【完結】死んで生まれて魔法学校   作:冬月之雪猫

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第一章【賢者の石】
第一話「死んで生まれて」


 体の震えが止まらない。

 俺は廃ビルの屋上に居た。

 手摺りの外側に立ち、眼下に広がる町並みを見下ろしている。

 決めた筈なのに、決心が揺らいだ。

 

第一話「死んで生まれて」

 

 ただ、友達が欲しかっただけだった。

 小学校の頃、親に言われるがままに外で友達と遊ぶ事もしないで塾やお稽古ばかりしていた。放課後に遊びに出掛けた記憶は無い。遠足や林間学校なんかの旅行に行く時の班決めではいつもあまって、嫌そうな顔をする同級生の中になんとか入れてもらっていた。

 私立の中学に通うようになっても友達は出来ず、部活動も馴染めずに一年も経たずに止めてしまった。

 学校に行き、帰って来たら塾に行くか、家の中で本を読んだり、漫画を読んだり、パソコンを弄ったり、テレビを観たり、ただ虚しく人生を送っていた。

 俺は耐え切れなくなった。中高一貫校だったのに、別の高校を受験して、再スタートをしても結局人との付き合い方が分からず、友達が出来なかった。どうにかグループに入れてもらおうとしたけれど、出来たのは虐める側と虐められる側という関係だけだった。勿論、俺は虐められる側だ。

 学校で虐められて、塾で些細なミスで叱られて、家で平均点以上の答案を見せても叱られて、自分は何なんだろうと思った。

 

 誰でもいいから友達が欲しかった。その日も虐める側の少年に付いていった。いつも殴られて、馬鹿にされて、それでも一番近い距離に居たのがその少年だった。

 囲まれて、少年達の日常でのストレスの発散の為のサンドバッグになって、全身が痛かった。家に帰ると、親に叱られた。塾を生まれて初めてズル休みしたからだった。怪我をしている事に親は何も言わなかった。いつもなら、別になんとも思わなかった。ちょっと寂しいと思うくらいだった筈だ。だけど、全身の激しい痛みで少しだけ心が弱くなっていたのだと思う。

 

 俺は深く呼吸をした。目を瞑って、そのまま手摺りを離す。ただそれだけの作業が酷く難しかった。まるで磁石の様に俺の手は手摺りにくっ付いて離れない。

 

「情け無いなぁ。最後くらいは潔くしたいのに……」

 

 俺は苦笑いを浮かべた。それから何分経ったのか分からない。高い金属音が俺の背中を押してくれた。音に驚き、俺は手を手摺りから離し、バランスを崩した。最後に見たのはあの少年だった。

 どうして、こんな所に来たのだろう?

 不思議な程に時間がゆっくりに感じた。俺を虐めていた少年は必死な顔をして俺の方に走って来る。何かを叫んでいる。混乱しているせいか、彼の言葉が理解出来なかった。ただ、俺は彼に一つだけ伝えたかった。

 

「……ありがとう」

 

 俺の背中を押してくれて……。ネットで読んだ事は事実だった。落ちながら、俺はスッと意識が遠のくのを感じ、身を任せた。痛いのはやっぱり嫌だから、即死がいい。気を失っている間に死にたい。

 

 俺は生まれ変わった。自覚したのは四歳の時だった。それまでは夢を見ているのだろうと思っていた。最初の頃は――目がまだ開いていなかったから――真っ暗闇が延々と続き、奇妙な音が無数に聞こえた。

 ぼんやりと光が見え始め、光に色が現れると、その色を求めた。ここでやはり自分は夢を見ているのだと思った。身体がまったく動かなかったのだ。

 景色がクッキリと見え始めると、だんだんと現実感を覚え始めたが、それも僅かばかりだった。身体はやはりうまく動かせず、時折驚くほど巨大な人間が自分の身体を抱きかかえるのだ。

 決して身長の低くなかった俺をやすやすと持ち上げたのはなんと女性だった。豊かなブロンドの髪と翠色の優しげな瞳が印象的な女性だったが口から零れるのは意味不明な音の羅列だった。それが英語だと理解出来たのが四歳になった日だった。

 俺の新しい――もちろん、生まれ変わってからは始めての――母親が庭に咲き乱れるバラを見せてくれた。

 

「happy birthday」

 

 俺の新しい母親は“Юлий”と刻まれた木の看板の差してある花壇のバラを指差しながら言った。ニッコリと目の前のバラのように華やかな笑みを浮かべる母親に俺は笑みを返した。

 英語だと理解出来なかった理由はここがイギリス――正確にはウェールズ――だった事が大きい。イギリスの英語は地方や階級によって大きく変わる――イギリスほど訛りが酷い国もそうそう無いとまで言われてる。

 俺が英語で短く“ありがとう”を伝えると、母親は感激して父親を呼びに行ってしまった。どうやら、四歳になってもまともに言葉を話せない俺をずいぶんと心配していたらしい。短く挨拶をすると父親は大喜びした。

 英語だとわかって勉強すると、生まれ変わる前の知識と母親――最近はママ(MaMa)と呼んでいる――の熱心な教えのおかげで一年でまともな会話が出来るようになった。しばらくして、あの花壇の看板に刻まれた文字がロシア語で“ユーリィ”と読む事とそれが自分の名前である事を初めて知った。

 六歳になると、日常的な会話に不自由は無くなった。母がロシア人だと聞いて、ロシア語も学ばないといけないのかと不安だったけれど、母は英語が堪能でその必要は無かった。と言っても、母が時々ロシア語を教えようと躍起になるので、ちょっとずつ単語を覚えるようにして母を喜ばせているけれど。

 俺の新しい母であるソフィーヤはその名の通りまさに知性に富んだ素晴らしい女性だ、と新しい父はいつも言っている。そういう父のジェイコブの事をソーニャはいつも笑顔のチャーミングなジェイクと呼んでいる。

 ソーニャとジェイクは俺の事をとても大切にしてくれている。いつだって、二人の深い愛情を感じる事が出来る。生まれ変わる前の両親の事も嫌いになりきれずに居るけど、ちょっとの事で大袈裟に喜んだり褒めてくれる二人の事を両親と呼べる事を俺は幸せに思っている。

 嘗ての両親の事やクラスメイト達の事は極力考えないようにしている。昔を思い出さないようにするのは簡単な事だった。生前の人生を含めてもこれ以上ない程夢中になれるものがみつかったからだ。

 

「魔法……か」

 

 魔法。生まれ変わる前、ソレは小説や映画の中でしか見た事の無かったファンタジーだった。ソレを両親は当たり前のように使っていた。洋服を畳んだり、鍋を回す日常に密着した呪文から庭先に居る小人を追い払うちょっと乱暴な呪文までその種類は千差万別。

 二人とも魔法を言葉と同じくらい熱心に教えてくれた。二人が喜ぶ顔が見たくて、俺も必死に頑張った。発音の仕方が凄くシビアで難しかったけれど、魔法を使う事事態が楽しくて、モチベーションはいつも上がりっぱなしだった。

 だけど、ここはただ魔法のあるファンタジーな世界じゃなかった。最初に違和感があったのは一つの呪文だった。

【ウィンガーディアム・レビオーサ】

 物体浮遊の呪文だ。この呪文を俺は生前から知っていた。勿論、使った事があるわけじゃない。その呪文は小説の中のものだった。

 ハリーポッターという小説があった。世界中に大ブームを起こしたその小説の中にこの呪文は登場する。

 勿論、この呪文だけなら偶然と考える事も出来た。けれど、物語に登場した呪文はこれだけでは無かった。

 極めつけは十歳の誕生日の日に言われたソーニャの言葉だった。

 

「来年、ユーリィも魔法学校に入学ね」

 

 誕生日のプレゼントの包みを空けている俺にソーニャは言った。

 

「魔法学校?」

 

 俺が首を傾げると、ジェイクは杖を一振りして、幾つかの羊皮紙をテーブルに運んできた。

 

「11歳になった魔法界の子供は魔法学校に通うのが習わしなんだ」

「ちなみにママとパパはホグワーツ魔法魔術学校だったわ」

 

 その言葉が決定打となった。ホグワーツ。その名前もまた、ハリーポッターの小説に登場している。主人公のハリーが入学する魔法学校の名前だ。

 興奮があった。ハリーポッターを読む事は生前の数少ない楽しみの一つだったし、物語に登場するお菓子や魔法の街に興味津々だったからだ。

 同じくらい、恐怖があった。ハリーポッターは夢と希望に満ち溢れた作品とは言えない面がある。その最たるものがヴォルデモートという悪の魔法使いだ。

 彼の事は二人の口からも幾度と無く語られた。多くの人を殺し、苦しめた彼の存在はただ平凡に暮らす一般人の命をも脅かす危険がある。それに、彼には多くの信奉者が居た。死喰い人と呼ばれる彼等もまた、ヴォルデモート同様の脅威を齎す。

 今年は1990年。ヴォルデモートがハリーポッターによって滅ぼされるのは1998年の事だから、まだ、ヴォルデモートはどこかで息を顰めている筈。というか、来年、ヴォルデモートは闇の魔術に対する防衛術の教員であるクィリナス・クィレル教諭の後頭部に憑依している筈だ。

 本の中で一年目に犠牲になった人は居ない。けれど、確実に安全とは言えない。一年目を無事に乗り切ったとして、二年目にはバジリスクが校内を徘徊し、三年目は吸魂鬼に取り囲まれる。四年目には死喰い人が教師に成りすますし、ヴォルデモートが復活してしまう。そこから先は魔法界全体を巻き込んだ戦争の開幕だ。

 かと言って、他の魔法学校に行けばいいかと言われれば安易に頷く事は出来ない。例えば、ダームストラング専門学校やボーバトン魔法アカデミーという学校もあるけれど、魔法界の戦争が開始されたら危険度はホグワーツと変わらない。むしろ、ダームストラングは死喰い人が校長をしている分より危ないかもしれないし、ボーバトンは小説では男子も居たけれど、映画だと女子校だったから、男の俺だと入学できない可能性がある。

 いや、それは言い訳かもしれない。正直に言えば、危険性はホグワーツに比べたら両校共にずっと安全なのだろう。だけど、物語の舞台であるホグワーツに危険と知りながら入学したいという気持ちがあるのだ。物語の登場人物達に会いたい。ホグワーツを探検したい。そんな気持ちが理性を覆い隠してしまう。

 

「ホグワーツに入学したら、初めに組み分けがあるんだ」

 

 考え込んでいる間、ジェイクはホグワーツの事を懸命に教えてくれていた。慌てて耳を傾けると、ジェイクは羊皮紙に描かれた四つの寮の紋章を指差した。

 

「ホグワーツには四つの寮があって、僕はハッフルパフで、ソーニャはレイブンクローだった。他にもグリフィンドールとスリザリンという寮がある」

「パパのハッフルパフは優しい人が集まる寮なのよ。そこでパパは首席だったんだから」

 

 自慢気に言うソーニャにジェイクは顔を赤くしながら頬を緩ませた。いつ見ても熱々な二人だ。

 

「ママの寮は知恵ある者が選ばれる寮なんだ。僕としてはユーリィにはそっちに入って欲しいかな。ハッフルパフはその……」

 

 落ち零れの寮って言われてるから、とジェイクが小声で言うのが聞こえた。すると、ソーニャはジェイクの頭を優しく抱きしめた。

 

「落ち零れなもんですか。それは真に人の価値を見る事の出来ない愚か者が広めたデマカセよ。私が知るハッフルパフの生徒は皆誠実で優しく、人の心を思いやる勇気と知恵を併せ持つ人達ばかりだったわ」

「でも……、クィディッチで優勝した事も無いし……」

 

 ちょっと卑屈になっているジェイクにソーニャは悪戯っぽく笑った。

 

「あらあら、レイブンクローの私が選んだ貴方が落ち零れの筈が無いわ。“知恵ある者”が選んだ人なのよ?」

「君には叶わないな……」

 

 クスクスと笑うソーニャにジェイクは降参だと肩を竦めてソーニャの頬にキスをした。生前でもこんな熱愛カップルは見た事が無い。

 

「ママはどこの寮に入ってもユーリィなら上手くやっていけると思うわ」

「“知恵ある者”の言葉なんだから、間違いないね」

 

 ニヤリと笑みを浮かべて言うジェイクに俺とソーニャは思わず噴出してしまった。

 その時、チャイムの音が鳴り響いた。

 

「誰かしら?」

 

 ソーニャが玄関に行くと、少ししてソーニャが俺を呼んだ。何事かと玄関に顔を出すと、俺は思わず顔を輝かせた。

 

「アル!!」

 

 玄関には大きな袋を持ったアルの姿があった。

 

「やあ、ユーリィ。誕生日おめでとう!」

 

 ニッコリと笑顔を浮かべるのはアルフォンス・ウォーロック。家が隣で生まれた年も同じ幼馴染で俺の生前合わせて唯一の友達だ。

 親同士が仲が良く、互いに魔法使いの家系だった事もあって、小さい頃からいつも一緒だった。幼い頃、アルはいつも鼻水を垂らしていて、俺が拭いてあげるのが日常茶飯事だった。今は鼻水こそ垂らさなくなったけど、ちょっと頼りない感じがまるで弟が出来たみたいでどうにも放っておけない。

 

「ありがとう、アル!」

 

 感極まって抱きしめると、

 

「プレゼントが潰れちゃうよ~」

 

 と情け無い声を出すので仕方なく解放した。

 

「アル君。丁度お祝いをしていたのよ。上がっていかない? まだ、ケーキが余っているの」

「いいえ、御構い無く。プレゼントだけ今日中に渡したかっただけなので」

 

 キリッとした顔で言うアルに構わず俺は玄関の鍵を閉めた。

 

「なんで鍵閉めてるのさ!?」

「いいから、ケーキ一緒に食べようぜ!」

 

 アルの背中を押しながら言うと、アルは「でも~」と情け無い声を出すがそんなの無視だ。

 折角来てくれたんだから、一緒にケーキを食べたい。

 

「ユーリィもホグワーツに決めたんだ!」

 

 半ば無理矢理連れ込んだアルがテーブルに広げられた羊皮紙を見ると言った。

 

「っていう事はアルもなの?」

「勿論だよ! 僕の両親もホグワーツだからね」

「マチルダとエドワードは二人ともグリフィンドールだったね」

 

 ジェイクが言うと、アルは元気良く「はい!」と答えた。

 

「僕もグリフィンドールに入って、立派な勇者になるんだ!!」

「はは、アルは勇者っていうより僧侶っぽいけどねー」

「そんな事ないよ!!」

 

 頬を膨らませるアルに思わず噴出した。アルは昔から勇者が大好きだ。小説の中でドラゴンや悪の魔法使いに立ち向かう勇者に憧れている。七歳くらいの時にそろそろ勇者は卒業しろとアルのお父さんのエドワードが説いたのだけど、アルの勇者好きは直らなかった。いっつも庭先で手製の木の剣で稽古をしているのを俺はボーっと眺めているのが好きだった。

 

「この前も犬に吼えられて泣きべそかいてたくせにー」

「それは忘れてって言ったじゃないかー!」

 

 顔を真っ赤にして怒るアルが面白くて俺はつい笑ってしまった。すると、アルは唇を尖らせて拗ねてしまった。

 

「ああ、ごめんアル。言い過ぎたよ」

 

 慌てて謝るけれど、アルは此方を向いてくれなかった。ジェイクとソーニャは微笑むばかりで助けてくれず、一向に顔を向けてくれないアルに段々嫌われてしまったんじゃないかと不安になった。

 

「アル、本当にごめんなさい。お願いだから許して……」

 

 思わず声が震えた。すると、アルはびっくりした顔でこっちを向いた。

 

「な、泣かないでよ、ユーリィ! 今日は君の誕生日なんだから! 僕こそごめんよ」

「俺こそ、ごめん……」

 

 涙を拭いながら謝ると、アルはホッとした様子で持ってきた袋をテーブルに置いた。

 

「折角だし、開けてみてよ」

「う、うん。随分と大きいね」

「へへ~、凄い物だよ!」

 

 自信たっぷりなアルの言葉に期待を膨らませながら袋を開くと、中から少し大き目のぬいぐるみが出てきた。

 

「ぬいぐるみ……?」

 

 それはアルの部屋にあったウサギのぬいぐるみだった。

 

「見てて」

 

 アルがそっとぬいぐるみの頭に手を添えると、なんとぬいぐるみは首を振った。

 

「動いた!!」

 

 目を丸くする俺にアルは得意そうな顔をして言った。

 

「僕が魔法を掛けたんだよ! お母さんとお父さんに聞いてね! 本当は去年渡すつもりだったんだけど……」

 

 そう言えば、去年の誕生日、アルはちょっとションボリしてたっけ。

 

「凄いよ、アル!!」

「本当に凄いな」

 

 俺がぬいぐるみを抱き締めていると、後ろからジェイクが言った。

 

「これはどのくらい保つんだい?」

 

 ジェイクが聞くと、アルは恥ずかしそうに頭を掻いた。

 

「……一ヶ月くらい」

「一ヶ月もかい!?」

「へっ?」

 

 ジェイクの驚く声にアルは目を丸くした。

 

「凄いわ、アル君。これだけの呪文が使えるなんて!!」

 

 ソーニャも賞賛の眼差しをアルに向けている。本当に凄い事なのだろうと俺は改めてぬいぐるみを見た。

 

「で、でも……、二年間、この呪文ばっかり練習してたのに一ヶ月だけで……」

 

 その言葉に俺は思わず胸を締め付けられた。

 

「二年間も……?」

「う、うん。ほら、ユーリィ、ペットが欲しいって言ってたじゃない?」

 

 アルの言葉に思わず言葉を失った。確かに言った覚えがある。生前、ペットを飼った事が無かったから飼ってみたいとずっと思っていたんだ。だけど、ジェイクからペットはもう少し大きくなってから、と言われて、アルに愚痴を零した事があった。だけど、そんな愚痴をずっと覚えていて、こんな素敵な贈り物を考えてくれていたなんて思ってもみなかった。

 

「アル……」

 

 アルはやっぱりグリフィンドールは似合わない。きっと、組み分けではスリザリンになる事だろう。だって、こんなにも狡猾に俺の心を浮き上がらせる。もしもアルがサラザール・スリザリンの継承者だと言われても、今ならすんなり信じてしまいそうな程に狡猾だ。

 

「ありがとう、アル!! でも、俺こんなに素晴らしい物をもらえても、お返しが……」

「い、いいってば!! 僕がしたくてやった事なんだから、ただ喜んでもらえただけで僕は満足だよ」

「本当にありがとう、アル」

 

 俺は最高の友達を手に入れた。生前、どんなに願っても叶わなかった願いが叶った。だから、俺はホグワーツに行く事を決めた。物語の登場人物に会いたいとか、そんな浮ついた気持ちは吹き飛んでしまった。ただ、アルと一緒に居たいと思った。それに、ホグワーツで起こる数々の危機からアルを護らなきゃと思った。

 俺の腕の中で動くうさぎのぬいぐるみに視線を落としながら俺はそう心に誓った。

 


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