スーパーロボット大戦//サイコドライバーズ   作:かぜのこ

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αIIIー4「鋼の救世主 前編」

 

 

 新西暦一八九年 ☆月♢日

 地球、衛星軌道上 オービット・ベースの一室

 

 αナンバーズ、全員集合である。

 しっかし、メンツがまたぞろ増えたからか、今日はいつにもまして騒がしい一日だった。

 まずは他の部隊の活躍について大ざっぱにまとめることにしよう。

 

 北米地区、《大空魔竜》隊。

 テスラ研を襲う地底勢力を撃退したそうだが、その中にはダリウス鉄獣の姿があったらしい。まさかあのプロ子が他人と組むなんてことはないと思うが。

 ここでは、GGGアメリカとスペースナイツが協同開発した「地球製テックシステム」、その被検体に自ら志願したアキさんがテックセットする《テッカマン・アキ》をリーダーに、三人の地球製《テッカマン》が仲間入りした。

 また、宗介らミスリルの特殊対策班の面々とそれに同行していたかなめが合流。別に《トゥアハー・デ・ダナン》が撃沈したりはしてないけどな。

 《グラン・ガラン》と《ゴラオン》が現れたのはここだな。

 

 日本地区、《キング・ビアル》隊。

 ルネ・カーディフ・獅子王と《光竜》《闇竜》姉妹の協力もあり、北斗は無事救出、グランナイツも《ソルグラヴィオン》を得て完全復活だ。

 しばらく姿が見えなかった万丈さんだが、日本地区の方に合流して大活躍だったらしい。太陽繋がりってわけだな。

 万丈さんと再び参戦したワッ太の《トライダー》が撮影していたエイジと斗牙による《真・超重斬》の映像は、しっかりコピーさせてもらった。

 ついでに、サンドマンと和解したフェイと《グラントルーパー》隊が仲間入りしたがどうでもいいか。

 

 宇宙、《ナデシコC》隊。

 こちらはプラント穏健派の《エターナル》と接触した部隊だ。そのとき、星間連合のザ・ブーム艦隊とも交戦して《飛影》が出たらしいが、さておき。

 この《エターナル》。ちょっと問題がある。

 生きていたアンドリュー・バルトフェルドが穏健派の一員だったのは想定通りだ。キラは驚いていたが、同時に喜び、涙ぐんでもいた。

 シーゲル・クライン氏がいてサーペントテールを雇っているのはいいし、ザフトガンダムの試作型、YMF-X000A《ドレッドノートガンダム》とプレア・レヴェリー、《シグー・ディープアームズ》のシホ・ハーネンフースがいるのだって問題ない。あんま違和感ないし。

 だが、どうして《エターナル》の艦長がタリア・グラディスで、モビルスーツ隊にハイネ・ヴェステンフルスがいるんだ!あんたらの出番はもっと先だろ!

 いや、この世界はゲームじゃないんだし、シーゲル氏が主導してるならそういうこともあり得るだろうけどさ。腑に落ちないぞ。

 ちなみに、ハイネ(本人がそう呼べと言っていた)の乗機はオレンジ色に塗装された《ゲイツ》だった。

 先行量産機らしいが、動力源が核融合炉なのは言わずもがなだな。

 

 月面、《マクロス7》隊。

 シラカワ博士の采配で、ゾヴォークとの事前交渉に望んだ部隊だ。

 こちらは月だけに、未来組を保護している。

 ガルラとクトゥルフのちょっかいを受けたようだが、相手が悪い。《グランゾン》とゾヴォークの機動兵器にさっさと撃退されたようだ。

 なお、ここではイルム中尉とリン社長(!)が参戦したりしている。なお、リン社長の乗機は再生産されたブラックホールエンジン搭載型《エクスバイン》である。

 

 さて、現在オービット・ベースはゾヴォーク代表を迎え入れる準備でおおわらわだ。

 オレは大河長官らαナンバーズ首脳陣から要請を受けて、ゾヴォーク代表団との事前交渉に参加するように言われた。

 無限力とか第一始祖種族とか、いろいろ裏事情に詳しいからだろうことは間違いないが、最近こんな役回りが多くてちょっと不本意だ。

 

 まあ、それはともかく。忙しい合間を縫って未来組、バイストン・ウェル組と再会を喜んだ。

 

 ショウやチャムたちとはラ・ギアス事件以来だが、シーラ様、エレ様とは二年以上ぶりの再会だ。あこがれのシーラ様から「見違えましたね、イング」とお褒めの言葉をいただいて小躍りした。

 で、お二人からの証言だが、何者かの声が聞こえ、オーラロードに導かれて地上に出てきたのだという。

 オーラバトラー等の兵器を破棄せずに留めていたのも、なにやら予感があったからだそうだ。まあ、そのせいでラ・ギアス事件に巻き込まれちまったんだけどな。

 

 懐かしの未来組。

 旧《フリーデン》隊、《アイアン・ギアー》隊、ミリシャとムーンレイス、エクソダス組、ゲッコーステイトが勢ぞろいしていた。

 

 彼らの感覚では、あれから三ヶ月ほどしか過ぎていないらしい。

 ジャミルさんを艦長に迎えた《ローラ・ラン》号による、地球・月間の輸送航路開通記念式典でかつてのメンバーが集合し、月への処女航海に出発しようとしたところでクロスゲートの発動に巻き込まれたとか。

 ガロード、ゲイナー、レントンは彼女たちとうまくやっているみたいだ。あと、ホランドが一児の父になってたので「似合わねー」って笑ったら殴られた。痛い。

 式典に出席し、巻き込まれる形になってしまったアナ姫が気の毒である。まあ、本人は至って明るくオレたちの時代を楽しんでいるようだが。

 さすがに《アイアン・ギアー》は来ていないが、ジロンたちは勢ぞろいだ。乗る機体のなくなったエルチだが、《ローラ・ラン》号になぜか積まれていた《ブラッカリィ》を持ち出して使うつもりとのこと。さすがシビリアン、底抜けのバイタリティだな。

 

 あ、書き忘れてたけど未来組には《ソレイユ》もいた。うん、素直に忘れてたんだ。誰がとは言わないけど。

 で、その《ソレイユ》、艦長はなんとディアナ様だった。キエルさんに任せて隠居したんじゃ?と思ったら特別に表舞台に出てきたのだとか。ちなみにキエルさんもハリーさんといたぞ。

 で、ロランだが、式典の後に《∀ガンダム》を埋めて(!)封印するつもりだったらしい。埋めてどうする。つか、奴は勝手に出てくるぞ。

 

 そういやディアナ様、シンジやアスカを見て昔を思い出すような遠い目をしていたけど、あれなんだったんだろうな。

 

 それにしても、まるで狙い澄ましたかのようなタイミングに聞こえたという“声”、やはりビッグ・ファイアの力添えなのだろうか。

 

 

 

 新西暦一八九年 ☆月×日

 地球、衛星軌道上 オービット・ベースの一室

 

 予定通り、αナンバーズ首脳陣とゾヴォーク代表団の交渉に参加した。

 

 シラカワ博士が連れてきたゾヴォークだが、こちらに接触してきたのにはそれなりの理由があるようで。

 

 以前から、地球文明については《ガンエデン》の存在(伝承レベルではあるが把握していたらしい)もあり内偵はしていたものの、自分のところの戦争が忙しくてちょっかいを出すどころではなかった。

 ゼ・バルマリィ帝国、巨人族、星間連合、ガルラ大帝国との長年に渡る戦争。さらには宇宙怪獣、ラダム、ガルファ帝国、ゾンダー、ガイゾック、ゼラバイア、プロトデビルンなどなどの宇宙的脅威にさらされて国力がだいぶ疲弊しているらしい。銀河における勢力が大きいだけに、遭遇する敵対的勢力の数も比例して増えるだろうしな。

 それに加えてバッフ・クランの武力介入だ。

 もうにっちもさっちも行かなくなって、俄に列強化してきた地球文明を取り込もうという腹積もりだとぶっちゃけたのは、ゾヴォーク代表団のリーダー、枢密院特使のメキボス・ボルクェーデ。

 ラ・ギアス事件の裏側、いわゆる「シュウルート」で地球に潜入中だった彼の副官、ガヤットーバ・スチェッカ(ガヤトと呼ぶように、とのこと)がシラカワ博士一行と接触。そこで彼らはその伝手を頼り、地球連邦との本格的な交渉に踏み切ったというわけだ。

 ゾヴォークは、一艦隊とはいえかつて誰もが成し得なかったゼントラーディとの和平を成功させた地球の高度な文明と豊かな文化、宇宙規模の災害とも言えるゾンダーを壊滅させた戦力を高く評価しているとのこと。野蛮人扱いはしていないようだな。

 

 それとなく同盟に反対するものがいないのか聞いてみたのだが、「そういう頭の固い輩は、星間連合やら宇宙怪獣にやらにみんなやられちまったよ」と返された。

 さらにサイボーグ化された身体を示しつつ、「俺も下手を打ってこのざまさ」と自嘲していた。ガヤトさんが辛そうにしていたから、そのとき肉親か仲間でも失っているのかもな。

 あと、「まあ、シュウ・シラカワにハメられた奴らもいるがな」とも語っていた。オレは旧作シリーズの内容にはまるで詳しくないから何とも言えないけど。まあ、シラカワ博士を利用しようとした愚か者がいたんだろう。

 

 さて、同盟締結におけるゾヴォークからの要求は、「地球連邦の代表がゾヴォークの勢力圏内に赴くこと」。

 地球とゾヴォークの支配領域はちょうど銀河の対岸に位置するため、フォールド通信等の超空間通信を用いても意志疎通は難しいから当然の要請だろう。言外に、αナンバーズを招致したいって意図が見え見えだけど。

 対する大河長官は、このことをαナンバーズの上位組織である地球圏安全評議会の議題にかけた後、その決定に従うと回答している。そりゃ、勝手に動くわけにはいかないよな。

 ただし大河長官は個人的見解としておきながら、「助けを求めるものがいるなら、それが銀河の果てであっても駆けつけて手を差し伸べたいと私は思います」と熱く語っていた。

 これにはメキボスも苦笑い。底抜けにお人好しなのがαナンバーズのいいところだよな。

 

 さて、新顔に懐かしい顔、αナンバーズのメンバーもだいぶ増えてきた。これだけ多ければ、顔を知らないって間柄の人たちも多いことだろう。

 というわけで、αナンバーズ全員集合の全体会議とゾヴォーク代表団の歓迎パーティーを執り行うことになった。

 場所はビッグオーダールーム。

 勇者ロボやバーチャロンたち、エキセドル参謀も入れ、なおかつαナンバーズのメンバーが勢揃い出来うる場所ということで選ばれた。

 

 でだ、なぜかオレがその全体会議の司会進行役を仰せつかってしまった。

 確かにオレはバルマー戦役からの古参組だし、顔もみんなに知れて渡ってるし、いろいろ事情通だけどさ。オレってばいちパイロットなんだって。

 

 余談。

 αナンバーズに集まった星間国家の王族たちに、メキボスらは驚きを通り越して呆れ果てていた。

 「これだけ王族が居りゃ、もうひとつ共和同盟が出来そうだな」とはメキボス談だ。

 

 

 

 新西暦一八九年 ☆月*日

 地球、衛星軌道上 オービット・ベースの一室

 

 激しく疲れたが、全体会議と歓迎パーティーは成功裏に終わった。

 

 地味に懸念だった全体会議。解説のアシスタントはシラカワ博士とマサトに依頼しておいた。

 まず、新しい仲間たちやメキボスたちにも地球圏の窮状について正しく理解してもらうために、バルマー戦役から続く戦乱の流れを一から簡潔におさらいした。オレたちが撃退してきた侵略者のあまりの多さに、新顔であればあるほど引いていたな。

 そして、この宇宙の争乱の大本、無限力やイデについても一通り語り尽くした。さすがのゾヴォークもこの辺りの事柄は把握していなかったらしい。

 

 会議では、メンバーからいくつかの意見も述べられた。

 《マクロス7》船団からはバロータ軍、プロトデビルンについての調査。イサムさんからは行方知れずのメガロード船団の捜索を求められたし、アイビスら《アステリオン》の捜索もすべきとの意見もある。

 また、星間連合の勢力圏に向かったタケルたちの安否を心配する声も挙がっているし、ダバたちはペンタゴナ(彼ら的にはこの銀河に当たる言葉だが、ここでは彼らの文化領域を指す)の情勢が気がかりとのこと。ゼ・バルマリィ帝国の思惑についてもいろいろと疑問だ。

 どちらにせよ評議会の決定が待たれるが、あるいは評議会に止められても外宇宙に飛び出してしまうかも知れない。オレも含めて、血の気の多い奴ばっかりだからな。

 

 その後のパーティーは、盛大に執り行われた。

 レーツェルさんをリーダーに、腕に覚えのある有志が腕を振るう。オレも、スイーツに関しては参加した。甘いものは大好きだからな。

 

 お約束的にチャムとリリスが騒がしく交流したり、カトルとトロワとシンジとニコルの演奏に女性陣がうっとりしてたり、リュウセイが《光竜》《闇竜》姉妹に興奮してフェイたちの不興を買ったり、バサラとハイネが一目で意気投合して即興セッションしたり、エウレカがαナンバーズの多種族っぷりに目を丸くしたり。

 ウッソやジュドーらの年少組にガロードたちが混ざっていたり、ヒイロと宗介が二人でむっつりしてたり、二人の渚とかなめがさっそく友達になってたり、ラクスとフレイがキラを挟んで火花を散らしたり(アスランはいいのか)、カミーユの周りが相変わらず修羅場ってたり、甲児と大介さんも修羅場ってたり、沙羅と葵さんが俄に修羅場ってたり、ディアナ様たちがお姫様同盟に迎え入れられたり、ヤーパン忍者こと《XANー斬ー》を操るゲイナーとボルフォッグ、ジョウが話してたりetc.etc.……エピソードは尽きない。

 みんなパーティーを楽しんでいたようだ。

 

 身内の話では、エクスと《闇竜》《光竜》姉妹が意気投合していた。また中の人ネタか。

 妹様は風花、プレアという新たな妹分弟分を得てご満悦だった。

 アーマラ?ラクスと仲良くガールズトークしてたぞ。

 

 とりま、今日は頭を使いすぎて疲れたので、もう寝る。

 

 

 

 新西暦一八九年 ☆月=日

 地球、衛星軌道上 オービット・ベースの一室

 

 さっそく地球安全評議会からの決定が届いた。

 評議会から下された沙汰は、「地球連邦政府の代表として、αナンバーズ全艦でゾヴォーク勢力圏に赴くこと」。ゼーレの息がかかった派閥からの妨害があったようだが、グローバル議長たちががんばってくれたみたいだ。

 地球圏の防衛についてはゾンダーの壊滅と、アラスカの一件でザフトの戦力が壊滅状態に陥ったことで一時的に余裕が出たため可能、と判断したのだろう。また正規軍の面子というか、ブルーコスモスが勢力を増すためにαナンバーズが邪魔というのもあるはずだ。

 やや業腹ではあるが、αナンバーズの活動範囲を銀河規模にまで広げるいい機会だと思っておこう。

 

 外宇宙派遣に際し、地球安全評議会からリリーナ嬢とハマーンさんがオブザーバー兼交渉役として派遣された。

 リリーナは、平和解放機構とのコネも持ち地球圏での人気は未だ絶大だし、ハマーンさんは言わずと知れた女傑である。うなづける人選だ。

 なお、地球圏に残していくのが心配なのだろう、ハマーンさんは地球で留学中だったミネバを伴っていた。また《キュベレイ》も持ち込んでおり、いざとなれば戦うつもりらしい。オブザーバーはどこいった。

 

 とりあえず、友だちが来てテンションが舞い上がっているイルイを見て和んだ。

 

 

 

 新西暦一八九年 ☆月◎日

 地球、衛星軌道上 オービット・ベースの一室

 

 外宇宙へ出発するため、αナンバーズは準備中。なぜか機動部隊の中間管理職扱いされているオレも、アーマラと忙しく駆け回った。

 

 物資を満載した《ナデシコ・Yユニット》に同乗してやってきたウリバタケさんが、アストナージさんと組んで大活躍だったな。《アーバレスト》を宇宙仕様に改装してもらって宗介もご満悦だったし。

 また、ロウ一行も新しい母艦《リ・ホーム》にジャンクパーツを満載でやってきた。こちらはオレが呼んでおいた。

 外宇宙への旅に誘ったら喜び勇んで駆けつけたわけだ。主に、キャプテンG•Gことジョージ・グレンがな。

 彼の寒いアメリカン・ジョークに、キラたちコーディネーター組が微妙な顔をしていたのは余談。

 ちなみに《150ガーベラストレート》は普通にあったし、《パワーローダー》も作られていた。まあ、あれはさすがに《ダイターン3》でも振れねーよな。《ガンバスター》ならいけるか?

 

 なお、《ナデシコ・Yユニット》は地球に残って防衛の一角を担うらしい。先日のパーティーに参加できなかったことと居残りについてユリカさんがブーたれていたが、アキトさんになだめられていてすぐに機嫌を直していた。仲いいな。末永く爆発しろ。

 なお、《ナデシコ・Yユニット》を足に使ってヒカリさんとイズミさんが合流している。一方、九十九さんは、月臣弦一郎(封印戦争時は裏方に徹していたらしい)と《アルストロメリア》で地球圏防衛のために残るとのこと。《ナデシコC》に乗り込むことになった妻のミナトさんとは、単身赴任状態ってわけだ。こっちも爆発しろ。

 

 《ナデシコ》が運んできたのは物資や追加増員だけではない。

 オーバーホールの終了した《マジンカイザー》、《真・ゲッターロボ》、《Hiーνガンダム》がとうとう帰ってきたのだ!

 リュウセイと二人でヒャッハー!と喜んだ。甲児やリョウに引かれたけど知ったことか。

 

 さて、ここでこの三機についてちょっとメタ臭い説明を挟もうと思う。

 まず《マジンカイザー》、旧作デザインで《カイザースクランダー》がついたままだ。つまり、肩から出すのは《ショルダースライサー》ってわけ。《真・ゲッター》も同上。

 

 そして《Hiーν》。こちらは未来世界でマウンテンサイクルから発掘したものをそのまま使用している。見た目は白に紫の旧デザイン版だ。

 で、未来世界のモビルスーツとはいえあの時代がパラレルワールド化した今、《Hiーν》は技術的にはやや時代遅れな感が否めない。SEED系のモビルスーツが最先端だしな。

 そこでアナハイムは「ネェル・Hiーνプロジェクト」と銘打って、最新のモビルスーツ関連技術を用いた《Hiーνガンダム》を新たに建造しているそうだ。

 もちろんアムロ大尉もそれに参加していて、どんな仕様になるのかちょっとだけ教えてくれた。それによると、フルサイコフレーム化とミノフスキー・ドライブを組み込むことは確定しているらしい。

 アムロ大尉にそんな機体を渡したらどうなるか、想像しただけでワクワクしてくるな。

 

 まあ、とりあえずパワーアップの余地が残っているってことだけ覚えておいてくれたらいい。

 

 あと、封印戦争以来開発が進められていた地球製SPT《レイズナーMkーII》が完成、送られてきた。

 レイというかフォロンが移植を拒否するという騒動があったものの、無事戦線に投入。αナンバーズの心強い戦力になってくれることだろう。

 

 

 追記。

 ミノフスキー核融合炉搭載型の《ストライク》、ライトニングストライカー及びマルチプルアサルトストライカーも搬入されている。《ストライク》だが、これが正式生産版らしい。

 誰が乗るかは未定とのこと。無難にフラガ少佐が乗るんじゃないかな、カタログスペックはかなりのものだし。

 で、未だバッテリー駆動機が乗機のイザークたちが不満を漏らしていたので、キッドとロウに《ブルデュエル》《ヴェルデバスター》《ネロブリッツ》のデザインとコンセプトを渡しておいた。もちろん動力源は核融合炉だな。

 あの“ジャンク屋”ロウとジャンクパーツから《ディバイダー》なんて代物を作り上げたキッドのコンビだ、必ずや再現してくれるはず。

 ハイネ等のイレギュラーで、完全に吹っ切れたオレである。

 

 改造と言えば、マイクロウェーブ基地がないため《サテライトキャノン》が撃てない《DX》のリフレクターを、恒星の発する光エネルギーにも対応できるよう改修を施すらしい。

 そのうち、ハンマーやらジャベリンやら両刃のサーベルなんかを作り出しそうな勢いだ。

 

 

 

 新西暦一八九年 ☆月⊿日

 銀河系、ゾヴォーク勢力圏付近 《シティ7》内、宿舎の一室

 

 クロスゲートを通り、αナンバーズ艦隊は銀河の反対側までやってきた。

 現在、ご苦労にも地球圏から追いかけてきたらしい星間連合ザール艦隊、ベガ艦隊を蹴散らしつつ、ゾヴォークからの接触を持つために指定された宙域に移動中だ。

 

 クロスゲート突入を阻むように、ゴラー・ゴレム隊が性懲りもなく妨害してきたが、ここで《ヱクセリオン》の後継、白亜の超々弩級艦《ヱルトリウム》と《ガンバスター》、《シズラー黒》が登場。さらにドクーガ三将軍が応援に駆けつけ、加勢してくれた。

 ちなみに《ヱルトリウム》は見送りに来ただけだった。残念。

 

 まあ、ゴラー・ゴレムの奴らはどうでもいい。懐かしのトップ部隊、類友ノリコとの再会だ。相方のカズミさんは諸事情により半ば引退状態で、今は《ガンバスター》に一人乗りしているとのこと。

 かつてのロンド・ベル、SDF艦隊を遙かに越えたαナンバーズのスーパーロボット軍団っぷりに大興奮だったのは言うまでもないな。

 リュウセイと示し合わせて、吉良国さん、ヤマダさんを交えて鑑賞会(地球圏を離れている間に放送された新作を重点的に)を主催していた。

 飛び入りでミスリルのクルーゾー大尉が参加して、名作系を布教していたな。男子三人はともかく、ノリコはイケる口のようだ。かつての愛機が《ナウシカ》だけに。

 

 リュウセイとノリコ、息の合いっぷりは相変わらずで、もうお前らつき合っちゃえよって感じだが、本人たちは「いや、ないない」と真顔で否定していた。

 曰く「こんなアニオタ」。ブーメランで墓穴掘ってるぞ。

 

 そうそう。つき合うと言えば、アスランとラクス、婚約解消していた模様だ。

 経緯はともかく、ラクス的に渡りに船だったらしい。アスラン哀れ。

 アーマラから聞いた話では、「アスランはいいお友だちですけれど、恋愛対象にはみれませんわ。政略結婚なら仕方ありませんが」とぶっちゃけていたそうだ。オンナってこええ。

 オレがフラグを叩き追っちまってアスランの周りが寂しいことになっているが、あんまり罪悪感を感じないのはたぶん「女難」のせいだろう。

 一方、イザークはシホとイチャついていた(語弊あり)。

 

 

 

 新西暦一八九年 ☆月#日

 銀河系、ゾヴォーク勢力圏付近 《シティ7》内、宿舎の一室

 

 外宇宙を旅していたオルファンと合流、これを保護した。

 オルファンの願い通りに宇宙に出たものの、異星人ラダムや宇宙怪獣、ガルラやバッフ・クランにさんざん追い回されていたらしく、勇たちはかなり疲弊していた。あのクインシィが、殊勝な様子で感謝を述べてたくらいなんだから相当だな。

 

 オルファンとその一団はオレたちと合流して地球への帰還と、銀河の危機に立ち向かうことになった。

 なお、「宇宙(おそと)怖い。地球(おうち)に帰りたい」とは比瑪によるオルファンの意志の意訳。なんかイルイってかナシムが激しく共感を示してたんだが。

 こどもか! いや、実際こどもなんだけどな。

 

 

 

 新西暦一八九年 ☆月★日

 銀河系、ゾヴォーク勢力圏付近 《シティ7》内、宿舎の一室

 

 ゾヴォークの出迎え、先遣艦隊が到着。先遣艦隊の責任者、ゼブリーズ・フルシュワが枢密院からの親書を持参してやってきた。

 このゼブリーズ(愛称はゼブ)という人物、メキボスの旧友らしいがとぼけた振る舞いでなかなか底を読ませない。油断ならないな。

 しかし、ここまで呼び寄せておいて直接顔を合わせようとしないあたり、やはり枢密院は地球文明を見下しているようだな。まあ、いいさ。身勝手な理由で戦争を仕掛けてこないだけずっとマシだ。

 

 そんなとき、ゾヴォーク先遣艦隊に一報が入った。

 それによると彼らの友好国家の一つ、イプロン星系エドン国が星間連合に包囲されており、その解放の協力を願われた。αナンバーズを呼び寄せた目的の一つらしい。

 また、消息不明だった《メガロード》からの救援を求めるフォールド通信をキャッチ。マックスとミリアが戦友たちの救出を強く希望している。

 

 そこでαナンバーズは例によって例のごとく、《マクロス7》と《大空魔竜》を旗艦に部隊を分けて対応することになった。

 編成の詳細は割愛するが、まあリアル系とスーパー系で分かれるってことにしといてくれ。例外はあるけどな。

 

 

   †  †  †

 

 

 都市型移民船《シティ7》。

 新たなる戦場へと出発するまでのつかの間の休息。αナンバーズのメンバーは各々、思い思いに過ごしている。

 それは「サイコドライバーズ」こと、イングとアーマラも例外ではなかった。

 

 《シティ7》の片隅にある宇宙を展望できる自然公園。

 イングとアーマラは、青々とした芝生に寝そべったアキレスの身体にもたれ掛かり、休息をとっていた。

 その間にはイルイが、まるまるようにエクスを抱えてスヤスヤと眠っている。

 

「よく眠ってるな、イルイ」

「はしゃぎ疲れたんだろう。今日は一日、ご機嫌だったからな」

 

 目を細めるイングの言葉にアーマラは、イルイの柔らかなブロンドを撫でながら小さく笑みを浮かべた。

 全長約六二一〇メートル、居住区で約三五万人の民間人が暮らす巨大な都市船は。イングは持ち前の好奇心を発揮してよく街中を散策しており、この公園はその際に見つけた場所の一つで彼のお気に入りのスポットだった。

 

「しっかし、何がそんなに楽しかったのかね。やっぱ、外宇宙に出てきたからか?」

「そうだな。 前々から外宇宙に出てみたいと話していたし」

「へぇ? そうなのか。もしかしたら、アイビスの影響かも」

「なるほど、確かに」

 

 イルイはアストロノーツを目指していたアイビスによく懐いていた。

 

「心配だな、アイビスたち」

「まあ、大丈夫だろ。たぶんな」

「なぜそう思う?」

「世界の運命を物語に例えるなら、アイビスは主人公の一人なんだよ。だから、この宇宙を支配するアカシックレコードに定められた記述に守られているとも言えるんだ」

 

 アーマラの疑問に、イングは訳知り顔で答える。

 この宇宙に満ちた支配的因果率はイングにとって気に食わないものであるが、それに助けられている一面もある。そのことについてはイングも素直に感謝していた。

 

「物語、か……確かにこの宇宙の混迷ぶりを鑑みれば、そういう見方もできるかもな」

「だろ?」

「なら、お前は」

「もちろんオレは主人公さ」

 

 自信たっぷりな相方に、。ーマラは呆れたようにため息をついた。冗談なのか本気なのか、彼の性格的に半々だからたちが悪い。

 

「まったく、普通の私には考えられないことだな」

「お前が普通? またまたぁ~」

「少なくとも、αナンバーズでは平均的だろう? 念動力者など珍しくもない」

 

 なかなか説得力のある反論に、イングは答えに詰まる。古代人類のクローンでサイコドライバーなマシンナリー・チルドレン、彼は特殊な人種の筆頭格だ。

 念動力に限らず、超能力とそれに類する能力者は存外に多い。が、珍しくもないというのは明らかな語弊である。

 

「いや、そんななりして兵士やってるの事態普通じゃねーだろ。オレが言えたことじゃないけどさ」

「私のように一年戦争で家族を失い、軍に拾われた孤児は多いぞ。例えば、アラドやゼオラなどもそう大差ない生い立ちだろう」

 

 とニヒルな笑み。

 密かにウィットに富んだ返事をを期待したアーマラだったがしかし、イングは軽く俯いて、じっ、と考え込むように黙りこくっていた。

 

 イングは考え、悩んでいた。

 薄々察していた彼女の()()、それを告げるべきかと。

 

「アーマラ、お前は――」

 

 暫しの後、イングは意を決して口を開く。

「うん?」けれど、僅かに小首を傾げた存外に可愛らしい仕草を見て思いとどまる。イングは、真実を知ったアーマラの心が壊れてしまうかもしれないと、恐怖を覚えた。

 

「どうした、イング?」

「いや、何でもねぇ」

 

 そうして口を噤んだイングを、アーマラは不審そうに見つめていた。

 

 

   †  †  †

 

 

 新西暦一八九年 ♬月*日

 銀河系、ゾヴォークの勢力圏 《シティ7》内の宿舎の一室

 

 外宇宙での仕置きを終えて、αナンバーズ集結である。

 

 まず、《大空魔竜》艦隊の成果だ。

 星間連合と現地の反政府組織「新惑星同盟」からイプロン星系を解放、平和を取り戻した。

 それを受けて加わったのが、エドン国の王子、エドワード・ミトご一行と《ダイオージャ》。そして彼に付き従う銀河烈風隊と《バクシンガー》、成り行きで参加したJJ9と《サスライガー》だ。

 この動乱の影ではヌビア・コネクションが暗躍していたようで、ギャンドラーとバンカーが用心棒的に雇われていた。

当然、ロム一行が現れたのは言うまでもないな。

 彼らもまたこの銀河の混乱を鑑みて、αナンバーズに協力してくれることになった。あと、キナ、コロンの姉弟もだ。いつの間にフラグたてたんだ。

 最終的に、《ブライガー》を含めた三機による《J9スペシャル》でカーメン・カーメンは再び打倒されたとのこと。

 《ダイオージャ》のノリにはリューネが大興奮だったらしい。

 

 ちなみに、J9チームはかつてイプロン星系で仕置きをしていたこともあるようで「J9」の名前が広まっているのはそのためだそうだ。

 

 一方、《メガロード》を救援に向かった《マクロス7》艦隊。

 フォッカー少佐らとは合流することが出来たものの、ミンメイたちはさらわれてしまった。

 そこで《マクロス7》は、バロータ軍、ひいてはプロトデビルンの謎を追って惑星ラクスにたどり着く。

 現地で発見されたプロトカルチャーの遺跡は、巨人族の血を引くハーフのミレーヌにより開かれた。プロトカルチャーの残したメッセージには、プロトデビルンの正体やアポカリュプシスを警告するものだった。

 その後、バロータ軍の大群が到来。窮地に陥った《ライディーン》のムートロンが解放され、《ゴッドボイス》が解禁。《ラーゼフォン》もまたそれに呼応するように覚醒して《ボイス》を放ち、グラビルを撃破した。

 また、ポセイダル軍とも交戦したようだ。ダバの乗機が《エルガイムMkーII》に変わっていたし。

 

 今後の予定についてだが。

 さきほどリリーナの持つ平和解放機構の秘匿回線に、「バラの騎士」を名乗る人物から連絡が入った。曰くタケルたちは厳しい戦いを強いられているらしい。星間連合の徹底的な弾圧により、和平派は風前の灯火であるとのこと。

 そこでαナンバーズ及びゾヴォーク先遣艦隊は彼らの救援を決定。星間連合の勢力圏に踏み入り、ギシン星に強襲を仕掛けることを決定した。

 そろそろ、ズールとの因縁にケリを付ける頃合いかもな。

 

 

 

 新西暦一八九年 ♬月×日

 銀河系、星間連合勢力圏旧ベガ領 《ラー・カイラム》の一室

 

 星間連合の勢力圏に踏み入って早一ヶ月。αナンバーズ艦隊は快進撃を続けている。

 

 さすがに勢力圏内とあって、星間連合の抵抗は激しい。地球圏に攻め入っていた艦隊全てを引き上げたらしく、ベガ艦隊、ザール艦隊、ザ・ブーム艦隊とは会戦済みだ。

 

 さて、本日のトピックス。

 ベガ艦隊に誘導されるように立ち寄ったルビー星で、大介さん、デュークフリードのかつての婚約者、ルビーナ姫を保護した。

 どうやら彼女、旧ベガ星の人々を従えるための人質になっていたようだ。彼女をオレたちに保護させただろうガンダル司令のこの行動は、亡きベガ大帝への義理立てだろうか。なかなか見上げた忠誠心じゃないか。

 

 余談。

 大介さんの元婚約者が現れたことで、ひかるさん、ナイーダさんとキリカさん(書き忘れてたけど、仲間になってるんだよ)が衝撃を受けていた。要するに、また修羅場ってるわけだ。

 まあ、仮にも王族だし、みんな娶っちゃえばいいんじゃねーの?

 

 

 

 新西暦一八九年 ♬月◎日

 銀河系、星間連合勢力圏旧エリオス領 《ラー・カイラム》の一室

 

 《飛影》敗れる! 第二のチート忍者、《零影》の登場である。

 偵察任務で単独行動中だった《エルシャンク》隊がザ・ブーム艦隊と交戦、かつての仲間イルボラ・サロとゴタゴタしていた。

 オレは裏切り者って大嫌いだからどうでもいいが。イングラム少佐だって、ユの字に操られたこととは言え、許してはいないんだ。

 なお、《XANー斬ー》との新旧チート忍者対決はおぞましいものがあったとだけ記しておく。

 

 

 

 新西暦一八九年 ♬月△日

 銀河系、星間連合勢力圏旧エリオス領 《ラー・カイラム》の一室

 

 《シティ7》をぶらついていたら、おもしろいものをみた。

 トウマと銀河が訓練していたんだ。

 指導しているのは一矢さんや凱さん、鉄也さん、ゼンガー少佐のいつものメンバー。さらにはロム兄さんまで居て、トウマをしごいていた。ちょっと羨ましい。

 観戦者は北斗とエリス、レイナ、命さん、ミナキさん。いろいろ妬ましい。

 

 せっかくなのでオレも参加してみた。

 久々にゼンガー少佐と一戦交えた後、調子に乗ってロム兄さんと手合わせした。天空宙心拳を自分自身で味わいたかったからな。

 まあ、訓練とはいえボッコボコにされたけどな! さすがに生身でマシンロボの相手は無理だったか。

 アーマラに呆れられ、イルイには心配をかけてしまった。反省。

 

 

 

 新西暦一八九年 ♬月*日

 銀河系、星間連合勢力圏旧ベガ領 《ラー・カイラム》の一室

 

 ザール艦隊から送り込まれた刺客、“宇宙の虎”の異名を取る旧エリオスの将軍ガスコンと剣人、ミト王子のコンビが対決、引き分けた。

 砂漠の方の虎がなんか対抗心を燃やしていたが、さておき。

 オレたちに乗じて侵攻してきたらしいガルラ大帝国の艦隊を、一時休戦したガスコンと撃退した。まあ、ガルラは絵に描いたような悪の帝国だから、ガスコンの方もやりやすかっただろう。

 

 その指揮官はシンクライン。下劣な奴だ。

 奴めファーラ姫だけじゃなくロミナ姫やマリア、しまいにはアーマラやシーラ様たちにまで色目を使ってやがった。

 無論、女性陣からは非難囂々。男性陣も怒り心頭で、メッタクソにされてたのは言うまでもないな。

 オレ? もちろんブチ切れましたが何か? アーマラが揶揄されて一番ムカついたのは、ここだけの秘密にしておこうと思う。

 

 

 

 新西暦一八九年 ♬月⊿日

 銀河系、星間連合勢力圏旧エリオス領《ラー・カイラム》の一室

 

 ザール艦隊の司令官、クロッペンの演説により、αナンバーズ内に動揺が広がっている。

 特に酷いのはアール博士か。

 信じたものを根底から崩されたのだから、無理もないが。

 オレが真実を語るのも無粋というか、空気読めてないし。歯がゆいな。

 

 

 

 新西暦一八九年 ♬月★日

 銀河系、旧エリオス領 《ラー・カイラム》の一室

 

 定期点検と補給のために停泊中だった《シティ7》にガルラの手のものが進入、《ゴライオン》チームの貴が命を落とした。

 オレの念の探知範囲外での出来事とはいえ、不甲斐ない。流れは知ってたはずなのに。

 記憶を思い出せても、使いこなせなきゃ意味ないだろ。

 

 

 

 新西暦一八九年 ♬月※日

 銀河系、旧エリオス領 《ラー・カイラム》の一室

 

 いろいろごたごたも《青獅子》の後継者にファーラ姫が無事収まって、さておき。

 性懲りもなくオレたちを付け狙うクトゥルフの戦士、イクサー2との戦闘で負傷した傷を癒すために戦列を離れたイクサー1に代わり、彼女の妹、イクサー3が遠路はるばるやってきた。

 イクサー3はまるっきり子ども、というかガキだから渚sは結構手を焼いているようだな。

 

 

 

 新西暦一八九年 ♬月○日

 銀河系、旧エリオス領 《ラー・カイラム》の一室

 

 平和解放機構からの緊急連絡が入った。

 αナンバーズと接触するためやってきた平和解放機構の指導者たちが、星間連合の大艦隊に追われているとのこと。

 オレたちはハイネル、リヒテル、そしてバラの騎士とやらが孤軍奮闘している現場に駆けつけ、救援した。

 というかバラの騎士、《ゴッドマーズ(OVA)》に乗ってるとか完全にマーグじゃねぇか!と思わずツッコんだら、みんなに「おまえなに言ってんの?」的な顔をされた。仮面してるからわからないって?うっそだー。

 

 さらに、戦闘中には平和解放機構の援軍として懐かしい顔ぶれがやってきた。

 プラート大尉が駆る《ファルゲンカスタム》とプラクティーズ+1、《グライムカイザル》と《ブラッディカイザル》のゲイル夫妻(もはやこう呼んでもいいだろう)だ。

 あれか、今回は兄貴繋がりの流れなのか。

 

 戦闘終了後、さすがにオレの前で正体を隠せないと悟り、マーグは事情を明かした。

 月面の戦いで瀕死の重傷を負った彼は

、当時地球圏で事前調査していた平和解放機構の構成員に辛くも救われ、傷を癒した後そのまま協力者となった。

 乗機の《ゴッドマーズ(OVA)》は彼ら兄弟の亡き父が秘密裏に用意していたもので、星間連合に悪用されそうだったところを奪還したとのこと。ハイネル、リヒテルとは立ち位置が似ているためか、盟友のような間柄らしい。

 

 次、プラート大尉らがここにいる理由だ。

 彼は封印戦争当時、シャア、いやクワトロ大尉から自身が滅びた後のことを託されており、その志を継ぐために独自に平和解放機構と接触、協力していたそうだ。あの人も、手段こそ間違っちゃいたが地球圏の未来を想う心は本物だったのかもな。

 なお、《ファルゲンカスタム》はプラート博士が改造した機体である。親子仲は修復された模様だ。

 

 次、アーマス・ゲイルとアルバトロ・ミル・ジュリア・アスカの二名。

 二人はそれぞれ撃墜された後に救助され、オーブで療養していたようだ。

 再会した彼らは、地球の美しさを知り、地球人とのふれあいで自分たちと変わらないヒトであると悟った。

 すでにグラドスは星間連合から解放されてバルマー所属に戻っているが、霊帝の民を省みない所業(グラドスが占領されたのも援軍を差し向けなかったからだ)には思うところがあり、そういった人たちの代表として平和解放機構に所属しているのだそうだ。

 二人との再会と和解に、エイジは泣きそうなくらい喜んでいたな。

 

 さらに、平和解放機構の中核メンバーには剣人の親父さん、楯隼人ことハーリン王子が加わっていた。

 これには剣人とアール博士だけじゃなくオレたちもビックリだ。

 海で難破した後、紆余曲折あって自身の出生を思い出し、平和解放運動に身を投じた。現在はズールの支配体制からの解放を訴える旗手として活動しているという。

 

 旧エリオス王家の遺児ハーリン王子に、発起人であるバーム星人のメルビ、ボアザン星の元将軍タンゲとラ・ゴールこと剛博士の四人がこの平和解放機構の中核である。エリカも地球を離れて彼らに協力していた。

 ギシン星間連合に支配された様々な星の平和勢力を結集した組織であり、地球人ではリリーナやそこちらには来ていないが、あのシェリンドン・ロナもメンバーだ。

 独自のネットワークを武器に反抗活動を続けていたが、ズール配下のエスパーには翻弄されているようだ。今回の襲撃も、あるいはスパイによるものかもしれないし。

 まあ、このオレ、バビル二世が来たからには連中の好き勝手にはさせないぜ。

 

 しかし、星間連合もだけど、こっちもやたらめったら豪華なクロスオーバーをしてやがる。

 便利な設定だからって何でもかんでも混ぜりゃいいってもんじゃないぞ、と思わずにはいられない。メタだが。

 

 

 

 新西暦一八九年 ♬月♪日

 銀河系、星間連合の勢力圏旧エリオス領 《ラー・カイラム》の一室

 

 クロッペンの生き様は敵ながら天晴れだった。それに引き替え、いくら母星が滅びていたからって寝返ろうとするなんて、《エルシャンク》のラドリオ人たちは不甲斐ないな。

 詳しく書く気分じゃないから、どんなことがあったかは察してほしい。

 

 

 

 新西暦一八九年 ♬月=日

 銀河系、星間連合勢力圏ギシン星付近 《ラー・カイラム》の一室

 

 ロゼの故郷という星で、ようやくタケルたち《スペースクラッシャー》隊と合流できた。

 マーズ、マーグの感動の対面だ。

 が、薔薇的な展開が繰り広げられるかと密かに身構えていたのに、タケルが心配させやがってとマーグをグーパンで思いっきり殴ってた。あれか、甲児や宙たちのノリに影響されたか。

 

 タケルとロゼがいい仲になっていたのは余談。

 ええい、イチャコラしやがって。羨ましくなんてないぞ!

 

 

 

 新西暦一八九年 ※月×日

 銀河系、ギシン星付近  《ラー・カイラム》の一室

 

 単刀直入に言おう。

 ついにズール皇帝を撃破した。

 

 本格的に反旗を翻したガンダル司令による決死の支援の元、たどり着いたギシン星本星。

 直属の部下、ワール司令を退けてズール皇帝との雌雄を決する最終決戦。《ダルタニアス》、《グレンダイザー》、《ゴッドマーズ》、《エルガイムMkーII》、《レイズナーMkーII》、《獣魔》を筆頭に、星間連合と因縁あるものたちが奮戦する。しかし、ズール皇帝は幾度となく復活してオレたちを苦しめた。

 

 決戦の舞台を宇宙に移し、奴の邪念とオレたちの信念がぶつかり合う。

 FIRE BOMBERwithフェイ・イェンHDが歌い上げる「VICTORY」をBGMに、オレたちは死力を尽くした。

 バサラの、ミクの歌声が銀河を揺るがし、ついには無限力が力を貸して四機の魔装機神が地上では成し得ない精霊憑依(ポゼッション)形態へと変化、さらなる力を呼び覚ます。

 激闘の末、二体の《ゴッドマーズ》による《ダブルファイナルゴッドマーズ》が炸裂。さらに往生際の悪いズール皇帝にトドメを刺そうと、タケルは反陽子爆弾による決死の特攻を敢行する。

 たがそれは、《ダルタニアス》の解き放った超空間エネルギーによって防がれ、ズール皇帝は反陽子爆弾を直接送り込まれて跡形もなく消し飛んだ。

 奴の怨念も、オレとイルイにより発動した無限力で因果地平の彼方へと消え去ったはずだ。

 

 ギシン星間連合は瓦解、ギシン星やたくさんの星々はズールの恐怖支配から解放された。

 未だ戦力を残すポセイダル軍、ボアザン星、キャンベル星、ザ・ブーム艦隊。それに異世界が本拠地のムゲ・ゾルバドス辺りの動向が気になるが、当面の脅威は取り除かれた。

 αナンバーズ艦隊はゾヴォーク先遣艦隊と別れ、地球圏に帰還する。

 

 隼人さんとアール博士、それにマーグはここに残り、ギシン星や旧エリオス領の復興に努めるそうだ。

 また、剛博士とエリカはボアザン星に赴くとのこと。やや心配ではあるが、ハイネルとリヒテルが同行するそうだから、彼らに任せるとしよう。

 一方、大介さんやルビーナ姫、ダバ一行やミト一行らイプロン星系組、メキボスとガヤトさんは引き続きαナンバーズに協力してくれる。

 受けた恩を返すというだけではなく、この銀河の平和のために力を貸してくれるって言うんだ。こんなにうれしいことはない、って感じだな。

 


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