宇宙世紀と言う激動の中で。   作:吹雪型

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0083のサラミス改とかカッコ良すぎて堪らん。
そして何時も誤字報告ありがとうございます。


第217パトロール部隊VSシュウ・コートニー2

「ふむ…これは、少々想定外だね」クルクル

 

アーヴィント少佐は状況を確認しながら呟く。最初はウィスキー、ロック両小隊が善戦していた。だがシュウ中尉が攻勢に出た瞬間、瞬く間に撃破されてしまったのだ。

しかし、彼等は決して弱い訳では無い。特に両小隊長は一年戦争初期から戦い続け、生き残って来たベテランだ。そんな彼等が指揮する小隊は、必然的に対モビルスーツ戦闘を行える位は指導される。

 

「それ以上にシュウ中尉が強かった訳か」

 

ジム・カスタムFbのカタログスペックは確かに高い。しかし性能が高い分扱い切るのは難しくなる。だが、シュウ中尉はそれを難無くクリアした訳だ。

恐らく…いや、彼等よりシュウ中尉の方が適性が有ったのだろう。モビルスーツと言う人型機動兵器を扱い切る適性が。

 

「さて、シュウ中尉の現在地はどうなっている?」

 

「現在稜線側の向こうに居ます」

 

「ミサイル装填はどうなってるか?」

 

「間も無く完了します」

 

アーヴィント少佐は考える。恐らくシュウ中尉は此方を待っているだろう。だが、今の場所に留まるのも良く無い。ならば此方からも攻めて反撃の隙を与えない様にするしか無い。

 

「ロイヤルは現在の高度を維持しながら微速前進。但し、これ以上高度を上げるな。シュウ中尉の攻める範囲を少しでも限定的にするんだ」

 

もし、ロイヤルの高度を上げればシュウ中尉は嬉々として突っ込んで来るだろう。仮に攻撃を失敗したとしても、そのまま駆け抜けれるからだ。

 

『ガルム1よりロイヤル。私達はロイヤルより先に前進するわ。正直言って今の状況は不味いの一言しか無いわ』

 

今後の展開を考えているとレイナ大尉から通信が入る。そして今の状況の考えが同じだと分かった瞬間だった。

 

「確かにね。だが、孤立するのはダメだ。ロイヤルからの砲撃が可能な距離と地形までなら前進を許可する」

 

『了解よ。でも、私は諦め無いわよ。こっちも新型機なんだから少し位なら足止め出来る筈よ』

 

『うへぇ、あのシュウ中尉相手に足止め出来る自信無いですよ〜』

 

『ガルム3、貴方男でしょう?もっと根性見せなさい!』

 

『んな無茶な事を…でも、了解です。やって見せます』

 

『その意気よ。しっかり援護お願いね』

 

レイナ大尉のジム・カスタムとウィル少尉のジム・キャノンⅡは前進する。それと同時にロイヤルも追従する。

 

「さて、此方の動き始めたのは理解してる筈。後はやれる事をやってくしか無いか」クルクル

 

アーヴィント少佐が呟くと同時に状況が変わり出す。

 

「ガルム2移動を開始。此方に迫って来てます」

 

「ギリギリまで稜線を越えないつもりか。なら、ミサイルで歓迎して上げよう。ミサイル全弾発射!」

 

右腕を前に突き出しながら攻撃命令を降す。その瞬間、ロイヤルから多数のミサイルが発射されるのだった。

 

……

 

コクピット内でロックアラートが鳴り響く。それと同時にレーダーに多数のミサイルを確認する。

 

「さて、此処からが正念場だ。行くぞ!」

 

機体を地表に沿って移動する。ミサイル群を回避する。そして遂に稜線を越える。

 

『捉えた。落ちなさい!』

 

『よーく狙って…今だ!』

 

その時、ジム・カスタムとジム・キャノンⅡからの90㎜弾とビームが迫って来る。それを回避しながらモニターで確認する。

 

「先読みされてたか。流石レイナ大尉だな」

 

お互い一年戦争から共に戦い続けて来た。だからこそ、どのタイミングで来るのか分かった訳か。更にロイヤルからの艦砲も容赦無く迫って来る。阿吽の呼吸で攻めて来るのは中々厳しい。

 

「先ずはモビルスーツからだな」

 

一言呟く。そしてガルム1、3に狙いを定める。彼等を盾にロイヤルからの射線を切る。

 

『その方向から来るのは最初からお見通しよ!』

 

『スゲー、流石レイナ大尉だ。狙いがドンピシャだ』

 

正面から90㎜ガトリングガンを乱射するガルム1。それに続く様にガルム3からのビームが放たれる。

その弾幕の中をギリギリ避けれる距離まで接近。そして、仕掛けるタイミングが来た。シールドを前面に構えて此方の姿を隠す様にする。

 

「シールドパージ!」

 

そしてシールドを解除した瞬間、追加ブースターとAMBACを使用してシールドを前方に蹴り出す。シールドはそのまま前に突っ込んで行く。しかし、シールドは直ぐに破壊されてしまうだろう。だが、それで良い。一瞬の判断を遅らせる事が出来れば良いのだ。

お互いの視界がシールドで防がれた瞬間、一気に急上昇。そして、シールドを越えた先にはジム・カスタムとジム・キャノンⅡがシールドに向かって射撃していた姿が見えた。

 

「この距離なら逃げれんぞ!」

 

右手のロング・ライフル、左手のハイパーバズーカを装備して射撃開始。

 

『っ!?回避!』

 

『なっ!しまった!?』

 

ガルム3はハイパーバズーカが直撃。そしてガルム1も回避仕切れずロング・ライフルの餌食になったのだった。

 

……

 

「ガルム1、3共に大破、ガルム2此方に急接近します」

 

「弾幕を張るんだ!ガルム2を近寄らせるな!」

 

ロイヤルから多数の弾幕が展開される。しかし、それを難無く回避して行くジム・カスタムFb。

 

『さて、色々楽しませて貰ったよ。これから暫くはご飯のメニューにオカズが一品増えると思うと胸の中がスゥとするよ。安心してくれ、全員…平等に逝くからな』

 

その時、シュウ中尉から通信が繋がる。間違い無い…奴は、僕達のオカズも狙ってる!?

 

「落とせ!アレは味方では無い!我々のオカズを狙う略奪者だ!正義は我らに有るのだ!」

 

しかし、当たらない。そして遂にガルム2がロイヤルの上を取る。

 

『これで終わりだ』

 

その一言は艦橋内に居る人達を絶望の中に落とした。そして一気に急降下で迫るガルム2。ジム・カスタムFbの機動性と運動性も相俟って距離が直ぐに縮まる。

ガルム2からの攻撃により次々と被弾するロイヤル。更に対空砲も潰されて弾幕が薄くなる。最早此処まで。そう誰もが思っていた。しかし、最後まで諦めない者が居た。

 

「左舷急速一杯!!!」

 

アーヴィント少佐は指揮を続ける。その声に操縦士は条件反射で行動する。艦橋ギリギリにハイパーバズーカの弾が通り過ぎ、直ぐ横で爆発する。

 

「続いて艦を90度横に向けるんだ!!!」

 

そしてロイヤルがガルム2に対して横っ腹を晒す。本来なら愚策、最後の悪足掻きと言えるだろう。だが、このサラミス改級ロイヤルのハンガーと共に設置された追加ブースターにより素早く行動が出来た。更にハンガーに設置された対空砲が射撃可能になった。

そして、その対空砲の弾幕を近距離から受ける事になるシュウ中尉。

 

「くそっ!やってくれる!」

 

弾幕により右腕と左脚が被弾し使用出来なくなる。だが、左手に持つハイパーバズーカの狙いはしっかりと艦橋を狙っていた。

 

「この距離なら外さない!」

 

そして最後の1発になっていたハイパーバズーカが放たれた。そして、その弾は艦橋に直撃したのだった。

 

……

 

『ロイヤル、艦橋被弾により大破。模擬戦を終了します』

 

急降下していた機体を地表スレスレに移動する様に飛行する。ロイヤルの改修が彼処までだったとは正直驚きだ。後はアーヴィント少佐の指揮にも意表を突かれた形になったのだろう。

機体を止める為に追加ブースターと各スラスターを使う。その時だった。警告アラートが鳴り響く。モニターを直ぐに確認すると左追加ブースターに異常が発生。その瞬間、機体がグラリと揺らぐ。

 

「くっ、この…これでどうだ」

 

機体の制御が難しい状態になるが、冷静に地表に着地させる。そのままスライディングする形になってしまったが、無事に着地出来たのは良かった。

 

「はあ、此方ガルム2。左追加ブースターに異常発生。後で確認されたし」

 

『了解しました。コートニー中尉は危険ですので直ちに脱出して下さい。直ぐに迎えを向かわせます』

 

「了解しました。ふう、しかし追加ブースターの異常ね」

 

原因はまだ分からないが、最後の最後に結構無理な機動させたから接続部分が歪んだのかも知れない。そんな事を考えながらジム・カスタムFbから離れるのだった。




最近RB-79ボールを適当に調べてたら、装甲が超鋼合金ルナ・チタニウムだったそうです。何処かで聞いた事あるなーと思ってたらガンダムと同じでした(^^)

嘘…だろ?と思った俺は悪くない( ・`ω・´)キリッ

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