転生者の魔都『海鳴市』   作:咲夜泪

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11/襲来、最古の悪夢! vs?????(1)

 

 

 ――『D・ホイール』。

 

 デュエルディスクを進化させたそのマシンを駆使して戦う『ライディングデュエル』はスピードとスリルに溢れた最高のショーであり、自由の象徴である。

 

「さぁ乗った乗った、そのサイドカーなら二人ぐらい乗れる」

 

 あ、うん。現実逃避してた。

 目の前にあるバイクのような『デュエルディスク』――いや、『デュエルディスク』搭載のバイクか?――は、まさにあの『D・ホイール』である。

 全体的に赤と黒で彩られた先進的なボディに、横付けで少し大きめのサイドカーが取り付けられている。

 ちなみにこの『D・ホイール』の名前は『小狸号』であるらしい。このサイドカーに主に誰を乗せているのか、付けた名前からそこはかとない反逆心を感じる。

 

「あ、ああ、よろしくな、赤坂」

「……安全運転を頼むわ」

「大丈夫だ、大船に乗った気で安心しろ。生まれてこの方無事故だ」

 

 ……本当に大丈夫なのだろうか? 即座に専用のライダースーツに着替えた彼は、何かさっきの死に勝る気怠さとは一転し、少しだけやる気らしきものが向上しているように見えるのが怖い。

 まさかと思うが、運転した瞬間、性格が変わる類じゃあるまいな……?

 

「行き先はその都度教えるわ」

「ああ、任せておけ」

 

 オレと柚葉はヘルメットを被り、増設されたシートベルトを装着する。

 それを確認した赤坂はヘルメットを被り、意気揚々とエンジン――多分、永久機関のモーメントだろう――に火を入れ――オレ達は柚葉の指し示す方向がままに走り出したのだった。

 

 

 

 

「……やはり疾走るのは良い。嫌な事も頬を打つ風に紛れて消えていく……」

「……ちょっと。感傷に浸るのは別に構わないんだけどさ、なんか異様に速くない? 速度規定守ってる?」

 

 何か異様に過ぎ去る速度の早い景色を見ながら「これ私の体感速度がおかしいんじゃないよね!?」と心配する柚葉を他所に――「あれ?」と首を傾げる。こんな長くて先進的な高速道路、本来の海鳴市にあっただろうか?

 

「大丈夫だ、まだこの『D・ホイール』の性能の半分も出し切っていない」

「いや、そのバイクの限界速度を聞いたんじゃないんだけどっ!?」

「バイクじゃない、『D・ホイール』だ」

 

 ……うん、柚葉。『決闘者』相手に話は基本的に一方通行で、通じない事を前提に置くべきだと思う。

 すぐに普通の車道から街の高層に設置されている高速道路に移りながら、オレは思わず頭を傾げた。

 ……いや、明らかにおかしいだろこれ。

 こんな巨大な高速道路が街のど真ん中に建ってるなら昔から気づいてるだろうし、ならばこそこれは『遊戯王』次元に改変された影響だろうか?

 

「――、っ?!」

 

 何か激しく嫌な予感がする中――突如急激な方向転換が行われ、直後に生じる爆音、おいおい、一体何が……!?

 

「な、何が――!」

「何か虹色の光が飛んで来たから避けたが、あれは何だ? どういう効果だ?」

 

 ああ、赤坂もやっぱり『デュエル脳』なのか。って、虹色の光だぁ? 何だそりゃ!?

 

「――っ、来るよ! 複数、避けてッ!」

「しっかり捕まってろッ!」

 

 柚葉の警告と同時に『D・ホイール』が更に加速し、迫り来る複数の虹色の発光体による射撃を潜り抜けながら急前進して突っ切る事で全回避する……!?

 何ちゅうクソ度胸だ、やっぱりコイツ頭のネジ何本か狂ってやがる、が今はそれが何よりも頼もしい……!

 

「直也君、背後――!」

「『蒼の亡霊(ファントム・ブルー)』ッッ!」

 

 振り向かずに即座にスタンドを出して全力の拳を振るい、襲撃者の繰り出した拳に相殺され、此方のスタンドの射程圏内から離脱される。

 生身で『蒼の亡霊』のパワー・スピードに匹敵するか……!? マジで何者だ! ――あ、スタンドである『蒼の亡霊』は『決闘者』の全員に見えているようだ。カードの精霊も見えるんだしスタンドを目視する事ぐらい当然だよな!

 

「――くっ、フィールド魔法『スピード・ワールド・ネオ』セットオン!」

『『デュエル』モードオン、スタンバイ!』

 

 ん? 何だ? この世界を疾走する違和感の塊は。

 何か一瞬にして世界の法則そのモノを塗り替えられたような――その変化の意味に逸早く気づいえた赤坂は憤怒をもって叫ぶ。

 

「あぁん!? 生身で『決闘疾走(ライディングデュエル)』だと!? ふざけやがってッッッ!」

「ら、らいでぃんぐでゅえる?」

 

 ……え゛? ややややっぱりそうなるのかよォォォォ――ッ!?

 

 

『――『デュエル』が開始されます。『デュエル』が開始されます。ルート上の一般車両は直ちに退避して下さい。『デュエル』が開始されます――』

 

 

 高速道路からそんな警告放送が流れ、更には下層から勝手に道路が出てきて変形し、新たな道が次々と構築されていく!?

 そして一般車両が次々と消えていく。相変わらず一般人に迷惑極まりない公共施設だな!?

 

「え? 直也君何これ!?」

「うわぁ、あの迷惑システムあるんかよ!?」

 

 ネオ童実野シティ名物、ライディングデュエル用の変形道路システム、この『魔都』にもあったんかよ!

 ああ、くそ、『D・ホイール』に乗った瞬間から絶対にあるだろうなぁと思っていたさ! ずっと現実逃避していたかったのに……!

 

「――って、ちょっと待って。ま、まさかこのまま走りながらデュエルするの? 危ないよ!? 降りてしようよ!?」

 

 心底信じられない顔で柚葉はオレと赤坂を見る。オレの方は苦々しく伏せて、赤坂の方はというと――。

 

 

「――当然だろう。それがスピードの中で進化した『ライディングデュエル』だッ! 来るぞ、秋瀬直也ッ! 疾走の方はオレに任せて『決闘』に集中しろッ!」

 

 

 ああ、もうどうにでもなれ! この二人乗りのサイドカーに乗ったままでは狭くて『デュエルディスク』も展開出来ない。ならば――!

 左腕にセットされた『デュエルディスク』を放り投げ、『蒼の亡霊』の左腕に装着して展開し、『D・ホイール』と並列に飛翔しながら謎の襲撃者と共にお決まりの台詞を音頭する。

 

 

『――ライディングデュエル・アクセラレーション!』

 

 

 同時に宣言し、並列して疾走する襲撃者の姿をようやく確認する。

 金髪サイドテールの、黒いゴテゴテの装甲服を着用した16歳ぐらいの少女? 一体誰だ、緑と赤のオッドアイなんて見た事ねぇぞ!

 

「――チィッ、先行を許したか……!」

 

 こっちは三人乗りでサイドカー付き、最初のカーブを突っ切ったのは飛翔するように疾走する襲撃者の少女の方だった。

 ライディングデュエルにおいての先行は最初のカーブを曲がった『決闘者』に訪れる……!

 

「――私の先行! 私は魔法カード『苦渋の選択』を発動! 自分のデッキから5枚選択して相手に見せ、相手が選んだ1枚を手札に加え、残りを墓地に捨てる! 私が選択する5枚はこれよ!」

 

 いきなり最初期時代の禁止カード! これ1枚で『おろかな埋葬』4枚分+サーチという鬼畜禁止カード! ……それと、この決闘疾走を産み出した3作目『5D's』の時とは違い、普通の魔法カードを使ったらバーンダメージ発生とか無くて安心する。

 まぁ、使われたカードは安心なんて欠片も出来ないカードだが――カード名が『苦渋の選択』だが、苦渋の選択をするのはもっぱら使われたプレイヤーである。一体何が来るか――。

 

 《封印されしエクゾディア》

 《封印されし者の右腕》

 《封印されし者の左腕》

 《封印されし者の右足》

 《封印されし者の左足》

 

「なっ、まさかの『エクゾディア』だとォォォ――ッ!?」

 

 まさかよりによってそれを『苦渋の選択』で突き付けてくるか……!? あの時の海馬社長と同じ気持ちを味わったぞッ!

 

「えくぞでぃあ?」

「あれを5枚全部手札に揃えた瞬間にライフを0、デッキを0枚にしてドローさせる以外の方法で問答無用に勝利出来る、『遊戯王』における特殊勝利の開祖だ……!」

 

 『遊戯王』の歴史において最古のデッキがそれであり――そういう意味では、『遊戯王』は始まった当初から文字通り『混沌』だったと言える。

 問題は一体いつの『エクゾディア』デッキか、という処か……!

 

「5枚も揃わないと勝てないなんて随分と遠回りね。揃える前に殴り殺せると思うんだけど」

「――大抵、あの手のデッキはまともに戦わないデッキだ。それどころか、禁止制限すら無いこの環境下じゃ大量のドローカードで1ターンで全部のパーツを揃えるなんて日常茶飯事。――やばい、オレのターン、回ってこないかもしれない……!」

 

 もしも最初期のドローカードで埋められているのならば、オレに次のターンなど回ってこないだろう。

 しかし、『苦渋の選択』でエクゾパーツ5つ突きつけてくるか。どうやって墓地から回収するんだろう? 大量のドローカードで手札を増やしつつデッキ圧縮し、最後に1枚で墓地の通常モンスター2体を回収出来る魔法カード『闇の量産工場』でサルベージするのだろうか?

 

 ……考えても仕方ない。もしもドローカード全投入の最初期ならばこのターンで何も出来ずに死を覚悟するしかあるまい。

 どうせこの『苦渋の選択』は大抵どれを落としても同じだ。

 

「オレは《封印されし者の右腕》を選択する!」

 

 ?????

 LP8000

 手札5→4→5

  無し

 魔法・罠カード

  無し

 

 謎の少女の手札に《封印されし者の右腕》が入り、残りは全部墓地に送られる。さて、一体どう出てくる……?

 

「私は《封印されし者の右腕》を通常召喚する!」

「何だと?」

 

 ?????

 LP8000

 手札5→4

 《封印されし者の右腕》星1/闇属性/魔法使い族/攻200/守300

 魔法・罠カード

  無し

 

「あんな低ステータスの通常モンスターを召喚……? 一体何を考えて――?」

 

 柚葉さえ訝しむ一手に説明不能の悪寒が生じる。

 単体では何の効果もない、更には最低ランクの攻撃力・守備力の『封印されし』モンスターを通常召喚するだと?

 普通では考えられない一手、絶対に何かある……! 此処でやらなければ負ける予感が生じ、即座に行動に出る。

 

「チェーンして《増殖するG》を発動! このカードは手札から墓地に送る事で1ターンに1度だけ発動出来る。このターン、相手がモンスターの特殊召喚に成功する度にデッキから1枚ドローしなければならない!」

「きゃっ!?」

 

 と、決闘疾走する謎の少女から歳相応の悲鳴が生じる。……まぁ気持ちは解らなくもない。これの『G』はあの黒光りする『G』だしな……。

 

「なな、何てカードをっ!」

「……あ、い、いや、『決闘者』と『G』は意外と身近な存在なんだぜ?」

 

 柚葉からも激しい文句が出るが、こ、これは対特殊召喚メタのカードであって、相手が構わず召喚すれば手札アドが自動的に増えるし、ドローされる事を嫌う相手の行動を抑止出来る、素晴らしい手札誘発カードなんだぞ? あの見るも耐え難い『G』だけど……。

 

「っ、構うものかっ! 私は《封印されし者の右腕》をリリースし、《召喚神エクゾディア》を特殊召喚する!」

 

 1枚ドロー……って、え?

 

 ?????

 LP8000

 手札4→3

 《召喚神エクゾディア》星10/闇属性/魔法使い族/攻?/守0

 魔法・罠カード

  無し

 

 そして召喚されるは超巨大な、『右腕』も『左腕』も『右足』も『左足』もある、黄金色に煌めく、全くもって封印されていない『エクゾディア』……!?

 

「何だこりゃ!? こんな『エクゾディア』知らねぇぞ!? これも第九期のカードなのか!?」

「いや、この『エクゾディア』はオレも初めて目にするぞ……!」

 

 この次元の住民である赤坂すら知らないカードだと!? マジであの襲撃者、何者なんだ……!?

 

「このカードは通常召喚出来ない。自分フィールドの『封印されし』モンスター1体をリリースした場合のみ特殊召喚出来る!」

 

 あのカードのテキストを見ようとしたが――見れない? こっちの『デュエルディスク』にデータに無いだと!?

 いや、正常に動いている事からルール違反だとか、違法に製造されたカードとかでは無いと思うから、単にテキストを見れないように違法改造されているだけか……?

 

 

「――このカードの攻撃力は自分の墓地の『封印されし』モンスターの数×1000アップする! そしてこのカードは他のカードの効果を受けない!」

 

 

 ?????

 LP8000

 手札3

 《召喚神エクゾディア》星10/闇属性/魔法使い族/攻?→5000/守0

 魔法・罠カード

  無し

 

 はあああああああぁ!? 何ぞそりゃあああぁ!? ロンゴミの効果を得た完全体《CX 冀望皇バリアン》は用意するだけでも一苦労なのに、そんなに簡単に出てきて《毒蛇神ヴェノミナーガ》並の完全耐性だと!?

 

「――何、だと……!? 『エクゾディア』で普通にビートダウン!? しかも攻撃力5000の完全耐性だとォ!? 『神』と名のついたカードなのに残念カードじゃないのかよ!?」

 

 突っ込みどころはまだまだあるが、つまりあれは単純に打点で上回って戦闘破壊するしかないのかよ。

 今の攻撃力5000ならまだ《ホープ・ザ・ライトニング》で相討ちに持ち込めるが、当然の事ながらオレのデッキには無い! 非常にまずいが、攻撃力5000程度なら墓地を肥やしまくった《ワイトキング》で何とかなるレベルか……!

 

「更に、墓地のモンスターを全てデッキに戻して《究極封印神エクゾディオス》を特殊召喚する!」

「え?」

 

 その突飛な行為に放心しながらも、特殊召喚された事で1枚ドロー――って、どういう事だよ!? まるで意味が解らないぞッ!

 

 ?????

 LP8000

 手札3→2

 《召喚神エクゾディア》星10/闇属性/魔法使い族/攻5000→0/守0

 《究極封印神エクゾディオス》星10/闇属性/魔法使い族/攻?/守0

 魔法・罠カード

  無し

 

 後から出てきたのは懐かしのカード、エクゾディアに酷似しているカードであり、使い処が非常に難しいカード――専用デッキを組んでも動かし辛かったと思うが。

 

「このカードは通常召喚出来ず、自分の墓地のモンスターを全てデッキに戻した場合のみ特殊召喚出来る。このカードはフィールドから離れた場合、ゲームから除外される。――このカードの攻撃力は、自分の墓地の通常モンスターの数×1000アップする」

 

 ?????

 LP8000

 手札2

 《召喚神エクゾディア》星10/闇属性/魔法使い族/攻0/守0

 《究極封印神エクゾディオス》星10/闇属性/魔法使い族/攻?→0/守0

 魔法・罠カード

  無し

 

 アニメ効果だとどうしようと思ったが、オレの知る効果のようだ。だが、折角の攻撃力5000を自ら0にするだと……?

 

「あれ? 攻撃力0になっちゃったよ? それに折角墓地に落としたカードもデッキに戻しちゃうなんて……?」

「どういう事だ……? 一体何がしたい? 此処からランク10エクシーズに繋げるのか……? いや、それにしては損失が余りにも多すぎる」

 

 今時手札3枚も消費してランク10エクシーズモンスターを立てても決して損失を補えない。

 まるで相手の出方が解らないと訝しむ中、謎の襲撃者は高速道路を飛翔するかの如く疾走しながら、静かに口元を歪める。これは嘲笑の色か……?

 

「手札から儀式魔法『高等儀式術』を発動! 手札の儀式モンスター1体を選び、そのカードとレベルの合計が同じになるようにデッキから通常モンスターを墓地に送り、儀式モンスターを特殊召喚する!」

 

 ……あ、一体何をしてくるのか、一気に悟って顔が真っ青になる。コイツ、まさかそこまでやるのか――!?

 

「――私が儀式召喚するのはレベル12《崇光なる宣告者》! よってデッキからレベル1の《封印されし者の右腕》3枚《封印されし者の左腕》3枚《封印されし者の右足》3枚《封印されし者の左足》3枚、合計12枚を墓地に送って守備表示で儀式召喚する!」

「――な」

 

 柚葉さえ絶句する。物凄い勢いで墓地に『封印されし』モンスターが大量入荷され――。

 

 ?????

 LP8000

 手札2→1→0

 《召喚神エクゾディア》星10/闇属性/魔法使い族/攻0→12000/守0

 《究極封印神エクゾディオス》星10/闇属性/魔法使い族/攻0→12000/守0

 《崇光なる宣告者》星12/光属性/天使族/攻2000/守3000

 魔法・罠カード

  無し

 

 うわあああああぁっ!? 

 コイツ、何てヤツだッ! 一気に墓地に《封印されしエクゾディア》を除く『封印されし』モンスターカード12枚全部を同時に墓地に落としやがった!?

 

「攻撃力12000のモンスターが2体だとォッ!? 何ぞこれ!? グールズより酷ェ!?」

 

 何の耐性も無い《究極封印神エクゾディオス》はどうにでもなるが、他のカードの効果を受けない《召喚神エクゾディア》に関してはマジどうしようもないぞ!?

 

「私はこれでターンエンド――エンドフェイズ、《召喚神エクゾディア》の効果発動! 自分の墓地から『封印されし』モンスター1体を選んで手札に加える。私は《封印されし者の右腕》を手札に加える!」

 

 ?????

 LP8000

 手札0→1

 《召喚神エクゾディア》星10/闇属性/魔法使い族/攻12000→11000/守0

 《究極封印神エクゾディオス》星10/闇属性/魔法使い族/攻12000→11000/守0

 《崇光なる宣告者》星12/光属性/天使族/攻2000/守3000

 魔法・罠カード

  無し

 

 何という事だ。1ターン経つ毎に墓地の『封印されし』モンスターを手札に回収して攻撃力は1000下がる。だが――。

 

「……まずいぞ、完全耐性の攻撃力10000以上のモンスターの上に、猶予が少ない……!」

 

 赤坂の言う通りだ。未だデッキに《封印されしエクゾディア》が眠っていると言ってもドロー加速カード及び墓地回収カードでも引かれれば、手札にエクゾディアパーツ5枚揃って特殊勝利という結末がすぐ見える。

 

 つまりは――攻撃力10000以上で尚且つ完全耐性の《召喚神エクゾディア》を、手札にエクゾディアパーツ5枚揃えられる前に何とかしなければならない……!?

 ――このライディングデュエル、最高にハードだぜ……!

 

 

 




 本日の禁止カード

 『苦渋の選択』
 通常魔法(禁止カード)
 自分のデッキからカードを5枚選択して相手に見せる。
 相手はその中から1枚を選択する。
 相手が選択したカード1枚を自分の手札に加え、
 残りのカードを墓地へ捨てる。

 これ一枚で大体何でも出来る万能の墓地肥やし&サーチカード。
 秋瀬直也のデッキに入っていた場合、これ1枚で《馬頭鬼》2体《ワイトプリンス》2体《ワイトキング》1体を相手プレイヤーに突きつければ1ターンで攻撃力6000の《ワイトキング》を必ず立てれる。
 あのデッキにとって最高の相性なんだが、勿論入ってない。

 おそらく、このカードが出た当初は墓地に4枚もカードを送る事がデメリット扱いと開発者側は思っていたのだろうが、墓地が第二の手札である『遊戯王』にとって全てがメリット、つまり1枚で5アドという訳の解らないパワーカードという訳であり、他のぶっ壊れ汎用カードと共に最初の暗黒期を築き上げたのだった。

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