一流の銅ヤロー   作:クロム・ウェルハーツ

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@16 第三次忍界大戦、開戦!

第三次忍界大戦、勃発!

風の国、砂隠れの里の政情が不安定なことにより始まった第三次忍界大戦。三代目風影の突然の失踪によるごたごたに木ノ葉隠れの里も巻き込まれる形で戦争に参加していくことになった。

始めは国境線での戦いであったハズがいつの間にか忍界全体で行う総力戦になってから久しい。

…総力戦。そう、忍のランクに関わりなく戦場に出ることができる者を全て出していく戦いとなる。俺も例外ではなかった。

 

「はぁはぁ。」

 

ガサガサと茂みが揺れたのに気づき、慌てて木の陰に隠れる。さらに、六道の術の一つである人間道 気配遮断を使いチャクラによる感知を無効化させることで相手をやり過ごす。気配遮断とは言っても姿が消える訳ではないので、音を出したり相手が視認することでバレることがある。迂闊には動けない。まずは相手の確認だ。

木の陰からそっと顔を覗かせ相手の姿を窺う。あの忍装束…岩隠れの忍か。チャクラを感知してみるとその質は可もなく不可もなくと言った所だ。大体、中忍レベルの忍だろう。上手くいけば、一度の接触で戦闘を終わらせることも可能だと見て、そろそろと隠れていく木の陰から体を出す。

細心の注意を払い相手に慎重に近づく。幸いなことに相手は俺に気づいている様子はない。辺りにはチャクラの反応はなく、彼は偵察のために一人で俺が隠れる森の中に来たのだろう。

…好都合だ。俺の役割は時間稼ぎ。相手側の立場に立って考えると偵察が帰って来ない場合、時間を置いて偵察を再び放つか、全軍で突入してくるかの二択だろう。彼らにはあまり選択肢は残されていない。それはこちらにも言えることだが地の利がこちらにある分だけ選択肢の幅はある。

 

「つっても、囮役が俺一人って流石に酷いとは思いませんか?…聞いてますー?」

 

十分に近づいた岩隠れの忍から人間道で魂を引きづり出しながら話しかける。

 

「…やべぇ。驚かせ過ぎた。死因はショック死かなぁ。」

 

魂をちゅぽんと体から抜き取りながら話しかけるも当然の如く返事は帰って来ない。もし、返事が帰ってきたら誰かが死魂の術を使っている可能性を考えなくちゃいけない。

しかし、今回はその心配は必要なかったようだ。人間道で魂ごと抜き取った情報を基に作戦を立てる。

…NOW LOADING NOW LOADING NOW LOADING NOW LOADING NOW LOADING…

 

うん、詰んだ。

こっち、俺一人。に、対して相手40人。しかも、上忍、中忍混成中隊という強い忍の塊。まずいなぁ、厄介にもほどがある。

 

岩の奇襲で皆と逸れてからというものの任務を一人で続行しようとしていたことが間違いだったか。大蛇丸様にバレる可能性があるからあまり派手な術は使えないし。流石に40人相手は一人一人分断しても体力が持たないし。

 

考え込んでいる俺の耳元を何かが風を切って通り過ぎた。

 

「ん?」

 

クナイについている紙がジジジと危なげな音を出している。

 

「マズイッ!」

 

急いでその場を離れるが少し遅かったようだ。ドカンという音と共に俺のまだ小さな体が爆風によって吹き飛ばされる。ちょうど雨を降らしていて地面がぬかるんでいたので大きなダメージはないものの体中が痛い。戦闘に影響が出ることは請け合いだ。

 

「ほぉ。気配を隠すのが随分上手いと思えば、何、ただのガキか。通りで感知できなかったハズだ。」

「俺たちの中で最も弱いやつを斥候に出したのは間違いだったか。それにしてもあんなガキに負けるとは。やつは“岩”の恥さらしだな。」

 

うつ伏せの状態から片手を地面に付きそろそろと立ち上がろうとしている俺に嘲笑が浴びせられる。非常に不愉快だ。

顔を上げる俺が見たものはさっきの忍から抜き取った情報通りの光景だった。つまり、40人の忍が俺を取り囲んでいる図を思い浮かべて欲しい。いたいけな少年をリンチする大人たち。この下種ヤロー共が!

そう毒付いても奴らと俺との距離は約200mぐらいはあるわけで。大声を出さなければ相手に聞こえない距離だ。

このまま遠距離攻撃をされたら遺言すら残せないまま死んでしまう訳で、マズイよ、マジで。

 

そして、そんな最悪の予想は当たってしまうのが世の常で。クナイを一斉に出す岩隠れの忍たち。

 

「マジかよ。」

 

そう呟くのと空が黒く覆われる程のクナイが一斉に俺に向かって投げつけられるのは全く同じタイミングだった。

 


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