先導者としての在り方[上]   作:イミテーター

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残存者

「なんだったのかしらね?さっきのノブ君の動き」

 

少しの間ではあったが、ノブヒロのあの高速の運用は、ミヤコだけでなく店長や吉田君をもど肝を抜く姿であった。

 

「前の彼にはなかったプレイスタイル……。前回の敗戦が、彼をさらに前へ進ませたのでしょう」

 

自分が担当した前大会をイメージしながら吉田君は静かに呟いた。

 

 

久我マサヨシ……。

 

あのピオネールと肩を並べると言っても過言ではない彼の実力は、苦戦を強いられるであろう第二回大会の王座を容易く勝ち取った。

 

その圧倒的なまでの実力は、何十という闘いを完全勝利という形で消化させ、己の存在をまじまじと見せつけた。

 

そんな彼が唯一認めたファイター。それこそが彼、椿ノブヒロだった。

 

実際、優勝インタビューで本人の口からそう言っており、彼もまた、充分な実力者と言える。

 

しかし実際のファイトでは対等というより、むしろ赤子をあやす親のように往なされ、実力の差を見せつけられた。

 

今思えば、彼もまた、彼女の言う規格外適合者の一人なのだろう。でなければあれほどの強さを立証することは難しい。

 

仕方がない……というのは言い訳かもしれないが、今まで多くのファイターを見てきた吉田君からしても、ノブヒロは全国でも通用するファイターだと思っていた。ただ、それを思っていたのは自分だけかもしれない。

 

ファイトを楽しむということを誰よりも努めてきた彼が、それ以上に勝利に飢えるようになったという事実。それが何よりの証明だった。

 

今の自分に満足せず、彼も彼なりに答えを探していたのだろう。まるで子どものように純粋にヴァンガードを楽しむ彼の姿を見ながら、吉田君は小さく微笑んだ。

 

 

「俺のスタンド&ドロー。さぁ、フィナーレだ。俺は右上にコスモ・ビークをコール、CBでVのパワーを4000上げる!。さらにコスモロアーをレスト、ビークのパワーを2000上げ、バトルに入るぜ!」

 

ビューティー/ストーム/ビーク

ロアー/ローレル/

 

ノブヒロの場が展開された段階でミヤコは自分の手札を見つめる。今自分の手札にあるのはドロートリガー一枚にスタンドトリガーが一枚、ダークメタル・バイコーンの3枚。合計ガード値20000。まだダメージは四点なので一度攻撃を受けることが出来る。

 

まず第一の条件として、Vのアタックは確実に止めなければならない。ビークのスキルでパワー15000となったストームは、わざわざローレルのブーストを必要とせずとも十分な火力があり、クリティカル+1であるこのアタックをもらえば、トリガーチェックを待たずしてゲームが終わる。こちらのダメージチェックでヒールトリガーが出れば話は別であるが、それはあまりにもリスクは高い。

 

アタック順はビューティーからだろう。スタンドトリガーのことを考えれば、スキルで後列をスタンドできるあのカードで先にアタックしないメリットはない。

 

最初のアタックを5000でガード、次のストームを15000でガードし、次のアタック。もしクリティカルトリガーであればガードすることができ、スタンドトリガーであれば一度ダメージをもらい次のアタックをガードすればいい。

 

(まだあたしは負けない……!次のターン、あたしがあなたの代わりにフィナーレをさせてもらうわ!)

 

思いを固め、身構えるミヤコに対し、ノブヒロもその意気込みが伝わったのか、またニヤリと笑み浮かべた後、アタックに移った。

 

「ビューティでVにアタック!」10000

「レインボー・マジシャンでガード」15000

「ストームでVにアタック!」15000

「スカイハイ・ウォーカー、ダークメタル・バイコーンでガード」25000

 

ここまではミヤコのシナリオ通り。しかし、ノブヒロからしてもそれは想定の範囲内だろう。

 

ミヤコが前のターンでマリオネットのスキルで手札からガードに使えないG3をソウルに入れたのは、ソウルにいるラーク・ピジョンのスキルを使うため。となれば、残りの手札はガードに使えるカードのみということになる。

 

となればやるべきことは一つ。

 

「ドライブチェック!アイン、ガイド・ドルフィン!スタンドートリガーGET!ビューティーをスタンド、さらにスキルでロアーもスタンド!そしてパワーはVに加える!」

(……やっぱりそうなるわよね……)

 

わざわざRにパワーを割り振らずとも、ミヤコにはもうラーク・ピジョンのガード以外にこちらのアタックを防ぐ術はない。それを感じていたミヤコは、最初のトリガーが発動した時点で溢れ出る唾液を飲み込んだ。

 

最後のトリガーチェック。ここでトリガーが出れば完全に敗北が決まる。何故なら、今のノブヒロの場にはスタンドしているカードが四枚。ローレルのスタンド能力を発動する準備が整ってしまっていたからだ。

 

息を飲みながらトリガーチェックに注目するミヤコ、店長、吉田君の三人。ノブヒロはこの瞬間をじっくり堪能するように、ゆっくりカードを捲っていった。

 

「ツヴァイ……GET、ヒールトリガー!ジャスティスローズの効果で一枚回復し、パワーは全てVに加えるぜ!」25000

 

決定打となるダブルトリガー。ミヤコは無念さに唇を噛みしめながら、震える右手をデッキの上へと誘った。

 

「ダメージチェック、一枚目……宵闇の奇術師 ロベール。二枚目……スパイラル・マスター……。あたしの……負けよ……」

 

 

長きに渡るファイトの決着。激闘と言うに相応しい対決を繰り広げたこの二人のファイターに、吉田君は心の中で称賛を送った。

 

(本当に素晴らしいファイトでした。ミヤコさんの姿なき不発弾頭(ギュゲースクラスター)の能力を用いたファイトは、奇抜ですが非常に論理的な戦法であり、規格外適合者というものがなんたるかを俺たちに教えてくれました。そしてノブ君の持ち前の前向きにファイトを楽しむ姿勢は、見ているこちらもワクワクするような高揚感を与え、あの高速運用は、俺たちに新たな可能性を示してくれた。そして二人とも、ピオネールであるクリア君とのファイトを望むほどの好戦的な性格、この先が楽しみですね。ミヤコさんのクリア君に対する敵対意識は少し行き過ぎな気もしますが……)

 

そう考えていると、吉田君は突然何時ぞやのハジメからの言葉を思い出す。ミヤコが何故クリアとファイトをしたがっているのかを……。彼女がどれだけ負けず嫌いなのかを……。

 

(これは……まさかノブ君もクリア君と同じ末路を辿る可能性が微粒子レベルで存在している……?今でも十分過剰なアプローチをする彼女がさらに標的を増やしたらこの先色々問題が……)

 

吉田君はこの結末に一抹の不安を覚えた。そして、それをどう改善するかを必至に考えている中、ファイトを終えた二人のうちの一人が口を開いた。

 

「今更だけどよ、たしかあんたもクリアとファイトしたがってたんだよな?俺みたいに」

 

最初に話し始めたのはノブヒロ。お互い展開したカードを自分のデッキに集めることに視線を向けながら言葉を交わした。

 

「……当たり。で、それがどうかしたの?」

 

俯くミヤコの表情はノブヒロからも見えなかったが、その声質からある程度予想はついた。

 

「そんな威嚇するなよ……。なぁに、ちょっと気になってよ。あんた程の実力者がどうしてあいつに拘るのかってな」

「……対した理由なんてない。ただ、あいつはあたしに勝った奴に似てたから。それだけよ」

「ふーん。ん?じゃあもしかして今回のファイトで勝った俺も目をつけられてるのか?」

 

首を傾げながらそう問いかけるノブヒロ。吉田君も今しがた危惧していた事項に耳を傾けるが、その問いにミヤコは「フッ」と笑いながら視線を上げた。

 

「余りあたしを甘く見ないほうがいいわ。こんな運ゲーの勝敗をいちいち真に受けるわけがないでしょ?あなた、ライド事故やトリガー事故で負けて自分の実力が劣っていたと思う?」

 

そう返答するミヤコに対し、ノブヒロは少し驚き俯いた後、声を上げながら高笑いした。

 

「なーはっはっは!違いねぇや。ヴァンガードはいい意味でも悪い意味でも運ゲーだ。一番大切なのはそれをどう考えるか。勝っても負けても、それを一番楽しんだ奴が本当の勝者だ、俺はそう考えてる」

 

笑い声を抑えながらノブヒロはミヤコを見る。そして、右手の親指を立てながら右腕を突き出した。

 

「あんた、やっぱり最高のファイターだぜ。俺が保障してやるぜ!」

 

そんなノブヒロにミヤコはまた微笑すると、デッキを自分のデッキケースにしまった。

 

「別にあなたに保障されなくても自分が強いことくらい自覚してるわよ。次にあなたとやる時、勝つのが自分であるということもね。もちろん、クリアとも」

「そうこなくちゃな!俺も楽しみだな、あいつとファイトするのは。大会での強敵とのファイトはもう胸の高鳴りが違うよな!」

「そう?あたしはファイトさえ出来ればそれでいいけどね。クリアとファイト出来るならそれで」

「そうなのか?なら普通にファイトすればいいんじゃねぇの?俺はあっちから普通に野良誘われたけど」

「……え?」

 

ノブヒロの告白に茫然とするミヤコ。自分は何度申し込んでも断られたクリアとのファイトを、この男はあろうことか、あちらからファイトを申し込まれたというのだ。

 

「ん……俺なんか変なこと言っ……」「元々ヴァンガードに乗り気じゃないと思ってたけど……まさかあたしを避けてたなんて……」

 

湧き上がる嫌悪感と怒り。その溢れ出る邪気は、ノブヒロだけでなく店長や吉田君さえも冷や汗をダラダラと流れさせるほど凶悪なものだった。

 

「あなた……」

「はい!」

 

自分が呼ばれたと思ったノブヒロは背筋を伸ばしながら大きな声で返事をする。返事をしなければ殺される、そう思った。

 

「あなた……名前は?」

「名……え?ファッ!」ドンッ!

 

苛立ちを払うかのように机を叩く。それに驚いたノブヒロは思わず変な声を上げる。

 

「さっさと答える!」

「ノ、ノブヒロです!椿ノブヒロ!みんなにはノブって言われてますです!」

「そう……椿ノブヒロ……ノブね……」

 

そうブツブツぼやくと、ミヤコは席を立つ。視線はノブヒロに向けたまま。

 

「正直言って、今回のファイトは私が全体的に運が悪かった。特に後半はね」

「は……はぁ……」

 

あまりの威圧感に全く動くことが出来ないノブヒロ。そんな彼に、ミヤコは今までとはまた別の雰囲気を纏いながら言い放った。

 

「次ファイトする時、普通にやればあたしのが実力が圧倒的に上だということを証明してみせる。覚悟することね」

 

今まで固まっていたノブヒロはその言葉を聞き視線をミヤコに向ける。すると、それまでの献身的な態度を解き、ニヤリを笑みを浮かべながら言い返した。

 

「上等!」

 

 

ショップ予選 2回戦目

勝者 椿ノブヒロ

 

 

 

  *  *  *  *  *

 

 

 

「ドライブチェック……」

 

カイリは自分のデッキを凝視しながら手をそちらへ誘う。ここでのドライブチェック、もしここでトリガーが出なければこちらの負け、トリガーが出ればこちらの勝ち……。本当の意味でファイナルターンであった。

 

今は予選3回戦目。2回戦終了時に知り合いが決勝トーナメントの切符を握る中、初めにハジメに負けてしまったカイリは3回戦目までもつれ込んだ。

 

同じように途中で負けたミヤコやツカサ、そしてあのシロウも決勝へと登り進め、最後に残ったのは自分のみ。

 

カイリは顔を歪めながら、そんな現状を嘆いた。

 

(皆が勝ち残ってるのに自分だけ取り残されるなんてそんなの嫌だ!たとえ地区大会に参加出来なくても、最後は皆と一緒に戦いたい!……その為には……)

 

カイリは自分の手が触れるカードの感触を確かめる。

 

(ここでトリガーを引き当てる……それしかないんだ!)

 

自然と手札を持つ左手に力が入る。今のカイリに自分の勝利以外のものは何も見えていなかった。大会参加時に危惧していたことは、ハジメとの一戦で完璧に払拭出来たのだろう。

 

その敗戦は、カイリにとって勝利以上の意味をもたらした。あのファイトがなければ、2回戦目でのファイトは負けていたかもしれない。

 

自分に期待してるハジメや他の皆に答えるために、カイリはトリガーを捲った。

 

「ファーストチェック……!ライザーカスタム。セカンドチェック、バトルライザー!スタンドトリガーGET!キングをスタンドさせて、Vにパワーを加える!パーフェクトライザーはスキルでクリティカル2……ダメージ2点!」

「ダメージチェック……トリガーなし。クソッ、負けた」

「対戦ありがとうございました!」

 

なんとか勝ちをもぎ取ることが出来たカイリ。直ぐ様対戦カードに結果を書き込み、それを手に取ると辺りを見回す。

 

勝って満足してはいられない。何故ならその報告を吉田君が受理して初めて決勝への道が開かれるのだ。

 

決勝トーナメントの準備をしている吉田君は、初めに説明をしていた一番奥の机に座っており、彼を見つけたカイリはすぐにそちらへと向かう。

 

「吉田さん……俺、勝ちました……」

 

焦りからか、息を乱しながらカードを提出するカイリに、吉田君は待っていたかのように彼の差し出した対戦カードを受け取った。

 

「お疲れ様です、カイリ君。君で12人目、ギリギリ間に合いましたね」

「はい!ありがとうございます!」

「別にお礼を言われることなんてしてませんよ。君が勝ち取った権利です。褒め称えるなら自分自身が適任でしょう。では俺は、自分の責務を真っ当しますか……」

 

そう言いながら立ち上がる吉田君を尻目に、カイリは自分の手を見つめた。

 

自分の力で勝ち取った。その事実を少しずつ実感していくうちに、カイリは今までに感じたことのない達成感を覚え、思わず笑みが溢れた。

 

「よう!カイリ!どうやらなんとか勝てたみたいだな!」

「ハジメ!」

 

勝利の余韻に浸っていたカイリに、一足先に決勝トーナメント出場を決めていたハジメが声をかけた。

 

「まぁ、お前がこんなところで負けちまうとは端から思ってなかったけどな」

「いやぁ、結構危なかったよ。本当。ところで皆はどこに行ったの?」

「みんな外で飯食べてるぜ。決勝トーナメントは昼食の後にやるからな。お前も早いとこ食べておかないと後でばてちまうぞ?」

「うん、そうするよ」

 

そう言いながら出口へ向かうハジメの背中を追って、カイリも自分のデッキを片付け外へと向かった。

 

 

 

  *  *  *  *  *

 

 

アネモネ近くのファミレスにハジメとカイリが入ると、二人に気づいたシロウがこちらに向かって手を振った。

 

「カイリさーん!こっちです!」

「まったくおせーよー、カイリ!」

 

手を振るシロウの近くには、タイキやショウ、ノブヒロやツカサといった面々が座っており、少し離れた席にはクリアとミヤコもいた。

 

「皆、もしかして俺のこと待ってたの?」

「待ってたっていうのがご飯を待ってたという意味ならそれはちょっと違うかな~。先にご飯済ませちゃったしね~」

 

席についたカイリにいつもの調子で悪戯っぽく笑いながら呟くツカサ。そんな彼にノブヒロも誘われるように笑いながら言った。

 

「あんた本当にひねくれてるな。いい意味でだけどよ」

「ハハッ、それが僕の個性だからね~」

「それでこそツカサ先輩っすからね!」

 

悪びれる素振りもなく、裏表のない笑顔を浮かべるツカサ。そしてそれに賛同するハジメ。そこには、いつものアネモネの風景があった。

 

「ところでどうしてクリアさんとミヤコさんはあっちでいるの?しかもミヤコさんなんか機嫌悪そう……」

 

その光景で肩の荷が下りたカイリは、ふと気になった点についての説明を求めた。前からクリアとのファイトを望んでおり、順当に勝ち上がればファイトすることが出来るミヤコが何故機嫌が悪いのかカイリにはよくわからなかった。

 

「あぁ、あれか……多分あれ俺のせいだ」

「え、そうなんですか?」

 

先にシロウが注文しておいた料理を受け取ったカイリに、気まずそうにノブヒロはそう切り出す。

 

「はんへもひふんにほらふぁいほひてふへはいほとひほほってふはひひ」

「食べながらしゃべらないでよ……お兄ちゃん」

 

口いっぱいに物を含みながら喋るショウにシロウは白い眼で注意した。

 

「前に野良ファイトで俺とやってくれるってクリア言ってただろ?それをあのミヤコって子に言ったら突然顔が豹変してよ。流石の俺も足が竦んじまった」

「あぁ……自分は野良ファイトしてくれないのにどうして他の人には野良ファイトするのかということを怒ってるんですね……」

「そうらしいな。別に普通にやってやればいいのに……。クリア先輩もミヤコさんに何かしらファイトしたくない理由でもあるのか?」

「さぁな、流石に俺もあの二人に関係性はまったくわからんよ。まっ、ミヤコが素晴らしいファイターってことは前のファイトでわかったけどよ!」

 

当時のファイトを思い出しながら喋るノブヒロに、ハジメは思い出したように声を上げながらノブヒロに話しかけた。

 

「あっ!そういえば!結局ミヤコさんとのファイトはどうだったんすか?やっぱり苦戦したっすかね?」

「ああ、俺の想像以上だった。負けず嫌いで立ち回りは堅実。その上規格外適合者ときたもんよ。そりゃ苦戦しなほうがおかしいぜ」

「そっすよね。俺も前にファイトした時はボロボロに……規格外適合者?」

 

聞きなれぬ単語の思わず首を傾げるハジメ。それは、横で聞いていた他のメンバーも同じだった。

 

「知らないのか?ヴァンガードの勝敗を司る3つの要素、デッキ構築・プレイング・運という規格を超え、さらに4つ目の要素を操るファイターのことだよ」

「「???」」

 

まるで知ってて当然のように語るノブヒロに対して、聞いているほうからはチンプンカンプンだった。

 

「あ~、聞いたことあるかも。それってボクのことだよね」

「ツカサ先輩……あー!アイデテック・イメージのことっすね」

 

手を叩きながら呟くツカサによってようやくピンときたハジメ。余りにもわかりやすすぎる例えに他のメンバーも規格外適合者について把握することが出来た。

 

「ミヤコさんもツカサさんのアイデテック・イメージに似たような能力を持ってるということですか?」

「そういうこと。勝手に人の能力を言うのはなんか罪悪感に響くが、まぁ問題ないか。ミヤコの能力はソウルチャージでトリガーが絶対入らないデッキ操作系能力″姿なき不発弾頭(ギュゲースクラスター)"だ」

姿なき不発弾頭(ギュゲースクラスター)……それってミヤコって人がそう名乗った……んすか?」

「……本人は否定してたが、まぁそういうことでいいと俺は思ってる」

 

ノリノリで教えてくれたミヤコの姿を思い浮かべながらノブヒロは苦笑いを浮かべた。

 

「ミヤコさん、そんな能力持ってたとは知らなかったっすね……。そういえば俺とファイトした時もソウルにトリガー入ってなかったっけか……。他にもそういう能力を持った人とやったことがあるんすかね?なんか凄く詳しそうに話ますけど」

「ん、まぁな。これでも色んな場所でファイトしに行ってるからよ。経験値だけだったら誰にも負けない自信はあるぜ!」

 

自信満々に言い切るノブヒロに感化され、ハジメもテンションMAXになりながらさらに話をつづけた。

 

「凄いっすね!なんか興味湧いてきたのでもっと規格外適合者について教えてもらえないっすか?こういう能力を持った人がいるとか……」

「そうだな……。そういう適合者のファイターっていうのは大概まともな奴がいないからな……。巫女服纏ったお姉さんとか騎士服纏ったお兄さんとか……」

「……それ本当にヴァンガードやってたんすか?」

 

さらに現実離れした返答に唐突に不信感をあらわにするハジメ。しかし、その反応をノブヒロは見逃さなかった。

 

「お、中々信じてないって顔してるな?」

「あ!いや!別にそんなことは……」

 

ニタァと笑いながら指摘するノブヒロに慌てるハジメ。こんなこともあろうかとと言わんばかりに腕組みをすると、ノブヒロは目を瞑りながら口を開いた。

 

「ならとっておきの相手とのファイトを教えてやるよ」

「とっておき……?」

 

また自信満々に言うノブヒロにカイリは首を傾げる。そして次にノブヒロから放たれた言葉は、その場にいた全てのファイターの目を本気にさせた。

 

「第一回ヴァンガードチャンピオンシップにおいて、その圧倒的的なまでの実力で頂点へと登りつめたピオネール第一位にして世界最高のファイター。『狭間シンジ』とのファイトをよ!」




あまりに現実とのカードプールの差が激しすぎたのでかなりすっ飛ばしました。正直書いてて自分でも違和感がかなりありましたが、飛ばしても飛ばさなくてもそこまで内容に差支えないのでご了承ください。

とにかく・・・最低でもリミットブレイクくらいはそろそろやらないとまずいという危機感を最近覚えるようになりましたw

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