鳥竜種な女の子 作:NU
第11話 空腹の中で
灼熱の太陽が砂を焦がす。
砂漠。砂と岩に囲まれた灼熱の世界。陽炎が景色を歪め、砂嵐が視界を遮る。
彼女はその大地をふらふらと歩いていた。
彼女、といっても人間ではない。
彼女はゲネポスである。
自分が何の為に生まれ、生きているのか彼女には理解出来なかった。
周りの同じ雌のある者は子孫を残し、群れを続けさせていくことが生きる理由だと言い、またある者はボスの為に戦い、役に立つことが生きる理由だという。
下らない。
彼女はその全てを理解しなかった。雄と交わって子孫を残したところで何が楽しいというのだろうか。ボスの為に尽くしてもボスは自分の為に何かしてくれるだろうか。
何も楽しくはないし何もしてくれはしない。
自分を追いかけてくる雄はどれも同じような奴ばかり。ただ子孫を残すことだけしか考えてはいない。だから彼女はその雄全てを拒否し続けて来た。
周りのゲネポス達はそんな彼女を変わり者と扱い、彼女との関わりを絶った。ついには彼女は完全に群れから孤立し、彼女が帰る場所は無くなった。
群れにいたところで何も楽しくはない。群れを離れる、それ自体は別に構わなかった。
ただ問題が生じる。
ふらり、とゲネポスの体が揺れた。倒れる直前に足を曲げて何とか持ちこたえる。
もう何日も何も食べていなかった。
ゲネポスは本来集団で狩りをするモンスターである。一頭だけではアプケロスさえも倒すことは出来なかった。この数日間、水だけをすすってなんとか命を繋いできた。
だがそれももうすぐ限界らしい。彼女は空腹で視界がぼやけるのを感じ始めていた。
ついに耐えきれず、力が抜けてそのまま地面にドサリと崩れ落ちる。
太陽がじりじりと倒れる彼女に照りつける。ぼんやりと空を見上げ、ついに死を確信した。
今までの生活を振り返り、本当につまらない生涯だったと思う。
今度生まれて来る時には何に生まれようか。彼女はそんなことを考える。
真っ先に思いついたのが人間だった。
砂漠を行く人間達を彼女は何度も見たことがあった。それぞれが自分たちとは違って多種多様な見た目で、自由に動くことが出来た。そんな人間達が彼女は羨ましくてたまらない。
楽しそう。
なんの根拠もない、ただそれだけの理由であった。ゲネポスとしての退屈な日常とは違う、別の日常。それを彼女は待ち望んでいた。
目を閉じてただ死の時を待つ。
と、その時。
彼女の耳は何かが砂を踏む音を捉えた。
その音は段々と彼女に近付いて来る。身の危険を感じるが、動く気力が無い。もし凶暴なモンスターであれば何もできないまま捕食されることになるだろう。どっちにろ死ぬのには変わりないと彼女は全てを諦めた。
音が止まる。その主は明らかに彼女のすぐ隣に立っていた。今か今かと死の時を待ち続ける。
しかし、次に聞こえてきたのは、
「い、生きてる……のか?」
人間の、声だった。