俺は真剣でダラッと生きたい   作:B-in

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二十一話

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジジイ、俺婿入りするわ」

 

「いきなり何言っとるんじゃ、大馬鹿モン」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

川神鉄心。世界最強の武。武神と呼ばれ、過去第二次世界大戦、日清戦争を生き抜いた男。

 

かの鉄陣内と共に日本を守護した豪傑である。

 

そんな男にも悩みがある。主に自身の息子夫婦と孫の事だ。ハッキリと言ってしまえば鉄心は自分の子供に道場を継がせようという気は一切ない。

 

単純に実力が足りない、才能が足りない。道場は他の者に…と少々残念に思いながら考えて居た時期が在った。そこに生まれたのが川神家長女、百代である。

 

明るく、元気で怖いモノ知らず。才能に愛された子だ。生まれた瞬間にこの子は強く成ると爺馬鹿ながらに思った物である。

 

そして、続いて生まれた川神家長男の百夜。正直な話、余り期待はして居なかった。半世紀ほど前からの傾向であるが、日本の武士の家系では東では女性が強く西では男が強いといった感じ成っている。

 

その事もあり、ただ元気に育って幸せになってくれればソレで良いと考えて居た。

 

と、言うよりも百代が生まれて直ぐに妊娠発覚した時点で

 

(家族計画ぇ)

 

と内心呟いたものである。

 

だが、実際に生まれて見ればこれもまた恐ろしい子だった。自分が危機感を感じるレベルの氣を内包して生まれた幼児。その幼児は生まれて直ぐに本能が働いたのか己の氣を封印した。

 

ハッキリ言ってしまえばあのまま放置して居たら、体が破裂していただろうとその結果が予想でき嫌な汗が噴き出てくる。

 

封印の反動か極端に生命力が減退し、人工呼吸器に繋がれたりもしたが生きている事に感謝した。

 

才能に愛された子がまた生まれた。自分は幸せモノだと思った。

 

将来的には自分の道場で仲良く汗を流す姉弟の姿が見れると思うと頬が緩んだ。

 

実際に、百代は強く成る事に意義を見出した。百代らしく、幼いながらに年長者としての自覚か「弟は私が護る」と言い自分から武を習い始めた。ソレと同時に闘いの楽しさに魅入られ始めて居た。

 

危ういと感じ、精神鍛錬を増やし、長期の休みには山に連れて行き高潔な精神を鍛えようとした。

 

人生とは巧く行かないモノだ。そう思いながらも、確実に強く成る孫娘の姿に嬉しく成る。

 

反面、弟の百夜は闘いを忌避した。痛いのは嫌だ。辛いのは嫌だ。それは当たり前だ。その事に何も言わなかった。護るモノが出来れば自ずと変わる。そう思っていた。

 

思えばコレが驕りだった。血縁だからと情に流されてしまった。

 

そんな事は分かっていたが息子夫婦の教育方針も有ったし、それを本気で嫌がって居る孫に無理矢理武術を習わせるのも違うと感じた。弟か妹が、護るべき者が出来れば変わると思いたかった。

 

保育園、幼稚園に通わせてはどうかと提案した事があった。が、息子夫婦は孫達の才能に魅せられていた。実際に、この二人の才能は素晴らしいの一言に尽きた。

 

正拳突きを教えれば、そのまま綺麗にソレを行える。最初からソレを行えると言う才能は素晴らしかった。見て覚え、直ぐに実行できる。将来が楽しみに成るのは親ならば仕方の無い事だとも思った。

 

だから、気づくのが遅れた。

 

百夜はその内面が普通では無い。達観と言ってしまえばまだ聞こえが良いかも知れないが、何事も諦めてしまっていた。

 

頭の出来が普通では無い。哲学書を強請る三歳児が何処に居ると言うのだ。ソレを数時間で読破し「あ~、やっぱり」と何かを確認するかのような視線で興味なさげに寝転がる。

 

故に、教え子をけしかけて見た。現在は政治家として精進している嘗ての門下生の人を見る目は確かだった。

 

その教え子からの評価は「養子にくれ」と言う貴奴からしてみれば最大の称賛だった。

 

注意深く見守れば、在る一定の距離までの気配は感じ取り、門下生や両親と出来るだけ合わない様に人を避けているのが直ぐに分かった。

 

ハッキリ言って異常だ。孫の歳でそういった事が出来るのが異常なのだ。何の訓練もしていないモノが気配を探り感知して動いている等、誰が信じれる。

 

この孫はもしかしたら誰とも関わろうとしないかもしれない。否、人を理解できないのかもしれないと恐ろしい考えが頭を過った事すらある。そして、ソレは少なからず的を得て居たのかもしれない。

 

だが、希望が在った。

 

釈迦堂刑部。嘗ての暴れ者には比較的に懐いていた。もしかすれば実の両親よりも懐いていたかもしれない。

 

同じく、釈迦堂も百夜とは良い関係だった。年の離れた友人の様な、兄弟の様な距離での付き合いをしていた。

 

百夜が小学校に入学して最初に心配したのは友達が出来るか、周りの輪に入って行けるかだった。暫くすると友人も出来た様で、何処か年相応…子供らしくなった様に思えた。

 

葵冬馬、井上準、九鬼英雄。この三人と親しい付き合いをしている様だった。他にも親しい友人達とその日の流れや気分で遊んでいたようだ。

 

正直な話、野球をし始めた時は嬉しかった。何か打ち込む事の出来るモノが在ると言うのは幸せな事だからだ。

 

釈迦堂も柄にもなく百夜の試合は毎回見に行っていた。その事を嬉しく思った。

 

だが、百夜は全てを諦めてしまった。いや、期待しながらも否定して腐ろうとしていた。

 

それは、勿体無かった。何よりもそれは許せなかった。幸せに成って欲しい。楽しく過ごして欲しい。辛い事も厳しい事も苦しい事も含めて楽しんで生きて欲しい。そう思っていた。

 

怨まれるのは、憎まれるのは少し悲しいがソレで孫がまた動き出すならそれで良いと思えた。だからこそ、少し意外だった。憎しみも怒りも向けて来ない孫が。諦めも達観もしていない孫が。

 

同時に嬉しかった。

 

だが、少し後悔した。

 

(やはり姉弟。似るものなのかのぉ)

 

その瞳の中には歓喜が確かに在った。それと、少しの戸惑いの様なモノが在った。

 

じゃからじゃろう、柄でも無いハイテンションで喋るのは。

 

始まりの合図等無い。しいて上げれば、ソレは百夜が拳を構えたのが合図じゃった。大きな氣のうねりを感じた。その事に嬉しく思う。武人として祖父としてこの子の持つ力を受け止めれる今の状況に。

 

基本通りの綺麗な拳を肘で壊しながら防ぐ。驚く事に途中から掌に変え、逆に掴まれた。そのまま、此方を投げようとするのを利用し逆に足を払い投げ飛ばす。

 

地面に落ちることなく獣の様に軽い音を立てて着地し、飛び込んでくる。

 

「川神流・富士砕き!!」

 

年不相応な威力の蹴りをいなす。そのまま、拳を当てようにも綺麗に受け流された。

 

(釈迦堂とワシの闘いをみて学んだか。全く恐ろしい才能じゃわい)

 

だが、それだけだ。練磨されてはいない。

 

今から練磨し始めているのだ。それが恐ろしいと感じる才能だ。その考えが自分達と違う才能なのだ。闘いながら成長する人間は居る。

 

だが、コレは違う。それは自分の技量が吸収出来る範囲の事であり、闘争における興奮等で鋭敏化した感覚がソレを行う事を可能にしているだけで、元から出来る素養が在り、体も鍛えられていたと言う前提が在って初めて可能になる。

 

前提が違う。

 

在り余る氣で強化された肉体。それも、自分が知る限り違う強化の仕方。内からではなく外からの強化が始まりでその次に内が来る。

 

その強化について行く事の出来る肉体。才能、資質の問題では無い。あからさまに違う。

普通は出来ない。出来てはいけない。死ぬ、死んでしまう。

 

なのに死なないどころかより強靭に、しなやかに成っていく。細胞自体がそういうモノに組み替わっていく様な生まれ変わっていく様な…そう、鉄を打ち鋼に変える様に。成長ではなく変化している。

 

寧ろコレは進化と呼んでも良いのかもしれないと馬鹿な事を考えてしまった。

 

自身の知識と経験を掻き集め、思い至った答えは

 

(氣脈かの?)

 

「本当にお前は…もう…アレじゃのう」

 

「アレって、本人目の前にしてブッチャケんなよ。ちょっと心に来る。」

 

(な~にが心に来るじゃ。楽しそうに笑っとる癖に)

 

初めて見る様な綺麗な笑顔だった。この世全てに感謝している様な、生きているだけで幸せとでも言っている様な、清々しい笑顔だった。

 

(釈迦堂よ、お主が護ろうとした雛鳥は飛びよった。遥か高くに…まだまだ飛ぶつもりじゃよ。この大馬鹿者は)

 

その果てに修羅となるか、観仏になるか、いや、どちらにも成らずにどちらにも成るのじゃろう。自由なのじゃから。

 

「ハハ、ハハハハハハハハ!! 」

 

「えぇい!! ハシャギよってからに!! 少しは手加減せんか!!」

 

「ヤダプー。本気だしゃ一発で終わるだろうに…アレ? 俺詰んだ?」

 

まぁの。しかし、一歩踏み出すどころかBダッシュは無いじゃろう。一体誰に似たのやら…

 

「顕現の参!! 毘沙門天!!」

 

コレで終わりにしようかの。これ以上続けると道場というか家の敷地が廃墟に成っちゃう。

 

「まだまだ、若い者には負けてやらんよ」

 

さて、ヒュームと橘殿に礼を…ソレと馬鹿孫の友人にも礼を言わなくてはのぉ。

 

「…ぉ……ぇ…ぁ」

 

!?

 

「ふぃ~…やっぱりワシに似たのか…」

 

いや、どちらかと言えば…

 

(釈迦堂と百代に似たか…親にも祖父にも似ず。兄貴分と姉に似るとは…とことん自由な奴じゃ)

 

何年ぶりかに冷や汗が湧きだした。

 

 

 

 

Side out

 

 

 

 

テンション↑↑気味な百夜です。いや、もう恥ずかしいやら嬉しいやら楽しいやらでこうでもしないと悶絶しちゃうね。絶対。

 

(でもね、ウン。正直もう限界。)

 

精神的に。基本は変わらないかんね。自分の事だもの、そうそう変わらないよ。アレだ、俺は戦闘では長続きしない。んでもって、爺様が終わったら絶対あの執事が控えてる。だって殺気立ってるもん!! 

 

めっちゃ、青筋出てるしこめかみピクピクしてるもん。絶対「ジェノサイドォォォ!!」とか言って殺りに来るよアレ!!

 

(どう、すっかなぁ…実際に)

 

富士砕きが一番威力が高いんだけどなぁ…これじゃぁ爺様殴れない。他の技知らないしなぁ、こう…ピンと来るモノが無いんだよね。無双正拳突きとか零距離でやって避けられる自信が有ります。

 

コレで手加減してんだぜ? 家の爺様。

 

(ってか、あの執事対策しないとガチでヤバいな。何だか執事にされそうな気配がする。揚羽さんの専属の)

 

それは、それでありなんだけども。絶対に自由時間減る。睡眠時間も減る。マナーとかも煩いと思う。規律が厳しいと思う。

 

それは、ダメだ。何て言ったってサボれない。

 

爺様にはもう、アレだよ。詰んでる…あっテンション下がって来た。どちらかと言うと戻って来た。

 

(どうしたもんか?)

 

俺自身氣はまだまだ大丈夫。寧ろ張ってるし外氣使えるから略無尽蔵、寧ろ半永久機関?的に運用出来るから良いんだけどさ。精神的な問題でして…

 

(あ~…絶対に痛い。痛くて痛くて涙が出る。気絶する。)

 

でもなぁ、他から持ってくるしかないしなぁ。何より一泡吹かせたいし勝ちたい。負けるのは嫌だ。妥協しても引き分け。

 

いーや。元から自棄で開き直って勝手に解放されたんだ。今、生まれたんだ。自分で自分を生んだと言う事にしよう。コレは産む痛みだ。

 

(女性に生まれなくて良かった!!)

 

女性が強いのは当たり前だよ。マジで。

 

「えぇい!! ハシャギよってからに!! 少しは手加減せんか!!」

 

「ヤダプー。本気だしゃ一発で終わるだろうに…アレ? 俺詰んだ?」

 

よし来い!! 手加減してね? 本気は止めてね?

 

「顕現の参!! 毘沙門天!!」

 

溢れだした膨大な氣が神仏の姿を形作る。その姿は彫像も顔負けの精巧な作りであり、美しかった。拳が迫る。気を張る。歯を噛みしめる。

 

その速度は余りにも早くて、瞬きをしただけで見失ってしまうだろう事を理解させる。巨大と言うのは一種の武器であり、長所である。蟻は象に見向きもされない。小さすぎて。

 

これも同じだ。俺は小さすぎてアレはでか過ぎる。

 

でも

 

理解した(わかった)

 

圧倒的な破壊力。こっちが瞬間回復を使えるの知ってるし、耐久力も有るのを見破られてるから手加減なんてちょっとしかない。結構真剣に負かしに来てる。

 

(それは…ムカつくなぁ)

 

人に本気で…真剣(マジ)で生きて見ろとか言った本人が本気じゃないっていうのは筋が通らない。そんなんだから姉ちゃんにも甘いんだよ。

 

でも、凄く強い。流石武神。武神だ。でも…この程度じゃ武神じゃねぇ―よ。記録に在る。悪魔王はまだまだ理不尽だぞ? 吸血鬼はもっと苛烈だぞ? 記録の持ち主はもっと卑怯で悪辣だ。

 

だったら、大丈夫だ。出会う事は無いだろうし御免だけど。もし、在ったら殴り倒すって断言できる奴の記録だけど…

 

(一応はアレが俺の産みの親になるんかねぇ…寒気がするけど。)

 

ダメだ。武神はもっと…こう、何て言うのかな? 圧倒的で、大人げなくて、手加減なんかしなくて、最初から全力で勝ちにいかないといけないんだよ。多分。うん、絶対に違うだろうけど。

 

痛いの誤魔化すのも辛い。一瞬が何分にも感じられる。

 

だけどまぁ…ちょっと本気出さないとねぇ。

 

(あんな理由で好きに成っちゃうんだから、俺も安いねぇ)

 

声にイライラした。その意思にムカムカした。その自信に嫉妬した。その在り方を羨んだ。

そんな奴が、立て立て喚いて来るから本音で否定したらさぁ

 

 

『やっと、我をみたな』

 

だぜ? しかも笑顔だ。ドキッとした。大嫌いなタイプなのにさ、好きに成るとか自分でも訳が分からん。

でも、好きに成ったらソレで負けなんだよね。本当にさぁ

 

だからよ、川神鉄心。負けらんねぇのよ。生まれたら惚れて一敗。良いトコ見せようとして二敗じゃダメなんだよ。

 

だから、負けてくれや。全力で

 

「…ぉ……ぇ…ぁ」

 

あぁ、痛くて声もまともに出ない。回復したらダメなんだよなぁ。これも生きてるってことなんだろ? 爺様。俺はアンタの提案に乗ったんだ、だったらアンタも本気で()ってくれ。それが終わって初めて始まるんだよ。俺は生まれたけど生きて無かった。生き始めたら死んじまった。

 

だから漸く生まれて生きられるんだ。

 

「ふぃ~…やっぱりワシに似たのか…」

 

ハハッ気持ち悪いこと言う名よ。姉ちゃん似の俺だぜ? アンタよりマシだ。

 

「エホッ……言魂と願掛け」

 

ピクリと爺様の眉が動く。

 

「複合技だぁねぇ…難しい事を簡単にやってくれる」

 

「………お主は本当に才能が溢れておる。嬉しい反面、悔しいとも思う。孫じゃ無ければ徹底的に武術漬けに出来たのにのぉ」

 

そりゃ、勘弁だ。

 

「あとは、その在り方…本人の本質? ソレが表層だろうが深層だろうがどちらでも良い。人には色々な側面が在るから、そのドレかを正確に捉える事が出来て初めて顕現する。ってとこかな?」

 

「座禅、瞑想の精神鍛錬。苦行・荒行も含めた肉体修練。その両方を行い続け在る日突然己の中に見えたモノの一つ。ソレが答えじゃよ。」

 

だから、コレは出来ない。賭けに負けた。

 

「生まれたばかりのお主には無理じゃよ。経験が足りな過ぎる。精神に問題が在る。その中の獣をどうにかせねばのぅ」

 

「カッ…カカカカカカッ。本当にその通りだ。流石武神、流石爺様だよ」

 

でもさ、それはヒントで答えだ。

 

人の側面は感情に反応する。怒りで沸き上がった側面。憎しみで、悲しみで、歓喜で沸き上がる側面が在る。

 

俺は知っている。

 

あの後悔を、絶望を、怒りを、憎しみを、狂うぐらいに知っているよ。

 

「あれは、馬鹿に成らないと無理だ。一つの事に集中し過ぎて馬鹿に成らなきゃ無理だ。だからさ…」

 

考えるな、思い出せば良い。

 

あの血臭の充満する部屋を。

 

燃えて紅く成った部屋を。

 

熱気で歪んだ景色を。

 

銃弾に貫かれて壊された夢を。

 

「オン、バザラダド、バン」

 

何もしなかった。自分が憎い。こんな結末を用意した世界が憎い。この結末を回避できなかった友が憎い。ソレを護るべき者達が護れ無かった事が憎い。

 

「オン、アビラウンケン」

 

同時に怒りが湧く。己の楽観、傲慢、慢心。全てに対するそれらに怒りが湧く。

 

「オンバザラトビシュバキリバジリニウン」

 

だから、俺は喜ぼう。川神百夜として喜ぼう。ソレが無ければ、結局俺は人形と同じだった。

 

「故に転じ、我は動かず。我は我を信ずる友に迫る悪鬼悪病を斬る。」

 

コレは、恥ずかしいけど。此処にはあいつ等しか居ないけど、あいつ等にも聞いてほしい。コレは俺の内心の決意だ。

 

誓いでも良い。

 

これだけは出来るだけ護るさ。過保護と呼ばれ、疎まれても良い。嫌だけど、良いさ。

 

「過去と、未来現在その先まで…不動の護りを」

 

だからさ、また遊ぼう。次は白子も一緒に交えよう。

 

だから、次は繋ぎ鬼でもしよう。お前等とあいつ等と別々だけど一緒に居ると楽しいんだ。

 

だからよ。川神鉄心…本気で()ろう。じゃなきゃ、良いトコ見せらねぇよ。

 

「生死を離れて涅槃はなく!! 涅槃を離れて生死もなし!! 生死即涅槃!! 不二法門!! 成仏の心得此処に在り!!」

 

顕現の弐!! 不動明王!!

 

 

 

 

 

己が敵を不浄と断じ、聳える壁は邪龍と断じ、傲慢が故に己が身を炎で隔離する。

 

「二番煎じで悪いけどさぁ、一手御教授願おうか!! 川神鉄心!!」

 

生まれたばかりの命が傲慢にも明王を名乗り、武神へ挑む。

 

その不敵な顔は……

 

 

(や~っぱり釈迦堂の影響かのぉ。いや、憧れか。ちょっと悔しいのぉ)

 

自分を護るヒーローに少しだけ似て居た。

 

 

 

 

 

 

 

 




覚醒(笑)

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