さて、ゴールデンウィークも終わり今日から完全な学校の始まりだ。そのため俺は早めに起きたのだが、隣にいるはずの人がいない、ようは百代がいない。
彰人
「あれ?百代がいない?」
俺はたぶんトイレだと思い、そのまま部屋にいて制服を着ているのだが来ない。そして俺は院内を探してみることにした、そしたら発見はしたのだが。
料理長
「そうそう、百代ちゃんさすがに覚えるのがはやいねぇ」
百代
「ああ、ありがとう。しかしこうも難しいとは。彰人め、なんであんなに簡単にできるんだ」
料理長
「彰人ちゃんだって昔は下手だったのよ。それに彰人ちゃんの場合はずっとしていたじゃない、それは百代ちゃんも見ているでしょう?」
百代
「ええ、それはもう。中学の頃からたまに彰人が厨房にいるのを見ていましたから」
どうも、料理をしているらしく俺はそのまま戻ることにした。そんな時、廊下で
ルー
「お、彰人。おはようネ」
彰人
「あ、おはようございますルー師範代。今日も朝のジョギングですか?」
ルー
「うん、今日もいい感じだったヨ。それにしても今日は早い起床だネ。うん関心関心」
彰人
「あはは、そういうわけでもないんですけどね。一子どこにいますか?」
ルー
「うん、確か今日は庭のほうで鍛錬しているはずだよ」
彰人
「そうですか、それじゃあ俺もちょいと行ってきます」
ルー
「うん、行って来るネ。あ、けど朝食には遅れないでね」
彰人
「勿論」
俺はそう言うと部屋に戻り胴着に着替えた。そして一子がいるであろう庭に行くと
一子
「せいやぁぁぁぁっ!!」
薙刀でのトレーニング中だった。
彰人
「まだ、重心が甘い。それにもうすこし腰を使わないと足に来るぞ、それとその力の入れ具合だと手を傷めるぞ、一子」
俺の言葉に気付いたのか、犬のように首を振り
一子
「あ、彰人!あれ、今日ははやいのね?どうかしたの、まだ五時よ?」
彰人
「ああ、なんか起きちまったし百代が隣に居ないからこっちに来た。それでさっきの言葉を復唱してみろ」
一子
「え!?えっとまず、腰、それに力具合、あと……」
彰人
「重心だ」
一子
「そ、そう。いまそういおうと思ったの……ご、ごめんなさい…」
彰人
「いいさ、それでは久しくやっていないトレーニングいくか?」
一子
「え、なにそれ?」
彰人
「あれだ、昔にやった俺の動きを真似してそれを覚えてそして俺が採点する、それで悪ければ」
一子
「おしおきだよね……けどやるわ!」
そして俺は薙刀を準備して構えた。
Side 一子
今日は久しぶりの彰人の稽古。凄くよく見ていないといけない、それは昔から変わらない。昔の私はずっとお姉様を目指して頑張っていただけどその前にいたのは彰人だった。同い年にしてお姉様よりも強い存在。
それは昔、私がここに来た頃の話
彰人
「はぁ……せぇい!」
私はその頃はずっとお姉さまのように強くなろうとした、それは今を思えばお姉さまの憧れだと今も思うだけど、だけどその頃は
一子
「ジィーーー」
百代
「ん、なにをしているんだ一子?」
一子
「あ、お姉さま。ねぇ彰人はなにをしているの?」
百代
「ああ、彰人は今さっき戦ったあのジジイの動きを真似しているんだ」
一子
「まね?真似なんかしてどうするの?」
百代
「自分の物にするんだ、学ぶとは真似ぶだからな。それじゃあ一子もそろそろ私と一緒にやってみるか?」
一子
「うん、お姉さま」
今、思う。彰人はたぶん私の未来を先にやっていただけなんだと思った。今私はこうやって彰人の技をみてそれを真似ようとしている。
彰人
「この一撃、手向けと受け取れ!」
一子
「う、うわっ!なに今の?下に行ったはずの矛先が上向いてるし」
彰人
「う~ん、やはり薙刀だとやりにくいな、この技はやっぱ槍じゃないとな、それじゃあ一子、俺はさっきやった連舞から行くぞ」
そういう彰人の姿はまるでなにも感じていないみたいに心を閉ざし、そして相手がいるかのような動きをいている。私は早くこれぐらいの兵になって、そしてこの川神院の師範代になって、そしていつか、お姉さまや彰人のサポートになりたいと思う。
Side out
俺らは一通りの鍛錬をしたのでそれぐらいの時間は経った。
彰人
「それじゃあそろそろ飯だな。それと一子はちゃんとシャワーを浴びてこいよ、汗びしょびしょだぞ」
一子
「あはは、久しぶりのこの鍛錬で少し気合いれすぎたわ、だけど彰人は相変わらず汗かかなのね、そんなに簡単かな~」
彰人
「汗をかく、かかないの問題じゃないさ。それにこれでも力加減をしているから俺的にはアップですらないし」
一子
「絶対、いつか追いついてみせるから。それじゃあ朝食で」
彰人
「おう、じゃあな。」
そして一子は走りながら院に戻っていった。俺はそんな後ろを見ながら
彰人
「いつか、追いついてみせるか。か、そのいつかはそろそろだと思うぞ一子。なあそうだろう鉄爺」
そして草むらから白いいつものが格好の一部分が見えている鉄爺が出てきた。
鉄心
「ギクッ!お、おう。彰人おはようじゃ、どうしたのじゃワシは今きたのじゃぞ」
彰人
「はいはい、そういうことにしときますよ。それでいい加減どうする気なんだ、一子も高二だ、そろそろ未来を考えないといけないだろう。だから決断は早いほうがいい、百代もちょいと渋っているしな」
そしていつもの態度とは一変してちゃんとした態度にかわった鉄爺が
鉄心
「単刀直入に聞くぞ彰人、一子には師範代になることは可能かのう?」
彰人
「……ゼロじゃない。ただそれだけだ」
鉄心
「……そうか、百代もそう言っておる」
彰人
「もし、決めるときがくれば……自分が決めて自分で判断するだろうだ」
鉄心
「うむ、わかったぞい。こちももう少し考えるとしようぞ」
彰人
「そう、なら俺はそれを見守るとするよ。さて、朝飯だね鉄爺お先に」
そして俺は院に入りいつもの場所にいく、そして修行僧達に挨拶をしてそしていつもの席につく。そして今日はなんと一子が運んできていた、朝食を
百代
「ふ、ふ、ふ。驚いたか彰人?」
百代が運んできた、しかも二人の分だけ別のメニュー
彰人
「えっと百代、確認だがなんで俺とお前のだけ違う朝食なんだ?」
百代
「決まっているだろう、愛妻朝食だからだ!」
愛妻朝食……それは古来愛妻弁当よりもグレードの高い飯である(高校生限定の基準)
彰人
「なるほど、だから朝はやかったんだ」
百代
「あれ?もしかして起きてたのか彰人?」
彰人
「ああ、どうも隣が寂しくてな、それで厨房を覗いたら」
百代
「覗いたら?」
彰人
「邪魔をする気は起きずそのまま朝の鍛錬をしていたよ。それじゃあ早速」
百代・彰人
「「いただきます」」
百代
「ああ、召し上がれ」
一子
「みんな、おっはよう!あれ、お姉さま?」
そして今日も元気な妹の再登場、しかも今度は体育着だし、普通の制服という手段はないのか、こいつに。
百代
「お、ワン子おはよう。それにしてもなんだ、そのあれってのは」
一子
「え、いや~今日、久しぶりに彰人に見てもらっていたんだけどお姉さまは寝ていると思っていたから。普通にこの時間にいるってのが不思議で」
百代
「く、く、く。妹よ、今日はちょっと試しに朝食というのを作ってみたのだよ、この私が」
なんとも誇らしげに朝食を見せている姉、そしてそれをみた妹は
一子
「お、お姉さまがとうとう、朝食まで!」
驚愕していた、しかも盛大に。しかしそれもすぐに終わり、すぐに飯を取り始める一子、えっとなんか運動した後にすぐに食べて運動して筋肉をつけるだそうだ。正しいのかわからんが
彰人
「そう思えば俺の昼飯は、どうなっているんだ。まさか漫画のようにこっちを作るのが大変で作っていないとかじゃないよな」
百代
「……(ダラダラダラダラダラダラダラ)」
まさか
百代
「まさか、なはずがないだろう!ちゃんとあるぞ、しかしその問題が…」
そしてそこに来るのは料理長のおばさん。
料理長
「百代ちゃん、これはここに置いておくからね~学校に行くときに持っていきな」
百代
「ああ、すまない」
そこにあったのは軽い重箱だった、まさか
彰人
「まさか」
百代
「いやぁ、私としたことが気合を入れすぎたら重箱になってしまった。だが安心してくれ彰人。今日はラジオがないからお前のところで一緒に食べられるからな」
彰人
「お前が昼飯を作ってくれてから、俺は一度もお前と一緒に食べていない記憶はないのだが。まあそれじゃあ俺が持っていくか、あれ」
百代
「いや、私が持っていく」
なぜかそれは拒否されてしまった、そしてさらに入ってくるのは修行僧や、師範代が全員挨拶をするこの人、それは
鉄心
「うむ、みなのものおはよう」
そして鉄爺は俺と百代をみるとこう言った。
鉄心
「うむ、関心じゃのう百代も。よいぞ、そういうことはどんどんしなさい。しかし勉強もほうもそれぐらいだとよいのじゃがな。彰人、頼んだぞい」
そういうとそのままいつもの席に行ってしまったが、なるほど、鉄爺としても百代の嫁始業は感心するほどらしい、しかし問題は現在俺らが高校生ということだ。
彰人
「百代」
百代
「…はい…」
彰人
「勉強は俺が教えるから、頑張りなさい。いいね?」
百代
「う~~」
彰人
「はいはい、項垂れない。あ~ん」
百代
「うぅ、っ!あ~ん♪」
彰人
「はぁ、まったく」
そんな川神院での朝の風景でした。