IS学園で非日常   作:和希

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大学始まってからちょい不定期に
ストックもたまってない
月に二回は維持したい


三十八話 プライベートな質問

 「と言うわけで今日は無理になった。遠慮せずに楽しんで来い」

『分かった。また今度どこか行こうぜ』

「あいよ。それより、四人全員美少女なんだから目を離すなよ。アホな男がわんさかくるからな」

『どうやって撃退すればいい?』

 

あいつら自身戦闘力が化け物だから実際には放っといてもいいんだけどね。

 

「そう言った場合はな、恥ずかしいかもしれないが俺のツレなのでとか言いながら腕を組め。それでいける」

『おい!水着だってのを考えてくれ!あいつらも嫌がるだろうし』

 

こいつ殺されても文句言えないレベルで鈍感だな、いつも通り平常運転。

 

「嫌がらねえよ。何だかんだで親しくしてる。しょうがないとか言いながら許してくれるって。暴力沙汰にもならないし。第一、俺が保証してるんだ。俺が今まで嘘ついたことあったか?」

『どれだけ言えばいい?』

「冗談は多かったかもしれないけど、嘘はないだろ?」

『……分かった。またな』

「あいよ」

 

携帯電話をしまう。すると後ろから

 

「ねえ、どうしてウォーターランドじゃないのかな?」

「あー、あんな不特定多数がいる所にはシャルを連れて行きたくないなと。その、他に人と接触しちゃうかもだし」

 

そう言ってから、あれ?すっげーやばいこと言ってる気がした。独占欲丸出し発言な気がする。付き合ってもないのに、あれれー。引かれたかなー、とか思いながら後ろを振り返ると、真逆だった。

 

「それなら仕方ないね!人が少ない所も良いと思う!」

 

照れながらの笑顔。しかもそのまま部屋から慌てて去っていく。

ああ、今日も平和だ。

 

 

 

 

 「おかえり」

「ただいま。はぁー、今日は疲れた」

 

一夏が帰ってきて、座り込んだ。時刻は午後六時。内容を語ってくれた。

大まかな流れだと、まあそこそこ五人は仲良くやれてたらしい。ちょっかいかけてくる男も一夏が無事撃退していたし、牽制しあいながらも仲良くやれてた。ただ、十一時ぐらいの時にアナウンスが入ったようだ。水上ペアレースイベントが。

そこから決定的に亀裂が入ったらしい。優勝賞品が拍車をかけた。

四人が一斉に一夏と組もうとする。でもらちがあかない。ちなみにこの時点で一夏は俺に助けてくれと電話をかけてきたがシャルとゆったりしていたかったので無視。第一どうしようもない。

そこでセシリアが提案したらしい。

 

「私達四人で組んで、この券をお世話になってる希さんたちにプレゼントしましょう」

 

その場を収めるためだけの発言だろう。成長したと言える。だが鈴が

 

「あのね、さっき言ってたでしょ。希が自分で選ぶって。金もあるからあいつにまかときゃいいのよ。でも、二人ずつ組むってのは賛成ね」

 

目先の欲望にとらわれすぎたのか。一夏さえいなければこれに乗っかったかもしれない。でもその場に一夏はいた。なし崩し的にセシリアもここまで来たら仕方ないと参加を決意。一夏はその間何もできなかった。

 

 

 

 

 そして、レース。身体能力などが一般人よりはるかに上のIS学園の生徒のトップ集団だ。負けるはずない。妨害などもあったようだが四人が力を(最初は)合わせて瞬殺。オリンピックのメダリストたちにはさすがにてこずったようだが、なんせ四対二だ。一人ずつなら互角でも二倍の差があればさすがに違う。四人になったとき、凄まじいバトルが開幕。

本場の軍隊格闘を交えた本気プレイ。他の選手ももう参戦は無理と諦め、見守る大勢になっていた。で、結果は鈴・セシリアペアだったようだ。箒は得意の剣術が使えないし、コンビネーションも負けていた。で、鈴がGETしてきたようだ。

さて、となるとセシリアと取り合いになるかと思われたが、セシリアは「貸し一でいいのなら、お譲りしますわ」と下がったらしい。で、鈴は拍子抜けしたようだが、それ以降も遊んで帰ってきて今ここ。

 

「となると……セシリア、まさか」

「ん?どうしたんだ?」

「いや、それより__」

「やっほー!!」

 

ハイテンションで飛び込んできたのは鈴だった。テンション高くしてないとやっていけないのだろう、今からの事を。

「さっき手に入れた沖縄旅行のチケット!一緒に行かない!?色々誘ったんだけど、みんな用事があったりしていけないようなの。だから、あとアンタしか残ってないのよ!まあ、この五泊六日の沖縄旅行のチケットの代金は要らないわ!」

 

「ん?希は……そうだな、いらないよな。シャルロットがいるもんな」

 

こいつも言うようになったな。全く。となると、鈴がこの旅行で一気に詰め寄るか。もしくは、セシリアが引いた事を見ると、多分あいつはあいつでチケットを手に入れるのかもしれない。もしくは沖縄旅行を予定してたとかで参加してもいい。だって、代表候補正には金はいくらでも入ってくるし。家が貴族だし。貸し一つ作れるならそっちもアリだ。

 

「じゃあ……と言いたいけど、ちょっと遠慮しとく」

「なっ、どうしてよ!?」

 

ダンッと机を叩きつけて詰め寄る。それに引きながら

 

「いや、五泊六日だろ?そんな長い間訓練さぼっちゃ、お前たちに追いつけないだろ?皆を守れるようにさ、強くならないと。希も頑張ってるし」

 

あー、気持ちは分かる。今ここで引き離されたくはないし。

 

「だから、悪いな」

「はー、しょうががないわね」

 

理由が理由の為引き下がった鈴。でも残念そうだ。ちなみに、他の女と約束があるだったら血の雨が降ってるだろう。

 

「じゃあさ、一応聞いておくけど、希はこれいる?」

「俺もそんな長い間訓練さぼるつもりはない」

「でしょうね。はー、どうしようかしら、このチケット」

「いやどうしようもない」

「いちいち反語言わないでいいわよ。二人ってのがネックよね。家族とかなら弾とかに渡せばいいけど」

「二人組で行きたそうな奴いないからな」

「まっ、適当にダチに声かけとくのが適当だな」

「そうね、そうするわ。じゃ、食堂で」

 

それを見送った後、ラウラ、セシリア、箒の三人にこの事をメールを送っておく。セシリアから「無駄ない買い物をする前で助かりましたわ」と返事が来た。予想どおりって所か。

 

「さて、じゃあ先に食堂行ってる」

「俺はもう少し後で行くよ」

 

俺は先に部屋を出ていった。

 

 

 

 「でさ、のほほんさん。整備のコツとかってどんなの?」

「まずねー、ISの図面を頭で描けるようにしてねー、そうすれば大丈夫だよ―」

「その過程に至るまでの方法を知りたいのですが……」

 

夕食の時刻。ISの整備を行えるハイスペックなのほほんさんにコツを聞いていた。すると遅れてやってきた箒が

 

「相変わらず熱心だな。だが、いいのか?訓練もあるのだろう?」

「俺は幅広くやるタイプだから。それと、発達の余地がある場所を上げてくのが一番手っ取り早い」

 

とは言え、一週間に一回は整備を受けてる訳だけど。でも、やっぱ週末辺りは少しあれれ?という感覚がする。他の皆も一週間に一回は整備課に頼んでメンテナンスするらしい。箒は知らん。一夏も。こいつらの機体は束博士お手製なので自己修復装置が強かったりするのかも。

 

「だが、幅広くやりすぎると器用貧乏になる。気を付けるべきだ」

「それには注意してる」

 

どれもこれもしっかり熱意をもってやらないと。さて、

 

「それで、今日のプールはどうだった?あのメンツだとお前が一番頑張れそうだけど」

「どこを見て言ってる、どこを」

 

さっと両腕を肩に回した。いっけね。

 

「悪い悪い。で、どうだった?」

「……良く分からんのだ。確かに真剣も竹刀も一度も振りまわさなかったが」

 

プールだからね。持てないよね。

 

「が、ついつい絞め技を使ってしまった。その後その……胸が当たってたのに気づいて……打撃技を」

 

あれ、そこまで話さなくても。ちょっと気まずくなっちゃうよ。俺はあははと笑いながら

 

「そっ、そうか。まあ、ほどほどに頑張れや」

「無論だ」

 

そう言うと、箒は周りをきょろきょろ見渡した。まだ、ちょっと早めだから人は少ない。すると箒は身を乗り出して

 

「その、だな」

「なに?」

「すごく変な事を聞いていいだろうか?」

「俺は大体どんなことにも答えるよ」

 

すると箒はごくっと唾を飲み込んだ後、

 

「その……男から見て、胸は大きい方がいいのか?」

「東大入試よりムズそうだからではさら__」

 

席を立って離れようとした直後、後ろから肩を押さえられた。

 

「あら、私も興味がありますわ」

 

セシリアである。前門の虎、後門の狼。でも、えー、やめてほしーなー。でも仕方ない。この二人に囲まれてる以上どうしようもない。

 

「えっと、ですね。あくまで俺の意見だよ?俺の。まず、そこまでこだわってるやつは実際にはいないと思うよ。一夏は別にそこまでじゃないだろうし」

「ですが、山田先生をいつも見ているではないですか」

「そりゃ仕方無いよ。動いてるものに反応するのは人として当然でしょ?自分の視界で、動いてるものにはついつい視線を集めるようになってるんだよ。だからつい向いちゃうだけだって」

「ほう……つまり、私のこれは邪魔だと言いたいのか……」

 

軽く殺気があふれる。後ろからもである。

 

「い、いやー。そんなわけないですよ。そこには男の夢が詰まってるだよ!だから、大丈夫!一夏も小さいより大きい方がいいって!俺も!」

「ふむ、そうか……礼を言う」

「すみませんでした。このようなお話に付き合わせてしまって」

 

 

 

 

 

 さっきは酷い目にあった、そう思いながら部屋に戻る。一夏の能天気な表情は平常な時なら大丈夫っ、どうにかなるさ!って気分してくれるが、女性関係の何かに巻き込まれた時は吹き飛べと思う。

で、部屋に着いた直後だ。隣から鈴とラウラが現れた。

 

「珍しいな」

 

この二人の組み合わせは珍しい。鈴はいつもセシリアとくっついてるし、ラウラはシャルか箒だ。

 

「えっと、その、相談いい?頼めるのがアンタしかいないのよ」

「私からも頼む」

 

二人一緒にか、どんなだろう……いや、ちょっと待て。いやいやいや、一瞬よぎったけど、それじゃないはず。それはさっきやったから。

 

「一夏はちょっとあとから来るわ。だから、希の部屋でいい?」

「いいけど」

 

 

 

 「ねえ……男から見て、胸ってやっぱ大きい方がいいの?」

 

心の底からため息をつきたくなった。面倒なことこの上ない。

 

「嫁を観察していると、箒やセシリアに視線が向いていたのだ」

 

二人の視線はうつむき気味だが。はーあ、ここまで助言しにくいことはない。っていうか助言?上を仰ぎ見てから、二人に向かって

 

「まあ、それは人によるとしか。でも、視線が釘付けになってたのはただ人間は本能で動いてるものに視線を合わせちゃうからだって。お前たちも視界の一部が動いたら顔が向くだろ?だから視線が向くのは仕方ない」

「そ、そうなの……」

 

あれ?落ち込んだ?まあ、確かに落ち込むようなこと言ったかもしれないけど。

 

「でも、俺の見立てだと一夏は胸の大きさにこだわりはないって!大丈夫大丈夫。チャンスはいくらでもあるって!第一確かに若いころはいいかもしれないけど、将来を考えたら大きくたって垂れるだけだって!!お前たちぐらいでいいんだって!皆に希望を与えてるから小さいだけだって!!」

「そっ、そうだな!兄よ!卑屈になってはいけないのだな」

「そうよ!セシリアとか箒とかなんて歳とりゃ垂れるのよ!」

「そうそう!……ちょっと飲み物買ってくる」

 

話題が話題なのでまた疲れて扉から出た。

 

「ほー、垂れるだけ、と」

「少し胸にグサッと来ましたわ」

「へー、僕は大きいかな?小さいかな」

 

……何が何だかわからなかった。今起きたことを理解出来ない、いや、したくない。必死で現実から目を背けたい俺の本能が、現実から目を逸らそうと__

 

「こっちを見てね?」

 

ぎゅっ、ではなくぐっと顔をシャルに向けられる。あははは、やばい。

 

「ちょっと、どうしたのよ……アンタら」

「シャ、シャルロット?怖いぞ」

 

前門の虎、後門の狼。いや、虎だとか狼なら喜んで立ち向かわせてもらうレベルだ。

もうそんなレベルじゃない。

 

「さきほど、一夏さんは大きい方が好みと言ってませんでした?」

「……どういうこと?希。どうせ将来垂れるだけとか言ってなかった?」

「あ、あは、あははははは」

 

手を後ろに回して頭をポリポリかく。笑いながら。

 

「皆の希望が詰まってると、言っていなかったか?」

「私は希望をみんなに与えてると聞いたぞ」

「あは、あははは、あははははははは」

 

少しずつ笑い声が大きくなる。俺の。俺のだけ。

 

「ねぇ、希……僕はどうかな?」

「あはははははははははははははは!!!一夏のばーーーか!!!!」

 

俺の叫び声が響いた。逃げることは四方を囲まれてるため出来なかった。

それから、三日間女子陣から冷淡な扱いをされた。弁当も作ってもらえなかった。

この事を知らない女子たちからすごく不思議な顔をされた。

 

あと一夏をぶん殴っておいた。八つ当たりじゃない、正当な行為だと言わせてもらう。


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