IS学園VS学園都市   作:零番隊

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第6話 雷撃

一夏はISを展開し、相手を見回した。

怒りで平常心を失っていたが、改めて相手を見ると、今更だがおかしなことに気付く。

「何だ・・・・こいつら?」

異様な人物だ。そこにいるのは超大型ライフルを持ち、暗視ゴーグルの様な物をつけた中学生くらいの少女達だった。それだけでも異常だが、こいつらは全員がまったく同じ顔をしていた。

ゴーグルのせいで目元が見えないが、全く同じ顔をした人間が八人も存在している。

(・・・・八つ子?)

一瞬呆けるが、すぐにそんなことを考えてる場合じゃないと思い、相手を警戒する。

「お前たちが侵入者だな!簪はどこだ!簪に一体何をした!?」

                

簪の打鉄弐式は、まるで丁寧に一つ一つ分解したかのようにバラバラになっている。

「・・・・その質問に答える義理はありません、とミサカは回答を拒否します」

「そうかよ。なら、力づくでも聞き出してやる!」

一夏が目の前の女達に突っ込んでいく。

見たところISを装備しているようには見えない。

なら、ISを展開される前に一瞬で終わらせてやる。

普段ならISも装備していない女の子相手にISを使うのは気が引けるが、やっと完成した簪のISを破壊されたことで頭に血が上っていた。

それに、こいつは亡国機業の人間かもしれない。もちろん殺す気はない。相手を気絶させるなりして無力化すればいい。

一夏と八人の少女が対峙する。

少女たちは、八つの銃口を一夏に向ける。

―――ドガガガガガガガガガガガガガガガッ!!!

辺りに銃声が響き渡った。

学園都市製の対戦車ライフル『メタルイーターMX』をさらに改良した『メタルイーターM5』だ。二〇〇〇メートル先の戦車も破壊できるが、あまりにも強力な反動からフルオート機能は必要ないと言われた対戦車ライフルに、無理やり連射機能をつけたのが鋼鉄破り(メタルイーター)だ。ちなみに彼女たちは学習装置テスタメントを用いた情報入力と訓練により、メタルイーターの放つ衝撃を演算し、最も効率よく受け流している。

しかし、相手はIS。シールドを少しずつ削り取ることができても決定打にはならない。

実際、銃弾はシールドに阻まれ、白式の装甲は無傷だった。この程度の攻撃は問題ない。そう思っていた。

しかし・・・・

「ぐあっ!?」

次の瞬間、その考えは改められさせた。

ISのシールドバリアーが一瞬だけ乱された。

(一体何が!?)

すぐにISのステータス・パネルを開く。

『敵から特殊な電磁波の放出を確認。シールドバリアー展開に障害が発生しています』

(なっ!何だよそれは!?)

ISアーマーは、そのどれもが強固な装甲によって構成されている。しかし、アーマーにおおわれていない生身の部分を撃たれれば簡単に死んでしまう。もしシールドだけでなく、絶対防御さえも破られてしまえば・・・・殺すことは簡単だ。

一夏が距離を詰め、侵入者の一人に掴み掛った。しかし、少女に触れる寸前に、地面から現れた黒い壁が一夏をおおいつくした。

「なんだこれ!?」

突然現れた得体の知れない物に動揺した。

一夏は黒い壁に視界を埋め尽くされてしまう。

(視界が封じられた!)

ハイパーセンサーの位置情報補足も、おかしな電磁波のせいでいまいちうまく作動してくれない。

次の瞬間、無数の雷撃と弾丸が一夏に襲い掛かり、閃光と轟音が響き渡る。

シールドが一夏を守るが、またしても一瞬シールドが揺らぎ、弾丸が貫く。今は絶対防御に守られているが、衝撃までは消してくれない。

「くそっ!」

明らかに相手は対IS用の戦闘手段を持っている。

とにかくこの黒い壁を振り払おうとするが、しつこくまとわりついてくる。

その間にも、容赦なく攻撃は続く。

(これ以上はまずい!)

一夏は真上に飛び、黒い壁を振り切る。

その瞬間。八つの雷撃が、重なり合い一つの巨大な閃光となって一夏を飲み込む。

防御も回避も間に合わない。

(・・・ここまでなのか?)

あの雷撃はISのシールドを歪ませ、突き抜けてくる。

ISは耐えられても、操縦者の一夏は耐えられないだろう。

仮にこの一撃に耐え切ったとしても、自分は衝撃で動けなくなるだろう。

(また、負けるのかよ・・・)

 

その時、姉である千冬に言われた言葉が、走馬灯のように一夏の脳髄に響き渡った。

「奪われたくないのなら、奪わせない。奪われたのなら、取り返せ。

それが不可能なら可能に変えろ。それが運命なのなら運命を超えろ。

それが天の意思なのなら天を堕とせ。それが神の命なのなら神を殺せ!」

やだ・・・・・認めない、許さない、負けたくない!もう誰にも奪われたくないんだ!

「うおおおおおおお!!」

一夏は咆哮を上げ雪片弐型を構えた。

 

閃光が爆発し、轟音と共に衝撃が響き渡る

その轟音はビリビリと鼓膜を刺激して、衝撃は震えるように肌に響く。

その爆発が、砲撃の着弾を教え、

その手応えが、一撃が獲物に直撃した事を教えた。

 

(・・・・やりすぎました、とミサカは焦ります)

うっかり半殺ししてしまったか。

無表情でそんな事を考えていたが。

「!!」

そこで初めて彼女達の表情が変わった。

煙が晴れたそこには、

零落白夜(れいらくびゃくや)の輝きを纏う雪片弐型(ゆきひらにがた)を構えた一夏の姿だった。

「さあ、第二ラウンドを始めようか!」

反撃開始

 




えっ!?零落白夜で能力防げるの?と思うでしょうね。
たぶん本来なら不可能でしょうね。なぜ防げたか、ちゃんと理由はあるのでそのうち本編で説明されます。一夏がISを操縦できる理由に関係があるかも!?

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