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C.E.71 9月30日 オーブ宇宙軍旗艦クサナギ
「私が代表を……?」
呆然としながら呟いた少女はオーブ連合首長国前代表であるウズミ・ナラ・アスハの一人娘にして現代表であるホムラの姪であるカガリ・ユラ・アスハであった。
「そうです」
素っ頓狂な声を漏らした少女に相対する頭の輝ける男の名はウナト・エマ・セイラン。この亡命政権の中で最も政務能力が高く、優秀な政治家であった。
「待ってほしい、ウナト・エマ。私はあの愚かなウズミ前代表の娘です。オーブ最大の戦犯の娘である私に亡命政権の代表たる資格などありません。私が亡命政権と共に脱出したのはアスハ家の資産を相続し、オーブの独立を取り戻す資金を守るためです。私には預金通帳以上の価値はありません」
「それは少し違います。カガリ様、貴方は確かにウズミ様の娘、ある意味最も近い立場だったといえるでしょう。しかし、公的な職を見れば、先ほどまでの貴方は一介の司令付きの副官にすぎませんでした。公的な責任は貴方に発生しえません。そしてなにより貴方はウズミ様に正面から対抗したという実績がある。ウズミ様と同じ穴のムジナではありません。亡国を招いた愚か者の娘であったという事実は変わりませんが、貴女は今回の事態に対して責任を負う立場ではありますまい」
「しかし、私は娘でありながら父を……」
未だに代表就任を拒絶するカガリだが、ウナトは一歩も引かない。
「それでしたら、内閣府の会議に出席していた我らにこそ責があります。内心がどうであれ、ウズミ様の指針に私達は抗議もしなかった。ただただ己の保身のため、国民からの人気が下がることを防ぐために。貴女に責があったとしても、我らの責は貴女の責より遥かに大きなものです。何より、我々は誰一人、最後までウズミ前代表に反発することができなかった……そんな我々がウズミ様を否定する亡命政権の代表になるなど、おこがましいにも程があると思いませんか?」
ウナトの説得でカガリの心は揺れていた。だが、彼女は自分が代表になることがはたして本当に国のためになるのかどうかわからないでいた。
「……私はお世辞にも、頭がいいとは言えません。単純な性格だから交渉ごとにもむきませんし、自慢できるのは本当に腕っ節ぐらいしかないのです。そんな私に代表なんて大役が務まるとは思えません」
ウナトの脳裏にはウズミに閃光妖術をきめたカガリの姿が浮かんでいた。確かに恐ろしいほどの腕っ節だった。正直、顔から血を流して倒れているウズミを見たときは火曜日夜のサスペンスドラマの舞台に自分がいるのではないかと錯覚したほどだ。
「確かに貴女は嫁の貰い手も想像できない脳筋です」
突如口を開いたのはウナトの息子、ユウナ・ロマ・セイランである。
「腕っ節だけは本当に強い。しかも事務処理能力も低い、政治に関する知識も一般のハイスクール生徒レベル、代表就任が後ろめたく思うのも当然でしょう。しかしね」
そこで言葉を切り、ユウナはカガリをまっすぐ見つめる。そして彼は堂々と言い放った。
「貴女には人を惹きつける力がある。あの時、ウズミ様を昏倒させた後、貴女は実質あの会議室の中で主導権を握っていたといってもいい。この国難に立ち向かう為政者としての資質は十分あるでしょう」
「ユウナ、だが、私は……」
「知識が足りぬというのであれば、私が支えます。外交が分からぬというのであれば、父が教えます。事務処理ができぬというのなら秘書官をつけます。貴女は資質はあるとはいえ、指導者となるには欠けているものが数多くある。しかし、我々がそれを支えてみせましょう。今、オーブに必要なのは貴女なのです」
ユウナはこの場ではカガリのモチベーションを下げることになりかねないために敢えて告げなかったが、じつはオーブ亡命政府の正当性を主張する上で、カガリが代表であることは大きな意味を持つ。
カガリは前代表の娘であり、現代表の姪である。オーブは代表首長制を謳っており、首長家からの選出という形で代表首長を選んでいたが、実際にはアスハ家による権力の世襲制となっていた。
侵略を受けてオーブ国外に脱出し、国土の奪還を目指すオーブ連合首長国亡命政府としては、これまでの歴代オーブ代表首長の選出の慣例に基づいた後継者、つまりはカガリによる統治を掲げることが彼らの正当性を高めることに繋がり、各国の承認を採りやすいとウナトと共に結論付けていたのである。
カガリは暫し俯いて黙考していたが、ややあって顔を上げた。その瞳にはさきほどまでのような目に見える不安の色は浮かんでいない。
「……私しかやれないことなのだな」
「はい」
カガリの問いかけにユウナは間髪いれずに答える。
「私が代表になることがオーブ国民を辛苦から一日でも早く開放する手助けになるというのなら私は…………私は……」
カガリは一息つくとその目つきを険しいものに変え、万人に響くような力の篭った声で言い放った。
「私はオーブ連合首長国亡命政権の代表の任につこう」
その場にいた亡命政権の主要メンバーは新たなる代表に頭を下げる。彼らも、カガリを自分達の指導者として盛りたてていく決意を示したのである。
「それと、ユウナ……頭を上げて欲しい」
カガリは少し表情を緩めるとユウナの下に歩み寄った。ユウナは内心で何のことかと訝しげだったが、素直に頭を上げる。
「ありがとう。お前のおかげで決心がついた」
「いや、カガリだったら僕があそこまで言わなくても、結局は引き受けていたと思うよ。僕は少し背中を押しただけさ」
カガリの感謝の言葉に、ユウナは亡命政権のブレーンとしてではなく、カガリの幼馴染として返事をする。その態度にカガリの態度は若干やわらかいものとなる。
「それでも、感謝はしているんだ、お前には。礼は受け取ってくれ……ああ、それと」
その時、ユウナは背筋に寒気を感じた。まるで臓器が、血液が、脳が何か得体の知れないものに握られているような恐ろしい感覚だった。そして全身で感知した危機はすぐに現実のものとなった。微笑みを浮かべたカガリの右拳はまっすぐにユウナの腹部に吸い込まれるように叩き込まれたのである。
ユウナは溜まらず肺の中の空気を全て吐き出してその場に膝をつく。そして膝を突いたユウナを見下ろし、カガリは恐ろしい表情を浮かべながら一瞥した。
「嫁の貰い手も無い脳筋という言葉はむかついた」
股間を狙わなかったのは彼女なりの善意であった。とはいえ、腹部への一撃でも十分な威力を発揮しているのだが。そして彼女は跪いたユウナを尻目に会議が行われていた講堂を後にした。
C.E.71 10月2日 大日本帝国 内閣府官邸
ここ一年で恒例となった閣僚を集めて行われる内閣府の会議の場には一つの空席を除いて全員が揃っていた。空席の本来の主は吉岡防衛大臣だが、彼はタイムスケジュールに狂いが生じたために遅刻することが既にこの場の閣僚には通達されている。勿論、この場で吉岡が報告することもあったが、彼の報告の順番は最後に回されているために支障はでない。
「吉岡は10分程遅れるという報告が入っている。辰村局長、まずは君から、今回のオーブ上陸戦の顛末を説明してくれ。防衛省と緊密に情報交換をしているらしいから、吉岡大臣は既に承知のことだろう。それならば彼がこの場にいなくても問題はあるまい」
澤井に促された辰村が口を開く。
「先月29日、現地時間11時25分にオーブへの侵攻を開始した東アジア共和国は圧倒的な数の優位を活かしてオーブ海軍護衛艦群を壊滅させ、空軍を消耗戦に引きずり込み、3時間後には橋頭堡を確保して上陸作戦を開始しました。オーブ側も開発したばかりのMSをもって応戦しましたが、装甲の薄さが仇となり、次々と各坐されていったとのことです。そして両日19時40分、オーブの行政府が東アジア共和国の機甲部隊によって制圧され、アスハ代表によってオーブ全土に無条件降伏の受諾宣言が発せられ、戦闘は終了したとのことです」
「・・・・・・MSがそう簡単にやられたのか?オーブ製であれば、最低限ジンほどの性能が保障されているはずだと思うのだが」
訝しげな澤井の問いかけに辰村は手元の資料を捲りながら答えた。
「え~、防衛省の見解では、オーブが配備を進めていたMS……MBF-M1、通称M1アストレイは装甲に発砲金属という軽量な金属が使われており、ジンや我が国の撃震で採用されている装甲に比べて強度は著しく劣るものだということがわかっています。オーブではMSを機動力に秀でた兵器として捉えていたので、機動力を高めるために軽量化という手段を採ったのだと考えられます。一方、そのMSを相手とした東アジア共和国軍ですが、彼らはMS対策として新型兵器を多数用意していたことが判明しました」
「新兵器だと!?」
千葉外務大臣が目を見開く。
「ええ。入手した情報によると、彼らは対戦車砲を改良したものと見られる携帯式火砲でMSを撃破したとのことです」
辰村は手元のコンソールを操作し、会議室のスクリーンに映像を映し出した。
「東アジア共和国では突火槍と呼ばれているこの歩兵用対MS砲ですが、その大きさから簡単に運べるものではないことは明らかです。オーブ軍から提供されたデータや諜報活動の結果得られた情報、アークエンジェルからもたらされた戦闘詳報を参考に考察したところ、突火槍は分解して3、4人の小隊で運送、組み立てを行っていた可能性が高いことがわかりました。そして彼らは重火器を背負っても機動力が衰えないように自動二輪を乗り回して移動していたと思われます」
辰村が一息ついたところで澤井が口を開く。
「辰村局長、その突火槍とやらには本当にMSを各坐させる能力があるのだろうか?如何に強力とはいえ、サイズ的には既存の対戦車砲の改良にすぎない歩兵用兵器がそれほどの猛威を振るったとは考えにくいのだが」
しかし、澤井の問いかけに辰村は淀みなく答えた。
「はい。確かにこの突火槍は一門でMSを各坐させることはまず不可能です。運よく機動部に損傷を与えるかセンサーを狙わない限りは歩兵用兵器でMSをしとめる事はできません。しかし、東アジアは一門では足りない火力を集中運用によって補ったのです」
辰村の回答に澤井は納得したのか、首を小さく上下に振った。
「自動二輪に搭乗した小隊は上陸後に散開し、密林や市街地といった各地の障害物の多い地帯に隠れながら展開しました。おそらくは一つの地域に突火槍を装備した3、ないし4小隊からなる部隊を配備して、その地域に陣を敷いたのでしょう。そしてその陣にMSが侵入した場合、MSに集中砲火を浴びせて撃破したのです」
「かつて第二次世界大戦中に独逸第三帝国海軍の潜水艦部隊が連合国側の輸送船団に仕掛け、3000隻近い輸送船を沈めたことで有名な
五十嵐文部科学大臣が疑問を呈する。そして辰村は再度手元の書類を捲り、五十嵐に答えた。
「戦場となっていたのはオーブ本土です。政府側の避難指示の遅れなどから戦闘開始時から市民の間では情報が錯綜し、パニックに近い状態になっていたという報告があります。避難が遅れていたために東アジア共和国軍の上陸が始まったころでも国内のいたるところに逃げ遅れた民間人が残っていたという報告も入っています。戦場となった国内にまだ逃げ遅れている民間人が多数いる以上、障害物に身を隠しているために直接目視ができない人影をセンサーが発見したところで民間人か敵兵かの区別をすることは不可能だったと思われます。敵味方の確認ができない以上、迷わずに敵として排除することはオーブ兵にはできなかったでしょう。そしてその間に彼らは撃破されていったのです。これで、情報局からの東アジア共和国軍に関する報告を終わらせていただきます」
辰村は一礼して着席した。
「遅れてしまいました。申し訳ない」
ちょうど辰村の報告が終了したころに吉岡も会議室に辿りついた。吉岡も既に報告を受けている東アジア共和国軍に関する事項は終了していたので、吉岡にこれまでの報告内容を説明しなおす必要はなく、会議の議題はそのまま外交関係に移った。
「今回の東アジア共和国のオーブに対する侵攻について非難し、東アジア共和国軍の早期の撤退を促すために私は一昨日、政府専用機でワシントンへ向かい、大西洋連邦のアムール外務次官との会談に臨みました」
千葉外務大臣が席を立ち、国際社会から東アジアに圧力をかけるべく折衝していたことを報告する。元々外交によって事態を改善することを考えていた澤井は千葉の報告に期待を向ける。
「しかし、芳しい成果は得られませんでした。東アジア共和国艦隊の駆逐艦を雷撃した犯人がわからない以上は、部外者である我々がこの問題に深く関与することはできない、これはオーブと東アジアの二ヵ国間の問題であるというのがアムール氏の……ひいては大西洋連邦の姿勢のようです」
「……オーブの技術力が東アジアの手に渡ることはあまりいい話ではないと思うのですが。それにオーブは、いえ、モルゲンレーテはヘリオポリスのGATシリーズ試作機製造に関与していました。MSの共同開発に携わり、モルゲンレーテの技術力をよく知っているはずの大西洋連邦がこの事態を黙って見ているとは考えにくいのではないでしょうか?彼らは何を企んでいるのでしょう?」
奈原官房長官が手を組みながら訝しげな表情を浮かべた。
「情報局からもたらされた情報や、現地の大使館が収集した情報から今回の大西洋連邦によるオーブへの不干渉の決定の意図を推測しました。まずですが、干渉する前提条件となる民意がオーブへの干渉を望んでいないようです」
辰村は続ける。
「大西洋連邦内では、今回の大戦で日和見して両陣営にいい顔をして平和を謳歌していたオーブに対する国民感情はよくありません。あの忌々しいオーブを支援する暇があるならば国内の復興を支援すべきで、自分達が苦難に喘いでいるときに手を差し伸べようともしなかったオーブを今更支援する義理は無い、オーブの苦難は自業自得というのが大西洋連邦の世論の考えのようです。また、ようやく戦争が終結したところで新しい戦争に介入することについての忌避感が見られ、オーブを救うために軍事介入して大西洋連邦の人間の命をオーブ人のために危険に曝すことにも賛意が得られそうに無いことは明白となっています」
「しかし、アーヴィング大統領は民意に縛られて国益を蔑ろにする人物ではなかったはずです。表向きは民意を理由にオーブを見捨てたとはいえ、政府にもなんらかの思惑があるのでは?」
榊が首を傾げる。そして千葉は榊の意見を肯定する。
「ええ。そうです。当然アーヴィング氏ら大西洋連邦政府にも思惑がありました。大西洋連邦は我々、日本に負担をかけたがっているのです」
閣僚達から浴びせられる視線が更に険しさを増すのを千葉は感じていた。
「東アジア共和国がオーブの技術力によって強化されたならば、真っ先にその脅威に曝されるのは地政学や、国際関係、歴史に基づけば我が国となることは明白です。我が国は今大戦では世界にその軍の類稀なる精強さ、驚異的な技術力を見せつけました。当然大西洋連邦もそれを目の当たりにしています。そして大西洋連邦は我が国に恐れを抱いたのでしょう。万が一戦争となれば、数の優位があったとしても、大損害は免れないということは明白ですから」
「東アジアを我が国の喉下に突きつけた剣とすることで、我が国が東よりも西に戦力を割くことを狙っているということか」
澤井が眉間に皺を寄せながら呟いた。
「我が国が太平洋側に割く戦力を小さくすることも当然目的に入っているでしょう。そして大西洋連邦にとって、東アジア共和国は直接的な脅威ではありません。東アジア共和国軍が我が国を無視して直接大西洋連邦を攻撃しようにも、補給線が延びすぎて戦争継続は困難を極めます。さらに東アジア共和国海軍が外洋に出る際は、我が国の領域を避けていくしかありません。日本列島はかの国の海の出入り口を塞ぐ位置にありますから。ただでさえ長い補給線が我が国の領海を迂回するコースを通ることで更に倍近い長さとなりますから、侵攻は現実的なものとは考えられませんし」
「直接的な脅威にならない対象を支援することで、自分達に向けられる軍事的
千葉は外交でオーブ開放の圧力をかけるという話をここで切り上げ、次にオーブ亡命政権について報告した。
「アメノミハシラを対価に我が国はオーブの亡命政権を受け入れました。しかし、我が国の力だけでオーブを開放するというのはリスクとリターンが釣り合いません」
「帝国政府としてはオーブ亡命政府を承認する。私は彼らの要請を一度受け入れた以上、その決定を覆すつもりはないし、オーブ本土への工作などへの支援も惜しまないつもりだ。しかし、直接的に軍事介入することは現段階では考えていない。彼らの工作でレジスタンス活動が高まり、占領軍への不満が爆発するころ……最低でも10年後に奪還への軍事的支援をとることになると考えている」
澤井はオーブ政権を放り出すつもりはないことをこの場で宣言する。確かにここで亡命政権を承認するということはデメリットもあることは理解しているが、それでも一度約定を交わした以上は、それを遵守する責務がある。約定を遵守できない国家は外交上も、内政上でも信用を失うからだ。
日本が約定を守れない嘘つき国家という汚名を被ることとなると、それは大日本帝国の、その国民の恥辱となるばかりではなく、いとやんごとなきお方の大御稜威をも汚すこととなるのだ。それは陛下から政を託された身である澤井には絶対に許すことのできないことであった。
ここでオーブ亡命政権を承認するということは多大なデメリットを孕んでいるということは澤井も承知のことである。まず、亡命政権を承認するということは、現在オーブを占領している東アジア共和国の正当性を認めないと主張していることと同意義であるため、東アジア共和国との関係悪化は避けられないということだ。
次に、大量の難民を抱え込むという点がある。数万の難民が押し寄せてきたところで彼らが全て国内で安定した生活を送ることができる保障は無い。窮乏した難民が治安悪化の原因となる例は世界中で事欠かない。そんな難民への最低限の支援も財政的に無視できる負担ではないのである。
しかし、何も澤井は自身の良心に従って国にとってデメリットの大きな決定を下したわけではない。この決定によって得られるメリットも十分に計算し、メリットとデメリットの価値比較をした際にメリットの方が大きいと判断したからこその決定であった。
まず、アメノミハシラの提供だ。軌道上ステーションを手に入れることができればその経済効果は大きなものとなるし、これを拡張すれば安価に軌道上の宇宙基地が出来上がる。これまで大日本帝国宇宙軍では軌道上に基地を持っていなかったために、通商路の安全確保や日本上空の警備のために二個戦隊を常に遊弋させていた、だが、基地ができれば艦隊を代わる代わる遊弋させる負担が軽減されることになる。
難民も安価な労働力としての需要はある。これから
また、モルゲンレーテからも多数の技術者が亡命している。彼らの技術力は無視できるものではない。彼らの技術を活かすことができれば我が国にとって大きな利益となることは確実だ。
「オーブ亡命政権はシャトルで宇宙にあがり、宇宙で待機していたかの国の戦艦クサナギに収容されて一度L4に向かいました。彼らは我が国の特別機で明後日に硫黄島の第二宇宙港に到着する予定となっております。その後東京に渡り、そこで正式に亡命政府立ち上げの宣言をする予定となっております。その後で私が亡命政府のカガリ・ユラ・アスハ代表との会談に臨みます」
「彼らが国を取り戻すまでどれだけかかることかわからない。だが、我々としては約定は果たす心積もりに変わりはない。千葉外務大臣、誠意を持って望んでくれ」
「はい」
澤井の期待の篭った言葉に千葉は力強く頷いた。
カガリは代表ルートになりました。Kガリとはいえ基本脳筋なので、サポートするユウナさんは胃に穴が空きそうですね。