あのよくわからんゴタゴタがあって放課後
俺の隣にはカリム、いやねぇ、放課後に俺ら職員室に呼び出されたでしょ?
ぶっちゃけ言って俺な……職員室の場所わかんなかったんだよ
え?ダサい?
しょうがないじゃん、まだ入学して二日目だぞ!?
俺が前世で通っていたのは普通の公立高校!!
敷地は広いとも狭いともいえない、特に小学校や中学と変わらない校舎
それがいきなりこんな超有名私立高校にチェンジし、一日で前の倍以上ある校舎を覚えるなど到底不可能!!
てかこの学校無駄な所に凝ってんだよな
庭やら庭やら庭やら庭やら………
そんな訳でどうやって職員室に行こうかとウロウロしていたらカリムに見つかったわけだ
まあ向こうも俺を探してたみたいだし、中等科の彼女なら校内全部知ってるだろうと思って一緒に行動中だ
でもなぁ……彼女の隣を歩いてると………いつも以上の男子生徒諸君からの呪いのような目線が……
さっきまでは俺の事を知っている初等科の奴らばかりだったけど今度は中等科の先輩達まで………俺の今後の学校生活が不安でしょうがない……
「どうしたのですか?ケントさん」
「い、いや、なんでもないです」
ちなみに今声をかけてくれた人は中等科の三年生
髪の色は赤紫、ショートヘアの彼女は………
「ついて来てくれて有難う御座いました『シャッハ』、ここからは大丈夫なので」
「本当に大丈夫ですか?道間違えないでくださいね」
「こ、ここからなら間違えません!!」
後の『シスターシャッハ』、確か三期では陸戦AAAだった筈……
てかカリムがいたら彼女もいるよね普通、原作でもカリムとその弟の教育係って設定だった筈……
てかカリムさん、貴方中等科ではなかったでしたっけ?
なんでそんな心配されてるんですか!?
貴方この学校に何年いるんですか!?
そうこう心の中で叫んでいる内にシャッハさんが何処かへ行ってしまう………はて……
「ここは……どっちに曲がったらいいのでしょうか………」
「(゜o゜;;」
通りかかった先生に道聞きました
「「本当に申し訳ございませんでした!!」」
「すみませんでしたぁ!!」
「えっと……顔を上げて下さい」
所変わって校長室
隣には困惑したような顔のカリム
部屋の端には気まずそうな顔をしている教師
目の前には………立派すぎる『DO☆GE★ZA』を披露している親子、一人はさっきのガキ大将という事からあと二人は必然的にガキ大将の両親…………
あれから俺達は職員室から校長に連れられてここにやって来た
最初は前世を含めて始めての校長室呼び出し……という事で内心かなりビクビクしてたのだが………入った瞬間この始末
ん、チキンだって?
だから俺の前世は超がつく程普通の高校生だったんだよ!!
授業は比較的マジメに受けてたし特に問題だって起こしてないんだよ!!
なのに入学二日目で校長室って………一瞬退学も考えちまったよ………
学校行けなくなったら絶対家庭教師だって、多分義務教育なんかもも金で何とかしちまいそうで怖ぇよ、いや、絶対するな……
まあ話が逸れたけど今は目の前で土下座している親子を何とかしないと、年上の大人を土下座させるなんていい気分がしないし……
「マジで顔上げて下さい、こっちは罪悪感で押しつぶされそうなんで」
「ですが!!」
「あーもう!!顔上げて下さい!!余計イライラします!!」
「「はいぃぃ!!」」
母親と父親が顔を上げる
やへぇ、母親の方半分涙目じゃん、罪悪感半端ねぇじゃん
「ケント君、今回の事は家の方に秘密にしてもらえないか?タイラント君のご両親もこう謝ってますので」
「ほんとごめんよぉ!!俺が悪かった!!」
校長が手を合わせて頭を下げ、ガキ大将曰くタイラントが涙と鼻水でぐちゃぐちゃになりながら訴えかけてくる
「ケントさん、私からもお願いします。
タイラント君も悪気があってした訳ではないので……」
カリムもこっちを向いて語りかけてくる
ってえぇーーー!?
完全に俺悪役じゃん!!
別にさっきの事はもう気にしてないんだけど!!
てかコルテットーー!!俺が言うのも何だけど、どんだけ恐れられてんだぁぁぁ!!
「えっと……もうさっきの事は気にしてませんから、家にも報告しませんし貴方方に危害を加える気もありません
これから気をつけてもらえるだけで結構です」
「「ほんとにすみませんでしたぁぁぁ!!」」
「なんでまた土下座する!?」
それから一時間、ようやくタイラント君達が去って校長室
その間に謝罪が長引きそうなので爺に連絡入れて迎えを遅くして貰おうとしたら……全力でカリムと校長に止められた
どうやら俺が家に連絡すると思ったらしい、そんな事しないって、たったあれだけの事で人の人生狂わしたくないし……
今の校長室には俺とカリム、終わった後俺が「疲れた」と言ったら貸してくれた
目の前には高級そうな茶菓子……ぶっちゃけ家の菓子の方が高価だ……
てか転生してから前世の時よく食べてた駄菓子、食べれなくなったんだよな~
うまい棒食いて~
「今回の件、改めて私からお礼をさせてもらいます。
本当に有難う御座いました」
「いや、もう特に気にしてないよ、それに君は被害者じゃないか」
「ですが……もし、最悪の事態を考えると」
顔を暗くするカリム、そんなに俺って非道に見える?
そんな事軽はずみにしないって……
「そういえば………グラシアさん、でいいかな?」
「カリムでいいですよ」
「じゃあカリムさんで、カリムさんはどうしてあの時助けてくれたんですか?
俺がコルテットの人間だという事知ってましたよね?」
「えっと……それは……」
言葉を濁すカリム
ずっと気になってた、いくら彼女が原作キャラであったとしても下手すれば自分の身も危なかったのだ
俺がもし、ワン○ースで出てくる天竜人のような性格だったら……彼女もまた、二度と太陽の下を歩けなかったかもしれない
「あの………それは………」
「言えない事だったらいいですよ、すみません」
「いえ……その………教会に頼まれているのです」
「教会?」
「はい、私が引き受けたのは学校内でのケントさんの護衛と見張りです」
その後も話してると彼女、どうやら教会から学校に通ってるらしい
何故かは教えてくれなかったが……十中八九レアスキルのせいだ
名前は………なんだったか?
確かよく当たる占いをする能力だったと思うが……それが六課建設の理由の一つなんだよな
それで教会は比較的目の届く所にいる彼女に今年入学してくる『コルテット家』の一人息子、つまり俺の警備、及び見張りを任せたのであろう
どうやら『コルテット』は本局、更には聖王教会でも絶大なる発言力を持ってるのだろう
そこの社長の一人息子が、自身が創設した学校に通う………教会としては俺の行動に注意をしつつ、なおかつ美人のカリムを側に付かせる事で俺の機嫌を取ろうという事なのだろう。
カリムは将来、聖王教会でも重要な立ち位置にいた筈だ、今の内からカリムを使って俺を引き寄せようって訳か……
まあカリム本人に自覚はないんだろうけど……
………って事は万が一の為に弟もいるのか?
まあ、彼はレアスキルだけを注意すればいいし……前世なんて覗かれたらシャレにならん
てかカリムさん?
護衛はいいと思うが『見張り』って……本人の前で言ってもいいの?
「ふぅ、そろそろ帰りますか」
一息ついた所で立ち上がる、時間はまだ全然余裕だがどうせ友達のいない俺にはする事がないのだ………やべ、なんか自分で言っててさみしくなってきた………
「あの……ケントさん!!」
「ん?なんでしょうか?」
パンッ、と手を叩いて立ち上がるカリム
少し萌えたのは内緒だ
「入学したてなのでしょう?よければこの学校を案内しようと思うのですが」
「………道、大丈夫ですか?」
「…………………シャッハを呼びましょう」
シャッハさん呼びました