけそうになったが、どうにか呼吸を整える。
「スー……ハァ~~~~~~」
なのはとスバルとの距離は残り20m程。なのはの足取りもかなり慎重だ。スバルがやられた時散乱していた瓦礫に発煙弾が仕込まれていた点を踏まえ、上官もトラップを警戒しているようだ。これだけ遮蔽物があれば幾らでも仕掛けようがあるので、油断は出来ない。
なのはには1mが10mにも100mにも感じられた。視線の先に確かに存在する筈の仲間の姿が、遥か地平線の彼方よりも遠くに在るように思えた。
ティアナには1秒が1分にも1時間にも感じられた。過ぎ去っていく1秒1秒が何十倍にも何万倍にも引き延ばされる感覚はまるで拷問だった。
何時まで待てばいい。何時まで耐えればいい。早く撃て、早く何処かへ消えてしまえと叫び散らしてやりたい。
いっその事限界ギリギリまで抑え込んだプレッシャーを解き放って目につく物全てを粉砕してやりたい、そんな衝動に駆られてしまう。
ここまで精神的に苦しい経験はティアナにとって初めての経験だ。これに比べれば訓練校での日々も、初めての災害救助も、Bランク試験や6課に所属してから経験してきた訓練や実戦で味わってきたプレッシャーなんて目じゃない。
これが狙撃戦。これが、狙撃手相手の戦い。
果たして自分は、この戦いに勝ち残る事が出来るのか?
「(こうなったらどっからでも撃ってきなさいってのよ!)」
―――でないとこれ以上待たされようもんなら、戦いが終わるよりも先に心臓が限界を迎えて破裂しかねないわよ。
内心そう付け加えながら、ティアナはひたすらに相棒を構えてその瞬間の訪れを待ち続ける。
――――予想通りの展開だ。
腹這いで五体投地しべったりと粉塵を被った床に顔を押し付けたまま決して微動だする事も無く、トゥレディはそう1人ごちる。
なのはは単独行動のままおっかなびっくりとした足取りで少しずつ、そして着実にスバルの元へと向かっている。ティアナは相変わらずオプティックハイドで姿を隠しているのでどこにも姿が見えないままだ。
それだけが問題要素だった。
最低で肉眼で目視する事が出来なければ意味が無いのである。
「(なのはの事は今は無視しても大丈夫だ。ティアナの相手に集中しよう)」
最初はゆっくりと背筋を逸らし、ゆっくりと首を巡らせて状況を確認。
なのははスバルの回収に集中しているし、ティアナも恐らくは別方向に意識を注いでいるのでトゥレディの気配を掴めていないだろうが油断は禁物。何せ全裸になっても構わず反撃の砲撃を放ってきたなのはという実例が、目と鼻の先に存在しているのである。
幾らスカリエッティ謹製の改良に改良を重ねた光学迷彩で完全に姿を消しているとはいえ、行動の痕跡そのものは決して消し去れない。
地上本部という建物内外で勃発した戦闘の余波によって振動した屋内では、天井から降ってきた埃が床面にうっすらと層を作っていた。その上で全身を投げ出し匍匐しようものなら鉛筆で黒く塗られたページを消しゴムで擦ったかのように人1人分の帯という痕跡を床面に残す事となる。
『痕跡を残すな』――――それが狙撃手の鉄則。
否応無しに痕跡を残してしまう以上、迅速に決着を付けなくてはならなかった。
ライフルのピストルグリップを軽く握り、ストック部分をグリップを握る右腕に、銃身部分を左手の前腕に乗せたまま腕を伸ばしつつ片足を腹へと引きつける。引きつけた足を延ばすと同時に両腕を曲げて肉体を前方へと引っ張る。
両手を伸ばす。片足を引きつける。足を延ばして両腕を曲げる。それを延々繰り返す。
ライフルが散乱している物にぶつかって音を立てないか。ライフルや<インビジブル・コート>が床と擦れ合って余計な音を立てていないか。己の一挙一動に細心の注意を払う。
鼻が擦れるぐらい薄汚れた床に顔を押し付けていたせいで口と鼻に粉塵の臭いと味が広がった。
無駄な動きは一切行うな。息も動かすな、心臓も動かすな、ただ手足だけを必要最低限動かし続けろ。目を凝らせ。耳を澄ませ。異変を見逃すな。己の存在を標的に悟らせるな。
「(見つけた)」
別段ティアナの姿そのものを捉えた訳ではない。果たしてトゥレディが見つけ出したのはティアナが残した痕跡である。
ほんの僅かにうっすらと、それこそ常人ならば目を凝らしても判別できるかどうか分からぬ痕跡。狙撃観測用の高感度センサーが仕込まれた彼の『目』が見つけ出したのは粉塵に覆われた床に残されている、小さめだが物々しい軍隊用ブーツにも似た足跡だった。
這い蹲ったまま、足跡を辿る。たっぷり1分以上かけて足跡を追いかけた結果、喫煙スペースに辿り着いた。横倒しになった自動販売機のすぐ傍で足跡は途切れている。
……違う。『彼女』は、そこに居るのだ。気配で分かる。ティアナは狙撃兵として経験を積んできたトゥレディ程隠密行動を心得ていない分隠行に荒があった。姿形は誤魔化せても気配そのものを消し切れていない。
「(
なのはとティアナが別行動を取った以上、幻術魔法で姿を隠す事が出来るティアナがカウンタースナイパーの役回りを受け持つ事は予想の範疇だった。
彼女ならば囮のスバルに近づくなのはを狙撃するのに最適なポジションを冷静に導き出し、逆に狙撃ポイントに対する狙撃を行うのに最適な地点に潜り込むだろう――――転生者だからこそ持ち合わせたティアナに対する知識と評価によって、トゥレディはティアナの行動を予測してみせた。
そして裏をかく。
トゥレディの狙いはティアナだ。なのはに対しては既に前回の段階で最低限の目標は達成していたので、可能ならば更なるアプローチを加えるつもりではあるが状況が切迫しているようだったら諦めるつもりだった。
だからこそ、なのはを狙撃できるポジションではなく、ティアナが潜むであろうポジションを予め先読みしておき、ティアナが陣取るであろう場所よりも更に後方にて、最初から潜んでいたのだ。
ティアナの裏をかき、彼女の背後を取る為に。
ニトログリセリンが表面張力ギリギリまで注がれたワイングラスを持ち上げるよりも繊細に、布地がこすれ合う音1つすら起こす事無く立ち上がり、それから姿そのものは見えぬが間違いなくそこに居るであろうティアナに対しライフルの銃口を向けた。
<インビジブル・コート>の光学迷彩を解除しつつワザと音を立ててライフルの安全装置を操作する。これがトゥレディなりの最後通告。
不可視でありながらハッキリと感じ取れるほどの動揺が彼の元に伝わってきた。
『――――なのはさん、聞こえますか。今すぐスバルを拾ってこの場から逃げて下さい』
『ティアナ?敵を見つけたの?』
『敵はもうなのはさんを狙っていません………今私のすぐ後ろに居ますから』
『ティア――――』
銃声。途切れる念話。
なのはの身体は勝手に動いていた。決してティアナが居たであろう後方を振り向こうとせず、フラッシュムーヴでも発動させたかのような瞬発力でもってベンチやプランターを飛び越えてスバルへの距離を瞬く間に詰めた。
許されるのであれば、ティアナをも倒したあの敵狙撃手に一矢報いてみせたい。だがそれが許されるのはスバルを助け出してからだ。ティアナは自分を犠牲にしてスバルの事をなのはに託したのだから、彼女の想いを決して無駄にしてはならないのだ。
素早くスバルの元にしゃがみ込み一瞬で容態を把握。やはり意識を失っているだけで外傷などは見られない。敵狙撃手はやっている事は性犯罪者そのものだが必要以上に女性を傷つける趣味を持ち合わせていないみたいなのは不幸中の幸いか。
「スバル、今助けるよ」
脱力し切ったスバルの死体を勢い良く抱え上げた。
――――唐突に、電子的なアラーム音が短く鳴った。
発生源は、後ろ手に拘束されたスバルの手元から。
「えっ?」
なのはが反応出来たのはそこまで。
――――視界が白一色に覆われた。
反射的に瞼が閉じられて視界が一転真っ暗になったと同時に全身を叩く軽い衝撃。バケツ一杯の水を頭から引っかけられたような感覚だ。バリアジャケット全体が強い湿り気を帯びていく。
唇の隙間から僅かに液体が滑り込んできた。酷くぬるぬるとした感触だ。ゆっくりと目を開けて頭から太腿まで感じる感触の正体を目で確かめる。
それはどろどろで、ぬるぬるで、ねとねとだった。
――――もう1度言おう、どろどろで、ぬるぬるで、ねとねとだった。
ぶっちゃけローション的なアレであった。やや白濁気味に着色されている辺りが余計にアレである。
傍から見れば数十人―数百人分?―の○○○○をぶっかけられたようにしか見えない。
勿論そんなトラップが仕掛けられていたスバルもいい具合に全身ねちょねちょ状態と化していた。
「………」
今なら後継人勢の承認無しにリミッターを解除できるかもしれない。
ふつふつと噴火寸前の活火山みたいな思考状態になってきたなのはの元におもむろに人影が現れた。片手にライフル、もう片方の手でスバル同様ぐったりとした有様のティアナを抱えた狙撃手の姿。
なお、ティアナもまた蕩けた顔を晒してバインドで亀甲縛り風に拘束されている事をここに追記しておく。何という早業。
それにしても下手人がわざわざ自分から姿を現すとはいい度胸である。良い具合に頭が煮え滾ったなのはは、ティアナの存在も忘れて赴くままに片手だけでレイジングハートを構えようとし――――
ここでなのは(そしてついでにスバル)が被ったローション的ナニカについて説明しておこう。
液体(粘液?)の正体は、スカリエッティが開発した薬品である。人体そのものには無害なので安心してもらいたい。誤って飲み込んでしまっても大丈夫なので子供でも安心だ。
薬品の効果はある条件化に於いて発揮される。その条件とは高濃度の魔力素に触れる事であり、触れた端から形を成すほどに集束された魔力素を分解していくのである。
そんな薬品を魔力で構築されたバリアジャケット姿のなのはが被ってしまえばどうなるか。
有体に言ってしまえば、バリアジャケットのみ溶けてしまうのである。
「ぬるぬるぶっかけプレイキタコレ!!(゚∀゚)」
「ま、またぁ!?」
気が付いた時には時すでに遅し。白を基調としたなのはのバリアジャケットは見る見るうちに分解されて素肌が露わになっていった。ものの10秒足らずで液体を被った部分が全て分解されてしまった。
出る所はしっかり出て引っ込む所はキュッと引き締まった肢体全体がぬるぬるした液体に包まれた事でしっとり湿り気を帯び、各部各部のラインの陰影がより肉体のいやらしさを強調する形で浮かび上がっている。
そして何より、なのは程の美少女がほぼ全裸(ニーソックスとブーツだけは生き残っていた)で尚且つ全身白濁液まみれというアブノーマルなエロさ満点な姿。ついでにニーソックスが残ってくれたのはトゥレディ的にポイントが高い。彼は全裸も好きだが半脱ぎも大好物なのである。思わず両手を合わせて拝みそうになったのはトゥレディだけの秘密だ。
撮影?もちろんバリアジャケットが溶け始めた段階でとっくに記録済みですとも。変則的な半脱ぎ状態でも十分にエロかったとだけ言っておこう。
もちろんぬるぬるトラップが仕掛けられていた張本人であるスバルもまた全裸でぬるぬる状態と化していた事をここに追記しておく。健康的にたわわに実った膨らみの先端から良い具合に白っぽい液体が滴り落ちる様子はとてもとても卑猥だった。
「こ、これぐらい平気だもん!ってまた消えた!?」
我に返りつつ自分の異変に気づいた事で冷静さを取り戻したなのはだったが、晒した隙は余りにも致命的。
視線を元に戻した時にはまたもトゥレディの姿は消え去った後だった。ご丁寧に近くのベンチにティアナが寝かされていた。
なのはの与り知らぬ所だったが、いい加減トゥレディもトンズラする頃合いだった。スカリエッティの代わりに襲撃計画を指揮していたウーノからは襲わせたガジェットも大部分が撃退されたとの情報も届いていたし、そもそも彼自身無理を言ってこの場に残り続けた立場なのだ。これ以上つっぱねる訳にもいかない。それに十分にイロイロと堪能させてもらったし。
そんな訳で、手に余るぐらい大きくフカフカだったスバルっぱいと、彼女ほどではないがそれでも大きさ良し形良し感度良しと3拍子揃った優等生なティアナっぱいの感触を思い出しつつ、トゥレディはホクホク顔で退却していくのであった。
「あ~ばよぉとっつぁ~~~~ん!!」
どこぞの怪盗3代目的な捨て台詞を残して。
なのはにとっては紛う事無き完敗であった。ぬるぬるまみれのまま涙を浮かべて叫ぶ。
「ううううううう……とっつぁんじゃないもん。今度こそ、今度こそ絶対負けないんだからー!!!」
その後『JS事件』と通称される一連の戦闘機人関連の事件が解決したしばらく後、一連の事件についての感想を語ってくれた高町なのは一等空尉はこう語っている。
――――『あの地上本部での戦いの時ほど、(皆の貞操的な意味で)身の危険を感じた体験は無かった』と……
※書いた当時の疑問:服だけ溶かして生物は溶かさないスライムってどんな組織構造してるんだろうね?
今頃劇場版なのは2作目を見たせいでこのオリ主1期や2期にブチ込んだ話やろうか悩んでるのは内緒だ!(何
いや書くんなら執念で収容施設から脱走したオリ主と6課勢の最終決戦を先にすべきか…
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* + うそです
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+ (ヨ(* ´∀`)E)
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