演技と恋姫ごちゃまぜにしてますので。
ご理解の方よろしくです。
秋口――――大分風も冷たくなり、
朝起きるのが億劫になる季節。
「朝か・・・・」
もぞもぞと目覚める士郎。
ゆっくりと体の感覚が戻ってくると、
誰かが布団の中に居るのを感じる。
「?」
布団を捲ると、其処には丸くなった璃々がいた。
「むぅーーーさむいーーーー」
布団が無くなり寒くなったのか、ぎゅっと士郎の脚に強く抱きついてくる。
夜中に目が覚め、トイレから帰ってくる時に部屋を間違えて入ったようだ。
士郎の横が紫苑の部屋なのも理由の一つである。
「どうするのさ・・・・・・」
ずっとこのままにしておく訳にもいかず、
士郎は朝から頭を悩ませるのだった・・・・・
「とりあえず紫苑の所に連れて行くか。」
士郎は璃々を背負い、立ち上がろうとすると、
誰かがドアをノックする。
「どうぞ。」
ドアを開け、入って来たのは、
丁度士郎が会いに行こうとしていた紫苑だった。
「朝早くにすみません。」
軽く挨拶をしながら入ってくると、士郎が背負っている璃々に気づく。
「あら・・・やっぱり士郎さまの所にお邪魔していましたか。」
にこりと柔らかな笑みを浮かべる紫苑。
「朝起きたら吃驚しましたよ・・・・・・
あ、あと「さま」なんてつけなくて良いですよ。
こっちは客将ですし。」
「ふふっ。士郎さまが敬語をやめて下さったら考えますわ。」
「・・・・やっぱり違和感があるのか・・・・」
少し落ち込む士郎。
「そちらの方がいいですわ。士郎さん。」
(歳はこっちの方が上なんだが・・・・・
主導権が取れそうにない・・・・・)
その後も紫苑に軽く降りまわされながら会話を続ける士郎だった。
「そろそろ食堂に行きますか。」
士郎は璃々を背負ったまま立ち上がる。
「そうですね。でもその前に・・・・」
紫苑は士郎の後ろに回り、
「ほら璃々。そろそろ降りなさい。」
そう言って璃々を士郎の背中から降ろす。
「起きてたのか。」
全く気づかなかった士郎。
「お兄ちゃんの背中、暖かいから好きーーー」
鍛え上げており、新陳代謝が良いので、体温は高い。
その言葉を聞いて、そっと両手を士郎の背に当てる紫苑。
「あらあら。本当ね。
・・・・それに・・・凄いですわね・・・・・」
そのまま背中の背筋や肩甲骨を確かめるように撫でる。
「お母さんっ。璃々もーー」
それを見た璃々も興味津々に混ざってくる。
「ふふふっ。お母さんの後でね♪」
「なんでさ・・・・」
朝から騒がしい親子であった・・・
食事が終わった後、全員が集まる。
「今日の報告は何があるんだ?」
「そうね・・・・・・」
士郎に聞かれ、考える鈴梅。
すると、援里がおもむろに手を上げる。
「朝・・・士郎さんの部屋から・・・・・紫苑さんが出てきました・・・・・」
『!?』
爆弾発言に全員が沈黙する。
どうやら入った時は見ていなかったようだが、出てくる所を見られていたらしい。
「ちが・・・・それは・・・・」
慌てて否定しようとするが、
「璃々ちゃんも・・・・一緒でした・・・・・」
・・・・・・・・ざわ・・・・ざわ・・・・・・
「それは違うだろ・・・・・・」
思わず突っ込む士郎。
「うっさい!この色情魔っ、黙ってなさい!」
鈴梅に怒られる。
「ね、ね、どうだったの!?」
「ど、どうだったんですかっ!?」
そんな二人を余所に、興味津々に紫苑に質問する聖と玖遠。
「うんっ。暖かかったよーー」
「逞しい背中でしたわ・・・」
意味深に答える紫苑と璃々。
「聖っ!そんな事聞いちゃ駄目よっ!?
・・・・し~ろ~う~っ~~~!!」
「確かに・・・・士郎さんの背中は・・・・温かいです・・・・」
「はぁ・・・・こうなったら聖さまに魔の手が及ぶ前に
処理したほうがいいです。」
各々が好き勝手に騒ぎ始める。
会議室は混乱の坩堝と化していった・・・・・
紫苑が皆の誤解を解いた所で会議が再開される。
「時間が無駄になったじゃないっ!!」
「俺は被害者だろ・・・」
鈴梅に当たられる士郎。
良い迷惑である。
「あはははは・・・・
取り敢えず問題とか報告はあるかな?」
聖が全員に質問する。
「少しいいか?」
「うん。何かな。」
士郎の提案は
街の治安向上の為の駐屯所をあちこちに作ろうという物だった。
何か問題があった際、近い位置に駐屯所があったら解決も早くなるし、
そもそも事件も起きにくくなる。
「駐屯所には待機中の兵士を置くの?」
「ああ。
兵舎にずっといるより、街の人と交流した方が兵士にとってもいいだろ。」
「そうね・・・・・
治安も少し荒れてきてるし・・・
聖、私は賛成よ。」
「蓬梅ちゃん、鈴梅ちゃんは如何かな?」
決を取る為、姉妹にも質問する。
「むぅ・・・士郎にしては良い提案です。
私は賛成です。」
「お姉さまが良いなら私もいいわ。」
「じゃあ、当番の方は水蓮ちゃんお願いね~」
「ええ。分かったわ。」
話が一段落したところで、次の話題に移る。
「あと・・・董卓さまの事なんだけど・・・・・」
鈴梅が話題に出したのは、月との貿易の話。
「その時に何人か密偵を長安や洛陽に放ったのは、前に話したわよね。」
皆が頷く。
「その報告なんだけど・・・・
洛陽に白装束の変な集団が増えてきてるらしいのよ。」
「あれ?確か弧白さんも白い服着てなかった?」
聖が水蓮に問いかける。
「そうだったけど・・・・
武将って個性的な服着てる人が多いわよ。」
「そうだよねぇ・・・・
私も最初に士郎くん見たとき思ったよ~~~」
「聖さま・・・話が・・・違う方向いってます・・・・」
「あう・・・ごめんね鈴梅ちゃん・・・」
援里に指摘され、慌てて鈴梅に謝る。
「いえいえっ!?全然大丈夫ですよっ!
・・・・・こほんっ、それで張遼と話が出来たんだけど、
董卓さまも部屋に篭りっきりで殆ど姿を見せてなくて、
現状は賈駆さんが指示を出してるみたいよ。」
「黄巾の時も私たちはともかく、他の人にはあんまり会ってなかったよね。」
「どうもそういうやり方らしいです。
まだ若いですから、余り姿を見せない風にしてるです。」
人は見えないものには恐怖心を持つ。
西涼の屈強な兵を従えるには、そういうのも利用する必要があったのだろう。
(だとしたら・・・少し寂しいんだろうな・・・・)
士郎が思い出すのは月と別れる際、士郎を勧誘して来た事。
純粋に武将を求めたというのもあったとは思うが、
董卓では無く、「月」として甘えれる人を求めていたのかもしれない。
(まぁ推測に過ぎないけどな・・・・・)
士郎は軽く頭を振り、会議に意識を戻した。
「流石に張遼さんみたいな人たちとは
毎日一緒に食事したりしてたみたいだけど、それも無くなったみたいよ。」
「何か・・・病気をしている・・・・可能性は・・・・」
「無くは無いと思うけど・・・典医に聞いてもそう言う話は無かったみたい。」
援里が質問にも、困った顔で答える鈴梅。
「じゃあもしかしてっ、その白装束の人たちがお医者さんじゃないんですかっ?」
玖遠が閃いたとばかりに発言する。
「・・・・・・その白装束を見た張遼さんとウチの密偵の意見なんだけど・・・・
あれは・・・・人間じゃないって言ってたわよ・・・・・」
おもわず寒気が走る。
「や、やめてくださいようっ~~~
季節が違いすぎますっ!?」
本気で怯えている玖遠。
他のメンバーも心なしか嫌な顔をしている。
「最初に聞いた私はもっと嫌だったわよっ!」
思わず抗議する鈴梅。
「しろうさ~~~んっ・・・・
一緒に寝てもらっていい「俺の何かが無くなるからダメだ。」
ええ~~~~~っ・・・・・」
何か言ってる玖遠を放置して会議は進む。
「長安や洛陽にも人の出入りが厳しくなってるです。
このままだと涼州や中原が混乱するです。」
丁度二つの地方の間にある為、このまま封鎖されると物流が滞り確実に問題となる。
宛の方から経由しようにも、宛も月の統治下にある為それも出来ない。
そして宛が封鎖されると、この荊州と中原を結ぶ経路も閉ざされる。
一応新野から許昌は繋がっているが、道が整備されておらず、非常に通行しにくい。
今、発展中の荊州からすれば、非常に由々しき事態である。
「確実な情報も入手出来ていないし、
憶測で推理するのも限界があるわね・・・・」
鈴梅が苦々しい顔を浮かべながら呟く。
「とりあえずはこれ以上は情勢が悪化しないようにしなきゃね・・・・
私の方からも手紙出してみるよ。
鈴梅ちゃんは許昌方面の交易の手配をしておいて。」
「わかりました。聖さまっ。」
慌しくなっていく士郎たち。
その後色々試したが効果は出ず、
とうとう恐れていた、月が統治している道が使えなくなる事態に陥った・・・・・
予想通り涼州や中原の街を統治している太守も困り果て、
確実に悪化して行く中、その檄文は届いた。
反董卓連合の・・・・・・・