忙しい人のための赤竜亭   作:おーり

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ギャスパーの霊圧が・・・消えた・・・!?


餃子ぁーーー!

 放課後の駒王にて、天使長魔王堕天使総督での三竦み会談が始まるらしい。一週間ほど前の授業参観に魔王直々に学園まで遠出したのはそういう意図もあったとのことだ。まあ人間にとっては正直関与しきれない話だよな。そういうわけで勝手にやっててくれ。そう思っていたのだがナンデ俺はこの場に借り出されているのだろうか。会議室の長テーブルにて魔王と魔王少女に挟まれながらそんなことをふと思う。この人間から逸脱している超人という表現ですら生ぬるい人種の差を飛び越えた超VIPに居並ぶのがただの凡人で庶民である俺で果たして良いのであろうか、と少々ナーバスな気持ちになるのも致し方ないことなのである。そう他人事で事を済ませようという俺の思惑を察知したとでも言いたいのか、戦争がどーの冷戦がどーのと話していたアザゼルさんとかいうイケメン中年が俺を名指しで指名してきた。何でも前に親父狩りしてしまったコカなんとかさんのことで問題視されているらしい。さすがに四人でフルボッコは不味かったのか。そう切り出してみたらどうも気になっている点は別の部分らしい。「ちげぇーよ。お前も問題だけど残りの三人も問題なんだよ。一体何処のどういう勢力のやつらだ。コカビエルは聖書に語られる最古参の堕天使なだけあって強い。それを『弱くした』っていうならまだしも、そのままの状態で四人がかりとはいえ再起不能に追い込んだ。――さすがに見逃すにはやばすぎる情報だ……」知らんがな。神妙な顔でアザゼルさんは言うが、正直そうとしか答えようが無い。連絡先も交換して無いし、そもそもあいつら今時珍しいくらいにケータイすら所持していないのである。バッグパッカーをやっていると思われるグレッドさん並びにオーフィスたんが今何処にいるのかも俺はまったく知らないし。

 正直尋問みたいなことが始まるのかと思っていたが聞き出せないなら聞き出せないで先送りにしておくらしい。俺の正体とやらも後ほど攻略することに決めたのか、会談本題がようやく始まる。この場にいるものは皆『神の死』を認識している。そう切り出したアザゼルさん。そーなの?と聞くと信じられないものを見るような目をいっせいに向けられた。どうやら常識であったらしい。とにかくそういう前提で話を始める。そう続けたアザゼルさんマジイケメン。でもそれを邪魔するように美麗なお姉さんが会議室の扉を大きく開けて現れた。話を邪魔されてしょんぼりなアザゼルさんマジ苦労人。

 登場したお姉さんはカテレアとかいう魔王らしい。停戦協定を結びに来たとかいうサーゼクスさんやレヴィアたんへリコールをかけに来た、ということなのか、要約すれば。高圧的かつ好戦的にこの場を包囲したと高飛車に笑うカテレアさん。言われて窓の外を見てみれば大量の悪魔さんがぞろぞろと。戦争反対派を大量に引き連れてきたとか。でも魔王と名乗っているとはいえ三界の最大戦力とやらが揃っているこの場へわざわざ顔を出すとか正気の沙汰とは思えない。詳しく聞くと旧魔王派という派閥らしく、魔王の立場を追われたのだとか。支取会長がこっそりと教えてくれました。あれか、このまま戦う相手がいなくなると戦果を上げて返り咲くことが出来なくなるとかいう理由なのか?死の商人みたいなものか……。「ちょうどいい。兵藤一誠、お前がそいつをどうにかしろ」他人事みたいに考えていたらいきなり話を振られたでゴザル。コカなんとかさんをぶっ飛ばした一角の実力を生で見たいとか言ってwktkしているアザゼルさん。うーむ、まあ俺もカテレアさんには言いたいことがあるので俺が相手をするのは問題ないのだけど。

 

 前へと出てきた俺を見て挑発的に笑う女怪。正面に立ってみればその資質がよく見える。――やっぱりだ、この女……、上げ底、だと……ッ!?「ふざけるなぁーーーッ!!!」ドゴォッ!と俺の覇気で鉄筋コンクリート製の会議室の壁が穴を開けた。というかカテレアさんを覇気で吹き飛ばして壁を突き破り校庭へと吹っ飛ばした。奴はやってはならないことをした……!俺のスカウターで計測できない乳は無い。オーフィスの成長期待値を見破った俺の前で、よくもまあパッドなんて入れられたもんだな……!「立ち上がれよカテレアさん。お前は身を弁えるということを覚えなくちゃならないはずだぜ……?」校庭に落ちた女性を追って正面へと降り立つ俺に、怯えた表情で後ずさるカテレアさん。腰が抜けているらしい。だが俺は心を鬼にして教え込んでやらなければならない。乳は隠すものではない、たとえどんなに小さくても、胸を張って誇るべきものだと、俺はこの女性に教えてやらなければいけないんだ……!「かッ、カテレア様を守れーーーッ!!!」「「「「おおおおお!!!!」」」」む、校庭に降りたことで周囲にいた悪魔さんらも近くなってしまったな、そういえば。彼女を守るように勇ましく奮い立つ男性悪魔の数々。旧とはいえ魔王派、それなりに支持は持っているらしい。「――ニーヴェルンヴァレステイン!」えっ。

 不穏な台詞に振り向けば、巨大な槍を形成したアーシアの姿が会議室の抜けた壁穴から見えていた。その槍を大きく振りかぶって、こちらへと投擲するヴァルキリーコスプレのアーシアたん――ペルソナを使ったのか、青い甲冑を着込んだ戦乙女な格好が実に神々しかった――。飛んできた槍はその余波だけで悪魔たちをなぎ払い、カテレアさんの顔面すれすれの位置でぴたりと静止する。勇んだ悪魔さんらは悲鳴を上げて吹き飛ばされて、その切っ先を向けられたカテレアさんは完全に戦意喪失した涙と鼻水でぐしゃぐしゃの顔でその場にへたり込んでいた。地面が濡れている気がするのは……、気にかけないようにしておこう。

 死者こそ出なかったものの光の波動を発する巨大な槍を向けられて、悪魔さんらは完全に萎縮してしまっている。それをペルソナ・節制で次々無力化してゆくのは我らが聖女アーシアたん。「デイバイーンバスター!」「「「アッーーー!!!」」」一応は非殺傷設定らしいピンクの光線で打ち抜いて捕縛してゆく姿を見てると、改めて俺の出番が無いと思い知る。というか俺らだけでもこの有様なのに、なんで突貫してきたんだカテレアさんは。「……本当は時間停止の神器使いをこちらで確保する手はずだったのだけど、なんか、自爆した……とか……」青い顔で呟くカテレアさん。時間停止……DIOのことか……。そんなことをぼけーっと考えていると傍へ降り立つ別の誰か。「あの覇気でようやく理解した……、やはりキミが赤竜帝か……、俺のライバル!」あれ、そういえば居たねいつかのキミ。で、誰?




龍と書くと東洋のイメージ
竜と書くと西洋のイメージ
なのに赤“龍”帝というのが未だに納得がいかない

というかウチのパソコンでは一発変換が未だに“赤竜帝”
もうこれでいいかなー、って

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