転生オリ主チートハーレムでGO(仮)~アイテムアビリティこれだけあれば大丈夫~   作:バンダースナッチ

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ナイト -KNIGHT-

勇猛果敢かつ礼節を重んじる戦士の中の戦士
強力な騎士剣をあやつり『戦技』をくりだす


第3話

 あれからひと月程の時間が経った。

 なんやかんやで剣の修行などは先送りされることになり、いつもと代わり映えの無い生活に戻った。

 勿論夜な夜なケアルの修行は欠かしていない。というか魔法楽しい、ひと月も同じこと繰り返してるのに全然飽きない。

 おかげでこのひと月ほどで夜のケアル訓練で250P、1日1回のためるで250Pの合計500Pをゲッツした。本格的にやっている訳ではないとは言え、大分スローペースな感じもする。

 まぁ、もっと自由に活動出来るようになれば色々と変わるのだろう。なんだかんだで今は周りの目もあるし、エニル先生や母には許可が出てから訓練をするといった手前もある。

 

 さて、話しを今の状況に移そう。

 今現在はエニル先生の授業を受けている最中だ。

 10日ほど前から勉強する内容が少し変わってきたのだ。所謂おとぎ話として描かれている『ゾディアックブレイブ』だ。

 

 この物語はイヴァリースの国がまだかく地方ごとに分かれていた時代にまで遡る。

 果てなく続く戦乱の中で一人の国王が異界から魔神を呼び出し、その力を利用して統一を図ろうというもの。

 まぁこの手の話のオチの様にそれは失敗して国王は殺される、そこで各地から集められた12人の勇者達、彼らは様々な戦いに勝利して魔神を倒し、悪魔たちをこの世界から追い出した。

 そしてその時に彼らが持っていた黄道十二宮の紋章が刻まれたクリスタルを身につけていた事から、そのクリスタルをゾディアックストーン、そして彼らを黄道十二宮の勇者と呼ばれるようになった。

 

 これが大雑把なゾディアックブレイブの話である。

 これ以降の歴史でも度々ゾディアックストーンが現れたらしいが、最後に登場したのが現在のグレバドス教の始まりであり、神の一員として数えられている『アジョラ・グレバドス』の時代らしい。

 

 このゾディアックブレイブはイヴァリースでは殆ど誰もが知っているレベルらしい物語です。とは言え……このゾディアックストーンは実際に存在するし、作中内ではルカヴィと呼ばれる悪魔になったりしている。

 さらにアジョラ……って言うと怒られるので聖アジョラは実際にはただの人間だったらしいという書物も残っている。この辺も作中の題材の一つであった。

 

 とは言え、グレバドス教会はこのイヴァリースを始め周辺国にまで影響を及ぼしている宗教である。この国内においても相当な権力を持っており、神殿騎士団と呼ばれる独自勢力ももっている。

 つまりこの事について知っているからと言って何かをすれば自分の立場が非常にまずくなるので、基本スルーしていくことにする。流石に異端者として扱われて追われる身になるのは嫌すぎる。

 ―とは言え、結局巻き込まれる事になるのだが。

 

 

 エニル先生との勉強、JP稼ぎと時間を費やしているとついに父が出兵から帰ってくるようだ。

 父イルヴァーナはゴルターナ公に仕えている。

 そして今回の出兵ではゼルテニア領まで押し込まれた戦線を押し上げるためだったらしい。

 

 すでにこの戦争も30年から続いており、小競り合いなどは度々起こっている。そしてこのゼルテニア領は鴎国と隣接した地域であり、最前線と言っていい場所である。

 ゼルテニア領の本拠地であるゼルテニア城は堅牢な城であるが、隣国との最前線であるだけに過去に2度も落とされている。そして現在もまた戦線を押し込まれていることもあり、なかなかに難しいようだ。

 

 そんなこともあり、父が戻ってくるという事は兵も戻ってくるという事らしいのだが、無事な兵はゼルテニアへ、負傷した兵はベスラ要塞へと送られるとのことだ。

 

 

 母と使用人、そして父が不在の時に領地を管理しているグレモスさんが父の帰りの知らせを受けて屋敷の表へと集まった。

 

 そして遠くから武装した一団がこちらへ向かってくるのが見えた。数は50程だろうか、先頭の数人がチョコボに乗っている。……ていうかチョコボも兜とかつけてるんだ……まぁ中世の馬も鎧とか装備してたしそういう事なのだろう。

 

 

「今戻った」

 

「おかえりなさい、あなた……食事や着替え、水桶の準備はしてありますわ」

 

 疲れた様子の父を母が迎えている、その後グレモスさんと領地について話をしているようだ。

 父と一緒に戻ってきた兵の人たちは既に解散を初めており、殆どはフィーナスの町へと戻っていくようだ。10名程はこのまま屋敷に残るようで、荷物などをまとめている。

 その様子を眺めてる内に話が一区切りついたのか、父がこちらへとやってきた

 

「おかえりなさい、父さん」

 

「ああ、ただいまトリス。ちゃんと勉強はしていたな?」

 

「ええ、エニル先生からバッチリと」

 

 投石や体当たりをしたなんて言えな言えない。

 とは言うものの、グレモスさんから何かを聞いたのか若干苦笑いしながらそのことに着いて聞いてきた……言わなくてもいいのに。

 

「しかし、見習い戦士か……暫くはここに居るだろうから一人剣の稽古につけるか?」

 

 言葉の後に、私ではあまり教えるのは向かないだろう という言葉が聞こえつつ、ちょっと有難い話が来た。別にそこまで鍛えたいと思ってるわけでもなかったりすがう、剣の稽古……ちょっといい響きである。魔法もいいがやっぱり剣、これは男の子ならばやはり憧れるところだろう。

 実際この年齢で体を鍛えすぎると成長面に不安が出るが、こと技術に関してはやはり小さい頃からある程度進めておきたいとも思う。でないと今後の人生が不安でならないし。

 

(流石に原作に出てくるボスクラスの敵とは戦いたくはないけどね)

 

 城内に居た500人の騎士を一方的に殺すような化け物とは戦いたくありません、ああいうのは主人公がゲームのルールに則って戦って勝てるものだ。

 しかし、そういった存在がいる以上鍛えておくに越したことは無いはず。

 

「それじゃあ剣の稽古も出来るようになるんだね!」

 

「ああ、とは言っても基礎までだ。トリスはまだ小さいしな……そうだ、明日にでも町へ剣でも買いに行くか。私も小さい頃に初めて買った剣は嬉しかったからな」

 

 そしてブレイクされるんですね、解ります……とは言わない。と言うよりも町に行くことのほうが嬉しかったりする。今までなんだかんだ屋敷の中だけで生活していたのだ、やはり色々と見聞は広めていきたい。

 なにより武器って揃ってるし、いつでも出せるし。

 感動もへったくれもなかったりする。

 

 この日はその後戻ってきた父と兵の人たちとささやかながら宴会が開かれた。皆生きて戻って来れた事に安堵している様子が見て取れるあたり、やはり今は戦乱の時代なんだなと実感させられた夜でもあった。

 

 

―――――

 

 さて、明日から基礎からとは言うが剣の鍛錬が出来るようになる……つまり、今の内にナイトにポイントを振っておくのもありだと思い、久しぶりにジョブ欄を出し、ナイトの項目を開く。

 

 ナイトの項目はアクションアビリティは『戦技』と呼ばれるもので、ブレイク系の攻撃である。

 ウエポン・アーマーなどの装備系、それにパワー・マジックなどステータス系をブレイク……つまり破壊したり能力値を下げるスキルだ。

 実際のところステータス系のブレイクはともかくとして、もっと直接ダメージを与えられるものが多くてもいいのでは……と思うが、重装備や盾装備、また騎士剣等が装備可能な事から防御面が優秀なジョブであると言える。

 

 また、ゲームとは違う点がある。これは見習い戦士のときにも気づいた点なのだが、ジョブのレベルが上がるにつれて自身にも剣を振るう技術が若干ながら身についていっている感覚がするのだ。

 勿論まだ感覚であり、筋力などが及ばない事からたどたどしい動きになるのだが、それでも剣というもの殆ど知らない自分がある程度動きがわかってくるというのは凄いことだと思う。

 

 この世界でどういった形で他の人のジョブレベルが上がるかは分からないが、実際には攻撃すればJPが貯まるなどは無いのだろう、というかそもそもそんな概念がないとさえ思う。

 つまりは才能と努力という事になるのだ……まぁその代わりに上位の職業にもなり易いんだろうなと思うとどっちもどっちかと思ってしまう。

 

 それはさておき、改めてナイトへポイントを振っていく。

 ウェポンブレイク、スピードブレイク、装備武器ガード、剣、盾、重装備可能をそれぞれ習得していく……合計で2050の消費だが、やはり騎士の基本はナイトだ。いずれはマスターにするつもりであるので問題はない……はず。

 JPが6579にまで減ったが、これから剣の鍛錬などが出来るようになるなら直ぐに取り返せていけるだろう。

 

 ウズっっとしてしまったのでアイテムから武器を取り出す。

 エクスカリバー 攻撃力21 回避率35 永久ヘイスト 吸収聖 強化聖

 どのような材質で出来ているかはわからないが、刀身が薄く金色に光っている。作中では雷神シドと呼ばれるキャラの所持している武器だ。

 永久ヘイストに加えて、聖属性の攻撃を強化することからかなりの反則武器に入るこの剣、ちなみに雷神シドはゴルターナ公の率いる南天騎士団団長である。

 ブランシュ家もゴルターナ家に使えているのだ、いずれ会えることもあるのではないだろうか。

 

 ポイントを振ったことにより、ナイトのレベルが5になっている。

 今の自分には大きすぎる剣だが、それでも動かし方が体がわかっているような感じがする……もちろん振ろうとすれば重さに振り回されてしまうが。

 ここで「エクス……カリバーーー!」って叫ばなかった事にかなりの精神力を使った事を告白しておこう。別に何か出るわけでもないのだが。

 

 さて、ナイトをレベル5にしたことによりモンクにジョブチェンジ出来るようになった。ホントにFFは心をくすぐるジョブが多くて困ってしまう。

 すぐにでもモンクをマスターして北斗の拳とかがやりたくなってくる……しかしそれをすると直ぐにポイントがなくなってしまう。しかしモンクのスキルである『拳術』は中々に魅力的だ。

 近距離、遠距離のスキルバランスに自分を含めた周囲の回復、ステータス異常も回復できてしまう……あれ? これだけあれば大丈夫なんじゃね? さらに蘇生もできるし……。

 

 モンクのアクションアビリティを全て習得……合計で2700も消費してしまった、後悔はしていない。しかしJPの残りが3879にまで減ってしまった。

 まぁ、風水士もジョブ欄に出てきたから良いとしよう。

 

 しかし、ジョブレベルとアビリティだけ見れば中々いいキャラになってきた様に感じてしまう……勿論実践経験も何もないうちはあれだが。

 後は日々の鍛錬がどれ位の感じになるかを試していけばいいだろう。

 

 そんな訳で明日からの鍛錬+街へ行くという事で本日は早めに休むことにする。

 流石に魔法使って疲れてるなんて言えたものではない。

 

 

 

―――――

 

 翌日、午前中父はグレモスさんと執務室に籠っており、町へは午後という事になった。代わりに午前中に午後の分も勉強ということでエニル先生に捕まってしまった。

 今回は聖アジョラについてだった。

 

 この聖アジョラ、要するにキリスト教のキリストの様な存在である。生まれた時に直ぐに立ち上がり、井戸へと歩き~な何処かで聞いたことのあるような逸話が残されている。

 その他にも色々と逸話は残されているが、最終的にはゾディアックブレイブに語られたように神の一員として現在は宗教の象徴となっている。

 先生はもし興味を持ったらまた聞いてくれと言って、勉強の教材以上としての扱いはしなかったのが若干不思議に思ってしまった。

 

「神父さんってもっとこう……勧めてくるもんじゃないんですか?」

 

「ははは、トリス君はまだ幼いですからね。ただ、神様は居るって事だけ信じてくれていればいいんですよ。

それで興味がでたらまた聞いてください」

 

 そう言って説明してきたエニル先生の表情が若干悲しげに見えたのは自分の感覚がおかしいだけではないと思う。

 しかし、だからといって追求する事も出来ないので本日はそれで授業が終わってしまった。

 

「それでは、町へ行ったらちゃんとお父様から離れないようにね」

 

「はーい」

 

 

 その後仕事が一段落した父が中庭へと集まり、フィーナスの町へと向かうことになった。

 

 

…………

 

……

 

 フィーナスへは馬車―チョコボ車か―でゆっくり進んで1時間程の距離だった。木の椅子で整備されていない地面を進むのは流石にお尻に来るものがあった。

 

「さて、着いたな。はぐれないようにな」

 

「はーい」

 

 フィーナスの町は昨日一部の兵が帰ってきた事から賑わいを見せていた。

 どうやら昨日屋敷まで来たのは一部だったようだ、その事を聞いたら普段は農業をしている平民は戻ってきたと教えてくれた。

 

「さて、それじゃあまずは武器屋だな……トリスはどんな武器をつかいたいんだ?」

 

 昨日剣を買いに行くと言われたし剣じゃないのか……と突っ込みたくなったが、なるほど確かに槍や斧、さらには辞書など様々な武器がある。とは言えフィーナスの町だとそれほどの種類はおいていないようだが。

 

「んー、まずは剣かな? 格好良さそうだし。父さんは何を使ってるの?」

 

 剣を振るう動作をしてみせる。

 男たるものまずは剣だろう、次に拳、そしてドリルである。ドリルなんて装備は無いが。

 

 「私はそうだな、槍を使う事が多いな。剣はいつも持っているがな」

 

 そうこう話してる内に武器屋へと到着した。

 

 若干古びた感じの外装だったが、中へ入ってみると結構広い事に驚いた。

 また、別の出口が作られており、そこからは武器を試しに振れるように広場になっていた。

 

「これはいらっしゃいませ、ブランシュ様。本日はどのようなご用件で?」

 

 店から出てきたのは恰幅のいい中年の男性である。大げさな動作と共にこちらへと近づいてきた。

 

「ああ、今日は息子の武器を見に来たんだ。立派な騎士になりたいと言っていてな」

 

 いえ、別に立派には……まぁ立派に越した事はないけども。

 店主であろう男性は今度はコチラへと近づいてきた、一瞬だったがこちらを値踏みするような目で見られたのが驚きであったが。父との会話を聞いた感じ、普段から取引のある相手なのだろう、なら人を見るのも道理なのか?

 

「そうでしたか! それでしたら私の方からお屋敷の方に参りましたのに。

初めまして、私はこの店の店主のブランと申します。確か名前はトリスタン様でしたね!」

 

 そう言ってブランさんはこちらへ目線を合わせて握手をしてきた。

 握った手は驚く程厚く、力強いものだ。伊達に武器屋の店主をやっていないという事か。

 

「初めまして、トリスタンです」

 

「今回はトリスタンに町を見せてやりたいと思ってな。まぁついでというものだ」

 

「そうでしたか、それでは体に合った武器を見繕っていきましょうか」

 

 その後はあれやこれやと父とブランさんが武器を漁って行った。

 こちらの武器を見に来たはずなのに置いてけぼりとはこれいかに。

 

 仕方ないのに話がまとまるまで店内をうろついてみるか。

 

 様々な武器が置いてある店内、とは言えあまり整備されていないようにも見える。

 実際にはちゃんと使えるのだろうが……中古品とかだったり? そうウロウロとしていると、入口のほうから視線を感じた。

 

「……ん?」

 

 そちらに視線をやると一人の男の子がこっちをジッと睨みつけて来ている。この町に来てからそれ程時間も経っていないし、誰かに睨まれるような事をした覚えはないはずだが。

 

 とりあえず気になったので入口の方に居る男の子へと近づいてみる。こちらが近づいて来るとびくっとしたように反応しているが……それでも睨むことはやめないでいる。

 

「えっと……どうかしたかな?」

 

「…………」

 

 答えない……いやいや、そんだけ睨んでるんなら理由くらい言ってもらいたいんだが。その子は身長はこちらよりも少し上くらい、歳は同じくらいだと思う

 服は少し汚れているが、顔つきは結構いい顔をしている。

 濃い色の茶髪にツンツン頭、腰には棒きれを差している。

 

「お前、貴族か?」

 

「……は?」

 

 何となく……なんとなくだがこの一言で察しがついてしまった。

 そして、ブランシュ家関係以外での初めての会話がこれだった。

 

 

 


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