先導者としての在り方[上]   作:イミテーター

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これ書いてて本当に今と昔とのインフレって凄いなって思った。


力とお金

「確かにあなたの考えには一理ありますね」

 

カイリは青年に歩みよりながらそう言った。

 

「カイリさん……」

「ほう、こいつの保護者かと思ってたが、なかなか話がわかって……」「でも……それは浅はかな考えですよね」

「……何?」

 

青年はカイリを睨み付けた。

 

「あなたはまるでお金さえつぎ込めば勝てると思ってらっしゃる。そうでしょう?」

 

カイリの問いに自信満々に答える青年。

 

「あぁ、そうさ。何も違わない。それが真理だ」

「それが浅はかだと言うんですよ。ヴァンガードはそんなに甘くはありません」

「……なぁ。結局よー、てめぇは一体何が言いてぇんだ?」

 

頭を掻きながら煮えを切らした青年の問いに、カイリは口が緩んだ。

 

「僕とファイトしてくださいよ。もし、あなたが勝ったらパックを全部でしょうが何でしょうが構いません。好きにやっていいですよ」

「カ、カイリ君……」「ただし、僕が勝ったらおとなしくお帰り頂きたい。そして……」

 

吉田君の声にも構わず、カイリは青年と向かい合った。そして普段のカイリには想像がつかないほど挑発的な態度でこう言った。

 

「二度とここで買わないと約束して頂きます。みんなのためにも、この店のためにも……ね」

 

カイリの申し出に青年はおもむろに笑いだした。

 

「クックック……おもしれぇ。良いじゃねぇか。その申し出、受けてやるよ。ただし、ファイトの結果は絶対だ。約束はきっちり守ってもらうぜ?」

 

カイリは鼻で笑った。

 

「お互いに……ね」

 

 

 

  *  *  *  *  *

 

 

二人は向かい合うようにして座った。

シロウとタイキはカイリの後ろから眺めるようにして見守った。

 

「しっかし、シロウだっけか?お前も災難だったなー。変なのに絡んじまってさ」

「うぅ……、だってカード全部買ってくって言うんですもん……。でも大丈夫ですかね……カイリさん。負けたらカード全部買っていかれちゃいますよ……」

「たしかにいつものカイリとは思えん言動だな。吉田君にはドンマイと言わざるを得ない……」

 

 

タイキはこちらのほうを気にしながら業務をしている吉田君を見ながらそう言った。

カイリと青年はお互いのデッキをシャッフルしたあと、五枚を引き、裏側にして机に置いた。

 

「それでは先行後攻を決めましょうか」

 

二人はじゃんけんをする。カイリが勝ち、カイリの先行となった。

青年は舌打ちすると、伏せていた手札を確認する。

 

「ちっ、俺は四枚戻す」

「僕は二枚で」

 

カードをデッキに戻した後、お互いのデッキをシャッフルし、相手に返し、再び五枚になるように引いた。

 

「まぁいいか。いくぞ」

 

「「スタンドアップ、ヴァンガード」」

 

 

「フルバウ」(5000)

「バトルライザー」(3000)

 

二人は自分のFVを表にした。

 

青年はカイリのバトルライザーを見て、ニヤリと笑う。

 

「おいおい、ノヴァでまだバトルライザーを使ってるやつがいたとはお笑いだな。ブラウクリューガーを買うお金もないのか?」

 

青年は嘲笑いながらそう言った。

カイリはそんなことは気にせずデッキから一枚引いた。

 

「ライザーカスタム(6000)にライドします。バトルライザーはスキルで左下に移動してターンエンドです。何か言いましたか?」

 

惚けたように言うカイリに青年は舌打ちした。

 

(ライザー軸か……またマイナーなデッキを使いやがる。だが……)

 

青年もドローすると手札からカードを取り、ライドした。

 

「ブラスタージャベリン(6000)にライド。そしてフルバウのスキル発動!ジャベリンがこのカードにライドした時、デッキからブラスターダークを一枚手札に加える。さらに、ソウルにフルバウがいるとき、ヴァンガードのジャベリンのパワー+2000だ」

 

青年はブラスターダークを手札に加えるとシャッフルを終えたカイリからデッキを受け取った。

 

(そんな不安定なデッキでは俺は倒せねぇ。それを証明してやるよ)

 

青年は再び手札からカードを取ると、右側の前列に出した。

 

「さらにブラスタージャベリンをコール。そしてスキルだ。手札のファントムブラスタードラゴンを捨て、デッキからファントムブラスタードラゴンを手札に加える。悪りぃが、もう一度シャッフルしてもらうぜ」

 

カイリは無言でデッキを受けとるとシャッフルし、青年に返した。

 

「どうしてわざわざ捨てて同じカードを持ってきたんですかね……」

 

青年のプレイングにシロウは首をかしげた。

 

「そりゃーデッキの中のG3の割合を少なくするためだろーな。G3はアタッカーには出来るが、ガードには使えねーから既にG3があるなら出来る限り処理したほうが後々楽になっからな」

「なるほど……」

 

タイキの説明に納得したシロウは、再び視線をファイトに戻した。

 

(これで彼はファントムブラスタードラゴンへのライドが確定した。僕の手札にもパーフェクトライザーへのライドは出来るけどライザーは現状、今ライドしたライザーカスタムと移動したバトルライザー……これは……)

 

カイリがバトルライザーを見ながら思案を巡らせるなか、青年はリアガードのジャベリンに手を添えた。

 

「行くぜ?リアガードのジャベリンでヴァンガードにアタック」(6000)

「……ノーガードです。ダメージチェック、GETドロートリガー。スリーミニッツの効果で一枚引き、ライザーカスタムにパワーを加えます」11000

「うぜぇ……。まぁいい、ヴァンガードのジャベリンでヴァンガードにアタック」8000

「それもノーガードです」

 

余裕そうに宣言するカイリに青年は舌打ちした。

 

「ちっ、ドライブチェック……、ふっGETスタンドトリガー。ダークサイドトランペッターによるリアのジャベリンのスタンドは無駄になるが、パワーをヴァンガードに乗せればアタックは通る。さぁ、もう一度ダメージチェック、やってもらおうか?」13000

 

笑みを浮かべながら言う青年にカイリは黙ってデッキトップを捲った。

 

「ハイパワーライザーカスタム……」

 

それを見た青年はさらに声をあげて笑った。

 

「はーはっは!貴重なライザーが落ちちまったな!知ってるんだぜ?ライザーデッキはいかに序盤にライザーを引き込めるかが鍵になるってなぁ。今のドローは痛いが、……さてさて、ライザーは引けるかねぇ?」

 

青年は一度自分の手札を確認すると、再びカイリに視線を戻した。

 

「……それじゃあ僕のターン、行きますね」

 

ノヴァ

手札 6

 

前列

/カスタム/

後列

バトルライザー//

 

シャドパラ

手札 6

 

前列

/ジャベリン/ジャベリン

後列

//

 

「スタンド&ドロー、僕はマジシャンガールキララにライドします。さらに右側前列にキング・オブ・ソード、左側前列に叫んで踊れる実況シャウトをコールします」

 

カイリのユニットの配置を見て、タイキは呟いた。

 

「シャウトを前列?っつーことはスキルは使わないわけか」

「シャウトってどんなスキルを持ってるんですか?」

 

シロウは言った。

 

「シャウトはレストすることで手札一枚捨ててドローするスキルがあんだよ。まー、前列に出したってことは手札に落とすよーなカードがないからアタックするんだろーな」

 

タイキの言葉通り、カイリはシャウトをレストさせアタックを宣言した。

 

「シャウトでリアガードのジャベリンにアタックします」7000

「ふん、ノーガードだ。ジャベリンは退却」

 

しかしここでタイキは疑問を抱いた。

 

「ん?残りアタックはキングとヴァンガードのキララ……。ダメージが相手に二点はいっちまうが大丈夫なのか……?」

「……?。ダメージはたくさん与えたほうかいいんじゃないんですか?」

「いや、そーなんだけどさ。相手はシャドパラ。次のターンには十中八九ブラスターダークにライドしてくるだろ?。ブラスターダークはライドしたときにCB2で相手のユニットを退却するスキルがあんだよな。そーすると、相手はそれでバトルライザーを退却させてくると思うからやばいんじゃねーかなってさ」

「ふぅむ……」

 

それを聞き、シロウは心配そうにカイリを見た。

 

「キング・オブ・ソードでヴァンガードにアタックします。ブーストはしません」10000

 

このカイリの行動に青年の眉が動いた。

 

(ブーストしねぇのか。俺がこのアタックか次のキララのアタックをガードしてくれると思っての行動か。たしかにキララのアタックを通すのは痛ぇ。が、確実にあのバトルライザーを葬れるのであればなんてことはねぇ)

 

「ノーガードだ。ダメージチェック、秘薬の魔女アリアンロッド」

「次です。ライザーカスタムのブースト、キララでヴァンガードにアタックします」15000

「そいつもノーガードだ」

「ドライブチェック、マジシャンガールキララ。トリガーなしです」

「ダメージチェック、GETドロートリガー。アビス・フリーザーのスキルで一枚引くぜ」

 

青年が引くのを確認するとカイリはダメージを裏返した。

 

「では、キララのアタックがヒットしたのでCB。僕も一枚引きます。ターンエンドです」

 

ノヴァ

 

手札5

ダメージ裏2

 

前列

シャウト/キララ/キング

後列

/ライザーカスタム/バトルライザー

 

シャドパラ

 

手札7

ダメージ表2

 

前列

/ジャベリン/

後列

//

 

「俺のスタンド&ドローだ。んじゃま、そこの邪魔なトリガーにはお帰り願おうかねぇ。ブラスターダーク(9000)にライド!そしてダークのCB!バトルライザーを退却させるぜ?」

 

カイリは少し顔歪ませながらバトルライザーをドロップゾーンに置いた。

タイキはアチャーといった様子で頭を抑えた。

 

「あのバトルライザーがいなくなるとカイリさん的にはどういう不具合があるんですか?」

「あー、まずダメージゾーンにいるハイパワーライザーカスタムとライザーカスタムの役割を失っちまうんだ。あいつらは後列にバトルライザーがいれば大幅にパワーを上げられるんだが、バトルライザーがいなければただの8000と6000の効果なしになっちまう。後、カイリのデッキの切り札であるパーフェクトライザーはライドした時に場のライザーを含むユニットをソウルに置くことが出来る。一見アドバンテージを損してると思うが、パーフェクトライザーは自分のターン中、ソウルのライザーの数だけパワーが+3000。さらにライザーが四枚以上あればクリティカルが+1するんだ」

「クリティカル+1!?四枚ってことは最低でもパワーが12000上がってるってことですよね!?」

「察しがいいな。しかも騎士王と違ってブーストもできるから元々のパワー11000に上がったパワーの12000、さらにタフボーイのブーストが乗れば……」

 

シロウは思わず唾を飲んだ。

 

「31000……。しかもクリティカル+1……。それも毎ターンアタックが可能なんて化け物ですね……」

「間違いねーな。こんなの完全ガードでもない限り防げねーからな」

 

するとシロウは視線をカイリの場に戻した。

 

「なるほど……。そんな状態にならないようにバトルライザーを退却させたんですね、あの人は」

「だろーな。けどあれはダメージ二点与えなけりゃ使えないスキルだからカイリが少し焦って攻めすぎたのが原因だな」

 

タイキはそう言ったが、カイリを見ていたシロウには何故かそうとは思えなかった。

青年はしてやったりといった表情で手札を見た。

 

(ざまぁねぇな。……だがこれでCBが無くなっちまったか。手札にネヴァンがあるが、これは次のターンに持ち越すしかねぇか)

 

「さらに右側前列に黒の賢者カロン(8000)をコール。そしてカロンでシャウトにアタックだ」8000

「ノーガードです。シャウトは退却します」

「次にブラスターダークでヴァンガードにアタックするぜ?ブラスターダークはソウルにジャベリンがいるとき、自ターン相手ターン問わずパワーが+1000される」10000

「……ノーガードです」

「そうかい。ドライブチェック、ファントムブラスタードラゴン。っち、そう何枚もいらねぇよ……」

 

青年は不満そうにそのカードを手札に加えた。

 

「ダメージチェック……ライザーカスタム……」

 

カイリのダメージチェックに青年はニヤリと笑い、シロウとタイキは苦い顔を浮かべた。

 

「俺のターンは終了だ。さぁ、お前のターンだぜ?」

 

青年は急かすようにそう言った。

 

「僕のターン、スタンド&ドロー。僕は……」

 

カイリはカード取りだそうとした瞬間、手が少し止まったが、そのままそのカードをヴァンガードサークルに置いた。

 

「Mr.インビンシブルにライドします」

 

「よし、Mr.インビンシブルならまだワンチャンある」

 

タイキは思わず握りこぶしを作った。

 

「あれは僕も知ってますよ。メインフェイズの始めにデッキの上から一枚をソウルに入れてダメージを一枚表替えすんですよね」

「そーだな。あれでワンチャンライザーがソウルに入ればなんとか……」

 

タイキ達が見守るなか、カイリはインビンシブルのスキルを使用した。

 

「Mr.インビンシブルのソウルチャージ……タフボーイ。そしてスキルでダメージを一枚表替えします」

「はっ!残念、ライザーは出なかったみてぇだな」

「……そうですね」

 

気にしない様子でカイリユニットを配置する。

 

「左側前列にマジシャンガールキララ、後列に叫んで踊れる実況シャウトをコールします」

「まずキングでリアガードのカロンにアタックします」10000

「それはやれねぇな。ブラスタージャベリンでガード」13000

「では、ライザーカスタムのブースト、インビンシブルでヴァンガードにアタック」16000

「ノーガードだ」

「ツインドライブ!!です。ファーストチェック、パーフェクトライザー。セカンドチェック、GETクリティカルトリガー。レッド・ライトニングのスキルでヴァンガードにクリティカル+1、そしてキララにパワーを加えます。ダメージ二点です」14000

「ちっ、そんなもん言われんでもわかる。ダメージチェック一枚目、暗黒の盾マクリール。二枚目、GETヒールトリガー。アビス・ヒーラーのスキルでダメージを回復し、パワーをヴァンガードに加える」15000

 

青年のトリガーにカイリは少し考える素振りを見せるとシャウトに手を添えた。

 

「……では、シャウトのブースト、キララでリアガードのカロンにアタック」21000

「……ノーガードだ。カロンは退却」

「それではキララのアタックがヒットしたのでCB。一枚引き、僕のターンは終了です」

 

ノヴァ

 

手札6

ダメージ裏3

 

前列

キララ/インビンシブル/キング

後列

シャウト/ライザーカスタム/

シャドパラ

 

手札6

ダメージ表2

ダメージ裏1

 

前列

/ブラスターダーク/

後列

//

 

「俺のスタンド&ドロー」

 

青年はドローしたカードを手札に加えると先ほどの流れを振り返った。

 

(あそこでカロンを守ったのはまずったか……。相手は一撃必殺のライザーデッキ、無理にダメージを与えんでもうまくライザーにライド出来ればいくらでも取り返せる。むしろリアガードを潰して長期戦に持ち込んだほうがやつの有利。キララのドローでパーツを集めつつあり、今のドライブチェックでパーフェクトを引いた今、もうやつの場にライザーを放置するのは自殺行為だろう。幸い、後列に置きやすいライザーカスタムは一枚ダメージに行き、例えもう一枚後列にライザーが出たとしてもライザーは三枚。前列に出てきたライザーを潰せば条件は満たせねぇ。問題はインビンシブルのソウルチャージでライザーを吸っちまうことだが、そればかりはどうしようもねぇ。俺は今出来ることをするだけだ)

 

青年は手札から一枚とるとヴァンガードサークルに置いた。

 

「ファントム・ブラスター・ドラゴン(10000)にライド!ファントム・ブラスター・ドラゴンはソウルにブラスターダークがいることで常時パワー+1000。さらに、右側前列に髑髏の魔女ネヴァン(3000)をコール。その瞬間、ネヴァンのCB!手札のファントムブラスタードラゴンを捨て、二枚ドローするぜ」

 

これにシロウは思わず声を上げた。

 

「たったのCB一枚で手札のいらないカードを捨てて二枚もドローってあれ強すぎじゃないですか!?」

「あぁ、ネヴァンは強い。そして高い。ただネヴァン自身のパワーは3000しかねーからな。スキルを使っちまったらただのパワー3000のバニラ(スキルを持たないユニット)だから手札一枚とあのカードを手札二枚に変えるよーなもんだな」

「でもG2ってことはインターセプト出来るんですよね?ブーストをつければアタック出来ますし、やっぱり強すぎですよ……」

「まーな。ただそれだとこっちのガードも少なくて済むから、終盤ともなるとスキルを使用後に圧殺っていうこともよくあるし、いつも丁度よく捨てれるカードが手札にあるってわけじゃねーから状況によるとしか言えねーな」

「ふぅむ……でもなぁ……」

 

納得いかない様子でぶつぶつ言うシロウにタイキは苦笑いを浮かべた。

 

(……状況によると言ったが、今はその絶好のタイミングだったな……。CBはないからあれが使えねーのは不幸中の幸いってとこか)

 

「ネヴァンの後ろに秘薬の魔女アリアンロッド(7000)、左側前列に魔界城ドンナーシュラーク(10000)、そしてヴァンガードの後ろにアビス・フリーザー(5000)をコール」

 

青年は一通り場を埋めると自分とカイリの手札を見比べながら黙った。

シロウはニヤリと笑うとタイキの顔を見た。

 

「トリガーをコールしましたね……」

「いや、なんか相手がミスしたとか思ってるかもしれねーがあれは全然ありだぞ」

「えっ、そうなんですか?」

「考えてもみろよ。相手のヴァンガードは11000。対してカイリの最も高いパワーのパーフェクトライザーも相手ターンは11000。この時点で最低でも5000のブーストがあれば相手に10000ガードを要求できる。シャドパラには9000も10000もブーストするユニットをいない以上、わざわざG1のユニットが来るのを待つよりガード値5000で5000のブーストが出来るドロートリガーを置いたほーがいーんだ」

「……それを聞くとある程度ヴァンガードのカードを知っておく必要がありそうですね……」

「だな。最低でもG3のカードくらいは知っておいたほーがいいかもな」

 

「いくぜ。ドンナーシュラークでリアガードのキララにアタック!こいつはアタックした時にパワーを+2000する」12000

「キング・オブ・ソードでインターセプトします」14000

「だろうな。なら、アビス・フリーザーのブースト、PBD(ファントム・ブラスター・ドラゴン)でヴァンガードにアタック!」16000

「それは……ノーガードです」

「ツインドライブ!!ファーストチェック、GETクリティカルトリガー。グリム・リーパーのスキルでPBDにクリティカル+1、パワーはネヴァンに。セカンドチェック、はっ!GETドロートリガーだ!アビス・フリーザーのスキルで一枚引き、パワーはネヴァンへ加える!さぁ、てめぇも二点ダメージ、くらってもらおうじゃねぇか!」

「……ダメージチェック、一枚目キング・オブ・ソード。二枚目、くっ……GETスタンドトリガー。バトルライザーのスキルでライザーカスタムをスタンドし、パワーはヴァンガードへ」15000

「残念、そっちには狙ってやんねぇよ。アリアンロッドのブースト、ネヴァンでキララにアタックだ」20000

「ノーガードです……。キララは退却」

 

カイリは苦い顔をしながらキララを退却させた。

 

「僕のスタンド&ドロー。そしてインビンシブルのソウルチャージ……ラウンドガールクララ……ダメージを一枚表に」

 

カイリはソウルとダメージ、そして手札を見比べた。

 

(流れが悪い……ここまでライザーがダメージに流れるなんて。しかしこの人、あれだけ大口叩いてただけあってかなり強い……。こちらのデッキを把握し、基盤であるキララも潰してきた……。クリアさんと同等か疑うほどの実力だ。でも、僕も負けるわけにはいかない!そのためには早く流れを引き戻さないと)

 

「左側前列にパーフェクトライザー(11000)、右側前列にMr.インビンシブル、そしてその後列にライザーカスタムをコールします」

 

青年の眉がピクリと動いた。

 

「シャウトのブースト、パーフェクトライザーでヴァンガードにアタック」18000

「アビス・フリーザー、ネヴァンをインターセプトでガード」21000

「では、ライザーカスタムのブースト、ヴァンガードのMr.インビンシブルでヴァンガードにアタック」16000

「それはノーガードだ」

「ツインドライブ!!ファーストチェック、ハイパワーライザーカスタム。セカンドチェック、GETヒールトリガー。ウォールボーイのスキルでダメージを回復し、パワーはインビンシブルへ」

「ダメージチェック、魔界城ドンナーシュラーク」

「ライザーカスタムのブースト、リアガードのインビンシブルでヴァンガードにアタック」21000

「そいつはグリム・リーパーとジャベリンでガードだ」26000

「……僕のターンは終了です」

 

ノヴァ

 

手札6

ダメージ表3

ダメージ裏1

 

前列

パーフェクト/インビンシブル/インビンシブル

後列

シャウト/ライザーカスタム/ライザーカスタム

 

シャドパラ

 

手札2

ダメージ表2

ダメージ裏2

 

前列

ドンナー/PBD/

後列

/フリーザー/アリアンロッド

 

「あー、守られちゃいましたね……」

「あぁ。けどライザーは揃った。場にパーフェクトライザーがあるということは多分手札にもあるってことだから次のターンまでこの盤面を守れば次のターン、パーフェクトライザーが火を吹くぜ!」

 

「スタンド&ドロー」

 

シロウ達とは対照的に青年は眉間に皺を寄せながら手札を眺めた。

 

(やつは、パーフェクトライザーを握っている。恐らくそれは間違いねぇ。となると最低でもあのパーフェクトを潰さねぇとこっちが圧倒的に不利になる。潰せさえすりゃ例えパーフェクトにライドしてきたとしてもクリティカルは1。ライザー軸にクリティカルを余り投入出来ねぇことを考えればガードする必要も薄くなる。そのためにさっきのアタックはガードしたんだ。……となれば)

 

青年は手札から一枚とると、右側前列にコールした。

 

「暗黒魔導師バイヴ・カー(9000)をコール!」

 

(このターンで一気に攻めて手札を削ってやるよ)

 

青年はコールするとデッキに手を添えた。

 

「このカードがコールされた時、デッキトップを公開することが出来る。そしてそのカードがシャドウパラディンだった場合、リアガードにスペリオルコールする!」

 

青年はカードを捲るとそのカードを確認したとたんに舌打ちをした。

 

「ちっ、ヒールトリガーかよ。まぁいい。こいつはドンナーの後列へスペリオルコール。ったく、トリガーが出ちまうとはついてねぇな」

「茶番はいいのでさっさと使ったらどうですか?」

 

カイリは無表情で言った。

 

「そうかい。ならお望み通り。PBDのCB!さらに場にいるバイヴ、ヒーラー、フリーザーを退却する!」

 

「来たか……!」

「自分のユニットを三体も退却させた!?」

 

青年はユニットを退却させ、ダメージを裏返すと挑発的な視線でカイリを見た。

 

「『ダムド・チャージングランス』。これによりPBDはこのターン中、パワー+10000、クリティカル+1を得る」21000

「パワー+10000!?しかもクリティカルまで上がるなんて……」

 

驚愕のパワーに息を呑むシロウ。まるでそれに追い討ちをかけるかのように、青年はさらにユニットをコールしていった。

 

「もちろん、このユニットはブーストすることが出来る。再び暗黒魔導師バイヴ・カーを右側前列にコール!スキル発動!デッキトップオープン。……またトリガーかよ。グリム・リーパーをヴァンガードの後ろにスペリオルコール。だが、これでPBDは26000でアタック出来る」

 

「PBD……、パワー11000になってしかもあんな凄いスキルがあるなんて……」

 

シロウは心配そうにそう言った。

 

「まーな。あのカードも強いだけあって、高いからな。無理もない」

「さっきのネヴァンもこの効果を使えば無駄がないし……。やっぱりお金を使わなきゃ勝てないのかな……」

 

俯きながら言うシロウにタイキは背中をおもいっきり叩いた。

 

「なにショボくれたんだよ!カイリも言ってたろ?お金を使うだけじゃあヴァンガードは勝てねーってな。安心しろよ、なんかいつもと感じは違うが今のカイリならきっと何とかしてくれるさ。信じてやろうぜ!」

「あぐっ!?……そ、そうですよね!カイリさん、言ってましたもんね!信じます、カイリさんならきっとあんなやつには負けない!」

 

タイキは笑顔で励ますとシロウも落ち着いたところで元気よく答えた。

 

(あんなやつ呼ばわりとは言うねー……。さて、カイリもあのスキルのことは知ってるはずだ。なら……)

 

タイキもまた、期待を込めてカイリに視線を送った。

 

「まずはドンナーでそこの邪魔なライザーにアタックするぜ」12000

「タフボーイでガードします」16000

「そんなところにガードを使っちまっていいのか?まぁいいが。グリム・リーパーのブースト、PBDでヴァンガードにアタック!クリティカル2のこのアタックを通しちまうとドライブチェックを待たずにてめぇの敗北が確定しちまうぜ?」26000


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