真剣で最強が恋をした   作:ブラックサレナ

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###第百二十四話###

 

修学旅行から帰ってきて今日は振り替え休みである。午後には百代の久しぶりの仕合があるので朝は早くすぐに体を動かしていた。

 

百代

「はぁぁぁぁ!」

 

一子

「せいっ!」

 

切れのいい動き、そして乱れない気。そして出来るクレーター。だからなんでここまでガチで戦いに発展しているんだよ

 

彰人

「そこまで」

 

俺が間に入り、二人の交差する腕を掴む。最近ではこれができるのは川神院でもルー師範代に鉄爺、それとたまに出没する総理ぐらいだ。相変わらずいい腕だ、これならば俺のあいつを解放するもの早いかもしれないな。

 

百代

「ふぅ~今日は三撃か。また腕があがったなワン子」

 

一子

「そういうお姉さまこそ、完璧に入れたのが三撃だけで他の貫通がおおくはいったわ」

 

鉄心

「ホ、ホ、ホ。精進しておるの~百代、一子よ。彰人もワシとどうじゃ?」

 

彰人

「嬉しいけどパスかな。さっきまで俺も結構疲れることしていたからさ、それよりも本当に百代の対戦者って誰?」

 

鉄心

「何、来て見たらわかるぞい」

 

百代

「それじゃあ私は休憩と風呂行ってシャワーでも浴びて午後に備える。彰人、お風呂に行くぞ」

 

彰人

「了解した」

 

そしてその時、俺は気付きはしなかった。今回の試合が百代にとって、そして俺にとって大きな変わりになることだと。

 

風呂から出て、まったりと過ごしながらも百代は少し緊張していた。そして俺は急に訪れた

 

“ギンッ!”

 

頭から何かが振ってきたようなそんな感覚が俺と、そして百代の中に響いた。間違いないこれが今回の百代の挑戦者だ。俺らはすぐに外に出ると、そこにはこの殺気の張本人が居た。黒い服、いやあれはたぶん執事服なのだろう。その男は背丈で言えば岳人を超えている、さらにこいつの気で判断するならば百代と互角かそれ以上だ。

 

鉄心

「うむ、来たようじゃ」

 

ヒューム

「この俺の殺気を喰らいながらも来るとは、貴様らはマシな赤子……ふ、赤子と餓鬼か。これは本当に凄いな、さすがは川神院とでもいうのか。すぐにいいか、私はこの後すぐに紋白さまのところに帰らなければならないからな」

 

鉄心

「そうじゃのう、それは百代。準備は……十分にいいようじゃのう、ワシが全力で気で最大限の結界を張ろう。それでは東、川神百代」

 

百代

「ああ」

 

鉄心

「西、ヒューム・ヘルシング」

 

ヒューム

「俺の前では誰もが赤子同然だ」

 

鉄心

「始めいっ!」

 

鉄爺の言葉と同時にスタートした戦い。一瞬一瞬がそれこそが命取りに近い、ヒュームと言った挑戦者の攻撃は、まるで俺のあれだ。蛇翼崩天刃だ、足をかけ上げてその摩擦で電撃が走る。百代ですらそれをガードするのが精一杯だ。

 

ヒューム

「知っているか。俺の末柄は化け物退治として有名だったことを」

 

ヘルシング……ドラキュラの話ではよく聞くことだ、彼は一人で吸血鬼である化け物を殺したといわれている。

 

ヒューム

「実際は、お前のような瞬間回復の使い手のことなのだ。だからこそ、われら一族はそういったものが……好物なのだ!」

 

百代の瞬間回復、これは川神院の奥義でも最高峰のものだ。しかしそのせいで百代の成長が止まっていた時期もあった、だが

 

百代

「好物ならば私を食べるか?私を食べていいのは彰人だけなのだ!!」

 

百代の拳がヒュームさんの軸に入る。ヒュームさんは少し驚いていたがすぐに百代に一撃を入れる。互いが互いに一撃入れれば一撃入れ返すとそんな感じだ。だが一歩も引いていないのはお互いだ、だけど

 

鉄心

「ふむ、まったくワシの気がなければこの川神ごと吹き飛ばす気かのう?」

 

彰人

「鉄爺は休みなよ。一応俺も注意しているしさ、だけど」

 

鉄心

「うむ、百代がここまで本気で、そしてまだ成長しようとしてるの。彰人の戦いから何を掴んだのかは知らぬがよい経験だったようじゃのう」

 

彰人

「劇薬でしかないけどね、俺との戦闘は」

 

百代、ヒュームとの戦闘は未だにオワリが見えない。お互いにダメージは喰らっている、百代は瞬間回復をしながら、ヒュームは普通に耐えながら。しかしそれは長くは続かない、インファイト。

 

百代

「く、さすがに私のほうも限界のようですね」

 

ヒューム

「昔、一度だけお前を見にこいといわれ、そしてその時俺はお前を育てなおそうと思っていた。だが、今は」

 

ヒュームの構えが変わった。まさか、あれは……

 

ヒューム

「ジェノサイド・チェーンソー!」

 

俺と同じだ。俺のあれと同等の技、しかし百代に当たることはなかった。それはなぜか簡単なことだ。確かに俺の技に等しい、いや同じだ、だからこそ

 

ヒューム

「何!?」

 

百代

「その技を使うのならば…彰人よりも上でなければ私には当たらない!」

 

足を掴んでいる百代。そして片腕で気を溜めている、あの距離ならばいけるかもしれない。

 

百代

「ご教授、ありがとうございます!」

 

百代の言葉にヒュームは笑うかのように、そして覚悟を決めたように

 

百代

「星耀抹殺(スターライトブライカー)ァァァァァァァ!」

 

ヒカリと共に、川神院を包んだ。

 

Side ヒューム

 

あれから、すぐに私はクラウに連れられてかえることになった。よもやあそこまで心境の変化があるとはな。

 

クラウディア

「どうでした、ヒューム。武神である川神百代との一戦は?」

 

ヒューム

「ふん、面白くなってきたとでも言うべきだろうな。私もまた鍛えなおしができると言うものだ。それに」

 

それに、あの“ガキ”確か御剣彰人といっていたな。あいつの周りにいたあの禍々しいものはなんだ?赤子だけだと思っていたこの世界にあんな餓“鬼”がいたとはな。これならばあのものの言っている若者の愚かさなど叩けるかもしれないな

 

クラウディア

「随分と、楽しそうですね」

 

ヒューム

「うるさいぞ。ふむ、だが確かにそうかもしれんな。川神百代、御剣彰人か」

 

side out

 

彰人

「最後の技はそう思えば百代のオリジナルでしたね」

 

鉄心

「うむ、星殺しの改良に改良を重ねた最終技じゃろう。まあ彰人に触発されたのじゃろうが、しかしよい顔になったのう」

 

隣で寝ている百代。今回の戦いはそれこそ短期決戦である以上に精神もきつかっただろう。一子は現在ランニング中だからここには居ないが一子がこんな百代を見たら驚くだろうな。まさか試合でつかれて寝てしまうとかな

 

百代

「むにゃ、彰人」

 

鉄心

「ホ、ホ、ホ。今日はゆっくり休むとよいの、じゃが明日からは学校じゃからな」

 

彰人

「わかっているさ。それじゃあこいつは運んでおくよ、もう少しぐらいで起きるだろうし起きたらすぐに風呂に入れたやらないと」

 

鉄心

「いつも甘いのに今日は一段と甘いのう」

 

彰人

「今日は百代にとってもいい勝負だっただろうしな。これならばもしかしたら、俺とも互角にやれるかもしれないさ」

 

鉄心

「それは面白いのう。そう思えばおぬしは衝動とかないのかの?」

 

彰人

「衝動?」

 

鉄心

「知っての通り、百代はお前が帰ってくるまでの一年で敵がいないほど強くなり、そして瞬間回復を手に入れた。ワシとしては嬉しい反面、恐怖も覚えた。そして百代は自分よりも強いものを求めるようになった。まさかそれが彰人が消えたせいとはワシらも最初はわからなかった。そして彰人が帰国し、そして夏休みの最後の勝負。百代の戦闘衝動は消えた、お主のおかげでのう。しかしおぬしにはないのか?百代よりも強い武力をもちながらも」

 

彰人

「その段階はたぶん超えたんだと思うよ、途中から。俺には蛇が居るし、たぶんこれがその塊みたいなもので俺はそれを貯蓄しているって感じだと思うよ」

 

鉄心

「蛇か。そうか、それではワシはさきに戻るとしよう」

 

鉄爺は院内に戻り、そして百代が目を覚ました。

 

百代

「あれ?彰人………そうか試合のあと私は疲れて寝てしまったのか」

 

彰人

「ああ、それでどうだったあの人との戦闘は?」

 

百代

「ああ、たぶん昔の私なら瞬間回復に頼って負けていたかもしれないな。だがその瞬間回復を封じる技がまさか彰人のあの蹴りを似ているのはビックリだったがな、ある意味お前との鍛錬のおかげなのかもしれないな」

 

彰人

「百代、何それでも勝ったのはお前だよ。さて一緒に風呂にはいるか?」

 

百代

「おお、今日は彰人からのお誘いとは、胸が躍るな。そして興奮するな、いいぞ彰人!戦闘あとの運動はいいものだ」

 

彰人

「発情期の犬かよお前は」

 

百代

「彰人以外には発情なんてしないぞ。こんどは、首輪とかしてみようか私が?」

 

彰人

「……百代、少し調教しなおそうと俺、思うぞ最近」

 

百代

「彰人がこういう風に私を開発させたような気がするぞ、最近は彰人の征服されたいと思うことがたた多いぞ」

 

彰人

「……今日はやさしくしてやるからな」

 

百代

「本当か!?それはそれで最高だな」

 

彰人はここで思ったのだ、百代は神聖のMだと。

 

そして俺らが風呂から上がりイチャイチャしていると、そこにルー師範代の登場である。俺らはすぐに体制を正そうとすると、ルー師範代は静止して

 

ルー

「ああ、いいよそのままで。そんなに重要な話じゃないからネ」

 

百代

「それでは彰人の上で失礼」

 

ルー

「実はねこれは、決定ではないんだけど……彰人に挑戦者が来たのだよ。しかも相手はちょっと訳ありのみたいなんだけどね」

 

彰人

「俺に挑戦者?」

 

俺は不思議に思うしかなかった…百代は川神院として有名である、しかし俺は違う。確かに俺は挑戦者と当たる事もある、だがそれは大体がここの道場破り風情かそれか百代を相手にしたいものだけだ。

 

ルー

「うん、なんでも……えっとさっき来たばっかりなんだけどね、これが」

 

そこには手紙だった。俺はそれを開ける、百代も一緒に見る、そしてそこに書いてあったのは……マジかよ

 

百代

「なんだこれ?英語か?」

 

彰人

「いや、ドイツ語だよ百代」

 

百代

「ドイツ?まさか」

 

彰人

「たぶん、そのまさかだと思うぞ」

 

その手紙にはこうかいてあった。マルギッテ、クリスのことを少しきたえてやってくれないか?ようは俺に

 

彰人

「ドイツ娘二人対俺と言うわけか、一子でもいいと思うがまあマルギッテはさすがに無理かな~」

 

百代

「受けるのか?これ」

 

彰人

「まあ中将からのお願いはね。結構恩があるから彼には」

 

百代

「あっちもすごく恩があるって感じだけどな」

 

彰人

「まあそれじゃあ次の決闘は俺か~しかもこんどの日曜か」

 

俺はそう思いながらも百代の頭を撫でていた。

 

百代

「はふぅ~」

 

ルー

「まあそういうことネ。さっき届いたから」

 

そしてルー師範代は帰っていった。

そして俺らはまた学園生活が始まった。

 


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