Side 裏工場
時間が少し戻る、それは昨日のこと。ここは川神市のおくの方、裏の世界と言えるであろう。工業地帯にあるとある無法地帯の場所。そしてそこのとある倉庫にはパソコン、そして男女が合わせて五人居た。
???
『うむ、どうだねこの仕事は』
釈迦堂
「いいじゃないですか!まあこれも仕事でもありますからね。それでどうしたんですか、こんな急にしかもいつものメールではなく今回はパソコン越しとはいえ、顔を見せるとは。しかもうちの弟子も使うとは」
???
『こちらにも風の噂でな……ミツルギと言う名の武道家を知っているか?』
釈迦堂
「く、く、く。ああ、知っているさ」
辰子
「あれぇ~それって彰人君のこと?」
なんと男女の中で一番背の高い子が、いつもは話さないのに声を出した
???
「ああ、辰姉。それ誰だ?」
釈迦堂
「あはははは、そうか辰子は分かってるか。まあいいや、それでどうかしたんすか、そいつが俺らに何か関係ですか?」
???
『ああ、“我々”だって風と言っても確かな情報でな……それで頼みがあるのだが、一回戦闘を頼みたいのだが』
釈迦堂
「ああ、それなら安心してくだせぇ。もう一戦していますから」
???
『そうか、それでどうだった?』
釈迦堂
「正直に話しますと……あいつがもしあんたらの計画(パーティ)を知ったら、潰しに来ますぜ」
???
『そんなことは聞いていない、お前で勝てるのかと聞いているのだ?』
釈迦堂
「そうですねぇ~なら本当のことを言いましょう……川神鉄心の現役時代を三人持ってくれば、いや五人だな、五人いれば勝てますぜ」
???
『ふざけているのか!』
釈迦堂
「本気なんですけどね~、まあこれは後々にしたほうが言いと思いますがね……それで、もしかしてそれで呼んだんですか?」
???
『ふ、違う。明日開催する川神院での武道会に出て欲しいのだよ、君の弟子一人をね、まあ理由は我々の障害になり得るものの発見だ』
釈迦堂
「了解ですよ大将、それじゃあそういうことで」
そしてパソコンの通信は切れた
釈迦堂
「てなわけで、お前ら……出たい奴いるか?」
ちびっ子
「はいはい、私が出る!」
釈迦堂
「おお、天使。そうだな、確か一子も……よし、お前に決定だ。だけど武器はゴルフドライバーじゃまずいから模擬のなんかにしろよ」
天使
「へ、了解だぜ!なあなあ、師匠。これに勝てば賞金もらえるか?」
釈迦堂
「ああ、なんて言ったってあそかは天下の川神院だ。賞金もがっぽり、そしてその長となる川神百代との勝負もできるが、まあいいか」
そしてそこにいた五人は消えていった。
Side out
今日はそう、川神武道会の開催日だ。鉄爺は昨日の夜帰ってきてそのまま今日の審判だ。一応俺も気遣って聞いたのだが「わしをなめるでない、これぐらい大丈夫じゃ」と言うことで俺は今回完全に一子のサポートに回っていた。対戦者をみるとそれこそ強豪と言われる人々ばっかだった。
一子
「初戦はたしか、セルゲイ?だったかしら?まあいいわ、私は頑張るだけだもん」
彰人
「ああ、その意気だ一子。あ、ちなみに分かっていると思うが無天方才はまあ出来るだけ使うなよ、今のお前ならそうそうあれを使わずとも勝てるさ、けど」
一子
「慢心せずね?」
彰人
「正解だ。それじゃあ俺は戻るからな、今回俺は不参加だからここに居られるのもルー師範代の計らいだ。それじゃあ俺はファミリーが居る方に行くからな……頑張って来い」
一子
「あ、皆着てくれたんだ……ねぇ、たっちゃんは来るって?」
彰人
「ああ、忠勝ならさっきメールで……準決勝までには来るって書いてあったから、それまで勝ち残らないとな」
一子
「うん、それじゃあ彰人、行ってきます!」
俺と一子はハイタッチをして、俺は観客席に向かう。外はすでに人で溢れており、そして放送関係も大勢いた。まあそれもこの川神武道会の世界から集まる人たちのせいだろうがな、さっきトーナメント表見たら、メッシとか居たしな……まあそれもここの優勝はある意味一番百代とのリベンヂはたまた、挑戦できる公式の試合でもあるからな、そりゃあ盛り上がるだろうな。
弓
「あ、御剣で候か?」
後ろから声がかかったのが、なんと弓道部主将
彰人
「お久しぶりです、弓先輩。どうしたんですか、こんなところでって言ってもまあここに居るってことは決まっていますけどね」
弓
「うむ、私もこの川神武道会は好きで候……はぁ~ちょっと普通に戻すね」
弓先輩はそう言うといつもとは違う女子高生の言葉に変わった。
弓
「貴方が言ってくれたおかげで椎名さん……戻ってきてくれたわ。あの時あなたに言って貰えなかったらたぶん私は退部させてしまってそのままだったかもしれないから、ありがよう。」
彰人
「ああ、京ですか?どうですか、かんばってますか?」
弓
「それがもう、凄いの!夏休みの中盤から来て、それから私ら全員に謝って、それでまあ私は本当は無罪放免にしたかったけど形上、一年生と同じく片付けってことにしたんだけど!もう、皆椎名さんの真似とかしちゃって……あ、ごめんさない」
彰人
「いえ、京もそっちで頑張っているようで良かったですよ。それで京は?」
弓
「弓道部のほかの子たちとで出店に行っているわ」
俺は笑いたい気持ちを抑えて
彰人
「そうですか、それでは俺も友達を待たせているので」
弓
「それは……失礼で候。またね、御剣君」
そして俺はファミリーのところに行った。
彰人
「う~い、ってこれだけか!」
モロ
「あはは、まさかね。僕もびっくりしているよ、岳人に僕、さらに大和、まゆっち、それと彰人だもんね」
総勢五人である、ちなみに百代はまだ中国、うちのリーダーは音信不通、そしてクリスは?
マルギッテ
「彰人殿……少々お話が」
彰人
「マルギッテ?ああ、すまん、少し話してくる。それと大和、いい感じだな」
大和
「ああ」
そして俺はマルギッテの近くに行くと
マルギッテ
「実はですね、お嬢様がこの大会に参戦しておりまして」
彰人
「は?」
俺はトーナメント表を見た限りではクリスティアーネなんて言葉は無かったが、と思っていると
マルギッテ
「お嬢様は偽名を使って今回のこの大会に参戦しておられます」
彰人
「質問いいか?なんでクリスこんな大会に?」
マルギッテ
「は、実は犬のことについて、気になることがあると言うことで……あの犬の成長が異常だと言っておりましてその真意を確かめるためにお嬢様は。ですから偽名を」
彰人
「ああ、意外と心配させてしまったようだな…てかクリスは俺が現在稽古をつけていること言っていた?」
マルギッテ
「はい!?彰人殿が直々にですか?」
彰人
「そんな驚くことか?」
マルギッテ
「当たり前です。それならば我々の部隊も指導していただきたいぐらいです、もちろん報酬は中将殿はじめ、私からも出しましょう」
彰人
「そういう話は今はやめてくれ。まあそう言うことだからたぶん」
マルギッテ
「そうでしたか、分かりました。しかしお嬢様も騎士ですので」
彰人
「分かっている、参加した以上全力ってな。それは一子も一緒さ、だから遠慮なんていらんさ」
俺はマルギッテにそう言うと今度こそ席にもどった。
まゆっち
「彰人さん、どうしたんですか?」
彰人
「ああ、クリスの居場所が判明しただけだ」
大和
「そうか、それで」
ルー
『それじゃあ次の三回戦、行くネ。西、ゲイツ兄弟。東、ミスキシドウー』
彰人
「居ただろ?」
大和
「あいつは一体なにがしたいんだよ?まあいいや、俺らは応援に徹するとするよ」
岳人
「大和~俺様腹減ったから何か買ってきていいか?」
大和
「いいけど。ナンパは辞めとけよ」
モロ
「まあそんなこと言って聞く岳人じゃないけどね。そう思えばさっき京が弓道部と一緒にいたけど、あれって」
彰人
「まああいつも今頑張っているってことだろう。まったく今日は皆ランクアップする日か?」
そんなこんなで話しているうちにクリスは勝利を収めていた。次は一子の番、一言言えば圧勝だった。そして一子の試合が終わると俺らの周りに人が着た、それは
千花
「凄い、ワン子ちゃん!一体どうしったっていうのよ直江っち、それと椎名っちも普通に挨拶しているし、みんな夏でなんか変わったの?」
大和
「まあ、みんな頑張っているってことで」
彰人
「お、うまそうな、飴だな。クンクンクン……これは、あんこだな」
千花
「ウッソ、隠し味がばれているし。あ、けど丁度いいか、これみんなの分だからあげる、大体こういう川神院でのイベントの時は助かっているしさ。それに椎名っちとワン子ちゃんを応援ってことで」
彰人
「ならありがたく。それじゃあ仕事頑張れよ」
千花
「もちろん、それじゃあね」
そして消えて行った俺らは飴を食べながらそのまま観戦することにした。そして次の勝負で俺は気になるやつを見つけた、それは
天使
「おっしゃぁー!これであたいの勝ちだぜ、おっさん」
その女の子の武器は一子と同じ薙刀だったが、しかし構えが可笑しいのだ。そうそれは川神流にそっくりで、そして川神流は門外だ、となると……俺はそのまま移動してある木の近くまで行く。
彰人
「はぁ~、居るとは思いませんでしたよ……釈迦動さん」
そこには誰にも居ないがしかし声は返ってきた
釈迦堂
「あらら、すぐにばれちゃうとは俺も鈍ったもんだね……それで彰人、俺を捕まえるかい?」
彰人
「今日はパスですね、俺は今日は一子のサポートとしてここにいるので、別に川神院次期院長の夫でもありませんから」
釈迦堂
「がははは、そうかいそうか。それじゃあいい、大会ってのはそうじゃないとな。それで俺のあれが弟子さ、どうだいいい筋だろう?」
彰人
「ええ、ですが……一子が潰しますよ」
釈迦堂
「く、く、く。楽しみにしているぜ、彰人」
俺はそしてさっきまでの異質は気配が消えた事を確認して大和たちのところに戻った。