或いはこんな織斑一夏   作:鱧ノ丈

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 次の更新はまた楯無ルートだと言ったな。あれは嘘だ。
騙して悪いが仕事なんでな――すみません石は投げないでください。

 いえ、本当に申し訳ないです。
ただ楯無ルート、話の続きを考えてもこれが中々に纏まらず。
とりあえずこっちの方はスイスイ書けそうだったので、こうなったというわけです。平にご容赦を。

 今回は、強いて言うなら三巻後という感じでしょうか。
それでは、どぞ


第四巻相当
第三十九話 テストが嫌なのは学生の普遍的共通意識だと思う。異論は認めぬ


 一口に人生と言えどもそれは実に多様だ。

地球上に存在する全人口は凡そ六十億などと言われていたのも既に過去の話、そこへプラス十億をした凡そ七十億というのが現在の世界における総人口だ。

そしてその数十億にも存在する数多の人生において同じものなど一つもありはしない。もちろん、持って生まれた才能、育った環境や持ちうる財産などなど、人生を構成する要素が似通っているということは決して珍しいことではない。だがそれでも、まったく同じ人生などというものは一つ足りとて存在はせず、一人一人にオンリーワンの人生があることだけは、絶対とも言える世の摂理だ。

 

 さて、そんな人生ではあるが、過ごしていく中で避けることのできない出来事というものは往々にしてある。

極端な話だが、母の腹からこの世に生れ出る誕生、生命の灯が消え大地へと還る死、この二つはどんな人間も決して避けることができない、人生における二大儀式と言っても過言ではないだろう。

もちろん、前置きした通りにこれは極端な例である。だが、人生において何かしらそうしたものが付き物であるということはおそらく万人が理解や共感をできるところであろう。

 

 そして今、洋上に建てられた人工島(メガフロート)、その上で日々を過ごす少年――織斑一夏――もまたそうした避けられぬ人生の関門に直面していた。

只の高校一年生の男子、と言うには彼は些か特殊に過ぎている。世界で唯一の男性IS適合者、IS業界で雷名を轟かせた無双の女傑を実姉に持ち、更にはそのIS全ての生みの親とも知己。加えて彼自身の能力に目を向けて見れば僅か数カ月ながら各国の候補生にも劣らぬ実力を備えたIS乗りへとなり、ISに寄らぬ純粋な武芸においても確実にその年頃としては世界規模で上位に食い込む。

何も知らない、それこそ凡そ日本の学生のスタンダードとも言える生活を送っている同年代の少年少女らが聞けばまさしく特別とも言える存在だ。彼自身はそれを殊更に吹聴するような気質ではないが、特別であるということは自他共に認めざるを得ない事実だろう。

 だがそれほどまでに特別とも言える彼は今、学道に邁進する立場として避けられぬ壁に立ち向かっていた。

それは彼だけではない。彼と同じく、洋上の学び舎に籍を置く少女達も、全世界に存在する「学生」という立場にある者ならば誰もが直面する壁だ。

勿論、一人一人に違いはある。目覚ましい成績をたたき出す優等生も、教師すら匙を投げたくなる成績不振者も、裕福な家庭に育った者も決してそうとは言えない家庭に育った者も、男女も関係ない。

それに差し掛かる時期、その困難さはまた各々によって変わってくるものの、学生であるならばそれは決して避けては通れぬ試練である。

 

 

 その名は―――テスト。

 

 

 

 

「それでは試験終了です。後ろの席の人から回答用紙を前に回していって下さいね~」

 

 キーンコーンカーンコーンという、毎日定刻に同じリズムと同じ音階で鳴るチャイムと同時に一年一組試験監督を務めていた真耶が教室中に声を掛ける。

七月頭の波乱に満ちた臨海学校を終えてから丁度二週間程度、第三週が終わると同時にIS学園第一学期期末考査の学力考査が終了を迎えた。

数学や社会学、出身国に分かれた選択式外国語などの所謂通常の学校で言われる主要五教科にあたる科目に加え、IS学園ならではのISに関する各種理論などの専門科目を加えた試験は誰もがそれなりに負担に思っていたらしく、真耶の言葉で試験終了と相成った瞬間に教室のそこかしこからざわめきが上がる。

厳密にはまだ試験自体は終了してはおらず、この後土日の休日を挟んだ後にISの実機を用いての実技試験もあるのだが、それでも試験そのものに一区切りが付いたことに変わりはない。答案の回収のために自分が書いた紙を回しながら、あぁだったこうだったと試験を振り返る会話が織りなされていく。

 

「はい、皆さんお疲れ様でした。学力考査の結果は一週間後、実技試験が終わった後に皆さんに伝えられます。私は皆さんだったら補習のボーダーもクリアできていると信じているので、残る実技試験を落ち着いて、全力で頑張って下さいね」

 

 IS学園の学力試験は当然ながら成績不振者への補習を課している。しかしその基準は順位ではなく純粋な点数によって決められる。極端な話、点数さえボーダーをクリアしていれば学年最下位の順位でも補習は回避できるのだ。

そして生徒たちに残る実技試験へのエールを送った真耶が教室を出ると同時に、教室内のざわめきは一気に喧騒へと度合いを上げる。ある意味で女子らしいと言える光景、誰かの机の周囲に何人かでグループを形成し会話に興じるという光景が室内のあちこちで確認できるようになった。

そんな教室の中の一角、中央列最前部だけは他とは異なる空気が漂っていた。

 

「あ~……」

 

 当該のエリアに座席がある相川清香は何とも言えない表情で言葉を濁らせる。テストが一つの区切りを迎えたことについては他の級友同様に安堵などあるものの、それ以上に気になることが今の彼女にはあった。

チラリと、清香は隣の席の方へと視線を向ける。そこにある光景を見て更にコメントに困る。だが流石に無視もできそうにないので、意を決して清香は声を掛けることにした。

 

「え~と、織斑くん?」

 

 彼女の隣の席に坐する校内唯一の男子生徒、織斑一夏。席が隣ということやISの実機を用いた授業で彼と同じグループであることなどもあり、清香としてはクラスの中でも比較的交友が深い方だと思っているクラスメイトは――屍と化していた。

 

「……」

 

 常の毅然とした立ち居振る舞いからは想像もできないような、ダラリとした恰好で背もたれに身を委ね、虚空を見つめながら乾きに乾いた薄笑いを浮かべる様はまさしく燃え尽きたソレだ。これが漫画やアニメの類だったら「チ~ン」という仏壇の鐘を鳴らす擬音が添えられていること間違いなしだろう。

少し姿勢を変えて前のめり気味になったらなったで、どこぞのボクシングバンタム級東洋チャンプよろしく「燃え尽きたぜ、真っ白にな……」とかモノローグで言っていても良いだろう。要するに、日頃からは想像もつかない程に打ちのめされた姿ということだ。

 

「一夏は、大丈夫そうか?」

「あ、篠ノ之さん」

 

 どうしたものかと思案する清香に箒が声を掛けてくる。IS開発者から直接、少々悪い言い方になるがコネで最新鋭の専用機を受け取ったということで、臨海学校以後に陰で何かと言われることになった彼女だが、当の本人は知らぬ存ぜぬを通している。

清香自身、箒が専用機を受け取った場面や陰で言われるアレコレなどを見たり聞いたりしたため、やや思うところがあったこともあるが、、今では特に気にすることなく普通に接することができている。というより、一組自体がそういう雰囲気である。

臨海学校の後、箒自身も専用機を持つことで意識が変わったのか、今までにも増して日々の修練に取り組んでおり、それを目撃したクラスメイトが多いからこその自然な評価と言えるところだろう。その意識改革に伴ってか、妙に暑苦しかったり堅苦しかったりする珍妙なテンションに多々なるようになったのは、まぁご愛嬌だろうか。

 

「私もそれなりに苦戦はしたが、こいつの場合は更にだろうからな」

「まぁスタートが違うもんねぇ……」

 

 IS学園を志す生徒はその多くが早い者では小学生にあたる年齢からそれを見据えた学習を行っている。

学園側もそうした受験者、そこから選抜された生徒たちのそうした事前の学習を見越したうえで授業のカリキュラムを組んでいるのだが、それが一夏にとっては何よりの壁だった。

何せ一夏は受験シーズンに至るまで、あくまで普通の高校受験を見据えた勉強しかしていない。そこへいきなりIS学園への入学である。単純に積み重ねた土台が違うのだ。

勿論学園側、というよりは教師の方もそれは弁えており、副担任の真耶が主導となって個別の補習を行ったりもしてきた。だがそれだけでどうこうできるほど差は甘いものではなく、その現実をこのテストで彼は見事に叩きつけられたというわけである。

 

「そういえば篠ノ之さんはどうだったの? 確か篠ノ之さんもこっちに来させられたって前に言ってなかったっけ?」

「あぁ、そのことか」

 

 一夏とは経緯が異なるものの、箒もまたIS学園への入学を強制された立場にある。その詳細は、彼女の姉にあると言えばそれだけで凡その説明はつくだろう。

 

「私の場合は、これを幸いと言うべきかは分からないが、それなりに早い段階からその旨を伝えられていたからな。まだ対策を立てることはできたよ。

だが、私もまだまだだな。所詮流されるに従ってでは、自分の意思でこちら側に踏み込んできた皆とは差があるのだと痛感させられたよ」

「いや、そんなことは無いと思うけどなぁ」

「いやいや、それこそだ。まぁ私も一夏も、ひとまず補習のラインをクリアできれば御の字と言ったところだろう。少なくとも私は、今回はそれ以上は望まないよ。無論、次は今回以上を目指すがな」

 

 語る箒の眼差しは穏やかでありながらも強い意志の光を宿している。どこか頑なだった以前と比べて、何となく深みが出てきたというのが清香の何となくでの印象だった。

 

「で、問題はこっちなわけだが……」

 

 そこで箒は再び一夏に視線を戻す。いつの間にか一夏は机に突っ伏している。顔と机の間からブツブツとうめき声のような音が聞こえるあたり、彼の重傷具合が伺えるというものだ。

 

「大丈夫かなぁ、織斑君。半分壊れたスピーカーみたいだけど」

「まぁ健康面については心配ないだろうが……いや待て。壊れたスピーカーか。なるほど、妙案だ」

 

 一人したり顔で頷くと、何のことか分からずに首を傾げている清香に構わず箒は一夏の隣まで移動する。

 

「な、何するの?」

「いや何、単純な再起動だよ。壊れたスピーカー、実に良い例えだ。そして不調を起こした家電を直すのには、古くから日本に伝わる由緒正しい方法がある」

 

 言いながら箒は右手で手刀を形作り、はぁーと静かに息を吐く。その明らかな予備動作に何をしようとしているのか察した清香が慌てて止めようとするも時すでに遅しであった。

 

「奥義! 斜め四十五度お婆ちゃんの家電直しチョップ!」

 

 そんな取ってつけたような適当な技名と共に箒は手刀を振り下ろす。一夏の頭に直撃するのには一秒もかからない。だがその瞬間が清香には何故かスローモーションに見えた。理由なんて存在しない。強いて言えばその場の雰囲気とノリだ。

しかし振り下ろされた手刀は一夏の頭に当たることは無かった。外れたわけではない。それ以前だ。箒の手は彼の頭に届くことなく、その頭上数センチの所でピタリと停止していた。

箒自身が止めたわけではない。そもそも箒は本気で当てようとしていた。止める道理が無い。であれば、必然それは別の外的要因によるものだ。

 

「いきなり止めてくれ……」

 

 突っ伏したまま、どこか疲れ気味な声で一夏が言った。そしてダラリと垂れ下がっていたはずの右手はいつの間にか箒の右手首をガッチリと掴んでおり動きを完全に抑え込んでいる。

 

「うっそー……」

 

 欠片も想像していなかったぶっとんだ光景に清香はあんぐりと口を開ける。一夏は僅かにモゾモゾと身動ぎをすると、掴んだままの箒の手をどかしつつゆっくりと起き上った。

 

「箒、オレ一応グロッキーなんだけど」

「これぐらいできるなら全然大したことはないだろう。どうせこうなるだろうと予想はしていた。それに、一応復活したのなら私はそれで良い」

 

 パッと自身の右手を掴む一夏の手を振り払いながら箒は悪びれる様子を見せずに言う。それに一夏は何かを言いたそうにするが、それも億劫なのか小さくため息を吐くだけでそれ以上を言おうとはしなかった。

 

「で、どうなのだ実際? 随分と酷い様子だったが」

「どうもこうも、見ての通りだよ。一般科目は、まぁ中学の延長だ。まだ目はある方だと思ってるけどね。IS系の専門は、いかんな。お察しレベルだ。補習回避できればもうそれで良い」

「まぁ、私も似たようなものだからあまりとやかくは言えないがな……」

 

 そこで二人そろってハァとため息を吐きながら肩を落とす。

 

「クソッ、数馬さえいればこんなことにはならないのに……」

「それ、織斑君の友達?」

 

 聞き慣れない名前に問うてきた清香に一夏はそうだと頷く。箒も、そういえば以前に凰が一夏の親友として名前を挙げていたなと聞きながら思い出した。

 

「オレの親友だよ。それともう一人、本当に一番な親友さ。数馬、あいつ成績めちゃくちゃ良くてさ。中学の頃はテスト前にはよく世話になったよ」

「へぇ~。けど、それでもココのテストは厳しいんじゃないかなぁ?」

 

 清香は純粋に疑問としてそう思った。IS学園での学業、その主たるIS関連の授業とその内容は曲がりなりにも専門教育だ。どれだけ成績が良かろうと、それに接する機会が無い男子では厳しいのではないか、そう思っての発言であった。

一夏もそれを分かっているからこそ、少々親友が軽んじられているような言葉でも仕方がないと怒りはしない。する必要もない。何故なら彼には確信があるからだ。

 

「まぁゼロじゃ厳しいな、それは勿論。けどな、断言できるんだよ。あいつの頭は並じゃ無い。とりあえずはオレ達が普段から使ってる教科書や参考書、オプションに専門書でもポイと渡して放っておいてみろ。あっという間にオレらじゃ追いつけないレベルまで頭に叩き込んでくるぞ。あいつは、その辺の知識欲が凄いからな」

「ふ~ん」

 

 納得しているのか否か曖昧な清香だが、それも無理のないことだと一夏は思う。親友の凄さは実際に関わってみないと分からない。

 

「でも、無いものねだりしても仕方がないからな。それに、正直まるでゼロの状態から一応補習回避が狙えるレベルっていうのは我ながらよくできたものだと思うよ。山田先生には感謝だ」

 

 日々、放課後に時間を工面して補講をしてくれた真耶に一夏は胸中で深い感謝を示す。

色々と言い表す言葉はあるが、あえてシンプルに言うならば真耶は本当に良い人、良い教師であるというのが一夏の認識するところだ。少なくとも一夏の人生十五年と数カ月の中で、そのように思える人物に出会ったことは殆ど無い。

 

「まぁ、終わったことをあれこれ言っても仕方ないだろう。それより、もっと先を見るべきだと私は思うがな」

「それもそうだ」

 

 箒の言葉に一夏はごもっともと肩を竦めながら同意をする。同時に、言葉には出さないものの本当に前向きになったものだと、幼馴染の変化に感心をする。

 

「一夏、今日はどうするつもりだ? 私は道場で斎藤先輩と沖田先輩に稽古をつけてもらう予定だが、お前も加わるというなら歓迎するぞ」

「いや、悪いけど遠慮するよ。ちょっと別で考えていることがあってな。それをやりたい」

「そうか。なら仕方ないな」

 

 

 

 

 そうして適当なところで会話を切り上げて各々戻り支度を整える。残る試験は実技試験。専用機持ちは当然ながらに相応の結果を求められるために、それぞれがそれぞれのやり方で訓練に励んでいる。

それが今日の場合は箒は上級生との稽古、一夏の場合は自主練というわけである。

 

「そういえば箒、最近先輩とよく稽古しているよな」

「あぁ。私も、先日の件でとことん未熟を思い知ったからな。紅椿を使いこなすのは大事だが、何よりもまず私自身の成長が必要と踏んだまでだ。おそらく、半端な自力では紅椿を十全に扱うなど無理そうだからな。そういう点で、先輩との稽古は有意義だよ。剣士とIS乗り、双方で良い先輩方だ。ためになる」

「それは重畳。あぁ、だがな箒。オレを簡単に超えられると思うなよ? 悪いが、この間の件はオレも中々に堪えてね。あぁ、まだまだこれからさ」

「当然だな。むしろそうでなければ私も張り合いが無い」

 

 別々に訓練をすると言っても、校舎を出るまでの道のりは一緒だ。たまたま教室を出るタイミングが重なったために、二人はそのまま共に校舎を出ることにしていた。

 

「しかし先ほどの手刀を止めた時もそうだが、一夏。私の気のせいかもしれないが、臨海学校からこっち、技の冴えが増してないか?」

 

 ふと何気なく、会話を続けるために投げ掛けたつもりの問いだった。だが箒には予想外なことに、一夏は思いのほか深刻そうな表情になると静かに己の手を見つめた。

 

「……正直、自覚はある」

 

 夢と言える出来事であった故か、詳細はおぼろげになりつつもあるも、あの永久の夕焼けに照らされた砂浜での一連の流れは今も確かに覚えている。

箒に言った通り、臨海学校を終えてからというもの、自身の技、もっと言えば体を動かす時の自分自身の感触と言うべきだろうか。それがよりクリアなものになっているという実感があった。

そして何が切っ掛けかと問われれば、間違いなく夢での出来事だろう。変わったのは心持ちだけかと思いきや、一夏自身が驚くほどにそれはフィジカルへの影響もあった。

 

「まぁ、いっぺん手酷くやられて何か変なスイッチでも入ったんじゃないかな。今となっちゃむしろ好都合だよ。そういう点じゃ、福音(ヤツ)には感謝かな」

 

 だが夢の中のことは誰にも言えない。言ったところで信用などされるはずもないし、むしろ信用などされない方が良い内容だ。だから一夏は適当な言葉で流すことにしたのだが、今度は逆に箒が固い表情をしていた。

 

「ちょっとだけ、良いか?」

 

 そうして二人は校舎を出るための足を止め、廊下の一角で共に壁に背を預けながら話すことにした。

 

「一夏、先ほどお前は動きや技のキレが良くなった自覚があると言ったが、いや、お前なら気付いているだろう? 他の皆のことも」

「……まぁな」

 

 ここで言う皆とは、即ち一年における専用機持ちのことである。

 

「程度の差はあるけど、みんな明らかにその辺が前と違ってる。実際、この前の授業でも姉さんがその辺りを言っていた。オレの私見だけど、やっぱりそれなりの苦難を乗り越えての成長ってやつじゃないのかな?」

「なら良いのかもしれないが……」

 

 どうにも釈然としかねているような箒に一夏も気になり、何が気になっているのかを問う。

 

「あの戦いの後、私たち全員は丸一日の休息を貰っただろう? その時に、凰が私に話しかけてきてな。二人で話をしたのだが――」

 

 答える箒が語りだしたのは臨海学校三日目の最中のことだった。

 

 

 

 

 

 

 

「箒、ちょっと良い?」

「どうかしたのか?」

 

 三日目、休養を命じられた専用気持ちを除く全生徒が訓練のために出払っているころ、一人部屋で暇を持て余していた箒は唐突に訪ねてきた鈴を部屋に招き入れた。

 

「悪いわね、急に。ちょっとあんたに聞きたいことっていうか、話っていうか、そういうのがあってさ」

「話、か」

 

 とりあえずは簡単なもてなしでもと箒は部屋に備え付けられているティーセットで湯呑に居れた緑茶を二つ用意し、一つを鈴に渡す。

 

「ありがと。早速で悪いんだけどさ、箒。あんた、福音とやりあってた時どんな感じだった?」

「福音と?」

 

 思い返すのは激闘を繰り広げた宿敵のことだ。鈴がどういう意図を持ってその質問をしたのか分からなかったが、とりあえずは聞かれた通りに福音との戦いを思い出す。

 

「正直、どうと聞かれてもな。あの時は、ただただ必死だった。それだけだよ」

「そっか……」

 

 どうにも活気というものに欠けているような鈴の姿に流石の箒もおかしいと思った。

 

「何かあったのか?」

「いや、別に悪いことがあったってわけじゃないんだけど、ちょっとあたしの中でいまいち分かんない部分があってさ。それであんたに意見とかを聞きたいって思ったんだけど」

「それは構わないが、専門的なことになると無理だぞ。むしろその辺りはお前の方が上だろう」

「あ、うぅん大丈夫。えっとさ、何て言うのかな。福音と戦ってて、途中からあたしさ。妙な感覚だったのよ」

「妙な感覚?」

「そう。それが何なのか、本当に分かんない。けど、それでも敢えて一言で言うなら『万能感』よ」

「万能感?」

「そう。体が思い通りに、それ以上に動く。なんか周りが見えまくってて、全部どうとでもできて、頭はまっさらで福音倒すってことだけ考えられて。正直、あれが福音じゃなくてアンタや一夏や、他の候補生の連中が相手だったとしても負けない、誰にも止められない。そんな感覚。あんたは、そういうの分かる?」

「いや、知らん」

 

 即答する。実際知らないのだ。ならば適当な言葉で適当に答えるよりもスパッと言ってしまう方が良い。

箒の返答もある程度は予想していたのか、そうだよねーと鈴は軽く笑いながら言う。

 

「ただ、同じものかは知らないが、似たような経験は……あるかもしれない」

「マジ? え、なにそれ聞かせて」

 

 いつになく話に食いついてきた鈴に箒は若干たじろいだが、一応は話してみることにする。

 

「剣道のことだから少しイメージしにくいかもしれないが、本当にまれにだが、あるんだよ。こう、自然と面が入ると確信できる時が。ただそれもその時ではなく、試合で勝って、終わって、ふと思い返してその時初めて気づくという感じだ。そこで、じゃあどういう流れだったかを思い出そうとすると、それがなかなかできない。無心、というべきかな。あるいはそれに通じるものなのかもしれない」

「いや、結構参考になったわ。あんがと」

 

 そうして鈴は顎に手を当てると何か考え込むような仕草をする。

 

「何か、気になるのか?」

「うん、何て言うかね。ちょっとだけ、怖いっていうのかな」

「怖い、というのは、その福音と戦った時の感覚が?」

 

 うん、と頷く鈴に今度は箒が首を傾げた。怖いとはどういうことか。話を聞く限りでは高いパフォーマンスをたたき出せる良い傾向のはずだ。

 

「なんかね、本当に今になって振り返ってみて、それでやっと分かったって感じなんだけど、沈んでくのよ。どんどん深いところに、沈めば沈むほどにレベルが上がっていく。けど、そのまま沈み続けてどうなるかが分からない。もしかしたら、あたし自身がどうにかなっちゃうのかも、そう考えるとね」

 

 その不安に箒は何も答えることができなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と、いうことなのだが」

「なるほどなぁ」

 

 話を聞き終えて一夏も納得するように頷く。

 

「一夏、お前は分かるか?」

「う~ん、いやなぁ。前に、静と動の話をしたろ。オレは基本前者だから、そういういつも冷静にとか周りを見てとかはよくやってるけど、どうも話を聞くに違いそうだし。というか鈴は間違いなくオレとはタイプ違うよ。むしろ箒、お前と同じ側さ。もっと言えば野生動物の勘とかそういうの。

ランナーズハイとかって言うけど、それと同じじゃないかな? こう高まりまくって逆に落ち着いてくとか。オレも師匠に聞いて、ちょっと調べてみたけど、なんだっけな。なんか心理学関係で実際にスポーツ選手にもあるらしいぞ。そういうスーパーモード入るようなのが。それや、あとは箒が話した無心の境地だとか、そういう類じゃないのか?」

「やはりそこに落ち着くか。いや、すまないな。妙なことを聞いて」

「良いよ。オレも得るものはあった」

 

 言いながら一夏の眼は僅かに細められている。その奥に潜んだ眼光に、しかし箒は気付くことはなかった。

 

「正直、こうして話してみて、思い返して、それで思うんだよ。一夏、私も怖いのかもしれない。そうした果てに凰が、仲間が、友が、手の届かない遠くへ行ってしまうかもしれないということに」

「けど、それは結局鈴の問題だからな……」

 

 それしか一夏には言うことはできない。箒もそうだな、とどこか自嘲的に言うだけだった。

 

「すまない、時間を取らせてしまったな。行こう」

「ん、あぁ」

 

 そして二人は当初の予定通り校舎を出た所で別れ、各々の練習へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

(しかし、そっかぁ。鈴が……)

 

 練習の合間、首を回したり腕を伸ばしたりしながら一夏は箒の話を振り返っていた。アリーナとは違う、屋内施設での練習であるため周囲に自分以外はおらず、静かに思索にふけることができるからか、スイスイと考えが流れていく。

 

「けど、鈴に限った話じゃないんだよなぁ」

 

 箒も言っていたが、臨海学校を終えてからというもの、専用機持ちそれぞれの動きに磨きがかかりつつあるのは紛れもない事実なのだ。

セシリアの射撃は今まで以上に狙い澄まされたものとなり、鈴は先の箒が語ったように動きが俄然良くなっている。シャルロットも然り、時には意趣返しと言わんばかりにこちらの動きを真似てきたり、あるいはそれを応用してあっという間に対策を立てる。ラウラは明らかに見切りのレベルが増しており、極めて絶妙なタイミングでAICに引っ掛けようとしてくる。簪の戦術は更に巧妙かつ、一度嵌った後の対処の難易度まで上がっている始末。

箒にしても粗削りながらも日々動きに磨きがかかってきている。現実問題、専用機持ち間での模擬戦において、今まで一夏は全体で高めの勝率を維持していたものの、それがジワジワと追い上げられつつある。それこそ、焦燥や危機感を覚える程にだ。

 

「まぁ、その方がこっちも気合入るけどね」

 

 当然負けるのは嫌だし勝つ方が嬉しいに決まっている。しかしながらこれは最近のことだが、決して負けも悪いものではないとも思えるようになってきたのも事実だ。

気持ちの変化と言うべきだろうか。負けたら負けたで、今ではむしろ逆に冷静になって何が原因かを見つめ直すことができるし、そもそもにおいて自分が愛してやまない武の一環なのだ。どこに嫌う要素があるのかという話だ。

そればっかりで負け癖がついては本末転倒だからある程度は自制をするが、最近では形勢が不利な負け戦にこそ面白味を見出してきている。なまじISの特性上、強力な一撃を撃ちやすく、そこから一気に逆転劇へ持って行けた時など実に心が躍る。

要するに、ここ最近の箒ではないが、何事も前向きに受け止めていこうというわけである。

 

「やっぱり、肝は夏休みかな」

 

 おおよそ一カ月に渡る長期の休みだ。これを利用しない手は無いだろう。

まず第一の関門が補習を回避できているか否かだが、できていればもはやこっちの流れ。姉にどうにか調整をしてもらい、久方ぶりに師に稽古をつけてもらい自力の底上げを図る。

ISについては師を頼るわけにもいかないので、夏休み中の学園ではISに重きを置く。あとは、中学まであった夏休みの課題などという下劣畜生が無いのに浮かれて新学期に地獄を見無いような程度で勉強もしておけば何も問題はあるまい。

無論、親友との約束であるライブも忘れてはいけない。こればかりは中々に楽しみの比重が大きいから誰にも邪魔をさせるつもりはない。

 

「いやぁ、夏休みが楽しみですねぇ」

 

 まだ安泰な夏休みになると確定したわけでもないのにこの余裕ぶり、見事なまでの皮算用になっているが本人はまるで気付いていない。

 

「む?」

 

 ふと気になって時間を確認する。気が付けば申請していた訓練室の使用時間が残り十五分程度になっている。

よくよく考えてみてどうしていきなりこんな思考に耽っていたのかと思うと、案外終わりが近いから自然とクールダウンを始めていたのかもしれない。

使用時間の延長申請をしても良いのだが、正直手続きも面倒なのでやめておく。となると残りの十五分程度をどうするかになるのだが、そろそろ片づけをした方が良いのではと思う。

 

「これだものなぁ……」

 

 視線を向けた先にはバラバラに飛び散ったコンクリート片がある。元々は何の変哲もないブロックだったのだが、訓練によって見事に木端微塵と相成ったわけである。

正直ISをつけたままの方が片づけが楽なので、残り時間をこの片づけに充てて余裕を持って訓練室を出ることにした。

 

「まぁ、思いのほか早く成果は得られたしな……」

 

 コンクリートブロックを幾つも叩き壊したが、それに見合う成果はあった。元々ある程度できていた技の延長、もう一工夫を加えただけのものに過ぎない。

しかしそれでもこれだけ早くほぼ完成と言えるレベルに漕ぎ着けたのは一夏自身意外と言えば意外だった。思い返せば箒に、一夏もまた動きのキレが増していると言われたが、あるいはそれが影響しているのかもしれない。いずれにせよ良い傾向なのは確かだ。

 

「尤も、早々使うことなんざ無いだろうけど」

 

 砕いた破片の一つを掌中で弄びながらどこか自嘲的に言う。見る者が見れば破片の異常性に気付くだろう。

破片は全て外面に当たる部分に目立った損傷はない。それこそ、破片を集めて組み直せば元通りの綺麗なコンクリートブロックが組みあがるほどだ。

そして、珍しくこの訓練で一夏は剣を使っていない。ブロックは全て拳で砕いた。矛盾していると言えるだろう。拳でブロックを砕けば、絶対に外面部にその痕跡が残る。しかし現実として一夏の持つ破片にそれは無い。

理由はただ一つ、ブロックは全て内部から破砕されたからだ。

 徹し勁による内部への衝撃の浸透、それ自体は生身の時からそれなりに使え、ISを纏ってもそこそこにはできた。そして今日、それは更なる飛躍を見た。

それは良い。純粋に喜ばしいことなのだ。なのだが……

 

「いやぁ、ちょい気合い入れ過ぎたよなぁ」

 

 まさかまともに相手に当てたら内臓吹っ飛ばしかねない程になるとは予想もしていなかった。

ISのシールドは優秀だが、完全無欠ではない。特にIS同士でシールドが干渉し合い効力が薄れ気味になるクロスレンジで、更にシールドの効きを悪くする密着状態から、ISの重量とかPICを使った慣性制御とかISそもそもの重量だとかで、生身で放つよりも威力を跳ね上げた衝撃を人体に叩き込む。そしてそんなものが人体内部で広がれば――

 

「内臓ミンチ待った無しだなこりゃ」

 

 司法解剖をしたら下手なR-18指定のグロテスク画像よりも酷い有り様を目にすることになるかもしれない。そもそもにおいてこの技、その特性上足が接地状態にあるのが肝だ。限定された閉鎖空間内ならまだしも、宙もだだっ広いアリーナでは早々使えない。というかそこまで危ない技をアリーナを使うような模擬戦で使えるわけがない。もしもそれで万が一になれば、後々面倒だ。

 

「えーと、レンジがクソ短い、使用条件が結構キツイ、安全上あまり思い切り撃てない……産廃だろ」

 

 自分で考えて編み出した技なのにこの評価、しかしこう評価せざるを得ないくらいに改めて見直すと酷い有り様だった。

 

「まぁ、幾らかは空中戦でも応用効きそうだし、それが成果だな。それに――」

 

 使えるに越したことは無い。立場が立場だ。あまりあるのは望ましいとは言えないが、使い切り抜けなければいけない時があるかもしれない。そしてそういう時ならば、誰も咎めはしないだろう。

考え、やはり自分は外れていると再認する。結局、自分がこの技の一番の問題としているのは、それを向けた相手の結果ではなく、その更に後に待ち受ける諸々の面倒だ。相手の結果そのものにはまるで頓着をしていない。

だがそれが自分なのだと既に悟ってもいる。だから今更悩むことなど何もない。要は上手く折り合いをつけていけば良いだけなのだ。

 

「よし、こんなもんかな」

 

 一通り片付け終えた室内を見て大丈夫だろうと頷く。ISを装着しての訓練を想定しているだけに室内言えどもそれなりに広いが、片づけもISを使えばそれなりに早く終わる。

これが訓練機を用いての訓練ならばまた更にISの返還というプロセスが待っているが、白式は専用機なので待機形態に戻すだけでOKというのも楽で良い。申請時間の終了三分前、全ての片づけも終えて一夏は訓練室を出た。

 

 

 

「次は、ちゃんと空でも真っ当に使えそうなのを編み出さなきゃな」

 

 帰りの途につきながら一夏は今日の反省をする。いかに自前の技をベースにしているとしても、元々は地上で行うことが前提の技だ。それを空中用にチューンするというのは、今更分かり切っていることだが決して楽ではない。

理想としてはPICの制御を向上させて、技を振るうその瞬間だけ、地上同様の動きができるようにすることだ。無論、そちらの試みも試しているが、やはりまだまだだ。

 

「良いさ、それでこそ挑み甲斐がある」

 

 不可能さも感じてはいない。いずれ全てを物にできる。不思議とそんな予感があった。

 

「いっそ、オレの新流派でも開いてみるか?」

 

 織斑流空機動戦闘術なんていうのもアリだろう。というか、ある程度総合的な習熟に落ち着きを見たら本当にそんな具合で纏めてみるのも良いかもしれない。

姉は特にそういうことはしていないから、二番煎じとなるようなこともないだろう。考えて段々気分がウキウキしてくるのを感じる。

 

「目安は、みんなに勝率が安定する頃かな」

 

 自分自身の実力の指標として専用機持ちの学友たちは申し分ない。とりあえずはそちらの方面でも、一夏の内々で上手く利用させてもらうとすることにする。

 

「みんな、か……」

 

 再び箒との会話を思い出す。箒自身は専用機持ちそれぞれの急な変化に若干戸惑い気味だった。そこは一夏も分からないでもないのだが、そこでじゃあどれほどのものかとここ最近の専用機持ちを思い出すと、逆に違和感を感じないのだ。

確かに各々グイグイと今まで以上に伸びを見せている。だが、本来なら急な成長と言えるはずのソレが、不思議と自然に思えるのだ。

 

「なんだ……? いや、伸びてんのが自然なんじゃない。伸びた結果の今が自然、それが本来の……」

 

 感じた印象を確たるものにするために口に出す。だがそれでもブツブツと呟くばかりで結論は纏まりそうになかった。

結果として諦めたようにため息を吐いてそれ以上の考えを止めることにしたが、その直前でふと思いついたことが妙に頭にこびり付いて離れない。

 

「まぁオレもセンスある云々結構言われてるけど、もしかしなくても連中の方がよっぽどの天才じゃないの?」

 

 ヤッバーこれもっと着合い入れないとオレやばいパターンだわーと、思わず頬をひくつかせる。

とりあえずは、早く来い来い夏休み。そうしたらガッツリ修行やと一夏は一人静かに己に喝を入れるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ちなみに――

 

 期末試験全日程が終了した後の一組では、既に採点や集計の終わった学力考査の結果が各人に返されていた。

気になる一夏の結果についてだが……

 

一般科目(国語とか数学とか普通の高校でやるようなの):並 of the 並、どこまでも没個性、凡庸、存在感がミスディレクション

専門科目(ISに関する各種理論とか諸々):順位はお察しレベル、姉からのコメント「馬鹿でもISで戦える。だが、馬鹿では勝てん」

総合:上中下なら間違いなく下

 

結果:一部順位こそアレだったけど、何だかんだで補習のボーダーはクリア(でも結構ギリギリ)

 

裏話:一夏の補習回避が確定した時点で今年は補習受講者はほぼ無いものと教師陣の間で認識されていたりする。そのくらい特にIS関連科目がアレだった。

 

 

 このような感じになっている。

特に職員室で裏話のような内容の会話があったことなど露とも知らず、補習回避を知った一夏は結果の書かれた紙を天に掲げて「あんめいぞぉぉ、ぐろぉおりぁああす!」などと奇声を上げている姿が目撃されたとかされてないとか。

他にも、たまたま一組に突撃をかまし、偶然にも一夏のIS関連科目の点数を見てしまった鈴が、その点数に思わず爆笑したところ、割と本気で切れた一夏との壮絶な追いかけっこを繰り広げたり、一しきりの騒ぎが落ち着いた後、再び燃え尽きモードに入った一夏が、本人は純粋な感謝のつもりだったのだが「山田先生マジサイコーだわー。オレの中の良い女の人リストぶっちぎりトップだわー」などと言ったせいで「織斑一夏、まさかの教師ルート突入か!?」などという噂がまことしやかに囁かれたりするなどあったが、いずれにせよ無事に彼らの一学期は幕を閉じ、夏休みが始まることとなったのである。

 

 

 

 

 

 




 原作で言うなら四巻部分と言うべきなのでしょうが、本作では四巻相当という扱いにします。
とりあえずは小話みたいなのを単発的にポンポン出すような感じになるのかなと思っています。
真面目な話だったり馬鹿な話だったり、長かったり短かったり。割とその辺がいい加減な感じです。
だからその分、もうちょっと普段より早く……書けたらいいなとは思っています。

 ひとまず今回はこの辺で。
うし、フラグを立てた以上はいずれ何らかの形で他の専用機ズもババーンとできるような話を作らなきゃな(自分で首絞め

 それでは、また次回の更新の折に。
感想、ご意見は随時お受けしますのでドシドシどうぞ。こっちが多さに悲鳴あげるくらいにどうぞ。
まずもってそんなに来ることなど無いでしょうが(遠い目

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