カンピオーネ!~旅行好きの魔王~   作:首吊男

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この作品は処女作で、作者もこれといった才能がありません。ので、過度な期待はせずに、気ままに見てくだされれば幸いです。


一話

「どうしたもんかねぇ」

 

ただっぴろい神殿の大聖堂。その真ん中で一人の青年、天童竜司は呟く。ただ、この言葉はこれからの計画を立てている、とかそんな空気は発せられてない。口調はどこか投げやり、諦めた感も漂わせている。

周りに竜司以外の人間は一人だけ。嫌、目の前に鎮座するこの少年も実際は人ではない。身体から放たれているオーラと言うか覇気と言うか、なんとなくでしかないのだが分かる。自分じゃ足元にも追いつかないほどの生物としての差があるということが。

 

「俺死んだな」

 

なんか一週回って開き直っちまった。だってあれだよ、こいつ自称神だぜ?普通ならんなこと信じないっつうか呆れるとこだけどな......

くるっと後ろを振り向く。そこには戦車の大砲でも撃ち込まれたのとでもいうような大きな穴が一つ、大聖堂の壁にできていた。あー、俺って確かイタリアに観光しに来たのであって、紛争地域に来たわけじゃないよな.......

 

「おい、そこの少年」

 

ビクっと砂浜に打ち上げられた魚よろしく身体を仰け反らせる。だってしかたないだろ!あの穴を作った張本人だぜ!?それが話しかけてくるとか何ホラーですか!?夢でも怖ぇよ!やべっ、小便ちびりそう。

 

「なんでせうか?」

 

やばっ、噛んじまった。殺されんじゃね?俺。

そう危機感じていると、何事でもなかった様に少年が答える。

てか、見た目自分より年下に少年呼ばわりって......

 

「我は今からしばしやることがある身でな。死にたくなければここから離れよ」

 

え?何?死にたくなければって何する気?それより.......

 

「あなたは何者ですか?」

 

瞬間ギロリと言った目つきで睨み付けてくる。あー、地雷踏んだんかなー

 

「お主、この姿を見ても何も分からんのか?我はこの地の神であるぞ!」

「えっと...俺よその国から来たんであまりそういうことは知らない...です」

「ほぉう。他国の者とな、しかしそれでも知っとらんか。最近の若い者はこれだから貧弱者ばかり。うぬ、ならば今しかと聞けい、我はクロノス!神々の父であり、この世の時を掌る者なり!」

 

(おいおい、何だよ神々の父って、それって超大物じゃね?ってか本当にこいつ神?)

 

「神々の父がこんな子供なのか?」

「言ったであろう。我は時を操る身、少しばかり見た目を戻すぐらい造作もない事よのう」

「へー便利だな」

 

(って何関心してんだ!?早く逃げないとだめだろ!)

 

「それにしても、神である我を前にして堂々たる姿勢、お主もその身に魔をやどした者なるか?」

 

(なんだそれ?言ってる意味が分からん。ボケてんのか?)

 

「いや、違うと思う?魔って何だ?」

「ほう、只の人の身でありながら我と交えるか、うぬ実に愉快」

 

おい!何が愉快だ!俺の質問に答えろアホ!......とか言ったら殺されるだろうな。

 

「しかし我はやるべき事がある、すまんが話しはここまでだのう」

 

一瞬それは本当に一瞬だった。何が起こったか直ぐには理解できなかった。目の前にいる自称神が右手を振りかざした瞬間、俺の直ぐ目の前に二メートルほどの鎌を持った少年が現れ、首から上---つまり頭を切り落とされていた。

 

「どうじゃ?これでお主と我の絶対なる差が分かったであろう?」

 

(あれ?頭がある...どういうことだ?まさか今のは幻?いや、違う。痛みも感じたし、妙に生々しかった。あれが幻とは思えない)

 

「今...のは?」

 

何だ?酷く衰弱している。まるで海で溺れて命からがら生き延びたみたいだ。

 

「今のは現実じゃ、ただしこの世界とは別の世界だけどのう」

「別の.......世界.......」

「そう、つまり平行世界じゃ、我の権能でその世界の時とこの世界の時をシンクロさせたのじゃ、だからと言って所詮違う世界、あちらでお主を殺してもこの世界のお主は死なん。まぁ感覚を共有するぐらいはするがな」

 

つまり、俺はこいつに違う世界で殺された?レベルが違う、天と地よりも圧倒的な差が......

やばい、今まで心のどこかでまだ信じていなかった。だが、今じゃ違う、こいつは神だ。人一人殺すのなんてアリを踏み潰すかのごとく簡単にやってのける無慈悲な存在。逃げるなんてさっきは考えてたけど、こんな奴相手に逃げることなんてできるか?できるわけがない。

 

「さて、それではこの世界を創り直そうかの」

「おい、今なんて言った」

「ん?まだいたのか?まぁいい、世界を創り直すのじゃ。我がこの世界を治めていた時代にの」

 

普段ならイラッっと来るはずの言葉も今じゃ耳に入らない。

 

(世界を創り直す?何言ってんだこいつ...

こいつがさっき見せた力があるなら可能かも知れねぇ、けどないくら神様でも限度があるだろ!)

 

「おい!お前が何の為に世界を創り直すのかなんてこの際どうだっていい、けどな、今いるこの世界の全員はどうなるんだよ!?」

「我の野望をどうだっていいだと?まぁ先ほどまでの我の話相手になってくれた礼として今回は許そう。しかし、次は無いものと思え」

「そんなことを聞いてんじゃねぇ!この世界の人たちはどうなるかを聞いてんだよ!」

「決まっておろう、この世界は本来無かったことにされる。つまり存在が無くなる。我の知ったことではないがの」

 

狂ってやがる。こいつは自分一人の為に世界を無かったことにしようとしている。そんなこと許されるはずがねぇ。嫌、俺が許さねぇ!

 

「このトンチキ野郎!どうしても世界を創り治してぇってんなら、俺と勝負しろ!それで俺に負けたらもう二度とそんなことはしないと誓え!」

「何?我と勝負とな?ふはははは、おもしろい事を言う、あれだけ我との差を教えておいてまだ戦う勇気がでるとはな。うぬ、いいだろう、ただし手加減はせぬでな死ぬ気でまえれ!!」

「上等!その減らず口叩き折ってやる!!!」

 

とは言ったものの只の人である俺に勝てるのか?---いいや、勝つ!

 

「うおおおおおお!!!!!!」

「ふっ、小細工も無しに神である我に突進してくるか、おもしろい」

「うおおおおおぅぅぅ....せいっ!」

 

突進するようにみせかけて、物陰からガレキを投擲。

え?何、さっきまでの勢いはどうした?冗談はよしてくれ、相手は神だぜ?

 

「小賢しい」

「なに!?空中で止まった?!」

「こんな物、石の時間を止めればいいだけよ、当たった処でさしてダメージは無いがの」

「ならば数で圧倒する!」

「無駄じゃ」

 

(くそ!卑怯だろ、これじゃジリ貧だ!嫌、これでもあいつは本気を出してない)

 

「次はこちらからじゃ」

 

そう言うと、クロノスの右手が淡く光る。

 

(あれはヤバイ!)

 

俺は一目散にその場から全力で離れる。次の瞬間先ほどまでいた場所に、隕石でも落ちたのではないかと言うほどのクレーターが出来ていた。

これは、あの背後の大穴を空けた時と同じ...

 

「どうした?もう降参か?」

「言ってろ!今にお前をぶん殴ってやる!」

 

(とは言ったもののどうすれば...ん?)

 

不意に何かが俺の頭を駆け巡った。

 

(確かあいつが操っているのは時間のはず?じゃあ、今の力はどういう原理で?)

 

「余所見とは随分と余裕じゃの、はっ!」

「どわぁあ!」

 

いつの間にか鎌を持ったクロノスが、身を隠していた柱と共に切りつけてきた。

それをしゃがむ事でなんとかかわす。幅が二メートル近くあった柱が嘘のように切断された。

 

「ほう、今のを避けるとは中々の反射速度」

 

無論避けられたのは危機感からなる火事場の馬鹿力でも言うべき偶然だ。次は無いだろう。

考えていた以上に化け物だと、あらためて痛感する。

 

(何か打開策は無いのか?)

 

床を転がるようにして一度距離を置く。追撃してこないのに、安堵の息を漏らした。

 

(考えろ、なんでもいい、状況を変えられる手段を考えるんだ)

 

「なぁ?」

「なんじゃ?今更命乞いか?」

「違ぇよ、只お前は時間を操る神だろ?なのになんであんな大穴作れんだ?」

「うぬ、冥土の土産に教えてやろう、あれは紛れも無く我の力。あの一部分だけ時を遡り無かった事にしたのじゃ」

 

(つまり作られる前まで時間を戻せば、それは自然に無くなると言うことか)

 

「それ、生き物に効かねぇのか?」

「ほう、なかなかに鋭いのう、ちとばかし違うがだいたいは察しの通りじゃ。この権能は使いがってが良いが、時を認識してるものには効かん。まぁ強いて言うなら自我を持った者にか...、人間には効果が無いが、植物などには問題なく効く。とは言っても、我自身にも効くがの」

 

(勝機があるとすればそこか)

 

「ちと喋り過ぎた、お主には知らぬで良いことじゃ」

 

来る!と悟った瞬間持っていた石を四方八方投げつけた。

だが、それをなんなくかわし、時にはその能力で時間を止め、するすると懐に潜り込まれた。そこで胸に掌打を打ち込まれた。鎌にばかり気を向いていた俺は、あっけなく攻撃を防ぐ動作もできずに、吹き飛ばされた。その衝撃たるや大型トラックにでもぶつかったのではと錯覚するほどだ。

 

「ごほっ!っがぁ..」

 

胃の中が逆流する。なんとか壁を支えにして立ち上がる。

懸命に倒れそうになる体を気力と根性だけで持ちこたえる。その時、壁際に置いてあった鎧の置物から槍を拝借する。

非常に重い、この身体で持つには大きすぎる槍、しかし駄々は捏ねられない。

 

「くっ、ぅらあ!!」

 

クロノスの胸めがけて槍を突き出す。助走に身を任せての攻撃。ふらふらの足で走った為、勢いが乗らず素人でもかわせそうな苦し紛れの一撃。けれど、何もできず終わるよりはいい。

 

「無駄じゃ」

「なっ!?」

 

槍は後少し当たると言う所で途端に、一ミリとも動かなくなった。

クロノスはあえて自分の力を示す為、槍の時間を止めて、かわせる攻撃をわざと自分の能力で止めたのだ。

 

「くっくっく」

 

クロノスは笑う、最後のチャンスであろう攻撃も、簡単に止められ絶望で打ちひしがれているだろうと考えて。それが間違いだと気づかず。

槍を止められた竜司は頬を殴られ、またしても吹っ飛ばされていた。

 

「くっそ!」

 

(あいつのあの力、こっちの攻撃を全て無力化しやがる。だからといって肉弾戦じゃ勝機は無い...どうすれば......)

 

圧倒的な力の前で、勝ち目など傍から見ても無いだろうと言うのに、まだ勝つことを諦めていなかった。常人なら一目散で逃げようとするこの惨状でだ。

 

(これだ!!)

 

だからなのだろうか、この状況を打開する神のお告げとも言える案が脳裏に走った。

 

(これならあいつに勝てるかもしれねぇ!...けど失敗すれば死ぬ。失敗しなくても死ぬ。それで勝てるのかと言われたら---かなり薄い...)

 

そこで迷った、それもその筈だ。自分が死ぬと分かっていてできるのか?否、無理であろう。それでも迷ったのは一瞬だった。

 

「それで勝てるなら俺の命の一つや二つ、安すぎて釣りに困るぐらいだろ!!!」

「ほう、まだ戦うことを止めんか、それなら次で終わらせてやろう」

 

二人は互いに睨みあう。目の前のあいつは敵だ!

先に動いたのは竜司の方だ、クロノスの周りを半時計回りに走りながら、ガレキを投げ牽制する。

勿論これが倒す策ではない。絶対に当たらないことは先程までに充分身にしみている。

最初にいた場所と反対の位置で急停止する。そのまま向きを変え真正面に突っ込む。

何を考えているのか分からないクロノスであったが、そんなことでは乱されはしない。何事にも対処できるように身構える。

 

「くらえぇー!!」

 

殴りかかってきた、自分の能力にかからない肉弾戦に持ち込んだのかと悟る。人間にしては筋の良いパンチだ、が神である自分にしてみれば、それこそ時が止まったのかと言う様な攻撃だ。軽く上体をひねりかわす。そのまま勢い余って少年は盛大に転げる。

所詮こんな物かと、もう少年には興味など失せていた。せめて楽に殺してやると大鎌を振り被る。そこで少年が左手から何かを投げてきた。また石ころかと時を止めようとした瞬間、一気に少年の姿が消えた。

否、消えたのではない見えなくなったのだ。

先程投げたのはガレキでは無く、大量の砂だとここで理解した。それも只の砂ではなく、ガレキを粉々に砕いたもので普通の砂より、空中に舞う時間が長い。

 

「目くらましとは卑怯なことを...」

 

この隙に逃げるのか。そう半ば確信していた。だから、視界が開けた時、まだ正面に少年がいた時は素直に驚いた。

 

「今の内に逃げれば良かったものを」

「あ、その発想は無かったわ」

 

などとも言う。今まで出会ったことのない人種の人間に、また興味を持った。だが、それはそれで別だ。

 

「ふん、お主は我にさえ理解の範疇を超えた分からない奴じゃ」

「それは褒め言葉として受け取っとく」

「じゃがこれで最後」

 

今度はクロノスが飛び出した。目で追うのがやっとの速度。大鎌を上段に振り上げて迫る。

だが何故か、正面にいる少年は避けようとも、ましてや動こうともしない。

多少おかしくは思ったものの足を止める事は無い。

少年が鎌の射程範囲に入った瞬間、そこで少年は一気に後ろへ飛びのいた。クロノスも後を追う、そこで不意に胸に違和感を感じた。

 

「上手く.....いった、な」

「なっ!!?」

 

そこで胸の違和感を悟った。---胸に先程の槍が突き刺さっていたのだ。少年を貫いて自分にも突き刺さる感じに。

槍は先程、時を止めてから能力を解除していない。つまりそれは、動かせない代わりにどんな盾をも貫く、最強の矛とかしていたのだ。それを竜司は利用した、自分の命も投げ打って。それがこの結果につなっがった。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

酷く頭痛がする.....

 

「はっはっは、よもや我が人間の少年に野望を打ち砕かれるとは、幾ら時を操れても未来は確定ではないと言うことか」

 

うっさいな、てか勝った俺の方がダメージがでかいって...嫌、あっちも相当なもんか、自分自身の力にやられてんだから。ざまぁ。

それを感じさせないあたりさすが神様っていった処か。

あー、このまま死ぬのかな?まぁ最後に世界を救ったってカッコいい死に方じゃないか。

 

「あら?それは少し違うわよ?」

「うぬ、お主はパンドラ」

「はーい、叔父様。この子が新しい私の子ね。あら?うふふふふ、これはどんな因果かしら。近い未来に一悶着ありそうな予感ね」

 

誰だ?この妙に若作りしてる様な声は?と思ったらいきなり誰かに殴られた。

 

「誰がおばさんですってぇ~!」

「おいパンドラ誰もそこまで言っておらんじゃろう」

「あらいけない、そうねそろそろ始め-------

 

そんな声を背景に俺は意識を手放した。主に殴られたせいで。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

「ここはどこだ?」

 

俺寝てた?てか何してたんだっけ?...はっ!思い出した、確か神様と戦って...つうか俺生きてる?夢だっ---嫌、現実だなうん。だって、あの大穴があるんすもん。

 

「ってか、痛ってぇ」

 

身体中が痛い。何だこれ?嫌、分かるけど、神様とケンカした時のだろ?にしては傷は無いし、動かせいってほどじゃない。確か胸を貫いたはず...

 

「俺は今、自分の身体でビックリ体験を経験してる途中です」

 

誰に言ったんですかね、でもこんな広い空間で一人って悲しくて...

 

「そんなことより!まずは現状把握が先だ!」

 

そう言って立ち上がる。

身体が痛いが四の五の言ってらんねぇ。...まずは病院探そうかな。

俺は自分の身体に鞭を打ち外に出る。(ちなみに、外へ出るときは壁の大穴から出た)

 

「一回、ホテルに帰ろう。服もボロボロだし、汚れがひどい」

 

見ると、赤い血のようなものがベットリついてる。

一旦、頭の中で人目につかないホテルへの道順を思い出す。人に見られて騒ぎになったらめんどくさい。かと言って、土地勘が全然ないのであまり意味がないとは思うが。

 

「ねぇ、ここにいた神様、君が殺ったの?」

 

突如背中から掛けられた声に、思わず飛びのいた。

誰だ!?こんなに接近されて、今まで気がつかなかった!?

掛けられた言葉は日本語でなかったが何故か分かった。それはカンピオーネになった代償なのだが、この時は知るすべもない。

 

「お前は?」

「あ、名乗ってなかったね、僕はサルバト-レ・ドニ。それで君は神様を殺めたのかい?」

 

そう名乗った男は金髪の整った顔立ちの背が高い美男子だった。後、どことなくアホっぽい。

しかし、こうタイムリーに神様という単語が出るとは。

 

「お前も神とか言う奴か?」

「ははは!違うよ。けど、遠からずって感じだな」

「言ってる意味は分かんねぇけど、名乗ってきた相手に名乗らないのは失礼だからな。俺は天童竜司。お前が言ったように、神を倒した...はずだ」

「へぇ...そうか、これで八人目だね。しかも護堂と同じ極東の島の名前だね。ふふふ、おもしろいことになりそうだな」

 

護堂?誰だか分からんが、俺以外にも日本で神を殺した奴がいるってことだろうか?

そう思考していると、怪訝そうにサルバトーレ・ドニが顔をのぞいて来る。

 

「どうかした?」

「何でもない。それより、何で神様を殺したなんてこと知ってる?」

「それは実に簡単なことだよ、僕も神様を殺しているからね。それより僕と決闘しない?」

「はあ!?」

 

なに言ってんだこいつ?文脈がおかし過ぎるだろ?アホだと思ったが本当にアホだとは。

 

「どう見たってこんなボロボロな相手に決闘って、そんなのイジメじゃねぇか。俺はそんなのやらねぇぞ」

「うん、つまり身体が治ったら、その時は全力で戦おうってことだね」

 

話しが通じねぇー!これがカルチャーショック!!

 

「誰もんなこと言ってないだろ!?ともかく、俺は明日には帰らないと行けないんだよ!その為にも早くホテル行って風呂入って、飯を食いたいんだ!分かったか?もう俺は行くからな」

「君も護堂もそうやって、僕の誘いを無下にするんだね」

 

後ろでまだ何か言ってるが、知らん。とにかくあんなのと相手している時間はない。そういえばさっき、あいつも神様殺したとか言ってたな。...あの化け物を殺した人間!?

やべっ!相手をするのがだるくて驚きが後にきやがった。

ふと後ろを振り返る。まだ動いていなかったサルバトーレの背中に担いだ、円筒等のケースから禍々しい何かを放っているそんな気がした。

 

「君も中々に鋭いね。君との決闘の日もそう遠くはないかもね」

 

ドニの口元がほころぶ。竜司はそれに気づかず、その場を後にした。


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