過去と現在と魔法少女と   作:アイリスさん

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第25話

***第25話***

 

昼下がりの聖王教会の庭。ヴィヴィオとノーヴェはイクスとの面会の帰り際、シスター・ディードと騎士カリム付きの執事オットーと会った。

 

「ヴィヴィ陛下。イクス様には?」

 

「うん、ディード。さっき会って来たよ。元気そうで良かった」

 

「陛下、良かったら此れを。自信作のビスケットです」

 

「ありがとう!オットー♪」

 

元ナンバーズの双子の彼女達は、今は聖王教会で働いている。因みに2人とも、ヴィヴィオの事は『ヴィヴィ陛下』、アリシアの事は『オリヴィエ妃殿下』又は『妃殿下』と呼んでいる。

ヴィヴィオもアリシアも、昔こそ「「『陛下』『妃殿下』って呼ぶの禁止!」」などと言っていたものの、最近では双子の敬意と親愛の表現方法だからとそのままにしている。

 

「ノーヴェ、これからヴィヴィ陛下と何時もの練習に?」

 

「ああ、オットー。リオとコロナも一緒だ」

 

最近はヴィヴィオ、コロナに加え、リオにも教えているノーヴェ。たまにコッソリとアリシアとも手合わせしているが、今のところノーヴェの全敗(20連敗中)。

 

「ヴィヴィ陛下を頼みますよ、ノーヴェ」

 

「ああ、ディード。分かってる」

 

アリシアなら兎も角、ヴィヴィオではまだ『自称覇王』には勝てないかも知れない。いざとなればノーヴェが対峙する事になる。「またな」と、振り向かずに双子に片手を振り、ノーヴェはその場を後にする。「ノーヴェ、待ってよ~」と言ってヴィヴィオも教会を後にした。

 

***

 

ミッドチルダ中央第4区公民館、ストライクアーツトレーニングスペース。

 

その一角が一瞬ざわつき、静まり返る。静寂の後に聞こえるのは、パシン、パシン、と組手で打ち合う音だけ。

その組手の主、ノーヴェとヴィヴィオは互いの技を確かめるように打ち合う。打ち終わると、静寂の後に拍手。組手の後のこの瞬間だけは、ヴィヴィオもノーヴェもどうにも気恥ずかしく、慣れない。

 

「ノーヴェ、相変わらず凄いっスね!」

 

「うっせえ、ウェンディ」

 

ウェンディの言葉にも恥ずかしさを隠すために、ぶっきらぼうに返す。ミッドチルダで最も競技人口の多い格闘技、ストライクアーツ。有段者のノーヴェは、よくこの公民館でヴィヴィオ、コロナ、リオを教えている。終わり際にヴィヴィオと行う組手も、そのレベルの高さもあって名物となっている。通う曜日も決まっているため、『ノーヴェを探す者』にとっては都合のいい場所と言えた。

 

「さて、お前ら。時間も遅いしそろそろ帰るぞ」

 

「「「はーい、ノーヴェ先生」」」

 

「ばっ、先生は止めろって!」

 

ごく何時もの光景。何時もの帰り道。何時もと違う事と言えば、ウェンディに子供達を送らせ、救助隊装備品の調整のためノーヴェが一人で帰っていることくらい。と、ノーヴェは前方の街灯の上に誰かが立っているのに気づく。

その人物が自分に視線を向けているのを見て、ノーヴェは身構えた。

 

「そこで何やってんだ」

 

「……ストライクアーツ有段者、ノーヴェ・ナカジマさんとお見受けします。貴方にいくつか伺いたい事と確かめたい事が有ります」

 

目の部分にバイザーをした、碧銀の髪の女性。十中八九『噂の通り魔』だろう。ヴィヴィオが一緒でなくて良かった。

 

「質問すんならバイザー外して名を名乗れ!」

 

ノーヴェの言葉通りにバイザーを外した女性。月明かりに照らされ、紺と青の虹彩異色の瞳が見える。

 

「カイザーアーツ正統、ハイディ・E・S・イングヴァルト。『覇王』を名乗らせて頂いています」

 

ノーヴェは「チッ」と小さく舌打ちした。やはり噂の通り魔。紺と青の瞳か。いや待て、どこかで聞いた気が……その先を考えようとしたところで、『覇王』は質問をぶつけてきた。

 

「貴女の既知である『聖王女オリヴィエのクローン』と『冥府の炎王イクスヴェリア』。貴女はその両方の所在を知っていると」

 

「!!」

 

***

 

この人が、ノーヴェ・ナカジマ。この人が、アリシアが……アリシアが身を捨てて助けた聖王のクローンを知っている。はやる気持ちを押さえ、アインハルトは努めて冷静に、今までやってきた通りに話す。しかし、彼女から返ってきたのは、アインハルトの欲しかった答えとは別のもの。

 

「『知らねぇ』な。聖王のクローンだとか冥府の炎王だとかいう連中と知り合いになった覚えはねぇ。アタシが知ってんのは、一生懸命生きてるだけの普通の子供達だ!!」

 

アリシアの守ったクローンは、他の子供達と変わらず普通に生きている。それはアリシアも望んだ、喜ばしい事なのかも知れない。でも、同時に普通に生きている事が許せなくもある。それは只の嫉妬なのかも知れない。アリシアに望まれ、のうのうと生きているであろうクローンへの、嫉妬。

 

「では、聖王女オリヴィエの生まれ変わり……アリシア・テスタロッサの事は?」

 

「!! テメェ……」

 

ついアリシアの事も口にしてしまった。けれど、アインハルトは聞きたかった。彼女は、JS事件迄は幸せだったのかを。きっとこの人はそれを知っている。

 

「では、もう1つ確めたい事。貴女と私の拳、一体どちらが強いのか確かめさせて頂きたいのです。防護服と武装をお願いします」

 

「要らねぇよ。何でこんなことをしてる?」

 

「私は確かめたいだけです。聖王女オリヴィエのクローンにどれだけの価値が有るのかを。それを守る貴女に、果たしてどれだけの価値が有るのかを」

 

「ふざけんな!!」

 

ノーヴェの表情が険しいものに変わった。

 

***

同時刻、高町邸。ヴィヴィオが帰宅する。

 

「ママ、お姉ちゃん、ただいま~」

 

「お帰りなさい、ヴィヴィオ♪」

 

「お帰り、ヴィヴィ」

 

迎えたのは、なのはとアリシア。それから、奥からシャワーの音が聞こえる。

 

「もしかして、フェイトママいるの?」

 

ヴィヴィオの問いに、キッチンで夕飯の準備をしているなのはが、エプロン姿のまま答える。

 

「そうだよ、さっき帰って来て、シャワー浴びてるよ?」

 

「本当?じゃあ今日は一緒に夕御飯だね!」

 

ヴィヴィオの声が弾む。久々に、一家(?)4人での夕飯。

 

「ヴィヴィ、その前に手を洗っておいで」

 

「はーい、お姉ちゃん!」

 

トテトテとキッチンへと走るヴィヴィオ。それを見て、アリシアの顔が綻ぶ。

 

そのフェイトはシャワーを浴び、湯船に浸かっていた。「フゥ」と息を吹き出し、大きく伸びをしたところで、通信が来る。相手は、スバル。フェイトは通信を取った。

 

《フェイトさん、スバルです。今大丈夫……って、お風呂中!?ごめんなさい!》

 

《いいよ、大丈夫。どうしたの?》

 

《実はノーヴェが例の通り魔とやり合ったみたいで、センサーを付けたからその通り魔を確保して欲しいって。あ、でも、お風呂中なら無理しなくても……》

 

《もうすぐ上がるし、それからでも良いなら協力するよ》

 

《すみません、フェイトさん。お願いします》

 

フェイトは通信を切ると、やれやれといった表情を浮かべ、「フゥ」と息を吐く。それから風呂から上がると

 

「スバルから急用みたいだから、ちょっと出てくるね。遅くなるようだったら連絡入れるね」

 

そう言い残し、渋るヴィヴィオの姿に後ろ髪を引かれながらも家を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




アインハルトさんvs.ノーヴェさん。ノーヴェさんは何気に初セリフです。原作ではティアナとスバルでアインハルトさんを探しに行きますが、クロノ艦長の犯罪組織殲滅作戦の影響でティアナさんの休みがズレています。

***
セイン「セインと!」
ウェンディ「ウェンディの!」
セイン・ウェンディ「突撃インタビュー!」
ウェ「つ、ついにセリフが、セリフがぁ!」
セイン「あー、ハイハイ」
ウェ「さて、今日のゲストは」ゴキゲン
セイン「イリヤスフィール・フォン・アインツベルンさんとそのデバイスのカレイドルビーさんです……こんなキャラ居たっけ?」
ウェ「お互い一度コラボしたことがあるからセーフっス!」
セイン「セーフっておい!」
ルビー「ちょっと!失礼ですね!私はデバイスじゃありませんよ!とってもキュートな精霊付きの最高位の霊装ですよ!」
イリヤ「ゲストってルビーメインなの?私じゃないの?」
セイン「ナンダコレ……ウェンディ次回出演禁止な」
イリヤ「今日はちょっと勉強しに来たんだけど。その、百合について」
セイン「何で?」
イリヤ「いや、友達に一人それらしき人がいて、ちょっと私には重いと言うか……」
ルビー「あ、○遊さんですね!いやー、確かにイリヤさんに対する美○さんの視線には百合成分が満載ですからね!」
イリヤ「ルビー!名前隠してるようで隠れてないからね!?」
セイン(ついて行けない)
ウェ「でも、アインハルトで参考になるんスか?」
ルビー「そうですよ!やっぱり義理の兄と小学生の妹というもっとギャルゲー的な展開の方が……ね、イリヤさん?」
イリヤ「どっ、どうして私に振るの!?それに何でそんなに限定的な条件なの!?」カオマッカ
セイン「ウェンディ。お前2回連続休め」

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