真剣で最強が恋をした   作:ブラックサレナ

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##第九十九話##

 

板垣天使、こいつは現在一子と同じ薙刀を使って勝負にでていた、あいてはメッシ。しかし相手に関係なく、あいつの動きは異常だ。まあ釈迦堂さんの弟子と言っていたからそれもそうだろうが、しかしなんでこんなリスクを伴う事を?俺はそんな事を考えていると鉄爺の声が聞こえた

 

鉄心

「勝者、板垣天使!」

 

天使

「おっしゃ、これで後一回かちゃあ、お仕舞いや!」

 

これで準決勝の片方は終了、次は一子の番だ。俺らはもうなにも言わずにただ見守ることにした。もう俺も言うことは無い、そう、あいつはもう一人の武道家だ。ならばあいつは自分の意思で大丈夫だろう

 

鉄心

「それでは、準決勝の二回戦といくかのう。それでは選手、前へ」

 

そして一子と、そしてもう一人は、確かセルゲイだ。身長を230を越す大男でさらに地元のロシアの荒熊と言われている非常に攻撃的な奴だったはずだ。俺が海外に行っていたときに聞いたことがあるのはこれぐらいだろう。そして勝負が始まる

 

セルゲイ

「ハァァァァァア!」

 

相手の豪腕な腕が一子を襲う、しかし一子はそれを受け止めた……あいつ、発動しやがった。

 

一子

「川神流……無天方才発動」

 

さて、これで勝敗は決した。あいつのあの技はそれこそクリスでも防ぐことができない、ある意味発動すればそれを回避することはない。なんて言ったってあれは俺や百代、鉄爺のような川神院師範代でも梃子摺る型だからな。

 

セルゲイ

「う、この動き。だが!私が負けることは許されないのだ!ガァァァァァ」

 

相手のセルゲイも攻撃をもっと野性的な攻撃に変わる、しかし一子は避ける。そして隙を待つ、後はそれが相手の終幕だ。そしてそれはすぐに来た

 

一子

「終ワリ……川神流奥義、顎!」

 

それはまるで一瞬だけの静寂を永遠とさせるような一言。そして一子の薙刀はセルゲイの腹の溝打ちに入っているのだから、そして一子は静かに薙刀を抜く、そうすると巨体のセルゲイはそのまま倒れた。これで準決勝の勝負はついた。

 

クリス

「……あの犬がここまでに」

 

岳人

「マジカよ、あの巨体を一撃だぜ。夏休み中になにがあったんだよあいつに」

 

モロ

「す、凄い……なんて火力とスピードなんだよワン子は……」

 

「……彰人のおかげ?」

 

彰人

「いや、俺だけじゃないさ、お前らだってたぶんあいつの支えだろうさ。俺はただそれを手助けしただけさ」

 

忠勝

「へっ、あの弱虫だったあいつが今じゃあんなに強いのか……俺もちょっと勇気ださねぇとな」

 

大和・彰人

「「ま、頑張れ」

 

忠勝

「てめぇら、何聞いてやがるんだよ!/////」

 

そして俺らはラストの戦いを見ることにした、これが最初に始まる一子の業だと知ったのは俺らも試合が終わるまで分からなかった。

 

Side 鉄心

 

とうとう一子がここまで来おったわい。才が無いなどトンでもないものを見せてもらったわい、川神流奥義……無天方才、ルーから技の概要は聞いておったがあの技、ただの技では無さそうじゃな、ワシの使う顕現のように人それぞれの業のようじゃ、しかしこれを見抜いた彰人もさすがじゃ。それでは最後の勝負、間違いなくこの板垣天使は釈迦堂の弟子であろう、さっきから型が未完全ながらも川神流じゃったからのう。まあ今の一子なら何も問題もいらんだろう……なにも起こらなければのう

 

side out

 

鉄心

「それではこれより川神武道会の決勝を行う……東、川神一子!」

 

一子

「オッス!」

 

鉄心

「西、板垣天使!」

 

天使

「うちは、天使って書いてエンジェルや!そこら辺間違えないでくれや!!」

 

とうとう、始まった決勝戦。時間としてはもう夕方の四時、これで一子の将来が決まる。俺は固唾を呑みながらもなぜか興奮していた、たぶんあいつの無天方才が俺の蛇のボルテージをあげているのだろう。そして激闘の幕開けだ

 

鉄心

「それでは……始めいっ!!」

 

鉄爺の言葉を皮切りに二人は互いの薙刀を交差させる。それは一瞬の出来事なのに、しかし空間からは、いや空気には分かるこの振動。今ここに決まろうとしているのだ、勝者が

 

天使

「へ、お前中々強いじゃないか、まるで師匠と戦っているみたいだぜ、だけど。これなら」

 

そして相手は構えを変える、今までの構えからなんとそれは肩に薙刀を背負うような形で構える、初めて見る構え、しかし今の一子は無駄だ

 

一子

「………フッ!」

 

すでに最初から無天方才を発動している一子に型や業はある意味意味がない、必要なのはあれと同等のスピードと火力、それだけだ。

 

大和

「二人とも、すげぇ……まるで風を切っているみたいに薙刀をふっていやがる」

 

大和ですらこの空気に触れている。そして薙刀はさらに交互に交じり合う、しかし一子も無傷とは行かない、相手のスピードが少し一子よりも上のようだ。足元を見ると少し紅くなっている

 

天使

「へ、いつまでそんな、おっと!攻撃も出来たのか。ちっ、こうなったら、これで」

 

相手は今度は構えを戻し、そして突撃。それからすぐに薙刀を軸にしたの蹴り、しかし一子もそれを読んで、蹴り上げた

 

天使

「ガハッ!」

 

相手の腹部に直撃、そして空中に上がっている相手に一子はすかさずに一撃を加えた

 

一子

「川神流奥義……山崩シ……吊ラレロ、大車輪!」

 

相手を落とし、そして突き上げた……一子、お前は今、怒っているのか?俺はそう思い、あいつの顔を見る、そこにはなにかを侮辱された、そんな一子の顔があった。そうか、あいつほどこの川神院を愛していたやつはいない、だからこんな紛い物になんか負けないのか……なら

 

彰人

「忠勝、一声ぐらい、かけてやれよ、今の一子はお前だって嫌いだろう?」

 

そう、今のままでは釈迦動さんと同じ事になる可能性がある。

 

忠勝

「ああ、あの女が原因ってこともわかってはいるが、なんか今のあいつは……なにか違うがお前らに救われる前に似ている……はぁ~しゃあねぇ、がらじゃなぇが」

 

そして忠勝はリングの傍まで行き

 

忠勝

「おい、一子!お前は…お前らしく夢を掴め。勘違いしてんじゃぇぞ!前も言ったがレールは引いてもらっても、自分で動かないと意味がないんだよ!そうだろう、一子!」

 

彰人

「うむ、青春だね」

 

大和

「……知っていたんだ、彰人。源さんがワン子のこと」

 

彰人

「ふ、これでも人の恋路には簡単に気付く性格でな。まあ今日のことはいい思い出さ、それに岳人達なんて試合のほう集中していて完全に忠勝の言葉聞いていないぜ」

 

大和

「そうだな、この大観衆の中じゃ。ワン子も」

 

彰人

「いや、あいつはわかるだろうな……なんせ犬だぞ、あいつはさ」

 

俺の言葉と同時に一子の動きは鈍った、いや違うな正確には……本来の力を発揮し出した。

 

一子

「……あれ?……私、さっき暗い何かに「貰った」…フン!」

 

天使

「ギャフッ!」

 

一子

「たっちゃんの声?……うん、私今なら自分に自信もてるよ、たっちゃん!……川神流、奥義!」

 

天使

「ち、さっきとは違う!?気?」

 

一子

「顎(アギト)!!」

 

そして……一子の勝負は幕を閉じた。

 

鉄心

「勝者!川神一子!!」

 

川神武道会は閉幕を向かえた。

 

Side 百代

 

私は今現在空港にいる、揚羽さんのチャーターでそのまま日本に帰るのだ、現在はその準備待ちだ。明日の日本時刻六時に空港につけば彰人に会える、最初にキスは絶対だし、抱擁もするだろう、後々

 

揚羽

「川神の、少しその緩んだ顔を隠さぬか……まったくどうせ御剣の事を考えていたのであろう?」

 

百代

「当たり前の事を聞かないでください、揚羽さん」

 

揚羽

「当たり前か……まあそれは良いとして、川神武道会の方も終わっただろうな。今回は誰がお前との対戦権を掴んだか」

 

百代

「ああ、そう思えばそうだったな」

 

今の私にはそれよりも重要な件が二つもある、それはまず我が妹のワン子とは試合そして彰人との本気の死合い。今はそれだけが私の半分を仕切ってあり、そして半分は彰人にどう甘えるかである。

 

揚羽

「また顔が緩んできおって。まあよいか、それもそれで。川神の、用意ができたようじゃ、行くぞ」

 

百代

「あ、はい揚羽さん」

 

待っていろよ、ワン子……そして彰人♪

 

side out

 

今、一子は今日の疲れのせいか爆睡している。俺はというと今日のこの武道会の片づけ中だ、そして

 

忠勝

「俺がいる理由は?」

 

鉄心

「なに、一子が一瞬黒い気になったのをおぬしが止めてくれたようじゃったからの……なに、一子にも一言言ってやれということじゃ……」

 

忠勝

「は、はぁ~」

 

さすがに忠勝も鉄爺には勝てないらしい。俺はそんな風景を眺めながら修行僧と一緒に骨組みの片付けに精を入れた。大和達はすでにもどっていった。

 

ルー

「はい、それはこっちにいれネ」

 

ルー師範代はもう、完全に喜んでいた。まあ最後のあの黒い気の事は正直焦ったらしい、まあ釈迦動さんの事もあったから余計なのかもしれないが、なんていうか、恋愛の力ってすごいな、俺が思うのもなんだけど。

 

鉄心

「彰人、ちょっとこっちにこれぬか?」

 

片づけ中に鉄爺が俺に声をかけた

 

彰人

「あ、はい。それじゃあすまないけど後よろしく」

 

修行僧

「あ、はい彰人殿」

 

そして俺はすぐに鉄心とそして忠勝の座っている境内の階段に腰を下ろす

 

鉄心

「ご苦労であったな、彰人。おぬしには感謝しても仕切れぬ大きなことをしてもらったぞ」

 

彰人

「別に俺は何も。ただあいつが夢を諦めなかった結果ですよ……それに褒めるならこの忠勝を。一子が憎しみで最後戦いそうになった時に止めたのはこいつですよ」

 

鉄心

「ホ、ホ、ホ.そうじゃのう、して彰人、おぬしには最初から一子の闇を知って追ったの?」

 

彰人

「ああ、蛇が懐いていたからさ」

 

鉄心

「……そうか、だが今回の戦いでも見せてもらえば分かるぞい、忠勝といったのう」

 

忠勝

「あ、はい。源忠勝です」

 

鉄心

「一子を頼むぞい」

 

忠勝

「はっ!?」

 

鉄心

「ほんの冗談じゃのう、彰人?」

 

彰人

「まあそうなったら、俺はお前の兄なww」

 

俺は久しぶりに笑った。

 

現在の日付、八月二十五日……夏休みは後六日となった、今日だった。

 


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