短編集 らき☆すた~変わる日常IF、色々な世界~   作:ガイアード

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本編設定こなた編~2人の夢と本物になった伝説~

「けーくん、起きてー?ねえ、起きてってばー!」

 

そう言って私は、眠っているけーくんを揺すり起こす。

 

けーくんは「うーん・・・」と唸ると、すぐに目を覚ます。

 

けーくんは私やつかさよりも寝起きはいいので、あまり寝ぼけていない顔を、自分を起こした私に向けると

 

「ふあ・・・もう朝か。それにしても珍しいな、お前が俺を起こす、なんてな。」

 

そう言って笑うけーくんに私は、少し頬を膨らませて睨むと

 

「むう・・・たまに君より早くに君を起こす事はあるけど、毎度毎度酷い言い方だよねえ?まあ、いいや。おはよ、けーくん。」

 

そうけーくんに文句を言いつつも、私は朝の挨拶をする。

 

けーくんもそんな私を見て苦笑しながら

 

「はは。悪い悪い。おはよう、こなた。でも、朝からずいぶん張り切ってるじゃないか?」

 

そう言うと、私は腕を組んで得意げな表情で

 

「ふふん。まあね。だって今日は私達の夢の始まりの日だからね。昨日からわくわくしっぱなしだったよ。」

 

そう言うと、けーくんも笑いながら

 

「そっか・・・そういやそうだったよな。よし、それじゃ起きて着替えて気合入れておくか。」

 

そう言ってベットから出ると、顔を洗う為に部屋を出ようとする。

 

私はそんなけーくんに

 

「けーくん。顔洗ったら、朝食できてるから着替えてからキッチンね?」

 

そう言うと、けーくんも片腕をあげながら

 

「おう。わかった。それじゃ少しだけ待っててくれよな。」

 

そう応えるけーくんに私も「うん。待ってるよ。」と笑顔で答えるのだった。

 

程なくして、着替えを終えたけーくんが戻って来たので、お互いに席について朝食となった。

 

「ん。美味いな。ここ最近はこなたに夕食を任せてる感じになってるけど、たまにこうやって朝食を作ってもらうのもいいもんだ。」

 

にこにこと笑いながら、私の作った朝食を美味しそうに食べながらそう言ってくれるけーくんに、私も嬉しさと照れとで顔を赤らめながら

 

「あはは。そ、そう?そう言って貰えると嬉しいね。私もこの先は朝食の方も頑張ってみようかな?」

 

そう言う私の言葉にけーくんは苦笑しながら

 

「こなたがそうしたい、って言うのならその意思は尊重するけど、まあ、無理せず、お前のできる範囲で構わないぞ?」

 

そのけーくんの言葉に私は少しだけ”むっ”としながら

 

「けーくん、それはないんじゃない?せっかく可愛い彼女が君の為に頑張りたいって言ってるんだよ?もっとこう、やる気を出させてくれるような言葉とかさー・・・。」

 

そう言って少しだけむくれる私に、けーくんは少し困り顔になった後、すっと席を立ち、私の側に来て「こなた。」と言って声をかけるけーくんに私はけーくんの方に顔を向け、「なーに?」と言うと、けーくんそっと、私の唇に軽く触れるキスをして「これでいいか?」と柔らかく微笑むと再び自分の席へと戻って行った。

 

私はそんなけーくんをボーゼンと見つめつつ、今のけーくんの行為に顔を真っ赤にしながら

 

「あ、えと、その・・・うん。」

 

慌てる私の返せた言葉は、そんな短い物だった。

 

それでも、その言葉だけで、けーくんに伝わったみたいで、けーくんも少しだけ頬を赤くしつつ、にこにこしながら私を見ていたのだった。

 

そして、そんな照れくさい朝食を終えて、私とけーくんは今日からの事を亡くなったけーくんのご両親の遺影に報告をして家を出た。

 

目的地は久鬼駅前の駅ビル。

 

私とけーくんはお互いに手をつないでそこを目指す。

 

そこに、私たちの夢の始まりの場所がある。

 

私はそこに向かいながら、今日の日に至るまでの事を懐かしく思い出していた。

 

 

 

私とけーくんは今、恋人同士だ。

 

高校の頃にはまだ2人はそんな関係ではなかったのだけど、高校を出て、大学に通うようになってから私達は付き合い始めた。

 

そして、今はけーくんの家で一緒に住んでいる。

 

いわゆる、同棲というやつだ。

 

おとーさんからも結構な反対はあったものの、けーくんと2人で何とか説得してようやく許してもらった。

 

おそらくは、高校時代にけーくんが私の命を救ってくれたあの事件がなかったら許されなかっただろうな、と今は思える。

 

それだけに、許しがもらえた時には物凄く”ほっ”としたものだ。

 

それ以降は周一くらいで自宅に戻る事を条件に、けーくんと一緒に暮らしている。

 

けーくんとの出会いは高校1年の後半。

 

前半から中盤にかけては私もけーくんの存在は知っていた。

 

でも、直接交流するきっかけもなく、1年生の後半まではお互いに接点もなく過ごしてきた。

 

そして、今でも忘れられないけど、1年の後半のあの食堂での出来事がきっかけで、私はけーくんと交流を持つ事になった。

 

思えばあの時から私は、けーくんを意識していたと思う。

 

その後に出会った八坂さんや永森さんと一緒にいたけーくんを見て、なんだか面白くなかったし、2年生にあがった時にクラス分けの掲示板の所でかがみ達を紹介していた時も、つかさの態度やそれに答えるけーくんの態度を見ていてなんだか胸にちくりと何かが刺さるような感覚を覚えた。

 

でも、私は、かがみ達の事も大事だったから、その時に感じた気持ちが嫉妬心の現れだった事に気付かないでいたけれど、けーくんが私の仲間達の誰かと仲良くしているのを見るたびに、何だか嫌な気分になっていたんだな、と今の私には理解できていた。

 

その後はいろいろな事があった。

 

海に行ったり、泊りがけで勉強会合宿をやったり、みんなでそれぞれの誕生日会を開いたり、けーくんの過去について知ったり、けーくんが皆とはなればなれになりそうになったり、親友を失ったり。

 

文化祭での売上勝負等もいい思い出だ。

 

そうそう、誕生日と言えば私の皆でやる初めての誕生日には、私にその時に渡す誕生日プレゼント以外に、もう1つ、私の為に選んでくれたプレゼントももらったっけ。

 

あれは本当に嬉しかった。

 

私は今でもあの時にもらったプレゼントを着けている。

 

そして、けーくんが私達のクリスマスプレゼントを用意する為に始めたアルバイト。

 

それこそが、私達の夢の道へのきっかけとなった。

 

最初は私も別の場所でアルバイトをしていた。

 

私は、けーくんや皆よりも先にコスプレ喫茶でのバイトをしていたから、気づけなかったのだけど、私がバイトを始めて半年程経った頃に、けーくんがバイトを始めた事を知った。

 

そして、そんなけーくんに便乗するように他の皆もまた、けーくんと同じ場所へとアルバイトに行く。

 

皆も私やけーくんの関係者だと言う理由でアルバイトは採用となり、私1人だけが別の場所でアルバイトをするという状況になった。

 

皆が一緒に私のバイト先に私を迎えに来た時には驚いた物だった。

 

バイト先の店長さんには良くしてもらっていたけれど、私は今の状況でいることが辛くなり、すぐにバイトをやめ、けーくん達のバイト先に面接を申し込んだ。

 

店にとっての私は何故か特別な存在として見られていたから、すぐに私も採用となり、その時からけーくんと一緒にバイトする事となった。

 

年が明けて、けーくんと年明け初めての2人だけで行った秋葉腹でけーくんと事故だったけど、キスをしてしまった事、それがきっかけで私はけーくんに対しての好意の感情を自覚し始めた。

 

そして、忘れもしない、2年生最後の温泉旅行において、私は私のミスで山で遭難しかけて、けーくんに助けられた事が、私のけーくんへの好意が確実な物となるのだった。

 

そして、クリスマスが終わる頃に一度はバイトから遠ざかるものの、年が明けてから私達が3年になって、そして、パティのバイト先をけーくんが紹介した事がきっかけで、再び私たちはあの店でのアルバイトをする事になった。

 

そこで、けーくんは店の統括主任としての任を受ける事となり、さらには社長にも見込まれる、という事になった。

 

その時のけーくんは、自分の進路について、いまだ悩んでいる所でもあったから、社長の言っていた、店を1つ任せてみたい、と言う言葉にも首を縦には振れなかった。

 

そんな事もあり、私達の身辺で起きていたごたごたも何とか解決を見て、私達はけーくんとみゆきさんが探してくれた大学受験に向けて頑張った。

 

そして、見事に全員合格を果たし、私は高校卒業前にけーくんに思い切って告白をした。

 

あの告白は、私の黒歴史として永遠に封印したいところである。

 

今思い出しても、あの時の自分自身を殴ってやりたいとさえ思えるほどに、酷い告白となってしまったから・・・。

 

あの日けーくんを呼び出した私は、ギャルゲーで散々見てきたシチュエーションであるにもかかわらず見事にテンパリまくってしまい、言いたかった事が上手く言葉にでてこなかった。

 

そして、そんな頭で出した言葉は・・・・・・。

 

「君が振り向いてくれないから、私はこんなにギャルゲー好きな女になったんだよ!!」

 

と言う言葉だった。

 

まさに、いつかおとーさんに聞いた言葉を、私が再びなぞってしまう結果になったのだった。

 

そんな私の言葉に目を丸くして驚くけーくんの顔を今でも忘れない。

 

世紀の大失敗とも言えるこの告白に私はとことん落ちこんだ。

 

そして、こんな事を言う私を、けーくんは受け入れてなんてくれないだろうと絶望した。

 

大きなため息をついて、私はその場にいたたまれなくなり、去ろうと踵を返した

 

けど、そんな私の腕をけーくんが掴んで引き止めて

 

「待てよ。要するに、責任を取って付き合え、と、そういう事か?こなた。」

 

そう言うけーくんに私は涙目になりながら

 

「いいよ、もう。言いたい事も言えなかった。失敗しちゃいけなかったのにこんなドジしちゃってさ・・・私は自分が情けないよ・・・慶一君、今のは忘れてくれていいよ・・・。」

 

そんな風に半ばやけっぱちで言う私にけーくんは

 

「おいおい、待てって。お前は自分の言いたい事だけ言って俺の返事も聞かないで行くつもりなのか?」

 

そう言い、その言葉に私は思わず

 

「いいよ、もう・・・。どうせ断られるってわかってるもん・・・だから、返事なんて聞きたくないよ・・・。」

 

そう言い返したのだが、けーくんはそんな私をそっと抱きしめると

 

「誰が断る、って言ったよ?嬉しいよ、こなた。俺もお前の事は気になってた。だから、いつかお前に俺の気持ちを伝えたかったんだ。でも、お前も俺の事を想っていてくれた事がわかったから、だから、この場ではっきりと言う。こなた、お前が好きだ。俺でよければ付き合ってくれないか?」

 

そう言うけーくんの言葉に私は、頭が一瞬混乱して、何を言われたのかすぐにはわからなかったのだが、けーくんが私を受け入れてくれたのだと分かると、私は嬉しくて涙をこぼしながら

 

「いいの?本当に、私でいいの?大事な時にドジる私だよ?背だって小さいし、スタイルよくないし、オタクだし、色々面倒臭がり屋だし・・・。」

 

そう聞き返すと、けーくんは優しく微笑みながら

 

「だからどうした?たとえお前が背が高くてスタイルがよくても、オタクじゃなくても、面倒臭がりじゃなくても関係ない!それぞれの泉こなただったとしても、俺にとってはそれが俺の好きになった泉こなたである事には変わりない。そんな物はお前の一部分に過ぎないだろ?俺はそれらもひっくるめての泉こなたを俺がが好きだというだけさ。」

 

その言葉を聞いてけーくんの本心を知り、感極まった私は泣きながらけーくんに抱きついた。

 

私はけーくんに自分の気持が届いた事に喜び、けーくんの胸の中で泣いていた。

 

そんな私をけーくんは優しく受け止めて、私が泣き止むまでいつまでもそうしていてくれたのだった。

 

そうして私達はお互いが両思いである事を確認しあい、恋人同士になった。

 

その後大学に進んでから、私達の学ぶ学科はお互いに違ってしまっていたが、私は毎日のようにけーくんとお昼を一緒に食べたり、大学で語り合ったりと楽しくやっていた。

 

けーくんへの呼び方も大学に入ってから変わった。

 

”けーくん”そう呼ぶようになってから彼を家に招くたびにそう呼んでいたが、おとーさんの前でけーくんと呼ぶのを見ていたおとーさんは、けーくんが帰った後に自分もかなたにそーくんと呼ばれていた事があったからつい、あの頃を思い出してしまうな、と言っていたのを覚えてる。

 

その後は、学費や生活費等が厳しくなってきたのでバイトを探す事になったのだが、そんな折、またしてもあの店からの勧誘があり、私達は3度目のバイトをする事となった。

 

その時にもけーくんは、再度社長に店の話を持ちかけられる事となる。

 

だが、今回の話は相当に本気で社長はけーくんに話をしていたようだった。

 

それから、おとーさんと一悶着あってけーくんと暮らすようになってからしばらくして、私にけーくんは社長との事について話すようになった。

 

その頃から私はその話に興味を持ち始めていた。

 

ある時、けーくんが私に

 

「なあ、こなた。社長の話の事なんだけどさ、俺、考えてみようかな?って思うんだ。こなたはどう思うかな?」

 

そう問い掛けてきたので、私は少し考えてから

 

「けーくんがそう考えているんなら、やってみれば?でもその代わり、その話には私も乗せてもらいたいな。」

 

そう言うと、けーくんは驚いたような顔で私を見て

 

「え?こなた、お前もこの話に興味あるのか?珍しいな。」

 

そう言うけーくんに私はふっと笑うと

 

「最初はそうでもなかったんだけどね。話を聞いていてそれで、あの店でのアルバイトをしてさ、私の中に夢と呼べるものがどんどんと湧き上がってくる、そんな風に感じたんだよ。それは、私の知らないうちに大きく育ってきててさ、そのうちに私自身もその夢を実現できないかな?って思うようになったんだよ。」

 

私のその言葉にけーくんは首を傾げつつ

 

「夢?こなたに、夢?それはどんな夢なんだ?」

 

そう聞いてくるけーくんに私は1つ頷くと

 

「君といっしょにお店をやってみたい、って事だよー。2人でやれたら最高だな、って思ったんだよ。」

 

そんな風に言う私に、けーくんは私の顔を真剣な表情で見ながらしばらく考え込んでいたようだったが、ふいにその表情を緩めると、けーくんは私の目を見ながら

 

「お前の夢、わかったよ。なら、俺もその夢に向かって真剣に考えてみたい。明日からちょっと社長と話をしてみるよ。それで行けそうなら・・・やろうぜ?こなた。俺達の夢を実現させよう。お前の夢はもう、俺の夢でもあるんだからさ。」

 

そう言ってくれるけーくんの言葉が嬉しくて私は、思わずけーくんに抱きついて

 

「嬉しいよ、けーくん。任せて。その話が現実になる事になった時は、私もけーくんと一緒に頑張るから。」

 

そう言う私にけーくんも柔らかく微笑むと、私にそっとキスをしてくれた。

 

そして、翌日からけーくんはバイトの後、社長と会い、いつか社長に言われた件について話し合う事となった。

 

何度目かの話し合いの結果、社長は新店舗を計画している事をけーくんに伝え、その場所が、今、大ブレイクしているきら☆すたの聖地の玄関口にあたる久鬼駅前の駅ビル内にその新店舗を作る予定だという事だった。

 

このブームに便乗しての、売上を期待しての思い切った決断なのだという事だった。

 

そして、その新店舗の店長に、けーくんが抜擢される事となった。

 

更には社長のはからいで副店長に私を選んでくれた。

 

こうして、私達のお店も決まり、私達もその店の店長、副店長として納まることとなり、ついに私達の夢は実現に向けて動き始めた。

 

私達は連日店舗の工事に立会い、理想的な店作りを納得の行くところまでつきつめた。

 

そして、店が出来てくる頃にはその店で働く従業員の確保もしなくてはならなくなった。

 

私達は店員を探す為に募集をかけたけれど、かつての仲間達がその募集に応じてくれた。

 

さらに、兄沢店長のはからいで、当時お世話になった杉田店員ら、何人かの先輩方もこの店に来てくれる事となり、新しい店の陣容はかなり整った。

 

そして、全ての商品の搬入を終え、私達のアイディアを活かして商品を陳列し、全ての体制を整えるまでに至った。

 

オープン1日前、私達2人は店最終チェックを行ってから改めて店内を眺めてしばらくの間感慨に浸っていた。

 

「・・・いよいよだな、こなた。」

 

ふいにけーくんが私にそう言って来るの聞いて、私はけーくんの方に顔を向けると

 

「うん。そうだね。ついに私達の夢が始まるね。楽しみだなー。お客さん、一杯来てくれるといいよねー?」

 

そう、笑顔で言う私にけーくんも頷いて

 

「そうだな。そうなるようにできるかどうかが、俺達のこれからの腕の見せ所だ。頑張ろうぜ?こなた。」

 

笑顔でそう言うけーくんに私も力強く頷いて

 

「うん。頑張ろう。そして、絶対に電気街店を超える店にして兄沢店長や殿鬼店長を見返そうよ。そして、ここに第3のアニメ店長ありと、名乗りをあげようね。」

 

私のその言葉に苦笑しつつけーくんは

 

「だ、第3のアニメ店長か・・・プレッシャーだなあ・・・。」

 

そう、少し自信なさげに言うけーくんに私はけーくんの頬にキスしながら

 

「大丈夫。君ならできるよ。私の大好きな君にならさ。」

 

そう言う私にけーくんは少し頬を赤くしながら照れていた。

 

そして、冒頭に戻り、いよいよ今日は開店日。

 

私達は最終確認と従業員の配置をするために、店舗にやってきたのだった。

 

「こなた、着いたぞ?大丈夫か?なんだかぼーっとしてるみたいだったからさ。」

 

私が考え事をしてる事に気付いたけーくんが、そう言葉をかけてくれる事で私は我に返り

 

「あ、えと、大丈夫。ちょっと今日に至るまでの日々を思い出してただけだからさ。さあ、けーくん。いよいよ始まるよ?今日から頑張って行こうね?」

 

けーくんに笑みを向けながらそう言う私に、けーくんも笑いながら頷いて

 

「ああ。張り切っていこう。こなた。」

 

そう言って私の頭を撫でてくれるけーくんに、私も微笑みを向けて応えた。

 

お店の鍵を開ける頃、従業員の皆がやってきた。

 

「おはよ、こなた、慶一くん。今日からいよいよ開店ね。あんた達の夢、手伝わせてもらうわよ?」

「おはよう、こなちゃん、けーちゃん。今日からわたしも頑張らせてもらうからね?」

 

まず最初にやって来て私達に声をかけてくれたのは、かがみとつかさだった。

 

「おお!かがみん、つかさ。今回は私達の為に力を貸しにきてくれて感謝だよ。今日からお願いねー?」

「かがみ、つかさ、2人ともわざわざありがとう。今回の事、助かってるよ。給料はずむから頑張ってくれよな。」

 

私達は2人にそう声をかけると、2人は頷いて

 

「かがみん言うな!!ま、まあ、昔取った杵柄だけど、頑張らせてもらうわ。店長、副店長、よろしくね?それと、お給料、少しは期待させてもらうわよ?」

「わたしも前の事思い出しながら頑張るね?」

 

そう言ってくれる2人に私たちも笑顔で頷いていた。

 

「泉さん、慶一さん。おはようございます。今日から私もお世話になります。お2人の夢のお手伝い、させてもらいますね?」

 

そう言って次にやって来たのはみゆきさんだった。

 

「みゆきさん、来てくれてありがとね?更に育ったその豊満な肉体で男性客をひきつけてもらわなくっちゃねー。」

「こ、こら、こなた。あまり妙な事言ってるんじゃない!みゆき、困ってるだろうが!」

 

私が口走った変な事に突っ込みを入れるけーくん。そしてかがみも

 

「まだそんなセクハラ親父まがいな言動は直ってなかったか・・・まったく、あんたって奴はー・・・」

 

そう言って額に手を当てて呆れていて、つかさもどう、言葉をかけていいか分からず苦笑していた。

 

みゆきさんは、私の言った事に顔を真っ赤にして恥ずかしがっていた。

 

「あらあら、賑やかね。おはよう、泉ちゃん、慶ちゃん。今日からよろしくね?」

「相変わらず馬鹿やってんなー、ちびっこ。でも何だか楽しいゼ。今日からよろしくな?慶一、ちびっこ。」

 

そうしているうちに次にやって来たのはあーやとみさきちだった。

 

「おー!あーやにみさきち。よく来てくれたねー。今日から1つ、よろしくね?」

「あやの、みさお。協力してくれてありがとな?今日からよろしく頼むよ。」

 

私達が2人にそう言うと、2人とも

 

「任せて?頑張るから。」

「任せとけ、ちびっこ、慶一。あの店でのバイト歴は伊達じゃないかんな。」

 

そう満面の笑顔で言う2人に私たちも笑顔を返したのだった。

 

「先輩ー。お手伝いに来ましたよー?」

「最近はあなたも時間には遅れなくなってくれて助かるわ。先輩、私達も来たわよ?」

「やさこ、ここが先輩達の夢のお店なの?凄いなあ・・・。」

「ぴっかぴかのお店だね。よーし、私も頑張るかな?」

 

そう言って入ってきたのは、大学に入ってから時間にはかなり正確になってきたこうとやまと、そして、大学でも変わらずアニ研サークルを作って集まる後輩4人だった。

 

「八坂さん、永森さん、毒島さん、山辺さん、わざわざありがとう。今日から一緒に頑張ろうね。」

「こう、やまと、みく、たまき。来てくれて助かるよ。今日からよろしくな。」

 

そう言うと、4人も頷いて

 

「もっちろん。先輩達の夢の出発に立ち会える貴重な機会なんですから頑張りますよー?」

「大切な日に私達も一緒にいさせてもらえるのは嬉しいわね。私もしっかりやるわよ?」

「及ばずながら私も頑張ります。」

「先輩達の夢に便乗させてもらいますねー。」

 

そう言って張り切る4人だった。

 

「おはようございます。慶一先輩、こなたおねーちゃん。アルバイトするの初めてだけど、頑張るね?」

「・・・おはようございます。慶一先輩、泉先輩。どうなるかは分かりませんが、頑張らせてもらいますね・・・?」

「おはようございます。慶一先輩、泉先輩。アルバイトするのは初めてっスけど、私も頑張ります。」

「グッモーニン!ケイイチ、コナタ!キョウからワタシもガンバりマス。」

「おはようございます。慶一先輩、泉先輩。私にも声をかけていただけてありがたいです。私も頑張りますね?」

 

次にやってきたのは、1年生組の5人だった。

 

「ゆーちゃん、みなみちゃん、ひよりん、パティ、いずみさん。待ってたよー。今日からよろしくー。」

「5人とも来てくれてありがとう。ゆたか、きつくなったらあまり無理はしないようにな?みなみ、ゆたかの面倒は任せるからな。パティ、ひより、いずみも2人をそれとなく見てやってくれ。」

 

そう声をかけると、5人は

 

「もう。先輩は心配しすぎですよー。私、あの頃よりはかなり体強くなったんですよ?もっと信じてくださいよー。」

「・・・大丈夫。ゆたかは私が守るから・・・。」

「了解っス。私達も見ていますから心配ないっスよ?」

「ワタシタチにマカせておけば、バンジオッケーですネ。ケイイチタチはジブンのワークにシュウチュウしてクダさい。」

「大丈夫ですよ、先輩。皆いますから。先輩もご自分のお仕事を頑張ってください。」

 

そう言って私達を安心させてくれたいた。

 

「伝説の少年A、伝説の少女Aよ!君らの手腕、とくと見せてもらおう!!」

「今日からはおそらく我らもライバル同士となろう。それと同時に頼もしい味方でもあるがな。今日は立ち合わせてもらうことにしよう。」

「伝説の少年A、および、伝説の少女A。今日からお世話になるから、1つよろしく。」

 

そして、電気街店と池袋本店から、兄沢店長と殿鬼店長、そして、うちで働いてもらう杉田店員がやってきてくれた。

 

「兄沢さん、殿鬼さん。今日は立ち会っていただく事になってありがたいです。杉田さん。今日からよろしくね?」

「まさか、お2人の目の前で新店舗の開店を行う事になるとは思いませんでしたが、誠心誠意頑張りますので、見ていてください。」

 

その言葉に2人の店長は力強く頷き、杉田さんも

 

「お手柔らかによろしくな。」

 

そう言っていた。

 

後数人、ア○メ○ト側で雇ってくれた従業員も含めて残りもやって来て、そして最後に

 

「伝説の少年A、いや、森村慶一君。伝説の少女A、いや、泉こなた君。2人とも今日から新しい歴史の幕開けだ。この歴史の結末まで、見させてもらう事にしよう。頑張りたまえ、2人とも。」

 

高橋社長がやって来て、私達にこう告げた。

 

私たちは社長の激励に力強く頷くと

 

「私達の夢の為に尽力してくれた社長の恩義には応えて見せます。ありがとうございました。」

「俺達のこれからの舞台を用意していただけた事、ありがたく思います。任されたからには全力で応えて見せますのでどうか見ていてください。」

 

そう宣言すると、高橋社長も満足げに頷いて片手をあげて奥へと歩いて行った。

 

私達2人はお互いに顔を見合わせると

 

「よーし!もうすぐ開店だよ!!皆、最終チェックに入ってー!!」

「全員各部の点検をして報告!お客を迎える従業員は店舗入り口にてオープン限定景品の配布の準備!倉庫、及び陳列員は商品を切らさないように注意してくれ!全てのチェックが済んだら、オープンまでのカウントダウンだ!」

 

そして、各所からの報告があがる。

 

「倉庫、商品棚の商品陳列状況に異常なし!!」

「オープン限定商品配布数、異常なし!!」

「レジ、諸準備よし!!」

「各員の配置、全員準備よし!!」

 

そして、全ての準備が整い、いよいよオープンのカウントダウンが始まる。

 

「「よーし!それじゃ、カウントダウン始めるよー!!10!9!8!7!6!5!4!3!2!1・・・オープン!!」」

 

そして、ついに2人の夢のお店が開店した。

 

「「「「「「「「「「「「「「「「「「「いらっしゃいませー!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

 

店の従業員全員が元気な声でお客を出迎える。

 

私達2人の夢はついに叶い、そして、それからこの店はかつて伝説と呼ばれた2人の異名が現実の物となり、この店の売上はどの店よりも上回る事となったのだった。

 

そして、そんな私達に刺激を受けたほかの店舗もまた、今以上に売上を伸ばすようになった。

 

私達は伝説を本物に変え、そして、さらには自分達の店舗の姉妹店も出す事になる。

 

私達の夢は更に膨らんで行くのだった。

 


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