「……………くそっ、なんで情報がない」
頭をかきながらひたすらにディスプレイを叩く
隅から隅まで調べるがいっこうに手がかりは無し……どういうことだ?
「………あーもう!!」
自分のベッドに大の字になって寝転がる
予想外過ぎて困る、もっとすぐに見つかるもんだと思っていたのだが……
「『王の財宝』に『無限の剣製』、『代行者』やら『魔術師殺し』………それに似たような物も駄目か………」
一人つぶやいて見る
教会で適当に話をはぐらかして一日……今日もネリアは学校なので家にはいない
俺は……俺以外にいるという『転生者』に関するヒントを探る為に皇帝特権による主張をフルに使ってネット上にある情報をかき集めている
だが……成果は著しくない……
特典に当てはまりそうなレアスキルを虱潰しに探るのだが一向に出てこない、そればかりか希少なレアスキルとして俺が大々的に取り上げられてしまっている
そもそも、俺の様な『どうみても神様特典』などを持っている奴は早々いない、てかいない
『破壊』もこの新暦が始まって始めて発見されたスキルであり、さらには『皇帝特権』など周りからすれば考えもつかなかったスキル
そんなスキルを持つ事自体がない、せいぜい『炎熱変換』やらそこら辺が普通、それでも人口は少ない
なので俺と同じ様に『行き過ぎたレアスキル』を探したのだが……ない
管理局のデーターベースにも……一般サイトの情報にも全くもって存在しない
ならばと思いFate関連のレアスキル、またはそれに似たような物も探したのだが……やはりない………
どうなっている……俺の様に『破壊』なんてレアスキルは使うだけで周りに知れてしまう、じっさい俺はユーリと戦うまで使わなかったから知られていなかっただけで神様特典など一度使えば必ず一目につく、そしてどこからかその情報は流れるはずだ……
……レアスキルを使った事がないのか?
それとも俺の皇帝特権の様に派手なものじゃない……いや、担任を殺したのが転生者なら少なくとも転生者はFateを知っている筈……だからこそ担任を他の転生者だと思いますが殺した……筈……
もしくは自分が不利益になる様な情報を掴まれたせいで殺した……か……恐らくどちらもか?
担任は俺にもしもの事があった時の為にあの手紙を書いていた筈だしな、少なくとも転生者が俺を狙っている事には気づいていた筈だ
だからFate関連のスキルを探したのだが……ハズレの様だ、Fateのスキルは絶対に気づかれる派手な物が多い、わざわざアサシンの気配遮断スキルを頼む奴は中々いないだろう、俺だったらやはり王道な『王の財宝』やらを頼むし……
はぁ、それにしても………
「厄介な奴には、変わりないよな……」
無印から今のStsまで……担任から言われるまで全く気付かなかった……
何故だろうか……生まれる時期が遅かった?
それともアンチ管理局?……いや、それだとしてもおかしい
何か原作に関われない理由があったのか?
わざわざ担任を殺した事から『平凡に生きたい』なんて明らかにおかしい事を抜かす奴ではないし………
……一体何が目的なんだ?
転生特典があるなら俺に近づく事は容易な筈、いくらなんでも担任を殺した相手にうちの護衛がかなうとは思っていない
それにこの三年間でネリアにはなんの被害は無かった……どういう事だ?
コルテットを恐れているのか?
いや、それならば反管理局ではなくなる、管理局アンチならば逆に襲って来る筈……
自然と管理局と敵対することになるからな……クソッ、相手の目的が全然わからねぇ
憑依か?
それならば納得もいく、原作に関われるし周りから疑われる心配事もない
だが、その場合誰だ?
なんで担任を殺す必要があった?
そしてなんで、担任はそいつが憑依者だと知る事が出来た?
担任が転生者だとは思っていない、あいつとは長い付き合いだ、根からああいう奴だという事は分かる
それに……イスカンダル自体は人気キャラだがわざわざあの容姿になりたいとは思わない、出来るのならばシロウやギルにしてもらうのが普通だろう
原作開始時期よりだいぶ前の人間関係でもあるしプレシアやリンディさんと面識があるわけでもない、元からあの容姿、もしくは俺というイレギュラーが生んだオリキャラ
「はぁ、手がかりだけでも見つけないと……」
前の俺だとここまで熱心に調べたりはしなかった、それ程までに自分の特典には自信がある
だが、今の俺には全く同じ容姿のネリアがいる。
彼女が襲われるのだけは避けなければいけない………絶対に………
(分からない事だらけだな……)
ふと思う、そう思い返せばわからない事を沢山先延ばしにしている感じがする
セイバー特典を持って生まれたのに対魔力や砲撃適性が皆無な事
いつまで経っても姿を見せない両親の事
コルテットが秘密裏に、皇帝特権を使っても入り込めない『魂の移転研究』
そして、それ以外の違法研究が俺の生まれた直後に始まった事
黄金劇場後に頭に流れた不可解なノイズ
脳味噌達が俺に対して執着する理由
最後に……転生者………
「……………………。」
何も話さずにまたディスプレイを展開する
立ち止まっていたら何も始まらない、かと言って誰かに相談できる内容でもない
見つけなければならない………全部を……
そして闇に隠れた転生者を……