ちょっと長くなった
早くも一週間が経過した。なんか心優しき我が家の聖母アーシアが恥女先輩の望まない婚姻などー、と言い出したために参加する流れになった。俺が、ではない。アーシアが、だ。それの修行だか合宿だかという名目で一週間山奥へ連れて行かれる寸前のところを危うく助け出した俺が居た。野獣の群れに生肉引っさげたような状態でウチの可愛い天使をかどわかすとはいい度胸だ。なんか文法おかしいがまあ今はいい。というか部活のレクリエーション程度で学校を休ませようとか何考えとんじゃあの女。そんな強行軍を阻止したレクリエーション当日。なんだか意気込みのおかしなオカルト部員たち。俺も見学ということで一緒に連れ出されることを承諾してもらう。というかウチの天使を連れてゆくなら俺も行くのは当然のことだと思うのだが。そんなgdgdの状態でレーティングゲーム(やっと名を覚えた。ドヤァ)スタートである。
夜の学校が舞台。どうやら直に殴りあうのがこのゲームの本領らしい。今になってらーざーが俺の参加を危ぶんだ理由がよくわかった。起きれなくなるまで殴ればすぐに終わるしな。しかしこうなるとアーシアの独壇場な気もする。そう予想立てて画面を見続ける俺に話しかけてくる赤髪の美形青年。そのすぐ後ろには以前の銀髪メイドさんが。リアス先輩のお兄様とな?これはどうも、兵藤といいます。名前はサーゼクスさんとグレイフィアさん、と紹介に預かる。互いに自己紹介を終えたところで、グレイフィアさんに「ところで、本当にお嬢様の処女を?」と際どい質問をされる。肉親の前で話すことではなくないですか……?メイドというのはどの世界でもこんな感じなのだろうか。とは言っても知ってるメイドなんて二次元にしか存在しませんけどね!それはそうと、俺自身覚えていないのですがリアス先輩には真実だと確認しましたか?と聞いてみる。思案顔のグレイフィアさん。聞くに、あの夜部屋に入ったところ布団の中でもぞもぞ動く俺とリアス先輩を見たものの的確に繋がっていたかどうかは確認しきれて居なかったとか。やっぱり淡々と語るグレイフィアさん。そんとき俺寝てたんですけど。しかしリアス先輩の初体験に疑惑が浮上しているのは間違いない。どういうことだってばよ……?
若干ミステリーな雰囲気になりかけたところで画面の中のアーシアが敵対勢力と接触。木場と小猫と一緒に索敵行動中であったらしい。相手側はほとんどが美女・美少女。3vs7の戦いが始まる。そして終わる。アーシアのルミナスイリュージョンで一人勝ちである。どうも相手側のレベルが足りて無いらしい。呆気に捕られていたグレイフィアさんが思い出したように放送機に手をかけていた。「ら、ライザー=フェニックス様のポーン4名、ヴィショップ、ナイト、ルーク、リタイア」ほほう、チェスのような名称でチームを組んでいるということか。始まる前に見たけど、こちらは木場に小猫にリアス先輩に姫島先輩。うわ、4人しかいねえ。ギャスパーは引きこもりだから不参加らしいし、アーシア入れても5人って。そりゃ確かに人数足りねぇってらーざーに言われるわな。で、相手側は残りポーンが4?でヴィショップ・ナイト・ルーク・クイーン、そしてキングの合計9人。戦争は数だよアニキ!こりゃアーシアと小猫を上手く使わんとすぐ負けるな。がんばれーアーシアー。
ポテチ片手に観戦してるとあっという間に残すところキングとクイーンのみである。姿を未だに見ていないのだけど何処にいるのか。というかアーシアが無双過ぎる。リリスのペルソナが縦横無尽に動き回りすぎて狭い屋内では相手側に勝ち目が無い。例のリアルアミューズメント攻略が功を奏しているらしい。チェスだとここまで手駒が減ってゆくともう投了するのが暗黙の了解になるのだけど。クイーンを取られたら本気で勝ち目が無いぞ。なんだからーざーがちょっと哀れに見えてきた。何処にいるか知らんけど。そして爆撃が校舎を襲う。えっ。これありなの?ちらっと見ても黙認しているサーゼクスさん並びに観戦者の皆さん。……。そうなると本気でアーシアを止める『理由』が浮かんでこなくなる。どうしよう。
「リアス=グレモリーのナイト、リタイア」木場が小猫とアーシアを守ったらしい。瓦礫の中から空中に浮かぶ女性(多分クイーン)を睨み付ける小猫。俯きがちのアーシア。あっ、これやばい『ペルソナチェンジ・魔術師』あbbbbbbb。
一瞬の光に包まれた後、少女の格好が変わる。
髪はツーサイドアップに纏められ、飾り気の無い黒いローブを身に纏う。そして少女の周囲には、『飴玉』がばらばらと放射線状に鏤められて行く。
その様子に疑問符を浮かべた女王であったが、これまでの戦い方と違っているといって手を緩める気は無い。遠距離から狙撃するべく、再び魔力を手に集める。が、
「――アタシに攻撃するとはいい度胸だ。その身をもって思い知れ……!」
少女の「らしくない」台詞に底知れぬ戦慄を覚えた。その一瞬、手が止まる。それが、悪手であった。
警戒していなかったもう片方の白い少女が、『自分の傍まで』跳躍していたのである。
叩き落とされる女王。そしてローブの少女はもうそんな彼女を見ていなかった。彼女は一瞬で理解する。「あの少女は自分の王を狙っているのだ」と。
「――あそこか。削り落としてやる……」
あらぬ方向を見上げて呟く。それにつられて見れば、旧校舎の屋上で、自身の王が相手の王であるリアスと対峙しているのが目に映った。
そして――、『飴玉』が、弾き合いを始める。
バチ、バチバチ、バチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチ
そうしてぶつかり合うその見知らぬ力の余波が、槍のような形に変化してゆくのが目にわかる。それを目の当たりにして理解した。これは自分たちが立ち向かってはいけない相手だったのだと。
「星を削れ――」
そして、槍が、矛先を向けた。
「ブラックブラックジャベリンズ!!!」
「………………………………………………。本日のレーティングゲームは、両者引き分けとさせていただきます。ご観戦、マコトニアリガトウゴザイマシタ……」グレイフィアさんの宣言がむなしく響く。その気持ちよくわかるわ。俺らの目の前の画面には
~『魔術師・アクア』
出典・マテリアルパズル
飴を魔法に変える破壊の権化。飴玉一個で五十メートル級の大岩を粉砕できる魔法・スパイシードロップを行使する十歳程度の少女。今回のはそれらの破壊力をぶつけ合うことで相乗させる必殺魔法・ブラックブラックジャベリンズ。相手が死ぬ、どころではなく、下手をすれば星が削れる。直接破壊力ならナメック星でフ●ーザ様を圧倒したフルパワーの元気玉に相当するとかしないとか