アクセル・ワールド~地平線を超えて   作:真ん丸太った骸骨男

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初めまして。
真ん丸骸骨です。アクセルワールド好きなんで書き始めちゃいました。
でも、アニメと小説の六巻まで読んだだけ何で色々と時系列だとか、設定などまたはアバターの能力が突飛だったりするかもしれません。
ご了承ください。


第一話

子供の頃に思ったんだ――――――

あの地面から這い出る日の光の向こうに何があるのか――――――

もしかしたら、無くしてしまった物があるんじゃないかとも思った―――――

だから僕は走り始めた――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(間に合え!)

 

僕は全力で走り抜けた。

上から落下する巨大な看板に向かって。

そして、未だ看板に気が付かず、歩き続ける女性の為に……

 

(間に合えッ!!)

 

目の前を歩く年上のお姉さん。

名前は知らない、歳も知らない、今この瞬間まで合った事すらなかった。いや、顔すら背中越しの為知らないのだ。

だけど僕はその人を助けたかった。

子供特有の正義感と、今まで大会を総なめにしてきた自身の足への自信から、僕は全力で歩道を駆ける。

 

(クソッ、気が付いた!?)

 

上からの不思議な音に気が付いた女性は、恐怖からかその足を止め、動けずにいた。数瞬後に逃げる為に走り出そうとしていたが、既に何もかもが遅すぎた。

そのまま気が付かづに歩いて行ってくれれば、距離を稼げたが、気が付いてしまった物はしょうがない。

ここで僕はさらに覚悟を固める。

彼女と僕の体格差は大きい。未だ成長期が訪れていない僕は小学生の低学年で平均よりも若干小さい、そして彼女は、多分小学校高学年で平均より背が高い、体格差はおよそ十センチ。

これほど体格差が出来ていれば、体当たりでも安全圏に二人ともいけるとは限らない。むしろ二人とも一緒に下敷きになる可能性の方が高いかもしれない。

 

(でも僕ならッ!!)

 

さらに加速を駆ける。

その足は、全力で走れば高学年の生徒を抜き去っている。

小さな怪我をさせてしまうかもしれないが、全力で当たれば安全な場所まで弾き飛ばせるかもしれない。

小さいけがは、この際我慢してもらうしかない。

 

(もっとだ!もっと加速しろ!!)

 

頭上は既に視ていない。

そんな暇があれば足を動かせ!見てしまいそうな心をそう言ってごまかし、心に焦燥感が溜まっていく。

だが、その不安と恐怖、さらには心に植え付けられていたトラウマから心臓がいつも以上に跳ね回り、コンマ数秒だが僕の世界を縮めさせる。

 

(よし!とどい―――――)

 

体全体で当たった感触の後、どうしようもない痛みと共に視点が地面と水平となり、意識が一瞬で断たれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『残念ですが、彼の足は、もう……』

 

それは僕にとって死刑宣告にも等しかった。

もう走れない。そう告げられた。

義足を着けれないかと母は先生に詰め寄ったが、僕の場合、脊髄を損傷したらしく、義足へと送る脳の命令が足まで届かないのだそうだ。

泣き崩れる母、それを支えながら一緒に泣いている父。

 

それから数日、僕は塞ぎ込み続けた。

走る事は僕にとって全てと言っても良かった。走る事が大好きで今までがむしゃらに走って、大会でも優勝や、新記録などを出し続けてきた。

心配して見舞いに来た監督や同じ学校の選手も僕が走れないと知ると最初は悲しんでくれたが、何日かするとぱったりと来なくなった。

見捨てられた訳ではないと分かっていても、もしかして失望されたかと考えると怖かった、評価が変わるのが怖かった。まだ、一部の人間にしか話していない事実であるのがせめてもの救いだが、多くの人間に知られれば心が潰れてしまいそうだった。

そんな時、僕の病室に小さなノック音が届いた。

 

「あの……入っても良いですか?」

 

次いで聞こえて来たのは女性の、それも知らない人の声だった。

不思議に思いながらも僕は入る様に促し、その女性が花束を持って入ってきた。

その女性は白いワンピースと鍔広の同色の帽子を被り、柔らかな目元が見ただけで優しげな雰囲気が伝わってきた。

しかし、やはりと言うべきか、彼女の事は記憶になかった。

 

「失礼ですけど、病室を間違えてませんか?僕、お姉さんみたいな綺麗な人知り合いに居ないんだけど」

「いえ、ここであってますよ。桐嶋駆(きりしまかける)君?」

「え?」

「別の病院に運ばれてしまったので、探し出すのに苦労しました」

「あ……」

 

そこでようやく合点がいった。

彼女は僕が体当たりをかました女性だ。

 

「良かった……。話には聞いていたけど、助けられて」

「ええ、あの時体当たりされた時に頭を打ってしまったので病院に運ばれましたが」

「うっ!?」

 

そうだ、あの時必死過ぎて気が付かなかったが、押された拍子に頭を打って深刻な事態になる事も十分にあったのだ。

 

「冗談です。……今日はお礼を言いに来ました。あの時は本当にありがとうございました」

 

彼女の微笑みに、僕は笑って返していた。

本当に久しぶりに、心からの笑みを浮かべる事が出来た。

何故だろう?不思議でしょうがなかった。

走れなくなったのに、夢が潰えてしまったのに、彼女はこちらの事情を知らずに、お礼を述べて微笑んでいるだけなのに。

 

そこではた、と気が付いた。

僕はただ走る事が好きなだけだった。

褒めて貰ったから走っていたわけでも、認められていたから走っていたわけでもない。夢と言うのも周りに流されて自然と大会などと言うようになっただけだ。

 

(彼女が笑って生きていてくれている、それだけで足を失った甲斐があるって物じゃないか)

 

何を腐っているんだ桐嶋駆!僕の走りが人一人を救っているじゃないか!そのように自分に気合を入れ、それを切欠に、駆は気持ちを持ち直して行った。

 

(そうだよ、僕はただ、駆け抜けたかっただけなんだから……)

 

それからしばらく、あの時の事、それ以外の事を含めて彼女を長らく話していた。

しかし、楽しい時間も長くは続かない。

彼女は話が一区切りつくと、立ち上がりベットに横たわる僕に迫るよう体勢になると一つの願いを口にした。

 

「言葉だけではなく、何かお礼をさせてください」

 

その体勢にドギマギしながらも、気にする必要はないと笑いながら返す。

だが、彼女は納得する事は無く、なおも言葉を重ね続け、その結果としてさらにベッドに迫ってき、駆を大いに混乱させた。

 

「だ、だったら、僕が退院するまで暇な時にお見舞いに来てよ。来てくれる人が少なくって退屈なんだ」

「はいっ、そんな事で宜しければ、私、毎日でも来ちゃいますね?」

 

倉崎楓子と名乗った彼女との関係は、僕が退院した後も、父の仕事の都合によって引越しをするまで続いた。

車椅子生活を一生強いられると知った時の彼女は、またこの時と同じように迫った来たのだが、その時も何かしらの条件を付け、納得をしてもらていた。健全な男として、女の子に迫られると混乱してしまうので、自分でも何を言ったのかは思い出せないが、その話の後から、いつも以上に笑ってくれていたのだから、おかしなことは言っていないのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、引っ越してから数か月後……

 

「何故だ!?なぜ攻撃が当たらないんだ!」

「無駄さ。誰も僕を捕まえられない、捉えられない!僕は最速で駆け抜けるだけさ!」

「くっ!」

 

逃げ出そうとする人型のシルエット。

だが、その速度では逃げ切れない。

 

「僕より速く動くつもりかい?この『ホリゾン・ソニック』よりも!」

 

僕は、加速世界で再び足を手に入れた。

 




師匠が出てきたのは完全に僕の趣味です。
師匠可愛いよ師匠w
でもヒロインは決まっていないどうしよう、チユも大好きなんでチユも絡める予定です。黒×ハルが好きなんで、もういっそ先輩以外は取っちゃおうかな?ww

真面目な話。
この作品て、トラウマとアバターの関係性をうまく書かないとぶっちゃけ面白くないのですよね。
心理描写が苦手な私としましてはちょっと不安です。
いや、得意なのなんかないんですけどね?
長くなりましたが、これにてお開きとさせていただきます。応援よろしくお願いします。

追記:
最初の分は少し悪ふざけが過ぎました。
今後の展開次第ではありますが、ハーレム要素は含まれません。
勿論話を作って行く上で、幾人かとは仲良くなりますが、=フラグ、ではありませんでご安心ください。

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