私に友達ができないのはどう考えても幻想郷が悪い   作:puripoti

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第6話 Legendary Wind

 風見幽香は落ちていた。

 

 切り立つ崖から真っ逆さまに。重力の(かいな)(いだ)かれて。頭から。いま、また、まさに、落ちていた。

 

 翼を()かれ大空を()ちゆくイカロスのごとく───などと云えば少しは叙情的にでもなろうが、いかに言葉を飾ろうと遠まわしに表現しようと他人がこれを目にしたらどう控えめに見ても身投げとしか思うまい。

 

 とはいえ別に幽香とて、好きでこんな有り様になっているのではないし、ましてや、いつまでたっても友達ができない我が身をはかなんで・・・なんぞという理由からこんなことをしているのでもない。もしこの女の神経がその程度のものなら、幻想郷の住民など産まれて三日もしない内に片っ端から首を吊るなり舌を噛むなりしていることだろう。

 

 風見幽香ともあろう者が、何故(なぜ)にかような有り様になっているのかといえば、それは時を少しばかりさかのぼったところに端を発する。

 

   *

 

 風祝の少女に見送られ、守矢の神社を後にした幽香はついでの散歩がてら、ゆっくりと参道を降っていた。

 歩むところは道の端。参道の真中は神のみぞ渡る通り道、故に、参拝をするものは神に遠慮して端を歩かねばならぬと風祝の少女に教えてもらったのだ。

 

 道中はひたすらに静かだった。世界から音が失われたかのような静寂が幽香を包んでいる。

 

 それが何処であろうとも、いかなる所であろうとも、《神》おわします地は峻厳(しゅんげん)な雰囲気を醸し出すものなのか、人っ子一人猫の子一匹通らぬ神の住まいに通ずる道は、まるでここだけ時が凍りついているかのようにさえ感じられた。ひっきりなしに耳朶(じだ)を打っているはずの蝉の鳴き声さえ、何処とも知れぬ彼方───すなわち常世(とこよ)彼岸(ひがん)の《向こう側》からやってくるようだ。

 

 何本目かの鳥居をくぐり、幽香は視線を巡らせた。

 ここからだと、神社から少し外れたところにある湖が一望できる。でかい柱が何本も突き立ち、夏の陽光に輝くそれはなによりも幻想の地にこそ相応しい光景であった。

 

 道を中程まで過ぎたあたりであったか、ふいに、幽香の頬を風が撫でた。

 その風が何であるかを幽香は知っていた。陰鬱な季節の終わりを告げて、生命を運び薫る風。たとえそれがどれほど冷たくて、それがどれほど厳しかろうとも、肌身に感じた者すべて口元を緩ませずにはいられぬ、そんな風。

 

 さながら、生命の風が吹く場所かしら。典雅な美貌に笑みがかすめる。この女をよく知らぬものが見たのなら、己が眼を疑うほどにそれは無邪気な笑みであった。

 

 手にした日傘を“くるくるり”と玩び、幽香は石段を降る。

 

 しばらくすると、一人の女が参道を登ってくるのが見えた。

 幽香も女も、互いが眼に映らぬかのような足取りで距離を縮めていく。幽香は風に吹きゆく花びらのごとき軽やかさで、女は吹きすさぶ風さえ打ち砕くように石段を踏みしめて。

 

 そして同じ石段にて二人はすれ違い───立ち止まった。幽香は道の端、女は道の中央。

 

 参道の真中は神や渡りし通り道。なれば、この女こそは───

 

 どちらともなく向き合い会釈を交わす。幽香はオジギソウのように慎ましい一礼を。女は堂々たる目礼のみで応える。

 

 深山幽谷(しんざんゆうこく)に佇む湖畔のような女だった。それはただひたすらに静かで、深く、誰も彼をも受け入れるけれども、迂闊に踏み込んだものはその懐に沈みゆき、二度と戻ってはこられない。

 肩のあたりで思い切りよく揃えた、紫がかって視えるほどに艶やかな髪。目にしたものすべて、居住まいを正さずにはいられぬ眼光を湛えた瞳と凛々しい顔立ち。なにより、総身から発せられる衆生(しゅじょう)を平伏させずにはおかぬその威勢(あるいは威圧)は───

 

 女が口を開く。やや低めの、耳にした者の心に染み渡るような、声。

 

「参拝かしら」

「参拝ですの」

 

 ここに可愛い巫女さんと、素敵な神社があると聞きまして。それを聞いた女の目と口元が、こころなしか柔らかいものになったようだった。

 

「卒爾ながらお尋ねいたしますが、守矢の神様であらせられますの?」

 

 如何にも。女は、山坂と湖の権化は“ふわり”と笑ってみせた。ひととき、夏の蒸し暑さを忘れるほどに、それは涼やかな微笑みであった。

 

「そういう貴方は、風見幽香でよろしい?」

「ええ。お初にお目にかかります、山の神様───それともはるけき古の、風の神様?」

「どちらでも構いません。好きに呼ぶとよろしい」

 

 では、風の神様で。幽香は慇懃(いんぎん)に応える。この女も礼儀というものを知っていたのかと、これも人によっては目を剥きかねない光景だが、花にとっての風とはときに生命を伝えときに育む担い手のようなもの。故に無碍(むげ)には扱えない。まあ、下にも置かぬ扱いをしたとて、無慈悲に吹き散らされる場合も“まま”あるのだけれども。

 

「その名も高きフラワーマスターにお出向きいただけるとは、ウチの神社もまだまだ捨てたものではないらしい」

「ふらわあますたあ」

 

 幻想郷の津々浦々(つつうらうら)に響き渡る己の二つ名(悪名ともいう)、幽香はその響きを確かめるように口の中で小さく反芻した。

 

「なんですの、それ」

「なにもへったくれも、他でもない貴方の二つ名でしょうに。ご存じない?」

「初耳ですわ」

 

 この風見幽香、自分が周りからどう思わているか、そんなことに興味を抱ける女ではない(そこに気を回せる神経の持ち合わせがほんの少しでもあったなら、とっくに良き友人にも恵まれていたであろうが)。

 

「どうせならもっと友達の出来そうなアダ名の方がいいですわ」

 

 例えば『ゆうかりん』とか、どうでしょう。“ごねる”幽香。それを聞いた風の神は少し困ったような顔をした。

 

「どうでしょうと言われても。文句は里に出回ってる《幻想郷縁起》、その著者にでもどうぞ」

「私、里にはしばらくの間、出入り禁止を受けてますの」

「一体、何をやらかしたのやら。だったらそれが解かれるまでは、じっと我慢の子」

「そういたしましょう」

 

 ついでに、大人しくて優しい妖怪とでも記述を加えてくれるように著者に頼んでみよう。幽香は心に決めた。

 

   *

 

「ところでいかがでした、ウチの神社は?」

「よいところでしたわ。静かで、心地よい風が吹く」

「それは重畳」

 

 それに───幽香は“ちら”と視線を動かす。向かう先は石段の先にある守矢の神社。幽香の眼差しは、さながら季節外れの春告精が通った跡のようであった。

 

「いい子ですわね、あの子」

 

 呟きながら幽香が想い出すのは、そこで会話を交わした少女の姿。

 

 幻想の郷における恐怖と気紛れと理不尽とハタ迷惑の代名詞というべき女を前にしても、あの少女は最後まで臆すことなく、あくまでも対等の位をとって接していた。それは怖いもの知らずだからでも、ましてや無謀だからでもない。恐いものも怖ろしいという気持ちも怯えるという感情も、少女は知ってはいるようではあったが、それに屈することも囚われることもなく瞳はどこまでも真っ直ぐに、掴みとるべき未来だけを見据えていた。それも、つい最近までは鉄火場修羅場とは縁遠い世界で“のほほん”と暮らしていたはずの小娘が、だ。

 

 勇気こそ君よ───いと美しき言葉であるが、実践できる者がはて、この世にどれだけいたものか。まったく、こうやって思い起こすほどに大した娘だ。

 自分でも気が付かなかったことだが、ひょっとしたら幽香はああいう子に弱いのかもしれない。だとしたら……。

 

 ───あーあ、やっぱりあの子にお友達になって欲しかったなあ。惜しそうな目を神社へと向ける幽香を見て、破顔する古代の風神。

 

「そうでしょうとも。なにせ“私ら”の自慢の娘」

 

 満面に浮かんだ笑みは、戦神というよりもむしろ福の神が浮かべていそうなものだが、それもむべなるかな。子を褒められて悪い気がする『親』はいない。自慢の子ならなおさらだ。

 

 しかし太古より名を馳せた戦神という割には、ずいぶんとフランクな印象の神様だと幽香は思った。

 

「最近は厳かな雰囲気を見せるよりも、友達感覚の方が信仰を得やすいので」

 

 勿論、時と場合にもよりますが。風の神はウインクをくれた。茶目っ気に満ちたその仕草は、つい先ほど別れた少女によく似ていた。

 

「娘さんだったんですの?」

「一応言っときますが、私は未婚」

 

 まあ。幽香は口元に手を当て、優雅に笑った。

 

「血も繋がりもないのに娘ですか」

「血の繋がりごときで母娘の縁が決まるのですか? 初耳です」

 

 穏やかな口調で交わされる痛烈な皮肉と厭味の応酬である。もし彼女らの素性を知るものがここにいたとしたら、そいつは緊張と心労のあまり胃の腑に大穴を空ける羽目になっていたことだろう。

 

 しかし会話の内容はともかく、二つの影の間にあるのはどこまでも静かな空気と小春日和の気配だけであった。それはきっと、彼女らの話題にのった少女のお陰なのは間違いない。

 

「風の神様が“こちら”にいらしたのは、あの子の為なのですよね?」

「その通り───本人から聞きましたか」

 

 ええ。幽香は頷いた。

 

「とはいっても、最初はあの子まで連れてくるつもりではなかったのですけれど」

「あら、そうだったんですの」

「あの子が《外の世界》で《異端》の扱いを受けざるを得なかったのは、とどのつまりは過去から血肉に纏わりつく“私達”の存在があったればこそですもの」

 

 本来、私達が支払うべき過去の落とし前を関係のないあの娘に押し付けたようなものですか。自嘲する風の神。

 

 彼女らが、そんじょそこらの野良神であったならここまで話はこじれなかった。なまじ昔語りに残るほどの力と逸話を伴ったのが、不幸の始まりだ。姿形は消えたとしても、目にも聞こえず耳にも入らずとも、血肉に溶け込んだ畏怖の記憶が少女と、少女を取り巻く人々とを最悪の形で断絶させた。

 

 それらを帳消しにするには、自分達がただ消えるだけでは生ぬるい。かつて《外の世界》に確たる形を成して“在った”という痕跡の一切合財を、それこそ過去にまで遡って“なかったこと”にする必要があった。常識と非常識の境界、論理的側面から現世と幽世を分つる《博麗大結界》ならば、ミームの領域から自分達の存在を抹消することが出来るのだ。彼女らが《こちら側》にやってきた理由とは、実にそれであった。

 

 今を生きる生命の芽と、もはや花も咲かせぬ葉もつかぬ枯れ木───どちらを優先すべきかは言わずもがなでしょう? 風の神は話す内に気も晴れたのか、どこか“さばけた”様子を見せた。

 

 肝心なことを忘れています。幽香は言った。

 

「しかしあの子は“ここ”にいる。現し世に生きる《人間》ではなく、幽世の側の《存在》として在ることを選んだ」

 

 一度、幻想の側に取り込まれた人間が、元に戻れるかは不明である。

 

「そう、その通り。私達はあの子についてきてほしくはなかった」

「本当に?」

「本当に。ただ心の何処かで憶えてさえくれれば、それでよかった」

 

 本当に? 幽香は透き通るような表情で再度訊ねた。冷たくはないが暖かくもない、ただ底だけがまったく視えないその瞳。

 

 ややあって、こころもち目を逸らしながら風の神は答えた。

 

「嬉しかったのは、否定しませんよ」

 

 左様ですか。幽香は満足気に矛を収め───そして新たな矛を突きつけた。

 

「しかし、それとて長続きしないはず。いずれ訪れるであろう“終わり”の時に、貴女は一体どうなさるおつもりで?」

 

 さして永く、在れるわけでもないでしょうに。

 

 それはかの少女にも投げかけたものであった。幽香の関心を惹いてやまぬ少女、その親をもって任ずるこの女は果たしてどのような答えをよこすのか。

 

 風の神は笑みになりきれない、それでも優しい顔で言った。

 

「大丈夫。あの子か私達、どちらかが死ぬときまでは一緒に居ますから」

 

 子供の死を親が看取るというのは“あべこべ”もいいところ。だから、叶うなら───

 

 その先を聞く必要はなさそうだ。幽香は今度こそ矛を収めた。

 

   *

 

「そういえば、天狗のところにお出かけしていたのでしたっけ。交渉は上手くいきまして?」

 

 あまりよろしくはない。風の神は渋い顔を見せてぼやいた。

 

「相変わらずでしたよ。あいつら、こちらの主張に貸す耳も聞く耳も、持ち合わせていないようで」

 

 以前にも述べたが、『余所者立ち入るべからず』の看板を“でかでか”と掲げる妖怪の山、その頂に位置する守矢の神社は常日頃から参拝客不足を託つ羽目になっている。その状況を打破するべく、神社の側でも様々なアイデアを捻り出しているのだが、これが今一つ上手くいかないらしい。

 

「ついこの間の新聞にも掲載されていた『架空索道(ろーぷうぇい)』……でしたか、あれも結局は“おじゃん”になってしまったのでしたっけ」

 

 残念ですわ。幽香は呟いた。

 彼女が口にした架空索道とはロープで吊るした籠の中に人や荷物を載せて運ぶという代物だ。これなら参拝客が空中に浮かんでいるため、《山》に“足を踏み入れて”いないからセーフというわけだ。スケールがでかいだけで、やっている事は正直、寺子屋に通う子供ばりの屁理屈である。

 

「ええ。交渉に(あた)った大天狗が言うには、『籠の中のものをこちらに幾らか奉納するのなら、考えなくもない』とかなんとか」

「巻き上げるだけ巻き上げて、何もしないつもりなのが見え見えですわね」

「まったくもってその通り。連中の頑迷さには私としても辟易しています」

「本当に、残念」

 

 心底、残念そうな幽香であった。実は完成の暁には是非とも乗ってみたいと、密かに出来上がるのを心待ちにしていたのだ。

 

「連中が言うには、これも《天魔(てんま)》のご意向であるとかなんとか」

 

 《天魔》ねえ。その名を聞いた幽香は気の抜けた様な声で呟く。

 

「いもしない“もの”のために忠義を尽くすとは、天狗達も難儀なことですのね」

 

 侮蔑というにはあまりにも“どうでもよさげ”な声に、風の神の目が光る。

 かつて仇なす者共ことごとく、その名を耳にしただけで顔色なからしめたと謳われた荒ぶる風の残り香を、幽香はそこに嗅ぎとった。

 

   *

 

 天魔───妖怪の山を実質支配する天狗たち、その親玉である。

 

 曰く、神にも匹敵する力を持つと云われ、古来より天狗達を強力に統率してきた、伝説にのみ語らるる大天狗。

 その神通力(じんつうりき)は山をも貫き目ははるか千里を見通し耳は万里むこうの声さえ聞き分ける。膂力はまさしく千人力、腕を振るわば天地が震え足を踏みしめれば雲つく山をも鳴動させる。手にした団扇(うちわ)を一度振るったならば妖風大嵐(ようふうたいらん)を巻き起こしてあらゆるすべてを吹き散らし、背負う翼をはためかせたなら瞬きひとつで三千世界をひとっ飛び。

 

 まこと妖怪の山を支配する天狗達の頭領に相応しき、天狗の中の大天狗───それが天魔。

 

「いるわけないでしょう、そんな天狗」

 

 幽香は肩をすくめる。

 

「何故、そう言い切りますか」

「普通に考えれば誰でも判ります。だって、私でも判るくらいですもの」

 

 ふむ。風の神は目にしたものが総毛立つような眼光で幽香を貫いた。続けろ、ということらしい。

 

 では遠慮無く。それを気にした風もなく、幽香の説明は続く。

 

 おそらくだが『天魔』というのは、元は天狗達の長老なり総元締めなりを意味する役職名のことだったのだろう。選ばれる基準は知らないが、年功やら序列やらが妥当なところか。それが時が流れていくうちに、人の耳から耳に移っていくうちに、おかしな伝わり方をするようになった。手っ取り早くいうなら伝言ゲームのそれだ。最初のワードが奇々怪界だったのが何人目かで飛鳥&飛鳥になり、終いにはメガブラストに変わっていたとか。

 

 かくて年月を重ね世代を重ねする内に、いつしか人々の間で“妙ちきりん”な噂が立った。

 

 妖怪の山には強くて怖ろしい天狗がいる。その名は天魔、天狗達を束ねるとてもとても強くて怖ろしい天狗、と。

 

 そこに目をつけたのが他ならぬ天狗達であったわけだ。根も葉もないその噂を自ら肯定し、あるいは尾鰭をつけ、あるいは煽り(これらは天狗たちの得意分野でもある)、人々が思い描く『天魔』の形へ自分達に都合のいい肉付けを施した。

 これこそすなわち、神や妖怪が発生するプロセスに他ならぬ。

 

「天狗達の保身と打算、それらによって産み落とされた彼らの宗教とその神様───もしくは偶像───それが天魔の正体でしょうね」

 

 目的はおそらく幻想郷における主導権の確保。特に自分達がお山を掌握する上での一番の障害となるであろう鬼への対抗策か。

 

 だがその試みは、おそらく───

 

「失敗したのでしょうけれど」

「どうしてそう思う?」

「だって成功したのなら連中、大々的にアピールするでしょう。それをやらないということは……」

 

 失敗したか、あるいは彼らの思惑とは離れた形になったかのどちらかだろう。そもそも『神にも匹敵する力』を持つ妖怪なんて、幽香の知るかぎりでは一匹しかいないわけで。

 

「ああ、あれ」

「そう、あれ」

 

 頷きあう一柱と一匹。まあ神様にも上から下にピンからキリまで、それこそ天地万物森羅万象一切合切に比類も比肩もするものなしという(たか)くも高きお方もいれば、社も持てない野生の神様、(まつ)っているはずの神社の巫女さんが名前さえ知らないという有り様の神様までおわしますのだけれど。

 

「しかし期待しただけの強さを得られなかっただけで、《天魔》の名を冠する“それなりに”強力な妖怪は実在している可能性だってあるのでは?」

「それもないでしょう」

 

 幽香は取り付く島もなかった。

 

 幻想郷とは決して、その名前から連想されるような牧歌的ファンタジー世界というわけではない。むしろその内情あるいは内幕は、実に殺伐というか血生臭さいというか死体が山とまでいかなくとも丘くらいは築けそうなものだったりするのだ(そもそも妖怪の大半は『人喰い』なのだから、当たり前といえば当たり前なのだけれども)。

 そんな剣呑な地盤の上に構築された楼閣(ろうかく)のバランスが盤石なものであるとは口が裂けても言えるはずもなく、それこそ何かの拍子に“あっさり”と崩れだすことだって“まま”ある。誰の台詞であったか『砂上のバベル』とはよく言ったものだ。

 

 具体的な例をひとつ挙げる。

 

 少しばかり前の、スペルカードルールが制定されるより少しばかり前のことだ。幻想郷にやってきたばかりの吸血鬼が、考えもなしに大暴れしたという異変があった。名を《吸血鬼異変》。実にそのまんまな名前だ。

 

 結局この騒動自体は当時最も力のある妖怪連中(誰のことかはご想像いただきたい)が、力業で元凶を叩きのめして様々な禁止事項・協定を結んで和解と相成ったのだが、しかしそれら一連の異変解決に関わった者共の中に、天魔の名を見つけ出すことはできなかった。

 

 またそれ以前・以降にも色々な異変事件が幻想郷を襲ってはいるのだが、それらに際して天魔が動いたなどという話を幽香は聞いたことがない。自分よりも古参の妖怪ならば知っているのかもしれないが、残念ながらそういった話を聞かせてくれる伝手(つて)はない(友達どころかロクな知り合いもいないから)。これは一体どういうことか。

 

「それとも、さっき神様が口にした《幻想郷縁起》でしたか、それには書かれていましたか」

「ない」

 

 でしょうね。幽香が疑惑を確信に変えたのが、かくあろう守矢神社とその引っ越しに関わる一連の騒ぎである。

 

 彼女らが妖怪の山に“やってきた”時でさえ天狗達は、天魔は腰を上げなかった。本来ならば、お山を支配する彼らこそが真っ先に(正確には部外者が解決する前に)、事にあたるべきはずだったにも関わらず、だ。それどころか異変の解決さえ実質、麓の巫女や森の魔法使いに任せきりにするという有り様だ。一応、「調子に乗るようだったら排除する」と口にしてはいたようだが、それもどこまで本気だったことやら(実際問題として、それができたかどうかも怪しい。なにせ相手は古の時代に名を轟かせた本物の《神》様だ)。何人たりともお山に入るべからず───これが妖怪の山の不文律のはずではなかったか。これではあちこちで話が矛盾する。

 

 それ以前の話として、『天魔』という妖怪が凄い力を持っているという『風評』がどれほど伝わっても、その実情そのものはまったく伝わっていないのだ。

 

 ───どんな能力を持っているのか? どのような姿なのか? 背丈は、髪の色は、性別は男か女かあるいは“どちらも”か? まったく、誰も、何も、少しも、知らない。

 

 誰も彼もが褒めそやせども、伝わるのは名ばかり。誰も、何も、“そいつ”のことはなにひとつ知らない。そんなものを“いる”と考えるなんて無理な話だ。自分の目で耳で肌で、見て聞いて触れたわけでもないものの実在を信じる奴はいない。幻想郷のありとあらゆる《幻想の徒》は、人々が目で見、音に聞き、肌で触れられるがゆえに(実在が確たる形を纏って証明されているが故に)存在していられるのだ。その意味では幻想郷における《ファンタジー》とは実に即物的な一面を持っているとも言えるのだけど。

 

「そういえば、伝えられる情報の“あやふや”さを逆手に取って、自身の力の糧とする妖怪ってのもいたわね。何といったか、虎だったり鳥だったりするっていう未確認幻想飛行少女」

「ああ、“ちょっとばかり前”に、穴掘りが得意な検非違使(けびいし)に地面の底に埋め立てられていたあの()

「弓が得意なお侍ではなくて?」

「それこそいい加減な情報伝達によって、歪まされた言い伝えです」

「まるで実際に見ていたかのようにおっしゃる」

 

 だって私、その娘が生き埋めもとい封印されるところをこの目で見てますもの。幽香はなんてことのないように言った。

 

 巷に伝わる口伝によれば、“みなものとのなんちゃら”(どうでもよかったので覚えていない)とかいう天下無双にして万夫不当(ばんぷふとう)の豪傑が退治したとされる件の妖怪だが、それはまったくのでまかせ適当嘘八百である。実際にかの正体不明の妖怪を退治してのけたのは、いまや名前も定かではないただの下っ端官憲だったりする。使った武器は何の変哲もないただのシャベル───そしてわずかな知恵と小さな勇気だけ。

 “ただ”のつまらない人間が、どこにでもいる有象無象が、たったそれだけでいと怖ろしき妖かしに立ち向かい、ついには“ただ”であることを自ら否定することさえ出来た時代のことであった。

 

 じゃあ、それがなんだって現在伝わるような伝承となったのかといえば、それは偏に大人の事情と云うやつである。

 

 腕に覚えがある“つわもの”どもが音に聞こえし“もののふ”たちが、雁首揃えて手も足も出せずに終わった妖かしを討ち果たしたのが、こともあろうに一介の警吏(けいり)では格好も示しもつきゃしなということで、急遽、前述のストーリーが(でっ)ち上げられたのだ。なんでそこまでと思われるかもしれないが、けちな矜持些細(ささい)な面子つまらぬ体面取るにも足りぬ世間体が潰れた潰れないで誰ぞの首が飛頭蛮(ひとうばん)よろしくすっ飛ぶご時世のことだから仕方ない。

 

「だからあのお嬢さんを本気で退治しようと思ったら、その検非違使が使ってたシャベルだかスコップだかで掘った穴に埋めるか、さもなきゃ殴るのが一番なのです」

 

 事実は小説より奇なり、か。感慨深げな風の神。小説よりなど足下にも及ばぬどころか影さえ踏めえぬ、ヘンテコ不可思議奇怪千万な生き方を積み重ねた女の述懐には説得力があった。

 

 長い説明(しかも途中で脇道に逸れる)を聞き終えた風の神はやや疲れたような吐息を絞り出した。

 

「中々にユニークな『推測』でしたが……まさかそれを、他人に話したりはしてないでしょうね?」

 

 それこそまさか。幽香は“しずしず”と首を振った。この風見幽香、いちいち数え上げたら三日三晩はかかるほどに欠点欠陥の多い女だが、それでも他人の弱みを吹聴してまわるような趣味の持ち合わせだけはない。ましてや、それが自分にとって何ひとつの利さえもたらさぬとあればなおさらだ(もたらしたとしても、その気になれたかどうか)。

 

 それに、だ。幽香は意地悪そうな流し目を風の神へとくれた。どうせ、そちらでもとっくに察してらっしゃるのでしょう。そもそも“同じようなこと”ならば、身に覚えがあるでしょうに。

 

「あえて口にしないのは天狗達への『手札』を確保するためですの?」

「さて、どうでしょう」

 

 風の神は是とも否とも答えなかったが、幽香は追求をしなかった。所詮、自分が関われえぬ問題だ。

 

   *

 

 それからしばらくの間、にこやかに───その実、常人なら神経を磨り減らすような───歓談する一柱と一匹であったが、途中、不意に風の神がおかしなことを言ってきた。

 幽香の顔を“じぃっ”と見つめ、

 

「ふーむ」

「どうかしまして。私の顔に何か付いてますの?」

 

 ええ。“にこり”ともせずに言う風の神。

 

「“付いて”いるというよりは“憑いて”いますね。……貴女、ここに来る途中でおかしな“もの”に出くわしませんでしたか?」

「おかしなもの……厄神様とかですか」

 

 厄神というのは厄を呼びこみ厄を溜め込む神様のことだ。別名、疫病神(やくびょうがみ)。ちなみに、名前に《神》とついてはいるが実は神様ではなく、妖怪の一部であるらしい。近くにいるだけで人間だろうが妖怪だろうがお構いなしの無差別に片っ端から等しく不幸のズンドコに叩きこむという、様々な意味で幻想郷において一番恐れられている存在である(いざとなれば退治することも出来る妖怪と違い、不幸や厄病なんてもんは(はら)いようがないから)。もし万が一、姿を見かける羽目になったとしたら『えんがちょ』するくらいしか対策はない。

 

 とはいえ本人には悪気はなく、むしろ人に災いをもたらす厄を引き受けてくれるという実に有り難い御方なので、幻想郷の住人からは“ひっそり”と感謝されると同時に丁重なる無視をされている(意識の端に乗せるだけで厄を呼び込むかもしれないから)。

 

「でも私、ここに来る途中ではどなたとも出会いませんでしたよ」

 

 それはそうだろう。わざわざ好き好んで、この物理的疫病神と接点を持ちたがる奴なんていない。付け加えるなら、この女と違ってかの厄神様は空気の読める方なので、迂闊に誰かと接して厄を撒き散らさぬよう、主な出没地点は玄武の沢や無縁塚といった滅多に人が立ち入らぬ場所に限定している。

 

「だとするなら、これは……いや、待て……」

 

 何か思い当たるフシがあったのか、風の神は一人納得したような面持ちを見せた。

 

「もしかすると貴女、“あいつ”を───ウチの神社のもう一柱の気に障るようなことをなさいませんでしたか?」

 

 “あいつ”というのは、姿を見せずじまいだった土着神の頂点のことか。

 さて、どうだったかしら。心当たりがなかったので、幽香はとりあえず神社で起こったことをかいつまんで語った。

 

   *

 

「───なるほど、そういうことですか」

 

 事情を聞き終えた風の神は、得心いったとばかりに頷いてみせた。熟練の名医かのごとき、見るものを安心させるようなその仕草の中に、どこか、諦観のようなものが混じっているのは気のせいだろうか。

 

「なにかお判りで」

「何のことはありませんよ。あの子が見ず知らずの方と、貴方と仲良くしているのが気に入らなかったのでしょう。その悪感情が───」

 

 “もったいぶる”というより、口ごもるように言葉を切る風の神。

 

「悪感情が、なんです?」

「まあ、その…………《祟り》として貴方に纏わりついているのです」

 

 風の神は実に碌でもないことを言った。

 幽香は“ぽかん”と口を開けるばかりである。

 

 どこの世界に、そんな理由で祟るような神がいるというのか───言いかけて幽香は口をつぐんだ。この世に蔓延る神話をよくよく紐解けば、結構な数のこれまた結構お偉い神様が、さらに輪をかけて程度の低い理由から、祟り災厄天変地異を「これでもか」とばかりに大盤振る舞いしているのだ。なら、こんな《祟り》があってもおかしくはない。

 

 気まずいというより、呆れたような空気を払拭するように、風の神が口を開く。

 

「口でなんと言おうとも、あいつは昔からあの子に甘い。今だって、きっと血相を変えて貴方に何かされなかったか、あの子に尋ねていることでしょう」

「甘いのは貴女もご同様とお見受けいたしますが」

「否定しきれないのが情けないですね」

「でも困りましたわ。このままじゃ“おちおち”、友達も探しにいけません。風の神様ではこの《祟り》をどうにかできませんの?」

 

 ムリ。短く答えて風の神は、処置なしとばかりに首を振った。

 

「私とあいつ、国譲りにまつわる話は知ってますね?」

「ある程度までは。かつて、守矢の神社の“本来の主”が治めていたとされる国、そこに攻め入り平らげてしまったのが貴女なのでしたっけ」

「いかにも。しかし“あいつ”の引き連れた祟り神への恐怖から、人々は新しい神を受け入れようとはしなかった」

 

 それが《神》の本意であったかどうかはさておき、一体どれほどの畏怖と恐怖とが人々を縛り付けていたのか。幽香には想像もつかない。

 判ることはただひとつ、その逸話によって彼女達との関係に、一つの因果が括られた。

 

「そういうこと。真っ向からの殴り合いはいざ知らず、《神》の本質において私はあいつに及ばない」

 

 ついでに言うとこの国の《神》なんて連中は所詮、どいつもこいつも根っこの部分は祟り神。どうあっても、根本的な“括り”としてそっちが優先されてしまう。

 近世における功利主義の生み出したものではない、原初の神々としての“それ”。すなわち祟り神、荒ぶる神、禍つの神としてのそれ。《祟り》をもって人を平伏させる、あるいは《祟る》くらいしか取り柄のない、ご大層な肩書を持つ大きな迷惑としてのそれである。

 

 “それ”を人々は《神》と呼び、(おそ)()()(たてまつ)っていたのだ。願うことはただひとつ───(あが)めてやるからどうか何もしてくれるな。

 

「したがって、私ではどうにもならない」

 

 困りましたわねえ。微塵も困っていなさそうにぼやく幽香。それを感心したような面持ちで風の神は眺めた。

 

「それでも大したものです。あいつの《祟り》というのは並みの者では、それこそ人間どころか妖怪だって“あてられた”だけで気死しかねないというのに」

 

 なのに幽香ときたら平気の平左ときたものである。神の瞳に浮かぶのは紛うことなき感嘆であった。

 

「よほど幸運の星の下に生まれついたのか、はたまたそれに抗うだけのものを“積み上げて”きたのか───」

 

 ───さて“どちら”かな。興味深げな風の神。

 ───さあ“どちら”でも。興味なさげな花妖怪。

 

「ところでその祟りですけれど、具体的にはどのような形で振りかかるのでしょうね?」

 

 ふむ。風の神は形のよい顎に手を当てしばし考えこみ、

 

「そこまで根が深いものじゃないでしょうから、一度か二度、ちょいとした不運に遭うくらいで済むでしょう」

 

 具体的には、歩いてる途中で転んだり足を滑らせたり泥をはねたり落とし穴にはまったり包丁で指を切ったり夕餉(ゆうげ)を不味く感じたり食あたりをしたり箪笥の角に足をぶつけたり豆腐の角に頭をぶつけたりとか。

 

「まあ怖い恐い。精々、気をつけるなり身を慎むなりいたしましょうか」

 

 そうしておくがよろしい。神妙な顔で風の神は頷いた。

 

「ついでにアドバイスをひとつ。ここから少し離れたところにある竹林、なんでもあそこに幸運をもたらす兎がいるとか。そいつを見つけて、運気を上げるというのはいかが」

「ご自分では、幸を授けてはくれないのですね」

 

 ふふん。皮肉ともとれるつぶやきを風の神は鼻で笑った。他の者なら癇に障るような仕草であっても、見惚れるほどに様になるのはさすが《神》様である。

 

「神は自らを助くるものにしか力を貸さないのです」

 

   *

 

 風の神と別れた後、“あちらこちら”に道草しつつ、お山の中腹まで歩を進めた幽香は、そこでふとした違和感に気がついた───この道って、さっきも通らなかったかしら。

 

 というよりも、家に帰るためには山道を『降りていく』はずなのに、さっきから自分は山を『登っている』ではないか。来た路は確かに間違っていないはず・・・なのにまったく帰れる気配がない。これは一体どうしたことだろう。

 幽香は立ち止まり、小首を傾げる。

 

 ───狸にでも化かされているのかしら?

 

 それにしては、化かされているときに特有の違和感が少なすぎる。精神や神経系に作用するタイプのものにせよ、あるいはさらに高度な空間に干渉するタイプであるにせよ、人を惑わせる類の術というのは、注意していればどこかしらに拭い切れない現実との相違を見受けることが出来るのだが、それがまったく存在しない。どこまでも“自然”なのだ。

 

 そもそも、風見幽香を騙くらかすことが出来る化け狸など、つい最近《外の世界》からやってきたという佐渡の古狸くらいなものである。しかしそんな大物が、わざわざこんなお山くんだりまで、花妖怪一匹を惑わすために足を運ぶとは考えにくい。狐にいたっては論外だ。アレはそんな真似ができるほどヒマではないし、酔狂でもない。

 

 では、一体何者の仕業だろうかと考えようとして、幽香は止めた。心当たりがありすぎる。この幻想郷で、自分に悪意敵意を抱くものなど数え上げたらキリがない。害意殺意を抱くものだって両手両足の指の数で足りるかどうか。

 

 普通ならここで不安に駆られ、怯えた様子のひとつも見せるのであろうが、そこは風見幽香である。いつもと変わらぬ、何を考えているのか掴めない顔で周囲を見渡してから再び歩き出した。これが誰の仕業か知らないが、放っておけば向こうの方で勝手に飽きて術を解くだろうと思い直したのだ。

 

 そして一歩を踏み出した幽香だったが、その身体が急に前へと“のめった”。まるで、切り立つ崖のてっぺんでバランスを崩したように。

 

 幽香はとっさに体勢を立て直そうと逆の足を前に出すも───なんということであろうか、今度は足元の地面が“消えて無くなった。

 “やや”驚きながら周囲を確認すると、ご丁寧なことにいつの間にやら周りの景色まで一変していた。どうやらさっきまで自分が突っ立っていたのは───切り立つ崖のてっぺんであったらしい。自分は今まさに、そこから足を踏み外しているというわけだ。

 

 あらら、これが祟りということかしら。

 

 のんきに呟きながら、風見幽香は落ちていった。

 

   *

 

 ───で、話は冒頭に戻り、かくの如き有り様である。

 

 幽香は崖の上へと目を向けた。こちらを見下ろし宙に浮かぶ、3つの小さな影が見える。小柄な背丈と背中に蝶々のような羽を持つ少女達───妖精だ。

 どうやらあの少女達の悪戯に引っかかったらしい。妖精による邪気なき悪戯は、ときとして洒落にならない被害をもたらす。

 

 崖下へと落ちゆく幽香を指さし、少女達は「やーい、ひっかかったひっかかった」だの「ばーか、ばあか」だのと好き勝手放題を言っている。

 

 幽香としては今さらこれくらいで腹を立てたりはしないが、しかしやられたことはやり返さなければならない。良いことならば良いことで、悪いことなら悪いことで、可能ならば利子を付けて。世の中が上手く回るコツである。

 

 幽香は右の人差し指の爪を親指の腹にあてた。

 

 軽くひと撫ですると、軌跡をなぞるようにして血が(たま)を結ぶ。梔子(クチナシ)の花さえ霞むほどの白い玉肌に浮かんだそれは、さながら紅玉の如き輝きさえともなって掌へと零れ落ち、またたく間に赤青黄白紫橙桃───色とりどりの花びらとなっていく。彼女は花の妖かし、その身に流れる血が花に変じたところで何の不思議があろう。

 

 花びらが手のひらにいっぱいになったところで、幽香はそれを口元にもっていき“ふう”と一息、吹きかけた。

 

 “かげろう”の薄羽さえ震わせえぬと思われる“ひそやかな”吐息に押され、花びらは瀑布(ばくふ)の如き弾幕となって三匹の妖精たちを飲み込んだ。




登場人物

風見幽香

備考───ゆうかりんと呼んで

風の神様

備考───薄い本があまり見つからない

あいつ

備考───『こいつ』の2Pカラー

三匹の妖精

備考───サニーレタスとルナチタニウム、あとスターフォックスだっけ? よく憶えてねえや

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