竜司がカンピオーネとなってから、早くも一ヶ月が過ぎようとしていた。その間に色々なことが起きた。
日本に帰ってすぐに、まつろわぬ神と戦った。あの時は甘粕さんがいて本当に助かった。自分ひとりではどうなっていたか分からない。その後、いきなり家に転入手続きが来たと思えば、近所の子供達となかよくなったり。
転入のために引っ越したら、すげー家がでかくて、自分家なのにめっちゃ挙動不審で、三日経つまでずっと同じ部屋から動かなかった。カンピオーネって環境の変化に強いんじゃなかったか?
とまぁ、本当に色々あった。だが、これで終わりなんてそんな筈が無かった。現在進行形で続いているのだ。別に俺は平和主義者じゃないが、一回でいいから、普通に旅行して普通に観光したい。行った旅先で神様に会うとか持っての他だ。それが俺の今の夢。でもな、俺はその時気付いて無かった。人の夢と書いて儚いんだと。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
転校初日の学校が何とか終了し少し気疲れしながら竜司は帰路についていた。
(ふぅ、やっぱり知らない奴らと長時間居るのはキツイものがあるな)
そんなことを考えながら歩いていると数m先に、大きな筒を背負った女子高生が目についた。他にも通行人が数人いたのだが、何故かその少女に目がいってしまった。視線に気付いたのか、少女と目が合った。前髪で隠れていた顔が此方を見たせいで彼女の顔を真正面から見ることが出来た。
とてもカワイイ子だった、少しつり目の整った顔立ちをしていた。と、そこで竜司は自分が彼女を凝視している事に気付き慌てて目を逸らした。そのまま彼女の横を通りすぎようとすると今度は彼女が自分を凝視している事に気が付いた。
(やばい、もしかして変な奴だと思われたか?それとも怪しい壺でも買わされんのか?とにかく目を合わさない様にして)
「初めまして、もう一人の王様」
(何か言ってるけど振り向いちゃだめだ!きっと俺に言ってるんじゃない、自意識過剰だと思われるだけだ。はやく家に帰ろう)
「ちょ、ちょっと待ってよ!王様!」
(もしかして俺に言ってんのか!?まさか、俺の中にもう一人の俺が?いや、俺は黄金のパズルなんて揃えた覚えは無いぞ?)
「ねぇ・・・・・ちょっ・・・・・・聞い・・・」
(もしかしてこの子ちょっとヤバイ人なんじゃ?それならなおさら関わらない方がいい!このところずっと変な事に関わった所為でろくなことが無いんだ!これ以上変な目に遭うなんて冗談じゃないっ!)
「それ以上無視するなら痴漢されたって大声で叫ぶよ?(ボソッ)」
「なんですか?」
(変な人に関わる?知った事か!ここで犯罪者になっちまうよりはましだ!)
「やっとこっちを向いてくれたね、王様」
「ところで、その王様ってのは何だ?俺は君に会うの始めてのはずなんだけど?」
(そう、この子に会うのは今日が初めての、筈だ。だがこの子はまるで前から俺の事を知っているみたいだし・・それにこの子は何か普通の人と違う気?がする。となると・・・)
「もしかして、甘粕さんの関係者か何か?」
「おお~中々鋭いね王様、だけどちょっと違うよ。まぁ立ち話もなんだしどっか行かない?」
俺達は近くのファミレスに向かった。ちなみに最初は拒否ったが、あまりにしつこくて仕方が無くな。
「まずは自己紹介からだね、私は清秋院恵那って言います。以後お見知りおきを」
「初めまして、俺は多分知ってると思うが天道竜司だ。いきなりで悪いがお前は何者だ?」
「あはは、そう警戒しないでよ~。私は日本の姫巫女。ただし、私は戦闘専門だけどね」
(姫巫女が何なのかはよく分からないが、恐らく正史編纂委員会とか言う組織の関係者であることは間
違いないだろうな。恐らくあの筒の中に武器が入っているんだろう。カンピオーネである俺を恐れないという事は腕に相当な自信があるんだろうな)
と、憶測を立てる。だからと言って別にあまり興味は無いが。
「で用件は?」
「そう急がないでよ~、まずは何か食べようよ」
(仕方ない、腹も減ってたし今日はここで夕飯を食べていくか)
俺はこの店で一番安かったハンバークセットを頼む事にした。安いわりに、ご飯が大盛りでから揚げも付いてきて、しかもスープの御代わりし放題。これにドリンクバーが付いたら最高なんだけどなー。と、ついつい昔からの貧乏癖のせいか、ある程度お金は貰っている筈なのに、そんなことを考えていた。
対する目の前の清秋院は、食べれるのか疑問に思うぐらいどでかいパフェを頼んでいた。ちなみに値段は俺のセットより数倍高い。その名もDXパフェ。もうちょっと名前捻れなかったのかよ?
「いや~こういうの、こんな時にしか食べられないから興奮する!」
そう言うのはもうちょっとボリュームを下げていってくれ。周りの視線が痛い。これはイジメとなんら変わりないのだろうか?やっている本人ってのは、それをイジメだと思っていない場合が多い。何が言いたいのかと言うと、羞恥心で死ねる!
「そ、そうかそれはよかったな」
あああ!!!周りのお客さん達がみんなこっちみてるよ!中にはニヤニヤしてるオッサンまでいるし・・・端っこに居るオバチャンたちなんて若いっていいわね~なんていってるぞ!
「おまたせしました、ハンバーグセットになります」
よしっ!!ナイスタイミングだ・・・と思ったら店員まで笑いを堪えてるわ!!何だよこの店!防音対策しっかりしとけ!くそっ!こうなりゃさっさと食べてこの店を出よう!
「どーしたの王様、顔真っ赤だよ?」
誰の所為だと思ってんだ。
「な、何でもない。それよりその王様って言い方やめてくれ、周りの人に誤解されたら溜まったもんじゃねぇ」
もう誤解されてるけどな!
「うーん、じゃあなんて呼べば良いの?」
「普通に名前で呼べば良いだろ」
「しょうがないなー、じゃあ天童さん。まずは何で恵那が天童さんに話しかけたのかを言うね」
と、パフェをパクパクと食べながら切り出してくる。大変行儀悪いが、俺も飯を食ってるので人のことは言えん。軽くうなずくと、それを肯定と判断したのか話しを続ける。
「天童さんの前に日本に生まれた神殺しって知ってる?」
「ああ、草薙護堂だろ?」
「まぁ、同じ学校なんだから知ってて当然か。その王様にいつもくっ付いてる二人を日本から追い出すのが恵那の目的」
草薙にいつもくっ付いてる?今日初めて会ったからよく分からないが、昼休みに一緒にいた奴らか。日本から追い出したいとなると、エリカとリリアナの二人?だいたいの予想だが、考えなくても知ってる奴からしたら、それしか思い浮かばない。が、だ。
「三つ疑問がある」
「どうぞ」
俺の発言にさして驚くこともなく促す。
「一つ。お前の目的から、俺に話しかけてきた理由が完全に分からん」
うんうんと聞く清秋院。顔は何が面白いのか検討つかんが笑顔だ。何ていうかやり辛ぇ。
「二つ。何故にその二人を追い出したいのか」
周りのお客も今や此方に注目している人は少なかった。俺は手元の水を軽く口に流し、最後の疑問をぶつける。
「三つ。それは誰の命令だ?」
そう俺が言い放った瞬間、清秋院からさっきまでの笑顔が嘘のように消えていく。その顔は、無闇にはしゃぐ子供めいた表情から一転して、歳相応の大人とでも言うべきか、否に綺麗で儚い顔だ。裏腹に、軽く口角の上がった口元からは、ジャングルの奥深くにいる野生のトラ染みた、獣の獰猛さ。そんなものを感じた。
「最後の質問、どうしてそう思ったのか教えて」
「只の勘だ」
勘というものでも無いが、単純にそう思っただけだ。甘粕さんの関係者かと聞いたとき、鋭いが少し違うと彼女は答えた。それは逆に言えば甘粕さんを知ってるという事。最初は彼女のことを正史編纂委員会の者と思ったが、今となってはそれも疑問だ。あそこは政府直属の組織だった筈。仮に彼女が正史編纂委員会だとしても、どうみても高校生の彼女の独断で決められるような話しではない。あまり内情を知らない俺ではどういった組織が他にあるかも分からない。
ここからは推測だが、カンピオーネって言うのは一人で全人類と戦えるほどの怪物。逆に言えば、味方でこれほど頼もしいものはない。そのカンピオーネが日本に生まれたのはここ最近。国からしたら、恐怖と喜びが一緒にきた感じだろう。それなのに、その近くにいるのが外国の魔術関係者。昼にエリカなんて草薙のことを愛人などとも評していた。これは面白くない展開だ。だが、カンピオーネを怒らせるようなことはできない。俺だったら他に美女を放り込んだりして、草薙自信に二人に帰ってもらうように言わせる。だけど、清秋院は戦闘専門って発言した。...武力排除。やり方は単純だが、そんな単純な話しでは無い。
彼女は自己紹介の時に日本の姫巫女と名乗った。日本と。考えすぎかも知れんが、巫女なんてそもそも日本ぐらいにしかいないだろ。つまり、このとき言った日本とは日本の政府って意味じゃないだろうか?それなのに、こんな行動を許されるわけない。ってことは考えられるのは二つ。コイツが余程の大バカで、やろうとしていることに政府も気付いてない。それか、裏に誰かが意図を引いてるのか。それも、カンピオーネぐらいに恐ろしい存在が。
と、不意に清秋院が再び笑い声を上げる。
「本当に鋭いねー。この前監視してたときはそんなこと一切無かったし」
「おい待て、今なんつった?」
絶対に日常では使われない言葉に、いささか糾弾せずにはいられなかった。
「あっ!...えーと、看視してたって言ったんだよ!」
「どっちもそんなに変わらんわ!」
ガタッ!っと勢いよく立ち上がる。瞬間、またもや視線を集めてしまった。数秒してゆっくりと腰を下ろすと、今回はちゃんと自分のせいだと感じているのか、清秋院は居た堪れないような顔をしていた。
「え、えっと...何かごめんなさい」
あー妙に気まずい。俺は正面向けねーし、あっちは俯いてるし。
「あー、もういい。そんなの後でいい。それよか、俺の質問に答えてくれんのか?」
ここでドリンクバーを頼んでいたら、一旦席を外せると言うのに。ケチるんじゃなかったな。
「許してくれるの...?」
俺がカンピオーネだからか、はたまた単に申し訳がなかったのか、まるで雨の中の子猫のような表情だ。さっきの笑みはどこにいったのやら。だが、そんなことで許せるほど、俺の心の傷は浅くない。
「アホか、んな訳ねーだろ。...ここの飯代でチャラにしてやる」
うん。人が話してるときにその顔は反則だね。強く行けませんでした。
「本当?それで良いの?」
「ああ、いいいい。男に二言はねぇ。それよか、さっきの話しの続きの方が気になる」
いつの間にか、すっかりハンバーグを食べきってしまっているのに気付く。仕方なく添えてあったキャベツを塩で食べる。
「そ、それじゃあ、何で二人を追い出したいのか説明するね。ぶっちゃけて薄々天童さんも勘付いてると思うけど、二人ってのはエリカ・ブランデッリとリリアナ・クラニチャール」
まぁそうだろな。俺が知りたいのは他だ。視線を清秋院と合わせる。言外にそれで?と言うように。
「日本に初めて生まれた神殺しに、外の人が近づくのを良く思わない人がいてさー。それで恵那にその役目が廻って来たんだよ」
やっぱ、裏に誰かいるのか。こういうのがあるから、何か政治ってドロドロしたイメージがあるんだよ。
「んで?俺に何の関係があるんだ」
「んー、実際には別に無いんだけどねー。ただね、やるなら正々堂々討ち負かしたいんだ。一対一でね。でも、王様がそれを許してくれそうにないんだよ」
「草薙か」
「そう!だからさ、恵那がエリカさんと戦ってるとき、天童さんには王様の足止め役をお願いしたいんだ」
話しが終わる頃には、すっかりキャベツの山も消えていた。清秋院もパフェを平らげていた。
「それで俺に何のメリットがある?」
しばし考えるように清秋院は顔を下げる。
「きっと王様との戦い楽しいよ!」
「んじゃ帰るわ。飯ありがとな」
「あーちょっとちょっと、今の無し!冗談!嘘だから!」
必死に俺が帰ろうとするのを食い止める清秋院。分かった分かった、それ以上ひぱっるな!服が破けちゃうだろ!
「...はぁー、で?その良く思わない奴って誰だ?」
「それはちょっと言えないな。で、でも大丈夫!天童さんには迷惑かけないから」
今の時点でかなりの迷惑なんだが...。だが、だいたいの予想は当たってるっぽい。
「まぁ直ぐにとは言わないよ。恵那にも準備とか色々必要だからさ、それまで考えといてね。王様もそうだけど、天童さんともやっぱ仲良く行きたいし。良い返事が返ってくるのを待ってるから」
そう言い残し、立ち上がってそのまま店から立ち去っていった。ん?てかあいつ金払わずに行きやがった!絶対に許さん!手もかさん!お金は返してもらう!
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
俺が転入した城楠学院の体育は、男女べつべつに行うらしい。そして二クラス混同。俺の五組と隣の六組とが一緒だ。
「おまえらな、俺に恨みでもあるのかよ!?何だってこんな真似をするんだ!」
隣でマットに埋もれた護堂が叫ぶ。体育倉庫という狭い空間で、俺の耳元で大声を出すな。ちなみに何故か俺もマットの下敷きだ。
「俺は今、お前に恨みができた」
マットのせいでくぐもって、自分でも何を言ってるか分からなかった。そんな俺を無視して、目の前の五組と六組の男子のほとんどが話しを進める。聞くに、こいつらは俺達がじめじめとした体育館で体操などとやっているのに、女子はプールをやっているらしい。暑いからな、俺もプールの方がよかった。でもこいつらは、プールに入りたいのではなく覗きに行きたいらしい。それを止めようとした護堂が反感をかって、ついでに俺も巻き込まれた形だ。巻き込まれたのか、端からそうするつもりだったのかは分からんが。
「学校のプールを隠れてのぞくなんて、犯罪スレスレの行為だぞ。第一、そんなの女子に悪いだろ」
みんな、何かいってっぞこいつ。
「この偽善者め......」
「ちくしょう。こいつら自分だけ女に困ってないからって、上から目線かよ......」
「みんな、落ち着け。みんなの怒りと悲しみとともに、オレが話しをしよう。この同時攻略が当たり前な潜在的ハーレム野郎どもに男の純情を教えてやる!」
わぁーお。何で俺まで?産まれて此の方、一度も女子から告白されたこともねぇーし、付き合った経験すらねぇーのにか?どっちかっていうと、俺もそっち側だろ?
ちなみに今体育の教師はいない。数分前に平均台から落ちて骨折したらしい生徒に付き添って、病院へ行った。その生徒は隣の席の灰村啓。足を抱えながら「くそ、昨日徹夜でカクゲーしていたのが仇になったか...。今の僕なら、後ろ宙返りしながら目隠しして、モンハ〇の神王雅亜種をも倒せると思っていたが、フッ。寝不足のせいか」とか言ってた。...痛そう、いや痛いな。
ガチャン
物思いに耽ってたら、いつのまにか男子達の姿が消えていた。ついでに鍵もかけられた。
「くそッ!あいつら、好き勝手にやりやがって!」
「なぁ草薙」
「何だ?」
「何が悲しくて男と密室で、二人きりにならなきゃいけないんだ?」
「俺が知るか!それより、まずはどうやってここから出るのか考えろ!」
身体をうねうねとねじらせて、マットから抜け出す。同じタイミングで草薙も抜け出した。はぁー、よし。どうやってあいつらを懲らしめようか。
隣を見ると、草薙も余程頭に来てるのか、めっちゃしかめっ面だ。
「さてと、どうやって鍵を開けるか...」
権能使うのが一番手っ取り速いが、それはどうなんだ?何か力の無駄遣いな気がする。
がちゃがちゃ
鍵を外す音が聞こえ、ドアが開く。
「ごめん。あいつらが隠した鍵を見つけるのに手間取っちゃって」
そういいつつ姿を見せたのは、クリクリって鳴き声のモンスターに似た癖っ毛の、小柄な男子。確か同じクラスのはずだが...悪い、まだ殆んどの名前覚えて無いんだわ。
「とんでもない、助かったよ。ありがとう」
「さすがに、クラスの全員が三バカにつきあうわけないからね。ぼくもふくめて三分の一くらいはこっちに残っているよ」
「......三分の二もあいつらにつきあってる事実が、逆にすごいけどな」
二人が話しあってる横でざっと体育館を見渡すが。あれだな、ここに残った連中は何だか気の弱そうな、いわゆる草食系が大半だ。プールにいったあいつらはどちらかというと肉食。いや、もうあれは偏食の粋だな。
「え、えっと、天童、くん?」
「あ?どした?」
「草薙くんはもう行っちゃったけど、天童くんは行かないの、かな?」
ああ、そうだった。
「行くぜ。さすがに頭にきたからな」
「そ、そうなの?じゃあちょっと頼みがあるんだけど、いいかな?」
そういって差し出されたのは小型のカメラ。
「実はさ、草薙くんには逃げられたんだけど。ぼくはメガネがとても好きなんだ。だから、プールの方へ行くついでに、ちょっと水着の澤さんを撮ってきて欲しいなぁ~って。女子を助けるんだしいいだろ......?」
「......ああいいぜ。けど、ちょっと頭に血が上って、それを鈍器代わりにするかもしんねぇ。壊れてもいいなら引き受けてやる」
無言でしばし見詰め合う。
「「あはははははは」」
「ごめん...やっぱいいや」
別れを告げると、プールの方へと駆け出した。何故か、灰村が男子の中で比較的マシに思えてきた。マシってだけだからね!勘違いしないでよ!......誰に向かってツンデレ何ぞしてんだ、俺?
◆◇◆◇◆◇◆◇◆
流石に目を疑った。プールの近くまでやってきたら、近くから轟音が聞こえた。何があったのか音のする方へ向かったのはいいが。―――何だこれは!
木造立ての建物。聞いた話しだと、取り壊される予定である旧校舎。されが何故か、すでに取り壊されていた。そのガレキの中に男子生徒が埋もれている。その近くでは、草薙とあのお三方が居た。女子三人はちゃんとウィンドブレーカーやバスタオルを羽織っている。
「これ、お前らがやったのか?」
駆け寄りながらの問いに、エリカが平然と答える。
「あら、もしかしてカンピオーネであるあなたも、私達の水着がそんなに見たかったのかしら?」
いっせいに鋭い視線。見たいか見たくないかと言われれば、見たいです!
「別に!お前らの水着に興味はねぇ!」
興味があるのは水着姿のあなたたちです!ってだから誰にツンデレしてんだよ!この場合は目の前のエリカさんです!...と、不意に背筋に悪寒が走った
(な、なんだ今の?)
「エリカ、天童はただあのバカどもに巻き込まれただけだ」
「分かってるわ。冗談に決まってるでしょ」
と草薙が話しに割って入ってきた。いや、ナイスタイミング。いつの間にか変な違和感も感じない。
「い、いてぇ...頼む誰か助けを」
「巫女の祝福を......」
「後少しだったのに...くそッ」
そうそう、何しにここに来たのか忘れちゃいけない。崩れた旧校舎のほうへ歩み寄る。
「おお!天童!さっきは悪かった、だからここからだしてくれないか?」
「なぁ俺達友達だろ?助けてくれたら、お礼に俺のコレクション見せてやるからさぁ」
こいつら良い度胸してるなぁ。
「そうだな。友達なら助けるのは当然だよな」
「わ、分かってくれたか!俺は信じてたぜ!」
「ああ、お前ら全員救ってやるよ。欲望の魔の手からなぁ!」
ガレキから出した男子全員を、投げっぱなしジャーマンをして、体育の授業は終わった。いやー久々にいい運動したわ。
五組と六組の男子による楽園に向けての進軍は、ここで幕を閉じたのだった。
次あたりで戦闘...に入れたらいいな~っと思っていますが、どうなることやら。