プロローグ
ドカッ!キキー!!ドガン!!!
はい、俺死にました。
「つまり、そちらの手違いで俺は死んだと?」
「本っっっ当に申し訳ございません!!」
俺の名前は玲也。
今俺の前には死神(自称)がいる。さっきからずっと「ごめんなさい」と繰り返していて、正直気持ち悪い。
なんでも寿命の管理をしていたら、突然くしゃみをしてしまったらしい。そのせいで俺の【命の蝋燭】とかいう物の火が消え、高校の通学バスが事故ったらしい。何故か他の人は全員無事らしく、死んだのは俺一人なのだとか。
……なんかムカツク。
「まあ、謝罪はさっきから耳にタコができるくらい聞いたから良いとして。俺はどうすれば?このまま成仏すればいいの?」
『いいえ!本来なら死なない筈の年齢で死んでしまったので、上位の神の命にて特別処置として異世界へ転生してもらうことが先ほど決定致しました』
いつそんなこと決めたんだよ、本人関係なく話進めんなよオイ。というより異世界ってどこだ?
「死神さん、異世界ってどこ?」
『はい!ここは…え〜と…あ、戦女神の世界ですね。あと私の名前はシェーラです』
「なんで戦m『最近上位の神がそのゲームにハマっているからです』………ソウデスカ」
ジーザス!! 神は死んだ!! ……いや、死んだのは俺だったな。というかハマっている? 最近の神様の趣味はエロゲーなのか? それより何だよその死亡フラグ満載の世界。
「なぁ、戦女神って現神やら古神とかいるけどさ、そこんとこどうなの? 神関係とかで問題は起きないのか?」
『実際にいたらそれこそ大問題ですけど、あんなのは所詮ゲームのキャラクターですよ、ゲームの。だから問題ありません。……古神に該当する方は実際に多々おりますけど、全然違いますし』
それならいいや。選択された世界が最悪だけど。
つーかやっぱいるのかよ、古神。
『それと一つだけ言っておきますが、そこは完全な戦女神の世界ではありません』
「ん? どいうことだ?」
『並行世界。即ちパラレルワールドです。簡単に言えば、【戦女神】という世界に限りなく近い世界というわけです』
「限りなく近いということは、原作とは違うこともあるってこと?」
俺のこの言葉に、シェーラは大きく頷く。
『そうです。大きな違いがあるとは思えませんが、少しの差異はあるはずです』
なるほど、まあなんとかなるだろう。
『では話を戻して、と。とりあえず謝罪変わりに特典として、身体能力はセリカって人の10倍くらいにしますね』
「……君、馬鹿だろ? 馬鹿なんだろ馬鹿なんですね三段活用!」
神殺しならぬ
ん? なんか変な電波が……。まあそれは置いとこう。
やったことがあるから分かるが、あいつの10倍なんてしたら強いどころじゃない。あの世界の神を敵に回しても問題なく立ち回れるだろう。
『それと魔力は…ルナ=クリアって子の10倍位でいいか。それに魔術と物理攻撃の抵抗力をキャラクター中最高っと。あ、やっぱ最後の以外やめよ〜っと。全能力を、それぞれメイド天使の10倍。よし、これで勝つる』
「……」
「よし」じゃねえよ。それに勝つのはお前じゃなくて俺だよ。
それにしても10倍だと? 奴らは主人公より潜在能力が高いんだぞ? それこそ一人で魔神を一撃で屠れる程に。それを10倍とは。
『他に五個、希望の能力を付けてあげます』
「五個…」
身体能力と魔力は勝手に与えられたので、後は俺の固有能力を決めるだけらしい。
転生系オリ主の二次創作だと、大抵は漫画なりゲームなりの別作品の能力が良く選ばれるな。だが他作品の能力を選ぶより、オリジナル能力を考えた方がいいか?
「付加できない能力とかある?」
『へ? いいえ、特にありませんよ? ほとんどの願いが可能です』
「そう」
おお、これはラッキーだ。あんな世界ならそれ相応の能力が必要だからな。
「一つ目は戦闘に関する技術、だな」
まずはこれだろう。これがなければ、早い段階でまたしてもここに来ることになるかもしれないからな。それは嫌だ。
「二つ目は戦女神に出てくる全部の魔術が使えるようになること。次に、魔神として生まれること」
人間として生まれ、何かある度に神に祈りをささげるのは面倒くさい。それに俺は無神論者だし、大体の日本人はそうだろう。……目の前に神がいるけど。
「あとは…そうだな。それぞれが黒と白の、第3と第4の腕をくれ。……これは、一つの願いの枠で収まるのか?」
「ええ、それなら大丈夫です。それであれば問題ありません」
左手はインド辺りで、『悪魔の手』と呼ばれている。だから左側は黒い手で、右手は『天使の手』だから、右側には白色の異なる腕を頼んだ。腕が4つあったら便利じゃね?
まあ色に関しては、ただ単に二つとも俺の好きな色だからってのもあるけどね。
「それはよかった。じゃあ最後に……空間を操る能力だ」
『はぁい、それでちょうど五つですね。ちょっと失礼します』
シェーラはそう言って、俺の頭に手を置いてくる。そこから光が灯り、少しずつ消えて行く。
え? なんか簡単に言っているけど、マジいいのかこれ? 強すぎないか? 特に最後。
『これでいいです。それでは第二の人生、精々死なない程度に頑張ってください。時代と場所はランダムです。……ついでに容姿も私好みにしました(ボソ)』
——パチッ——
「は? おい、ちょっとまt・・・」
シェーラが指を鳴らした途端に俺の意識は薄れて行き、完全に消え去った。
あいつ、最後になんて言った?