カンピオーネ!~旅行好きの魔王~   作:首吊男

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一度こういうのやりたかった。
なんか書いてるって気になるよね。
では、どうぞ。


番外編 上

※これは、天童竜司がカンピオーネになる前の物語である...

 

 

「天童くん、いつも何してるの?」

 

放課後、そう話しかけてきたのは、小学校からずっと同じクラスであり腐れ縁の女子、唯一俺の境遇を知っている友達だ。

名前を森崎さゆり。肩を少し越すぐらいの黒髪に、整った顔立ち。十人居れば九人は美人と答えるだろう。家は飲食店を経営している。...そしてちょっと腹黒い。告って行った男子が、次の朝死んだ魚の目で登校してくるのは、今や学校では有名な話だ。

 

「バイト」

 

簡潔にそう答える。

 

「はぁー。私の知ってる人で、中学からそんなことしてるのあなたぐらいよ。そろそろ辞めたら?」

「そうは言ってもなぁ~...」

 

一身上の都合働かないと生きていけないからな。今のバイト先も探すのに大変だった。中学生で雇ってくれるところなんて中々無い。それをわざわざ辞めるのは躊躇われる。

 

「一人ぐらいなら内で雇ってあげるわよ?」

「う~ん、いやいいよ。お前に迷惑掛ける訳にいかないしな」

 

有難い申し出だが、やはりさゆりやさゆりの家族に迷惑を掛けるのは筋違いというものだろう。

 

「そう、まあいいわ。でも覚えておいて、私だって誰にでもこうやって言う訳じゃないのよ?」

「分かってるよ、ホントさゆりには感謝してるって。じゃあ、俺もう行かないといけないから。またな」

 

少し話しすぎた、もう行かないとバイトに間に合わない。

 

「ほんとに分かってるのかしら?」

 

走り去る竜司の背中を見ながら、さゆりは呟いた。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

バイトに行く前にもしなければならないことが沢山ある。

 

「あと四十分、まだなんとか間に合いそうだな」

 

俺はそう呟きながら冷蔵庫を開ける。中身を見ると賞味期限が近い豚肉があった。

 

「よし、今日はピカタにするか」

 

そう言って俺は素早く夕飯を作ると、二階にある兄の部屋の前に料理を持っていく。

 

「ここに夕飯置いとくぞ」

「.....」

 

返事は無い。分かっているがどうしても苛立ってしまう。

だが今はコイツに構ってる暇は無い。

 

「やべぇ!そろそろ時間だ」

 

慌てて下に降りる。仕事ようの服に着替えて貴重品だけ持って家から飛び出す。

 

「そうだ!忘れてた!」

 

家から出て数歩のとこで戻り出す。やらなくてはいけない事を思い出したからだ。

もう一度家に上がり居間へ向かう。そこにあったのは一つの写真。

 

「ゴメン父さん」

 

そう言って、写真の前に置いてあるコップの水を交換する。その後数秒両手を合わせて目を瞑る。

 

「行って来ます」

 

その場を後にし、急いでバイト先に向かうのであった。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

一方ここは自衛隊の訓練所。

ここでは、日々新入隊員たちの訓練が行われていた。

 

「天童曹長っ!訓練終了しましたっ!!」

「よしっ!それでは、今日の訓練は終了するっ!各自しっかりと休養をとるように!!」

 

天童曹長と呼ばれる男は隊員たちに素早く指示を出し、その場を後にした。

 

「天童曹長ってさ、この前たまたま聞いたんだけど。かなりすごい人らしいよ」

 

訓練が終わり後始末を終え、各々が寮へと帰る途中に、一人の新入隊員がそう他の新入隊員に話し掛ける。

 

「訓練兵時代、一発で2000m離れた的を射撃したり。サバイバル中に遭遇した熊を一人で撃退したり。素潜りで50m浸水したり、息を止めて五分は動けたりとか。すごくねぇか!?」

「どんな無敵超人だよ。まあ只者じゃないってことは普段から確かだけど」

「お前らぁ!」

「ヒィ、天童曹長」

「無駄な事を喋ってる暇があったら、さっさと寝ろ!それよりも、お前らがまだ訓練を続けたいと言うのなら、話しは別だがなぁ...」

 

訓練生の肩に腕を回し、耳元で悪魔のそれに近い声音で囁く。

 

「いや、あの...俺!もう寝ます!明日も早いですしっ!!」

「おっ俺はトイレ行ってきます!」

「俺はそれに付き添いますっ!!」

 

新入隊員たちは、次々と逃げるようにその場から去っていく...まあ、実際逃げているわけだが。

 

「まったく、人のうわさなどしやがって」

 

その場に一人残された天童曹長は、呆れたように呟く。

 

「まぁいい、それよりあいつら元気かな?」

 

天童曹長は、もう数年は会っていない自分の兄弟たちに思いを馳せながら星空を見上げた。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

同時刻、竜司は帰路についていた。

 

「ふぃ~、今日も疲れた~」

 

今月はいつもより多くシフトをいれているのだ、あの計画のためにも...

俺は、その計画の事を考えると無意識のうちに口角があがっていた。

 

「なに道の真ん中でニヤけてるのよ、気持ち悪い」

「うおっ!ビックリした、なんださゆりかよ」

 

突然の暴言に驚いて、声のするほうに目を向けるとそこにはさゆりが居た。手に持っているものを見るに、恐らく学習塾の帰りなのだろう。何故、さゆりは頭がいいのに塾に通うのだろう?

 

「なんだとは何よ失礼ね、それより今までバイトだったの?」

「おう、そうだぜ。さゆりも塾の帰りか?」

「ええ、そうよ。もうすこしで受験じゃない、まあ学年首位の貴方からしたら関係ないと思うけど」

「いやぁ、照れるなあ~」

「皮肉で言ってんのよ。全く、あれだけバイトしておいて勉強もできるなんて羨ましい限りね」

 

そう、数ヶ月後には受験が迫っているのだ。普通ならば、バイトをしている場合では無い。

 

「それより、大事な話しがあるんだけどいいか?」

「え、なにきゃしら!?」

「何噛んでんだ?顔も赤いし、熱でもあんのか?」

「な、なんでもないわ!それより話しって!?」

「お、落ち着けよ。とりあえず、近くの公園で話そうぜ」

 

そう言って公園の方に足を進める。後ろの方で「な、なっ、なぁ、な!?」ってさゆりの声が聞こえるが...しゃっくりか?

 

公園のベンチに二人並ぶように座る。さゆりの顔はまだ若干赤い。これは手短に話した方がいいな。

 

「さゆり!」

「は、はい!」

「俺と一緒に行かないか!?」

「バフン!!」

 

な、何だ!?いきなりさゆりの方からありえない音がしたぞ!?ってかさゆり!顔がヤバイほど赤いぞ!

 

「さ、さゆり、大丈夫か!」

 

肩を掴み揺さぶる。熱う!これホントに平気なのか!?

どこかさゆりは虚ろな目で、トロンとした表情になっている。やばい、意識が朦朧とし始めてる。病院って今の時間空いてるのか?

 

「だいりょぶ~。だいりょぶだから~」

「そ、そうか?でもこのままじゃ旅行にいけないな」

「りょ、旅行!?それはまだ、早過ぎっ!それよりももっと先にやることが...」

「でも、高校に入ってからじゃ遅すぎるだろ?卒業旅行なんだし。俺はどっか外国にでも行きたいなぁ」

「ふぇっ!?で、でも...え?卒業旅行?」

「おう、そうだぜ!それで何処に行くって...ひっ!?」

 

返事が無いので、振り向くとそこには今まで見たことも無いほど冷ややかな目をしたさゆりがいた。

 

「ど、どうしたんだ?さゆり...]

「どうしたんだ?ですってぇ!!!あなたの馬鹿さ加減に呆れただけよっ!!」

 

訳がわからない、さっきまで真っ赤だったと思えば今は絶対零度を思わせる目を此方にむけているのだ。

 

「そもそも、子供だけでいくつもり!?お金は!?それに貴方外国語わかるの!?」

「うっ!それを言われると...」

「ほら見なさい!なにも考えてないじゃない!!そういったところがあるから鈍感っていわれるのよ!!!」

「それは、いま関係ないんじゃ?」

「なにか文句でもある?」

「いえ!何も無いです!」

 

こっ怖え!!なにも言い返せねぇ、なんでこんなに怒ってんの!?

 

「もういいわ。とにかく、私は旅行なんて無理よ。...まあ、天童くんなら一人でも大丈夫だと思うし、一人で行けば?私にはまだ、日本から出る勇気なんてないわ」

「そ、そうか」

「悪いわね、一緒に行って上げられなくて」

 

全然悪いと思ってるように見えないんだが...

 

「それじゃあ、私はもう帰るわ。親も心配する頃だろうし」

「そうか、それなら送っていこうか?」

「大丈夫よ、家ならもうすぐそこだし。私の家が何処にあるか位知ってるでしょ?」

 

確かに、さゆりの家はここから数分程度で着ける距離だ。しかし、それでも心配だ...

 

「でも、やっぱり...」

「だから、大丈夫よ。あんまりしつこい男は女の子から嫌われるわよ?」

「そうか、でも気をつけて帰れよ。帰り道おまえになにかあったら申し訳ないからな。」

「ええ、気をつけるわ。それじゃあね」

 

そう言うとさゆりは家に向かって帰って行った。

 

「本気にしちゃったじゃない」

 

と言っていたのは、竜司には知る由も無かっただろう。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

真っ暗な部屋にパソコンの液晶画面から漏れる光だけが部屋を照らしていた。

 

「これで、これで!今まで兄さんと僕を比較してきた馬鹿共を見返してやれるっ!」

 

真っ暗な部屋で青年は静かに笑っていた。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

時は流れて、竜司が通う中学校の卒業式が始まった。

 

『卒業証書、授与』

 

(今日で卒業かあ、長いようで短かったな...)

 

『三年一組 天童竜司君 』

 

「はい!」

 

(これで最後なんだ、シャキッとしないとな...)

 

階段を上がりステージに上ぼる、そして校長先生から賞状を貰う。

 

 

そのあとも、特に何の問題も無く式は進み残すは校歌斉唱と退場のみとなった。

校歌斉唱の時には感極まって泣いてしまう者や、今までに無い位精一杯歌う者もいた。

まあ、さゆりなんかはいつもと変わらず淡々と歌ってたが。

俺はと言うと、この後の旅行に心を躍らせていた。半年前から計画してようやく実行できるのだ、楽しみで仕方ない。

 

(早く終わんねーかな?)

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

卒業式から数日後、俺は自宅で旅行の用意をしていた。

かれこれ、もう十回は荷物の点検をしていると思う。まるで、遠足の前の日の小学生だ。

国内の旅行なら何度か行ったことはあるが、今回は初めての海外旅行だ。

一応さゆりに言われた日からロシア語を猛勉強したおかげで、日常会話程度ならなんとかこなせるようになった。しかし、本当に自分の言葉が現地の人々に伝わるかどうか少し不安だ。

そう、今回の旅行先はロシアだ。なぜロシアかというと、世界地図にダーツを投げたらそこに刺さった為だ。まあ、国土面積は世界一だからな。

 

「旅行の内容は行ってから決めるからな~楽しみだな~」

 

そう、俺はいつも旅行先についてから観光先を決める。俗に言う行き当たりばったりという奴だ。

中には公園で野宿をした時もある。

あいつには、既に俺がしばらく家を空ける事は伝えてある。何時もどうり返事は無かったが、んなことは些細なことだ。

prrrrrrr prrrrrrr

 

「ん?こんな時間に誰から」

 

ケータイの液晶には、 森崎さゆり と記されていた。

 

(さゆり?なにかあったのか?)

 

「もしもし?」

「天童くん?あしたから旅行なんでしょう、用意はすんだの?」

「ああ、勿論だぜ!もう何回も見直ししてるよ!」

「そう、まるで遠足前日の小学生ね」

 

うっ、確かに自分でもはしゃぎすぎだとは思うがひどい言われようだ。

 

「言い返してこないところをみるに図星ね。それより早く寝たら?明日早いんじゃないの?」

「はっ!そういえばそうだった!早く寝ないと!!!」

「夜なのにうるさいわね。お土産期待してるわよ」

「おお、まかせとけ。しかし、色々気遣ってくれてありがとな。さゆりみたいな人が彼女にいたらおれも楽なんだけどな~、じゃあな」

「なっ!?ちょ、ちょっt「ブツッ」あ、もう!」

「なによもう、期待させるような事言って!」

 

さゆりは怒ったようにそう言ったが、彼女の顔は嬉しさを隠せないかのように緩んでいた。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

次の日、竜司は空港にきていた。

 

「え~と、ロシア行きの便どこだ?」

 

手に持ったチケットに表記された数字を確認しながら、自分の乗る飛行機を探す。

 

「お、あれだ!」

 

俺はつい急ぎ足になる。その為つい目の前の人物に気づかずぶつかってしまった。

 

「うおっ!」

「なっ!?」

「す、すまん!つい急いでて」

「いや、こちらこそ余所見していたんで」

 

見たところ、俺と同じくらいの年齢のようだ。この人も一人旅なのだろうか?

 

「アンタも旅行か?」

「ん?ああ、まぁそんなとこ。イタリアに届け物をしにな、そういうアンタもか?」

「ああ、初めての海外旅行なんだ。あ、やば!急いでんだった。ぶつかって悪かったな」

「気にするな、お互い様だ」

 

なんて人間ができた人なんだろうか。それより急がないと!

 

これが、後のカンピオーネ二人のファーストコンタクトだった。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

日本を出発してから、数十時間後。

 

「着いた~!初ロシア!!!」

 

竜司は始めての海外にはしゃいでいた。

 

「取りあえず、何処にいくかな~。何か食べるか!」

 

そういって竜司は街の中心地へと向かった。

 

 

「ふぅ~食った食った!ピロシキって美味いなあ!それに、俺の言葉が本物のロシアの人達に伝わって良かった!言葉が通じなかったらどうしようかと思ってたからな」

 

俺が覚えたロシア語は現地の人にも理解してもらえた。それどころか、お店のおっちゃんに

 

『兄ちゃん、ロシア語上手いじゃねえか!』

 

と褒められた。頑張って覚えた甲斐があるというものだ。

 

「ん?」

 

なにやら向こうで女の子と数人の男が言い合っている。あ!路地裏に連れて行かれた。取りあえず、様子を見に行こう。

 

なんだこれは!?

 

それが俺が様子を見に行ったときの感想だった。

路地裏には、数人の男達が皆蹲って倒れていた。その真ん中にはさっきの少女が居た。髪は腰まであるきれいな銀髪ですっと通る鼻筋、綺麗なパープルの瞳、熟した林檎のような色の形の良い唇。十人中十人が可愛いというだろう。まるで、神話から抜け落ちた聖女のような、神秘的なオーラみたいなのが感じる。ただし、その右手に拳銃が握られていなければ。

 

『ん?貴方もこいつらの仲間なのかしら?うふふ、丁度良いわ。この人たちにはちょっとやり過ぎてしまいましたし、半日は起きないだろうから貴方に教えて貰おうかしら?』

 

聞きなれない単語に、おそろしく流暢な喋り方。どこかあふれる気品が、お嬢様を連想させた。

って、それよりも待て!見とれてる場合じゃないぞ!この状況は何だ!?

 

『あら、固まっちゃって上手く喋れないのかしら?』

 

何か言ってるけど、全然分からねぇ。くそっ、あんだけ勉強したのに、いざという場面で全く効果をなさないとは。

俺がそう思案していると、ジャキっと眉間に銃口を突き付けられた。

 

『大丈夫よ。ちゃんと死なないように改良してあるから。...この距離で頭部に当たれば分からないけど』

 

大丈夫ってだけ分かったが、絶対大丈夫じゃないだろ!何これ?本物?

 

「ちょっと待てちょっと待てちょっと待て!」

 

あまりの出来事に思わず日本語で叫んでしまった。

目の前に居る彼女は、一瞬燻し噛んだかと思うと。

 

「あなた、あくまで白を切るつもり?こんな外国の言葉まで使って。けど残念ね、私も喋れるから」

 

と、これまた綺麗な日本語でそう話してきた。

 

「あんた日本語喋れるのか?」

「ええ、大体の国の言語はマスターしてるわ」

 

なっ!?見た目自分と同じかちょっと下ぐらいの女の子が、衝撃の事実を放って来たのだ。普通なら、まず嘘だと考えるだろう。だが、先ほどの日本人もあわやと言うような日本語を聞くに、本当のことに思えてしまう。俺があんなに覚えるの苦労したのに...。

 

「えっと、で今の状況は何?」

「へ~。これで気づかないなんて、あなたよっぽどの馬鹿ね」

「なんだと、俺だって学校で一番の成績だったんだぞ」

「そんなの今はどうでもいいわ」

 

こ、この女。顔は綺麗だけど、中身は最低だな。

 

「それより早く吐きなさい。あなたたちはどこの組織で何の為に私を襲ったのか。二十秒、三十文字以内に答えなさい」

「はぁ?俺がそんなこと知るか!だいたいロシアに来たのも今日でなんだぞ」

「そんな嘘は自分を貶めるだけよ。次言わなかったら只じゃおかないわよ」

 

話しが全然通じない!これは言語とかの問題ではなく、第一印象が悪すぎたせいだ。何とか誤解を解かなくては。

 

「あのな、さっきも言ったとおり俺は「パァン」うおっ!あぶっ!!」

 

おい!今頬を掠ったぞ!!本物じゃねーか!命中してたら死んでたぞ!?

 

「へえ、今のを避けるなんて中々の手練れね。けど今ので貴方が嘘をついていたことが分かったわ」

「何が分かっただ!もし直撃してたらどーするつもりだったんだよ!」

「...さぁ?」

 

ロシアの女の人って皆こんな凶暴なのか!?俺は旅行に来た筈だけど、あの世を旅行する気はまだねーぞ!ここは逃げるが吉だ!

 

「おーいっ!ここだ!速くきてくれー」

「ちっ!まだ居たの」

 

(今だっ!)

 

彼女が俺の声を仲間を呼ぶ為のものだ勘違いして振り返った隙に、大通りに向かって一目散に走る。命の為に奪取だダッシュ!

 

「あっ!こら、待ちなさい!」

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

(捕まりました)

 

いや~、だってあれですよ?普通に街中で銃乱発するし、俺土地勘無いし。おまけに目茶苦茶しつこいのってなんのって。一番厄介だったのは、まるで俺の位置が手に取るように分かっていたことだった。何だよそれ、チートじゃないか!チーターや!

 

「何ぶつぶつ言ってんのよ気持ち悪い」

 

今の俺はさっきの女の子に後ろから拳銃を突きつけられている。腕はがっちりと拘束されているおまけつきで。

 

「なぁ?何処に向かってるんだ?」

「何でそんなこと教えないといけない訳?いいから黙って歩きなさいよ」

 

(こ、こいつ~)

 

「まぁいいわ。どうせ最後なんだし仕方なく教えてあげる。今向かってるのは私の家。そこでパパに突き出して上げる」

「こんな歳でまだパパ呼びかよ」

「なんだったら、今ここで殺してもなんの問題もないわよ」

「素晴らしいお父様ですね!」

 

いや知らんけども。こう言っとかないと命が危ない。

 

「ほら、着いたわよ」

 

背中を銃で押されて、仕方なく前を見る。...まぁ、あえて言わせてもらおう。

 

「このブルジョワめ」

 

そう言って俺と彼女は、なんでこんなでかい門が必要なんだ?って思えるほどのデカイ門をくぐった。




作者は二番目の兄に個人的な恨みをもっています。笑
この物語は、三割の事実と二割の妄想と四割のフィクションと一割の原作からできています。
さゆりのポジションは実際は男でした。

それと、作者は神話にそこまで詳しくありません。こんな神様だしたらいいよなどのご意見があれば、メッセージを飛ばしてくれればできる限り書いていきます。

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