異世界人こと俺氏の憂鬱   作:魚乃眼

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Disc-3

 

 

「うふふふふふ……」

 

どうしてこうなった。

放課後の文芸部室。

追い詰められた俺。

犠牲者として物言わぬ状態で床に伏している古泉。

確かに容赦しなくていいとは言ったがそういう意味ではない。

いや、どうしてもこうしてもあるか。

もしかしなくても俺のせいなのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゲームと現実を一緒にしてはいけないとはよくぞ言ったものだ。

しかし今回に関してはむしろ現実とゲームを一緒にしていた事になる。

言い訳させてもらうなら不可抗力でしかない。

だってそうだろ。

朝倉さんの臨界点なんて俺が体験してきた範囲ではわからない。

というか怒らせた事がないからね。

イラっとしていた所を見たとしても俺が原因ではなかったし。

 

 

「ねえ、明智君」

 

この世界に来てから俺ははっきりと思い出した。

ロープレの世界では記憶が曖昧だったのだ。

彼女が手に持つ"ベンズナイフ"。

あれは俺が夏の合宿の際――外国のお城とは言えまさか吸血鬼が出てくるとは――にあげたものだ。

俺には"ブレイド"があるから必要ないから、と。

 

 

「嘘だったの?」

 

眼がやばい。

俺を見ているはずだが俺を見ていない。

気が付けば窓際。

フクロのネズミとはまさに今の俺だろう。

ドアの近くからじりじりと俺の方へと寄って来る。

 

 

「そんなに長門さんがよかったかしら?」

 

「違う。勘違いだ。必要最低限の話しかしちゃいない。昨日のあれだって事故だ」

 

「信じられると思う?」

 

その言葉で俺は再確認した。

ああ、所詮ここはゲームの世界に過ぎないのだと。

同時に怒りが湧いてきた。

このふざけた状況に。

俺のせいだとかなんとかでもない。

朝倉さんは朝倉さんとして行動しているとはとても思えない。

いつぞやとは立場が逆転している。

だから俺はどうにか彼女を救わなくてはならない。

何故なら朝倉さんは、俺の事を信用信頼してくれているからだ。

 

 

「やるしか、ないってか……」

 

なら話は別だ。

左手にオーラを集中、窓をカチ割る。

 

 

「鬼さん、こちら」

 

そのまま三階から飛び降りる。

地面はいつぞやの石造り。

足の裏を強化して、どうにか着地に耐える。

 

 

「うがっ。いつっ……」

 

だが他の部分へ衝撃は伝わってしまう。

のた打ち回りたいところではあるが、そうもしてられない。

すぐに朝倉さんも飛び降りて着地してきた。

距離にして8メートル前後だ。

 

 

「逃がさないわよ? ずーっと一緒に居てもらうんだから」

 

ならその手に持つナイフは何なんだ。

どう考えても不要じゃないか。

 

 

「話せば解る、って感じじゃあないみたいだね……」

 

「明智君。話せば解る……なんて台詞は嘘なのよ? それ、言い換えれば自分が話すから相手は理解しろって意味なの。言葉の暴力じゃないかしら」

 

「同感だよ」

 

ちぃっ。

すぐにでも仕留めにかからないのは俺を精神的に追い詰めたいのか。 

古泉の無事をとりあえず願う他ない。

ここから逃げるための策はなきしもあらず。

戦うつもりはない。

 

 

「くだらないゲームの設定でおままごとするような朝倉さんじゃあないはずだ」

 

「ゲーム? 私の事は……遊びだったって言うの!?」

 

――まずっ。

っと思った瞬間にはいつぞやのように鋭い一閃。

初見でこれを回避した原作キョンを褒めてやりたいね。

俺も頭と体がオサラバしていたかもしれないと思うとやってられない。

だが、やるしかない。

 

 

「……"ロード"」

 

回想する。

昨日まで。

否。

この時点まで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――塵も積もれば山となる。

本来であればどんな小さな努力でも続ければ成果をともなうといった素晴らしいことわざだ。

とある人が言うからには結果を求めるのではなく『真実に向かおうとする意志』が大事だとか。

俺もそう信じている。

だからこそやる時はやる必要がある。

 

 

「……」

 

「流石に年一回の機関誌についての話だけじゃあどうかと思うんだよね」

 

「……つまり?」

 

「文化祭で何かやる、とか」

 

新入生対象部活紹介――強制的にやらなければならない方――の時間に向けて俺と長門さんは打ち合わせをしていた。

他の団員から意見を頂いたところで文芸部的なものでなければ認められない。

ましてや普段行っていない活動をでっち上げるのも問題だ。

実現可能な類ならいいが、そもそもSOS団として存在する限りは実現も何もない。

文芸部的活動を普段していないんだから。

そういったいきさつでここのところはSOS団と文芸部、のように別れて話し合いをしている場面もあった。

適当に文章でも考えて読むだけではあるが、ここでの体験を現実にも活かしたいからね。

三年生になった時にでも使えるだろ。

 

 

「映画撮影?」

 

「いやいや、読み聞かせとかでもいいからさ」

 

「あなたが読む」

 

「まさか。そんな時が来たら長門さんに是非お任せしたいね」

 

「……検討する」

 

一応弁明させてもらいたいが、俺が朝倉さんと長門さんそれぞれとの会話の割合するのがわかりやすい。

今まで8:2だったのがいいとこ7:3になった程度だ。

朝倉さんを優先していなかったわけではない。

それでも俺の雰囲気とかを感じてイライラしてしまったのだろう。

この点に関しては俺も猛省しなければならないね。

 

 

「どう? そっちは順調なの?」

 

映画宣伝のためのCM撮影を終えて帰って来た涼宮さんが声をかけてきた。

順調も何も当日は明後日なのだが、問題はない。

人に来てもらうためにやっているわけではないからだ。

あくまで文芸部としての体裁を保たせるために過ぎないのだが……。

とにかく俺も想定外な事があったわけだ。

 

――その日、帰宅した俺の携帯電話に一本の電話が。

登録されていない番号だったので出てみると。

 

 

『……わたし』

 

長門さんだった。

携帯ではなく固定電話らしい。

 

 

「一体どうしたんだ? オレに電話だなんて」

 

『とても重要な事がある。公園で』

 

それだけ言って切れてしまった。

おいおい。

まだ晩御飯前だぜ。

やむを得ず駅前公園へ行く羽目になった俺。

春とはいえそろそろ日も没しかけて来ている。

到着するや否や制服姿の長門さんがぽつりと立っていた訳だが。

 

 

「……ん?」

 

メーターが表示されなくなっている。

さっきまでは学校に居た時もずっと30%のまま表示されていた。

緑のテキストエリアは存在するので現実世界に戻ったわけではないようだが。

こちらの様子を気にせず長門さんは。

 

 

「あなたはこれからイベントをクリアしなければならない」

 

「イベントだって?」

 

「そう」

 

「一体どういう類のものなのかな」

 

「このシミュレートをクリアしていないのは朝倉涼子とあなただけ」

 

なんと。

朝比奈さんはどうなったんだろうか。

とにかく管理者的立場の長門さんがそう言うからにはそうなのだろう。

俺を急かしたいのか。

 

 

「だけど朝倉さんの攻略には特定条件だかが必要なんだろ? それは何なのさ」

 

「簡潔に言えば相互理解」

 

何用かと思えば相互理解だと。

そんなふざけた話があってたまるか。

愛は盲目とでも言うつもりなのか。

愛=理解とか何とかあるだろ。

他に何を知ればいいんだ。

 

 

「あなただけの問題ではない。朝倉涼子の問題でもある」

 

「詳しく頼む」

 

「わたしがあなたに伝えられる情報は限られている。それでもいいなら」

 

「構わないさ」

 

つまりここでの体験は活かされる必要があるらしい。

RPG世界での体験をどう活用すればいいのかなど謎でしかないが、恋愛ADVとなると別だ。

荒唐無稽な世界観とは言え今回に関して言えば見知った人物しか登場しない。

現実の延長線上みたいなもんだ。

キョンと古泉に関してはこれからと言える。

だが、俺は違うはずだ。

朝倉さんと付き合っているわけだ。

それこそが問題とも言える。

更に朝倉さんは元々がエラーを起こした不良。

結果としてどうなるか。

 

 

「朝倉涼子が異常動作を起こしかねない。きわめて危険な状態」

 

朝倉さんは俺に合わせてくれていた。

何だかんだ言っても俺は彼女の片面だけしか見ていなかったのだ。

綺麗な部分だけを、俺に見せてくれていた。

バグと言えば話が早いんだろうが俺はそういう表現を認めたくない。

何故なら。

 

 

「あなたは彼女の全てを受け止める必要がある。朝倉涼子の思考ルーチンは私には解析不能。人類のそれよりも複雑」

 

「ふっ。今更だ……」

 

人間だって言ったはずだ。

人間なら、どれだけ頑張ってもストレスは知らず知らずに溜まる。

感情を完璧に制御するなどまさに超人業。

こんな俺なんかのためにそんな事をしているのか、彼女は。

きっと俺に何か言いたいなんて場面はいくらでもあったはずだ。

基本的に彼女は受け身だった。

まるで、今まで自分が迷惑かけた分をお返しするかのように。

少しでも俺を理解するためにくだらない事を。

 

 

「わかってないのはオレの方だったって事か……」

 

「……これからあなたは立ち向かわなければならない。そのための鍵は既に持っているはず」

 

「だけどここはシミュレーション。ゲームの世界で、オレの能力も発現しない」

 

「あなたにそれを可能にする権利を譲渡する」

 

「……何だって?」

 

「ロード機能。不正プログラムには変わりない。たった一度しか使えないから気を付けて」

 

なんと。

そんな便利なものがあったのか。

ともすればここから出る事さえ可能なのだろう。

だけどそれでは現実世界で朝倉さんが異常動作とやらを起こしかねない。

ガス抜きをしてもらうためにも、まずはここでシミュレーションを終えてからだ。

ありのままをぶつけ合えるだなんて幸せじゃないか。

 

 

「少しかがんでほしい」

 

なんて長門さんの言葉に従ったその瞬間だった。

……信じられないね。

一瞬の出来事で、俺も反応出来なかった。

気が付けば長門さんに俺はキスされていた。

ゆっくりと彼女は離れて。

 

 

「エクスポート完了。これで大丈夫」

 

「な、……長門さん……?」

 

「わたしはただのプログラム。現実の長門有希ではない。気にしないで」

 

とは言うけどさ。

何というか気まずいといいますか。

 

――さて、お察しいただけただろうか。

要するにこの一部始終を遠巻きに見られていたらしい。

見られてはまずい人物こと朝倉さんに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は木曜日で、朝倉さんの家まで出向かなかったのもまた問題だった。

なんと信じられない事に朝倉さんが欠席したからだ。

ただ事ではない。

おかげ様で俺は授業という授業に集中できなかったし、仕方なく行った学食のうどんも喉を通らなかった。

コンディションとしてはよろしくない状況下。

 

 

「明智……大丈夫か…?」

 

「あ、ああ」

 

「そりゃ朝倉が休むからには何かあったんだろうが急を要する必要はないみたいだろ」

 

ここなのか?

ロード機能とやらを使えば能力の行使が出来る。

だからどうした、って話だが何かあったのなら話は違うかもしれない。

連絡の一切も寄こせない危機的状況。

考えにくいが、考えられないとは言い切れない。

昼休みに文芸部室へ行ったが誰も居なかった。

それどころか長門さんも来ていないらしい。

極めつけはキョンだ。

馬鹿は馬鹿だが、無神経な馬鹿ではない。

 

――確信した。

この世界は狂い始めている。

あるいは正常になりつつあるのだ。

ゲームとして、始動している。

もはや異世界人は俺と朝倉さんだけかもしれない。

ここに居る人物は全て虚構に過ぎないのだ。

それとわからぬように、うまく造り上げた残像。

 

 

「どうしたってんだ……?」

 

そして放課後になり、事態が急変。

まず部室には古泉だけが居た。

ニヤニヤ顔の野郎と一緒かよ。

こいつも既にクリア済みなんだろうな。

 

 

「集まりが悪いな」

 

「彼はどうか知りませんが、涼宮さんはいつも通り。朝比奈さんも三年生ですから多少遅れるのもやむなしというものでしょう」

 

「そうかい」

 

宇宙人二人は欠席だ。

正直なところ今すぐ朝倉さんの家へ行くべきだったのだろう。

だが、まるで見えない力が俺に干渉しているかのように部室へ足を運んだ。

さっきからそうだった。

俺が俺として100%行動出来ているのであれば学校などフけている。

朝倉さんの所へ飛んでいただろう。

だから狂っているんだ。

敷かれたレールの上を走るだけのゲームってのは。

だから嫌いなんだよ。

 

 

「時に明智さんは、"割れ窓理論"というものをご存知でしょうか?」

 

「知ってるけど。どうしたんだ急に」

 

「いえ。暇潰しに戯言でも紡ぎましょうかと」

 

好きにすればいいさ。

暫くは美味しいお茶も飲めそうにない。

朝比奈さんが来たとして着替えの時間があるのだから。

割れ窓理論、ね。

 

 

「割れた窓から侵入する事は容易です。同時に、一枚でも窓が割れていれば他の窓が割られようと同じ事。窓を割る行為に対する罪悪感も薄いでしょう。つまり、どのような安全もたった一つの罅割れで脅かされるというものですよ」

 

最初の一歩が難しい。

希望的に考えればそういう話だ。

割れ窓だなんて呼ぶ限りはそうでもないだろうけど。

 

 

「ともすれば"ファーストペンギン"なる話も存在します。群れの中に存在するペンギンの内、誰が最初に海へ飛び込むか。最初に決断する勇者をそう称えたものですね」

 

「ったくお前さんは何が言いたいんだ?」

 

「このどちらにも共通する事は、見られる必要があるという事ですよ。もっと言えば取り締まられる必要がありますね。そのような閉鎖的かつ限定的状況下に限り"例外"と言うものは発生します」

 

「例外処理。エラー、ね……」

 

それを朝倉さんは弾いていた。

逸脱を拒んでいたんだ。

 

 

「もう少しばかりオレも心配りが出来れば良かったんだが」

 

「自責の念ですか? らしくありませんね」

 

何だってんだ。

対面に座す古泉はどこか愉快そうに。

 

 

「失礼。ですが普段の明智さんならば反省する事はあれど後悔する事はないはずだ」

 

「よく言うね」

 

「一年あれば、馬鹿でもその人の事を一部だけでも理解出来るというものですよ」

 

「お前さんは四年、だろ」

 

「さて何の事でしょうか」

 

薄気味悪い笑みを浮かべた古泉。

肩を竦めるその仕草は本人さながらだ。

 

 

「この世界は実在する世界なのか?」

 

「……ご存知のようですね。しかしながらその質問にはお答えしかねます。僕の役割はオリジナルの代用品に過ぎませんので」

 

「つまらない奴だな。本物の古泉よりつまらないぜ、お前さん」

 

「申し訳ございません。このような出来栄えで」

 

割れ窓理論の本質は塵も積もれば山となる、だ。

日本人は呑気というか平和惚けした連中。

建造物の窓が割られていたとして海外のそれよりはマシなはずだ。

それでも、誰が見ても窓が割られている状態のままを見続けていれば管理不足だと思う。

人の気配がなければ廃墟と勘違いされるかもしれない。

治安が良かろうが不法投棄の問題は日本とて存在する。

環境にも影響するだろう。

スラムの治安が悪いのはそういう事だ。

衛生的に十全かと言えばそうではないだろう?

 

 

「誰か、誰か。無責任なんだよ」

 

「仰る通りです」

 

そんな事など俺には関係ない。

ただ、朝倉さんと付き合っていくからには必要な事があるらしい。

散々お世話になってきたんだ俺は。

これからも、なっていくつもりなんだろ。

 

 

「なあ古泉よ――」

 

とゲームのキャラクタに俺が話しかけたその時であった。

キィとゆっくり部室のドアが開かれ、彼女が登場したのだ。

休んでいたはずの。

 

 

「朝倉、さん……?」

 

「来ちゃった」

 

本能的に異変を察知した。

いつも通りに見えるが違う。

笑顔だが笑っているわけではない。

嗤っている。

 

 

「古泉君、ちょっとここから出てってくれるかしら? 明智君と二人で話がしたいの」

 

「承知しました」

 

そう言って立ち上がり、こちらに一礼した古泉。

彼はそのまま部室を後にしようとドアまで近づくが。

何が起きたのか少しばかり理解出来なかった。

次の瞬間には古泉の身体は崩れ落ちた。

 

 

「ふふふふふ」

 

何故だ。

決まっている。

俺の眼が狂ってなければ、朝倉さんが古泉の腹にナイフを突き刺したからだ。

それも、とびっきりやばいヤツを。

ベンズナイフの毒はかすり傷を負わせるだけで再起不能にしてしまう凶悪な猛毒。

深々と刺さる古泉が何か言葉を発する間もなく倒れるのは当然の事だ。

血が出ていないのは、どういう事なんだろうな。

朝倉さんはナイフを持ちながら楽しそうに。

 

 

「これで二人きりになれたわね」

 

「な、何やってるんだ……」

 

「邪魔者を消しただけじゃない。この学校に残っているのは私と明智君だけよ?」

 

嘘だろ。

やっていい事と悪い事の区別ぐらいつくはずだ。

朝倉さんはここがシミュレーションの世界だと自覚していない。

ということは心底から望んで、自分の意思でそうやった事になるではないか。

そんな訳あるか。

全部、シナリオのせいだ。

 

 

「私、昨日見ちゃったのよね……公園で……わざわざ長門さんを呼び出して……逢引だなんて。それに、キスまで」

 

「誤解だ。あれはそういう事じゃあなくて――」

 

「ふーん……言い訳するの? 私はあなたに言い訳なんてした事ないのに」

 

その通りだちくしょう。

どうしてこうなったってんだ。

一抜け二抜けしてった連中に比べて俺だけハードモードじゃないか?

イージーモードが許されざる風潮など知った事か。

 

 

「長門さんを、どうしたんだ……?」

 

「やっぱり心配するのね。あの薄汚い女の事を」

 

だったらどうしろってんだ。

朝倉さんは恍惚とした表情で。

 

 

「安心して。もうこの世に居ないのよ……? 今日学校に来られなかったのは確実に始末するためだったんだから」

 

「……本当かよ」

 

「私はあなたに嘘をつかない。ぜぇんぶ本当の事なんだから。ね?」

 

――嘘だと言ってほしいね。

かくして不本意ながら俺は朝倉さんと対峙する羽目になってしまった。

俺はふと、いつか読んだ【幽遊白書】を思い出していた。

主人公の幽助が仲間の飛影に助けられた際に、幽助の不甲斐なさに怒った飛影が殺しにかかるみたいな場面があったはずだ。

もっとも俺の置かれている状況はそこまで素晴らしいものでもなんでもなかったが。

 

 

「でも、絶対に許さないから」

 

 


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