では、どうぞ
壊れかけた封印をどうにかするため、サウザンドアイズに入った華蓮。
いつまでもここにいるつもりはないが、サウザンドアイズの一員である以上、仕事をしないといけないわけで……
「というわけで、お主にはこれをきて仕事をしてもらおうかの」
「はっ?」
現在、華蓮は白夜叉のもつユニホームを見て固まっていた。
それはおよそ作業着とは呼べないもので……いや、一応必要最低限の機能は残っている、メイド服だった。
そのメイド服自体は、全体にフリルをあしらった可愛らしいデザインなのだが、とにかく布が少ない。スカート部分の丈は膝上で、激しい動きをすれば中が見えてしまいそうだ。さらに大きく開かれた背中は妖しい色香を出すこと間違いなく、同じく開かれた胸元は、華蓮の豊満なソレを強調するだろう。まさに華蓮のために作られたようなものだった。
「えっと、あの、うちの幹部様に言うことじゃないけど、馬鹿なの?!何これ?!メイド服って初見分からなかったわよ!」
「ワシは至って真面目じゃが?」
「よしわかった、変態か。変態だな!」
「変態とは失礼な!これは芸術じゃ!お主の年のわりに成長した豊満な肢体と幼い外見。それを最大限生かす
バーン!と効果音が入りそうなくらい堂々と宣言する白夜叉。その予想以上の変態具合に、こめかみを抑え唸る華蓮。
「はぁ〜黒ウサギの苦労がわかるわ〜」
「という訳で、きてくれんかの?」
どういう訳だ。華蓮はそう思うが口には出さない。
「えっと、お断りします」
「そこをなんとか!特別手当も出すぞ!」
「う〜ん、特別手当か。でも恥ずかしいしな……お断りします」
華蓮がそう言うと白夜叉は数秒目をつむり、
「これは使いたくなかったのじゃがな……仕方なかろう」
「?」
首を傾げる華蓮に白夜叉は言った。
「お主が所属するコミュニティはなんじゃ!」
「えっ、えっとサウザンドアイズです」
「ならば私は幹部!お主は!」
「……新入りです」
白夜叉の言いたいことがわかった華蓮は、不機嫌そうに返した。
「ならば上司の命令は!」
「……絶対」
「そういうことじゃ!きてくれるかの?」
「……わかったよ!着ればいいんでしょ!でも特別手当はもらうからね!」
「もちろんじゃ」
満足そうにそういう白夜叉。それを見て華蓮は一段と大きなため息をついた。
「ならば早速明日からきてもらうとするかの」
「……はい」
(
華蓮は心からそう思った。
◆◆◆◆◆
次の日、華蓮は約束通りきて仕事をしているのだが……
「お、おいここがロリメイドがいるっていう店か!」
「そうだ。しかもただのロリメイドじゃない!ロリ
「「「な、何だって――――!!!!!」」」
予想以上の客に冷や汗&苦笑いだった。
どうやらサウザンドアイズ側の商売戦略だったようで、上の層で大々的に宣伝しているようだ。
(ヤバイヤバイヤバイ!これじゃあ、噂を聞きつけたあいつらが来ちゃうじゃないか!)
あの問題児集団に知られたが最後、ことあるごとに弄るネタにするに違いない。
華蓮は内心穏やかではなかった。
「ハァ……」
人の噂も七十五日というが、この騒ぎはいつまでも続きそうだ。
そう思いながら、華蓮は今日も接客に勤しむのだった。
ペルセウスとのゲームは、番外として書くかも……(未定
次回から第二章です。