リリカルな世界で苦労します   作:アカルト

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帰省してました、すみません



不可能な事

(……素人、と言うわけでは無い様ですね)

 

お互いの弾幕が爆発し、無数の斬撃が飛び交う中で鮫島は考える

特典を失ったケントは確かに魔力に自信のある魔導師だ、現に今も魔力に任せ、攻撃力のみを求めた形の斬撃を使って自分を攻撃している

一撃でも食らえば終わり、高密度に濃縮された魔力を食らえばさすがの自分も耐え切れないだろう

しかし、ケントもケントで有り余る魔力を上手くコントロールしている、剣撃も素人丸出しと言うわけでもない

皇帝特権が使えた頃よりも一回り二回りも劣ってしまうが……例えるならば『二流』だろうか?

推測するならば『努力の賜物』

皇帝特権を使った『与えられた』剣技でも、実際に使っているのはケント自身

それをおよそ十年近く、スキル自体が無いにしても体がある程度までは覚え、今生かされている

それに……

 

「カードリッジロード!!」

 

「っ!?、くっ!!」

 

デュランダルから何かが排出された瞬間に横凪に振るわれる剣

上手く軌道を反らして避けるが余波によって突風が吹き荒れる

 

『カードリッジシステム』、いつどこで付けたのかは分からないが自分がデュランダルの製作担当をした時は『安全面』を考慮して取り付けなかったシステムだ

 

勿論、今自分が使っているデバイスにもついているのだが焼け石に水だろう

 

なんといっても魔力SSSにカードリッジ、更にケントは無造作だが身体に魔力の膜を貼っている、肉弾技ならばまだしも牽制目的の魔力弾程度なら触れずに消すこともできる代物だ

 

だが……それだけ……

 

確かに全体的なスペックとしたら自分は圧倒的に劣っている

しかし、今身体に傷を作り、肩で息をしているのは……ケントに他ならない

当然だ、自分は『それらも全て考慮した上で』ケントよりも一枚上手となる事が出来るのだから

 

「行きなさい」

 

「っ、邪魔なんだよ!!」

 

近くにいたガジェットを接近させる、ケント様はうっとおしそうに剣を振るうが、その一瞬、スクラップとなったガジェットのせいで前が見えなかった事は致命的なミスとなる

 

「ガフッ!?」

 

「っと、少し、落ち着きましょうよ」

 

空中での回し蹴り、ケントの横顔に直撃し、スフィアが全て直撃する

もうもうと立ち込める爆風を魔力で無理矢理起こした風によって払う、鮫島は……上!!

 

「くっ、デュランダル!!」

 

「防げますかね?」

 

杖状に変形したデバイスから放たれるドス黒い魔力砲、みればそれが一種の『宝具』だということくらい容易に分かる

『騎士は徒手にて死せず』、かのランスロットが持つスキルによって宝具化したデバイスから放たれる砲撃は最早一撃必殺とも言っていい

しかし、それを覆すのが魔力

 

殆ど無理矢理砲撃をデュランダルによって相殺するケントだが、突如襲う後ろからの衝撃

肺の空気が全て放出される

 

(周り、こまれた!?)

 

相殺した時の『余波』に乗る事で瞬間的ににスピードを上げ、後ろに周りこんだ後に叩き落す

 

完全に、上手を取られている

 

魔力SSSというこっちの『利点』を活用し、確実にこちらに攻撃を与えて来ている

どれだけ有利な状況を作ろうとも、それよりも『上』にあり続けるのが鮫島という存在

 

「一つ覚えのバカ魔力だけでどうにかしようと思っているようですが、通るとでも思ってますか?」

 

「通るかどうかの問題じゃあねぇだろ、通すんだよ!!」

 

カードリッジをロードする

長期戦となればこちらが不利になる、いくら魔力がSSSという規格外でも無限というわけではないのだ、それにいまの俺の戦い方は『魔力を振り回す』事をしているだけ、使用魔力はバカみたいに多く先にスタミナが尽きるのはこちら、だからといっていきなり渡された魔力SSSを使いこなすだけの技量は俺にはない

短期決戦、しかし勝つためにはどうしたらいい?

どんな手を使っても『一枚上手』となられる相手に、どんな戦い方をすれば勝利をもぎ取れる?

幸い向こうはデバイスの設定は殺傷設定だが狙っているのは俺の体、動けなくなるような攻撃は今は受けていない

だからといって痛いものは痛いし食らうものは食らう、疲労やらなんやらで倒れるのも時間の問題

 

「動かないなら、こちらから」

 

「つ!?」

 

ガントレットに変形したデバイスでの右ストレートをギリギリのところでかわす

距離を取ってのスフィア全開、視界が見えなくなるほどの一斉掃射……っ!?

 

「バインド!?」

 

両手両足を瞬間的に縛られる

初めからここに誘導するために殴りかかってきた?

スフィアが晴れるがそこには誰もいない……後ろ!?

カチッと銃口を突きつけられる、今放たれたら俺の頭はザクロになるだろうな

バインド自体は力づくで破壊出来るが……その後はどうすればいい

相手が俺の体を狙って傷つけないように戦っているとしても向こうには最高評議会とコルテット、腕の一本くらいなら直ぐに蘇生出来る

生憎俺には腕を潰される痛さに耐えきれる程主人公属性は持っていないので迂闊に動きたくはない、だが……動かないとやられるだけ……

俺の腹辺りにスフィアを展開する、鮫島からは丁度死角になる位置……よし

 

「おいおい、俺の頭ザクロにしたら体奪うどころじゃなくなるぞ?原型とどめないから宝具で撃ったら」

 

「加減はしますよ、出来れば動かずにこのまま大人しくいてくれれば嬉しいのですが、それよりいいのですか?前みたいに『ネリアだけは助けてくれ』なんて言わなくて」

 

「あの時は精神とかだいぶ参ってたからな、今は……」

 

バチンッと音がしてバインドが弾かれる

鮫島が撃ってきた魔力弾にスフィアを当てて相殺させる、んでもって……

 

(いけ!!)

 

バインドを外したと同時に振り上げたデュランダルを一気に振り下ろす、今鮫島のデバイスは銃形態、素手相手なら……

 

「誰が一丁だと言いました?」

 

ガキンッ、という金属音と共にデュランダルの斬撃が左手から現れたもう一丁の銃で弾かれる

 

目を見開く時間も与えないまま顎から強く蹴り上げられ、軽く、吹っ飛ぶ……ったく、誰が……

 

「一発だけと言ったよ!!」

 

瞬間、鮫島の後頭部が大きく揺れた

前のめりに一瞬落下するが直ぐに立て直す……よし

 

「……痛い、ですね」

 

こちらを睨んでくる鮫島に対して軽く笑う

 

勝機が、無いわけでもなさそうだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「結局はなめてたというわけじゃよ、わしの力も、ロストロギアの力づくも……」

 

バキバキバキという音を立ててシャッターを粉砕する、その瞳が見つめる先には、二人の男女の姿

 

「『レリック』といったかの、死者さえも蘇らせるロストロギア、死ぬ直前、いや、死ぬ程の大怪我を負ってももう死んどるわい、あそこでレリックを回収しなかった慢心が、奴の弱点じゃったの」

 

ガチンと腰に刺さった大刀を抜く

生き返ったゼストがただでさえ瀕死だったからだろう、鮫島の大きなミス

ゼストとこいつを一緒にしてはいけない、死者さえも蘇らせるロストロギアに彼のロストロギアにも打ち勝つ執念、瀕死の重傷を負ったとしても、擬似的に蘇る力は彼にはある

まぁ一度こっきりじゃがのうと笑う彼には左手がついていない、小さな傷は数え切れず、着ている服からは耐えず血が滲み出ている

それでも彼はここに立ち、敵を見据えている

 

「腐り切った老いぼれが、生徒に害を成す所を黙って見ておれというのが無理な話しじゃわい、のう、『最高評議会殿』?」

 

騎士、サンドロスは大刀を構える

もとより死んだこの命、このまま勝って生き残ろうなどとは思っていない

今する事は、自らの教え子の為に道を開くこと

 

ミッドから遠く離れた世界でこの日、二つの『闇』が消え去った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふぅ、と一つ息を吐く

俺の予想が正しければ、勝機はまだある

そう、体一つで完璧になれる人間なんてこの世にいない

 

「デュランダル!!」

 

カードリッジを一つ使い刀身に魔力を溜める、軽くスフィアを展開させ一気に斬りかかる

向こうは、銃のまま牽制の為の魔力弾

宝具と化した魔力弾を拘束で避ける、スフィアを飛ばし一気に加速

狙うのはデバイス、魔力を溜めた今のデュランダルなら宝具化したデバイスくらいならば粉砕出来る

 

「……ほんと、一つ覚えの魔力馬鹿ですね」

 

「っ!?」

 

斬りかかる瞬間、銃形態から斧へと変形したデバイスによって弾き飛ばされる

質量が圧倒的に違う、それでも……

 

「バインド……セット完了!!」

 

ガキンッと音を立てて鮫島に設置されるバインド

体制を立て直しすぐにカードリッジをロード、刀身に魔力を溜め垂直に構える

鮫島がバインドにかかった理由、簡単だ

いくら鮫島が俺より『一枚上手』となるスキルだとしてもあいつも人間、体一つでは『不可能』な事も存在する

 

さっきのスフィアは『俺のデュランダルを受け止め、尚且つ反撃で蹴りを入れた状態で後ろにも気を配れ』と言われても不可能だ、鮫島の後頭部に目があれば別かもしれないが

今のもそう、スフィアを迎撃しながらデバイスの形態を変え、俺の動きよりも一枚上手となりつつ行動を起こした瞬間に当てられるバインドに気を配れ、どちらも『一枚上手』を使った後に『カウンター』として与えている

鮫島には腕が三つあるわけではない、目が後頭部にあるわけでもない、右を見ながら左を見ろと言われても無理な話しだ

 

だからこそ俺は『二つの事を一度でした』、結果的に『一度上手』となるのは自分に被害が大きい方、もう片方は対応出来ない、まぁこれをするには半分捨て身で行かないといけないんだけどな……

 

ガシュンガシュンとカードリッジが排出され、身体に魔力が循環器する

勝てるチャンスなど何度もあるものじゃない、やるなら……いま!!

 

体の周りと刀身に炎が舞う、縛られた鮫島が口を開く

 

「……炎熱変換?レアスキルですか」

 

「誰がいつレアスキル無しって言った!!」

 

水平に構えたデュランダルに黄金の魔力と炎が集まる

そして一気に……突き放つ!!

 

 

 

「紅蓮の聖女《ラ・ピュセル》!!」

 

 

 

炎が、舞う

 




Fate/zeroのソーシャルゲーム初めました、モバゲーで
今のところレベル25で無課金、URはイケメン黒子とキレーさんとウェイバーですね
で、派閥が見つからんorz
いい派閥ないかな……今のところソロで頑張ってます

本編の方は、やっぱり戦闘は嫌です、まったり軽いノリが一番
ということで鮫島との戦闘は次で終わりそうです。早くSts編完結しないと……

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